出版物の分類別売上推移をグラフ化してみる(2013年)

2013/10/17 09:00

先に掲載した【出版物の売り場毎の販売額推移をグラフ化してみる(番外編:電子出版独自追加版)】で、日販による『出版物販売額の実態』最新版(2013年版)のデータを基にした出版業界の動向精査記事は最後になるはずだった。ところが記事掲載後、「販売ルートでは無く、出版物の分類別の売上推移を知りたい」とのリクエストをいただいた。そこで今回は番外編として、その要望に応える形でいくつか計算を施し、該当する値を導き出してグラフ化を試みることにした。

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雑誌は落ち、コミックや文庫は上昇するシェア動向


『出版物販売額の実態』には主要分類別の売上高構成比と、総売り上げが記載されている。そこでこの2項目を掛け合わせれば、概算値ではあるが分類別の売上高が算出できることになる。

一方出品物の分類においては、過去2回変更が行われており、これを放置すると計算とグラフが非常に複雑なものとなる。そこで変更対象となった「学参」「辞典」「実用」「旅行地図」「専門」「ビジネス」はすべて「その他」扱いとし、変更の無かった「雑誌」「コミック」「文庫」「新書」「児童書」「文芸」のみ、具体的な精査対象とする。

その上で各分類毎の各年の売上、そして総売上に対するシェアの推移を算出した結果が次のグラフ。

↑ 出版物分類別売上推移(億円)
↑ 出版物分類別売上推移(億円)

↑ 出版物分類別売上推移(一部、億円)
↑ 出版物分類別売上推移(一部、億円)

↑ 出版物分類別売上シェア推移
↑ 出版物分類別売上シェア推移

出版物の総売り上げが減少傾向にあるのはすでにこれまでの記事で解説してきた通りだが、その過程で少しずつ分類毎のシェアに変化が生じているのも確認できる。手元のデータで一番古い2000年から最新の2012年に至るシェアの変化を観ると、プラス化したのは「コミック」「文庫」「新書」「児童書」。一方、「雑誌」「文芸」はシェアを落としている。

総額そのものも落ちているので、シェアが減った「雑誌」「文芸」はもちろんだが、シェア上プラス化した分類の多くも売上そのものは減退してしまっている。特に「文芸」の売上減少率は著しく、実に3割強に達する次第(「雑誌」も3割近い)。他方、「文庫」は根強いファンが居るからか、あるいは定価の問題もあるのか、恐らくは「ラノベ」が大きく貢献しているからか、ほとんど売上は堕ちていない。むしろヒット作が出た時にかさ上げされる形である(「文芸」もそれに近いパターンだが、定期的な減少が著しく、中期的に回復までには至らない)。

唯一セールスを伸ばしているのは…


上記グラフ生成のための計算とその内容を精査している過程で、少々気になる動きが見受けられた。具体的には「児童書」で特記すべき動向が確認できる。上のグラフでも、総売り上げに対するシェアは大きくないものの、わずかながらもシェア・売上共に増加している様子がうかがえる。

実際、2000年から2012年の売上の変化を算出すると、前世紀末から唯一プラスの値を示していることが分かる。

↑ 出版物分類別売上推移(2000年→2012年)
↑ 出版物分類別売上推移(2000年→2012年)

2012年の金額は約833億円で、総売り上げに占めるシェアは4.7%でしかない。しかし唯一伸びを示している分類として、注目に値する。『出版物販売額の実態』から2012年のベストセラーを紐解くと、「こびと大百科 びっくり観察フィールドガイド」「かいけつゾロリ はなよめとゾロリじょう」などが該当する本として見受けられる。元々一定量の需要は常に存在する児童書だが、ひそかに需要、そして供給共に増加を示している事実(少なくとも売上の面で)は、注目すべき動きといえよう。


※各グラフで最新年度以外の数字が表記されていませんが、これは資料提供側の指示によるものです。何卒ご理解ください

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