市場観上昇、国内政治情勢への注目度高まる…野村證券、2014年9月分の個人投資家動向発表

2014/09/16 09:00

野村ホールディングス(8604)のグループ会社野村證券の一部門である「グローバル・リサーチ本部」は2014年9月11日、個人投資家の投資動向アンケート調査における結果報告書「ノムラ個人投資家サーベイ」の最新版(2014年9月分)を公開・発表した(【野村證券リリース一覧ページ】)。その内容によれば今後3か月後の株価見通しを調査対象母集団に尋ねた結果で算出される「ノムラ個人市場観指数」は、先月から転じる形で小幅ながらも上昇し、48.4を示すこととなった。株価の先行きに関しては「小幅な上昇」を見込む意見が先月から続きもっとも多く、先月からはその回答率を積み増ししている。他の予想選択肢には大きな変化は無く、調査対象母集団における市場予想は先月からほんのわずかながら改善した雰囲気が見受けられる。

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今調査は1000件を対象に(有効回答数が1000件に達した時点で締切)2014年9月1日から9月2日に行われたもので、男女比は82.6対17.4。年齢層は60歳以上がもっとも多く34.2%、次いで50代が32.1%、40代が23.5%など。過去の調査と比べてややシニア層に寄っている感はある。金融資産額は1000万円-3000万円の層がもっとも多く29.3%、500万円-1000万円が18.8%、3000-5000万円が13.4%と続いている。回答者の投資経験年数は10年から20年未満がもっとも多く30.9%を占めている。次いで20年以上が29.0%、5年から10年未満が27.3%となるなど、長期間投資に携わってきた人が多い。

投資に対して重要視する点は、おおむね長期投資が最大値で44.1%と5割近くでもっとも多い。ついで配当や株主優待が25.6%と3割近く。短中期間の売買に伴う売却益より、配当収入や優待確保などの中長期的な安定感を求める投資方針が多勢(7割近く)を占めている。

詳細はレポートで確認してほしいが、概要的には次の通り。

・投資指数は48.4ポイント。前回からは5.4ポイントの上昇。前月の下落から転じて値を上乗せする形となった。この時期、日経平均株価は前月比でほぼ同額を示しているが、上昇の気配を強く覚えるところから、その期待が指数上昇にも表れたようだ。

・3か月後の日経平均株価の上昇を見込む比率は合計で74.2%。前月分の71.5%からは2.7%ポイントの上昇。こちらも投資指数同様に上昇している。「1000円程度の上昇」を見込む意見がもっとも多い状況は先月から同様。そしてプラス3.9%ポイントと増加し、勢いとしては今一つだが上昇機運を感じさせる。他の選択肢はほとんど動きが無く、停滞感の中のわずかな前進、すり足的な雰囲気。

・市場に影響を与え得る要因としては「国際情勢」がトップにつき、先月からはマイナス3.6ポイント。東南アジア情勢、中東情勢、ウクライナ情勢など多方面でネガティブな情勢が継続しており、これが市場動向の足を引っ張るとの判断が多分に成されている。一方で「国内政治情勢」は4.5%ポイントと大幅な上昇。内閣改造人事に対する注目が集まったようだ

・魅力的な業種は「資本財・その他」「医薬品」「素材」「自動車」「通信」の順で、ここまでがDIではプラスかゼロ。そして「電気機器・精密機器」「金融」「運輸・公共」「消費」はマイナス圏。「運輸・公共」「消費」双方のマイナス幅が拡大しており、天候不順などによる消費の落ち込み、ガソリン代の上昇に伴うコスト増への懸念が間接的に表れている。

・ドル円相場に対する見通しは、「やや円高」が大きく増え、「やや円安」の観測が大きく減っている。小幅な円高ドル安を予想する向きが増えたようだ。

・通貨への投資魅力は「オーストラリアドル」が最上位で、「アメリカドル」「日本円」が続く。「日本円」は大きく値を落としている。「カナダドル」が大きくそれらに後れを取るもDI値ではギリギリプラスで、それ以外はマイナス。「中国元」は相変わらず大幅なマイナスだがマイナス50台はどうにか回避できた。

・もっとも注目を集めた金融商品は「国内株式」。次いで「預貯金」「国内投資信託」。この順位は先月から変化なし。DI値にもあまり変化は無く、投資性向に動きは無い。

気になる「保有したい、注目していきたい銘柄」、つまり調査対象母集団における個人投資家が購入したいと考えている銘柄は、鉄板銘柄ともいえるトヨタ自動車(7203)がトップに。この鉄板ぶりは同社株式が大いに低迷した一時期をのぞけばダイヤモンドのごとし。ただし今回は先月同様に得票数を2ケタに落としており、少々変わった雰囲気を覚える。

1位……トヨタ自動車(7203)
2位……ソフトバンク(9984)
3位……富士フィルムホールディングス(4901)
4位……武田薬品工業(4502)
5位……オリエンタルランド(4661)

今回富士フィルムが大きく順位を底上げしたのは、同社が開発中でアメリカで現在治験中のインフルエンザ薬「ファビピラビル」が、エボラ出血熱の新薬候補として注目を集め、FDAからも承認優先手続きがなされていると相次ぎ報じられたことが影響している。銘柄そのものも手堅いことから、投資対象として大いに注目を集めたのだろう。



今回月においてもっとも市場に影響を与えそうな項目として挙げられた「国際情勢」だが、情勢は一向に回復する気配を見せない。特に中東方面は元々複雑さを見せる地域であるのに加え、周辺諸国の思惑が絡み合い、有効な手立てが打ちにくい状況にある。

他方「国内情勢」では「魅力的な業種」のところでも影響が確認されているインフラ周りのコスト問題と、消費税が大きなネックとなっている。経済とインフラ、共に国を支え反映させていく必要不可欠な要素であるだけに、正しい道のりが示されることを願いたいものだ。


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