歳を経るほど「日本は成長しなくてもいいヤ」「縮小もアリだね」と思う人が増える現実

2014/10/27 14:46

内閣府大臣官房政府広報室は2014年10月20日、人口や経済などの社会の視点から見た、日本の将来像に関する世論調査の結果を発表した。それによると調査対象母集団においては、日本の未来について成長を求めるべきだと考えている人は6割近くに達していることが分かった。現状維持は1割強、縮小でも構わないとする人は1/4ほど確認できる。世代別では歳を重ねるに連れて成長派が減り、現状維持派や縮小容認派が増える傾向にある(【発表リリース:人口、経済社会等の日本の将来像に関する世論調査】)。

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今調査は2014年8月21日から31日にかけて層化2段無作為抽出方によって選ばれた人に対し調査員による個別面接聴取法によって行われたもので、有効回答数は1826人。男女比は852対974、世代構成比は20代154人、30代254人、40代305人、50代278人、60代383人、70歳以上452人。標本数はほぼ世代別人口構成比に準じるが、回答率は大よそ若年層ほど低くなるので、世代構成別回答以外では若干世間全体の意見と比べ、高齢者寄りの回答が出てしまう可能性がある。

調査対象母集団に対して日本の未来について、どのような社会を目指していくことが望ましいと思うか、具体的に「成長・発展を追求する社会」「緩やかに成長・発展を持続する社会」「現在程度の水準を維持した社会」「縮小しながら一人当たりの豊かさの保たれた社会」の4つの選択肢、さらには「その他」「分からない」と合わせて6選択肢を用意し、一つを選んでもらった結果が次のグラフ。全体では成長派が56.6%、現状維持派が14.3%、個人の豊かさが維持できれば縮小してもかまわないとする縮小容認派が25.4%という結果となった。

↑ 日本の未来についてどのような社会を目指していくことが望ましいと思うか(2014年)
↑ 日本の未来についてどのような社会を目指していくことが望ましいと思うか(2014年)

自分自身の心境、実情や周辺環境などの実態を見据え、総合的に勘案した上で、主に自身の要望としての回答と考えれば、成長を望む声が過半数に達しているのは胸をなで下ろせる感はある。他方個人の豊かさが維持できれば縮小してもかまわないとする意見は、ある意味独りよがり、あるいは現実主義者的なところがあるのかもしれない。とはいえ、社会全体のリソースを確保できなければ、結局のところ個人の豊かさを追求することは難しい事実を思い返すと、やはり少々虫のよい話ではある(「豊かさ」に関する価値観そのものを変えれば話は別だが)。

男女別ではほとんど変わりはない。若干女性の方が縮小容認派が多いが、誤差の範囲と見て良いだろう。

回答者の世代別では大きな違いが見えてくる。

↑ 日本の未来についてどのような社会を目指していくことが望ましいと思うか(2014年)(世代別)
↑ 日本の未来についてどのような社会を目指していくことが望ましいと思うか(2014年)(世代別)

70歳以上で一部イレギュラーが起きているが、大よそ「歳を経るほど成長・発展の回答が減る」「歳を経るほど成長派が減り、現状維持派と縮小容認派が増える」傾向が確認できる。社会保障関連の調査結果に係わる複数の分析記事で指摘しているが、社会にまつわる指針や要望においては概して「自分の属性が有利になる意見」が強調され、自分と関係のない、自分にとって不利になる話は、たとえそれが社会全体にとってプラスとなり役立つ内容でも、敬遠する傾向がある。今調査項目でも、今はつらい立場に置かれていても自分の将来の展望に期待を持ち、夢を抱き続けて長い人生を歩むことになる若年層ほど成長を望み、ある程度足固めが出来て大きな変動によってその足場が揺らぐことを嫌う中堅層以降になると、(成長過程で生じるリスクや、現状の改変を恐れて)現状維持、さらには自分が豊かであれば周囲にまで気を配る必要はない、余裕はないとする個人さえ良ければ縮小すら容認する意見が増加するようになる。あるいは歳を取るにつれて現実を厳しく見据えているだけなのかもしれないが。

【年寄りに「お前らに未来はない」と言われる若者達】【勝ち組の固定化をもくろむ「脱成長」】などでも指摘している通り、このような動きは特にシニア層の中でも色々な方面で力を有する属性にいる人に多く見受けられる。若年層の立場から見れば、このような発想の傾向は身勝手さを覚えるのかもしれない。


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