パソコンの世帯年収別普及率現状をグラフ化してみる(最新)

2018/05/04 05:03

昨今ではインターネットへの窓口としてパソコンだけで無くスマートフォンやタブレット型端末も急速に利用者が増え、普及率を上昇させつつある。特に若年層では最初に触れるインターネット端末がスマートフォンとなる場合が多く、そのまま常用を続け、パソコンへの接触機会が学校の授業など最小限のものとなり、キーボードを使う場面が減っているのでは無いかとの話もよく見聞きする。そしてスマートフォンの普及・キーボード利用機会の少ない若年層の増加背景に、年収が少ない世帯ではパソコンを整備できず、代わりにスマートフォンを用いているとの説も呈されている。今回はそれらの話を検証する際に役立つであろう、パソコンやスマートフォン、さらにはタブレット型端末の世帯年収別普及率などについて、内閣府が定期的に公開している調査結果【消費動向調査】を基に確認していくことにする。

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「消費動向調査」そのものの解説や「世帯」の区分、「普及率」の定義についてはまとめ記事【定期更新記事:主要耐久消費財・普及率(内閣府・消費動向調査)】で説明されている。必要な場合はそちらを参照のこと。また今件では2013年までの回答では明確な定義は無いものの、タブレット型端末は(回答者独自の判断により)いくぶんパソコン扱い(ノートパソコン系)されているものと考えられる。一方2014年以降は回答項目に「タブレット型端末」が新設されて、その誤認は無くなった。

今回は二人以上世帯(以前は一般世帯と呼称)のみを検証対象とする。単身世帯と二人以上世帯では世帯年収の意味合いが大きく異なるのに加え、主に若年層、とりわけ未成年者のパソコンやスマートフォンの利用機会に関する動向を確認するのが今回の目的であり、他方で未成年者の単身世帯というケースは想定しにくいからである(つまり二人以上世帯において、子供=未成年者や成人直後の若年層が構成員として存在しているケースを想定している。二人以上世帯全部がそれに当てはまるわけでは無いが、今調査の結果では子供がいる・いない別の仕切り分けが無いため、もっとも近い値を精査できる二人以上世帯を対象とした)。

次に示すのは直近の2018年3月末時点における、世帯年収別パソコン、スマートフォン、タブレット型端末の普及率。一世帯に何台保有していても、あるか無いかのみでの回答なので、100%を超えることは無い。なおグラフの表記上、一部の属性では「以上」を省略している。例えば「300-400万円未満」は「300万円以上400万円未満」を意味する。

↑ パソコン・スマートフォン・タブレット型端末普及率(世帯年収別)(二人以上世帯)(2018年3月末)
↑ パソコン・スマートフォン・タブレット型端末普及率(世帯年収別)(二人以上世帯)(2018年3月末)

全種類とも大よそ高年収ほど高普及率を示している。一方でパソコン・スマートフォンともに750万円程度で普及率がほぼ頭打ちになるのに対し、タブレット型端末は一様に上昇を続けている。これはひとえにタブレット型端末の普及率そのものがまだ低めなため。パソコンとスマートフォンの高年収における普及率の動きは、いわばカウンターストップ、上限に近付いたためのものと考えられる。見方を変えるとパソコンとスマートフォンの世帯普及率は9割強が、世帯普及率の上限と見てよいかもしれない(数字的には10割が上限なのだから、当然の結果ではあるが)。

いずれにせよ、上限値はあるものの、パソコンやスマートフォンの普及率は世帯年収で確実に違ってくる。もっともパソコンとスマートフォンの普及世帯がだぶっていることは多分にありえるため、「スマートフォンがパソコンの代替として用いられている」「スマートフォンがパソコンを取得できない世帯の代用品的立ち位置として存在する」などの立証は、今件データだけでは不可能(そもそも消費動向調査でスマートフォン単独の調査項目が登場したのは、2014年3月末の年次調査が初めてであり、数年にわたる経年変化による精査は困難)。

「保有世帯」における平均保有台数を確認すると、保有率とは異なり、パソコンもスマートフォンも年収が上になるほど台数が増加しているのが分かる。

↑ パソコン・スマートフォン・タブレット型端末保有世帯あたり平均保有台数(世帯年収別)(二人以上世帯、台)(2018年3月末)
↑ パソコン・スマートフォン・タブレット型端末保有世帯あたり平均保有台数(世帯年収別)(二人以上世帯、台)(2018年3月末)

世帯年収とともに上昇する普及率は一定額で頭打ちになるが、それより上の年収でも世帯内で複数持ちの人が増え、平均保有台数は増えていく。パソコン保有世帯に絞っても、300万円未満では1.33台なのに対し、1200万円以上では1.97台となり、0.64台分の差が出ている次第である。世帯人数までの仕切り分けは元のデータでもされておらず精査は不可能だが、世帯台数が多ければ各世帯構成員がパソコンに触れる機会は増え、子供専用のパソコンが用意されている可能性も高くなる。

これらの数字を見るに、「パソコン、さらにはスマートフォンやタブレット型端末は世帯年収が高額になるほど普及率は高く、保有世帯における保有台数も多くなる」ことは確定事項と見なしてよい。一方で「パソコンを持てない低所得世帯が、その代替端末としてスマートフォンを取得するようになった」との仮説を裏付けるまでには至らない。

ただし、これまでパソコンを所有していなかった世帯が、スマートフォンの所有ではじめてインターネットへのアクセス機会を得る事例は多分に考えられる。何しろ世帯年収区分で最低額の仕切りの層でも5割超えの世帯がスマートフォンを有しているのだから。



ちなみにパソコンの経年・世帯年収別普及率推移は次の通り。日本でスマートフォンが浸透し始めた2009年以降の動きを追っている。

↑ パソコン普及率(世帯年収別)(二人以上世帯)
↑ パソコン普及率(世帯年収別)(二人以上世帯)

本文にある通り「2013年まではタブレット型端末は多分にパソコン扱いで回答されている」こともあり、2014年における一部層以降の減少は、タブレット型端末の回答項目の独立による可能性がある。しかし一方で全体、そして中所得層や低所得層の一部で数年にわたるる減少傾向が見られるのは注目したい。

さらに今件はあくまでも普及=所有率であり、新規購入率や常用率で無いことから、たとえ利用度合いが減る、利用しなくなっても、過去にパソコンを購入・利用していれば回答者には該当しうる。まったく必要性を覚え無くなれば、現在所有のパソコンに関する普及率は、じわりと少しずつ、そして確実に減るようになる(廃棄や譲渡、あるいはしまい込む事で回答者から「所有している」と認識されなくなることによって)。

あと数年、スマートフォンが単独調査対象項目になってからのデータを取得できるようになれば、インターネットへのアクセスの窓口は「低年収層…ゼロからスマートフォンへ」「高年収層…パソコンからスマートフォン(兼用)へ」といった形での動きが確認できるようになるかもしれない。


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