2014年8月の熱中症での病院搬送者、1万5183人に

2014/09/21 05:00

総務省消防庁は2014年9月19日付で、同年8月の熱中症を起因とした全国の救急搬送の状況(確定値)を発表した。それによると同年8月における熱中症による救急搬送者は1万5183人となり、同庁が熱中症に関する調査を開始した2009年以来各年の8月分では、2009年の6495人に次ぐ過去2番目に少ない数字となった。また6月から8月までの合計搬送者数は3万8224人となり、これは毎年6月からの調査を開始した2010年以降では、最少の値を示している(【消防庁:発表リリース一覧ページ】)。

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今年の8月は猛暑日(一日の最高気温が35度以上を記録した日)を観測した地域が7月に比べて減少したことに代表されるように、全国的、特に西日本において前線の影響や台風の上陸を受けて天候が悪化した日が多く、熱中症の観点では過ごしやすい日が多かった。気象庁による2014年8月の気候動向を分析した報告書【8月の天候(気象庁)】によれば、西日本では日照時間の短さが問題視され、農作物の成長度合いの懸念がなされているほど。具体的には降水量は西日本でかなり多く、17観測地点では史上最大を記録、日照時間では東西日本で少なく、29観測地点で史上最短を記録している。このような気象動向を受け、電力需給の観点でも、昨年8月と比べるとやや余裕のある動向が続いたといえる。

今回の発表によれば、2014年8月の全国における熱中症による救急搬送人員(救急車で医療機関に搬送された人)は1万5183人となり、昨年2013年の8月における2万7632人と比較すると45.1%減という大幅減の値となった。

↑ 熱中症搬送人員(2009-2014年、各8月、人)
↑ 熱中症搬送人員(2009-2014年、各8月、人)

↑ 熱中症搬送人員(2009-2014年、各8月、人数比)
↑ 熱中症搬送人員(2009-2014年、各8月、人数比)

昨年と比べるとすべての年齢区分で人数は大きく減少し、特に新生児から乳幼児と高齢者層の区分で減少率が著しい(それぞれ51%、47%の減少)。今年の熱中症搬送者数の減少は主に天候不順が起因であることを考えると、天候の悪化により外出を控えがちな高齢者、あるいは乳幼児を持つ保護者において、自宅に留まるケースが多くなったことから、熱中症のリスクが低減したものと考えられる(室内でも熱中症リスクはあるが、元々天候悪化で気温も低めなため、晴れの日における室内のリスクよりは低くなる)。

人数の上では「観測史上もっとも暑い夏」として知られている猛暑となった2010年と比べるとほぼ半分。当初冷夏予想がなされていたがその予想は取り消されたものの、結果としてはそれに匹敵するほどの気温状況となり、熱中症搬送者数も減ったのは、色々と複雑な想いを覚えさせる。

搬送時の初診傷病程度は次の通り。2010年以降は漸減傾向にあった中等症以降の重い病症率が昨年2013年ではやや増加したものの、2014年では再び減少している(軽症比率が増加)。上記にある通り天候悪化を受け、高齢者の発症リスクが減り、高齢者、特に一人身世帯において生じやすい「発見時に容体悪化が進んでいた状況」が減ったのが要因と考えられる。

↑ 熱中症搬送人員初診時傷病程度(2010-2014年、各8月、人)
↑ 熱中症搬送人員初診時傷病程度(2010-2014年、各8月、人)

↑ 熱中症搬送人員初診時傷病程度(2010-2014年、各8月、人数比)
↑ 熱中症搬送人員初診時傷病程度(2010-2014年、各8月、人数比)

ちなみに各症状の具体的内容は次の通りとなる。

軽症:入院を必要としない程度

中等症:重症または軽症以外の病状

重症:3週間の入院加療を必要とするもの以上

死亡:医師の初診時に死亡が確認されたもの

「中等症」とは「3週間未満の入院を必要とするもの」と判断できる。重症ほどではないが、搬送時には相当状態が悪化し、入院措置が必要な事態に追いやられていたことになる。本人が無理をしていた、または気を失うなどで第三者による発見が遅れたことが想定できる。

「入院の必要性」で見れば、「軽症」「中等症」両者の差は大きい。患者全体に占める高齢者の比率が高ければ、軽症が減り、中等症以上が増える結果となる。2014年において軽症率が増え、中等症率が減ったのは幸いといえる。

自分自身への注意を怠りなくするのと共に、異常を感じたらすぐに水分補給や涼しい場所への移動など各種対応を行うのは当然の話。一方で身の回りに体力の不安な人、身体の衰えで適切で素早い反応が期待できない人が居る場合、積極的に声をかけるなどして、熱中症の発生を極力防ぐ努力をしてほしい。

過去の事例で確認すると、9月に入ると夏の暑さのピークは過ぎ、8月と比べれば搬送者数は大いに減少する。しかしゼロでない以上、全国各地で熱中症により救急車のお世話になる人がカウントされることになる。さらに今回発表の消防庁のレポートでも「9月は全国的に気温が平年並みか高いとの予測」「9月に入ってからも真夏日(一日の最高気温が30度以上)が観測される日がある」などとし、熱中症への警戒が引き続き必要であると言及している。次のグラフにあるように、昨年も9月に入ってからも毎週数百人の単位で搬送者が確認されている。

↑ 熱中症による救急搬送状況(週単位・速報値・2013年・人)(5月27日から10月6日)(再録)
↑ 熱中症による救急搬送状況(週単位・速報値・2013年・人)(5月27日から10月6日)(再録)

今年は気温や熱中症搬送者などの動向を見るに、少なくとも昨年2013年よりは過ごしやすい気温状況にある。とはいえ搬送者数がゼロになったわけではない。節電要請期間が終了する9月末までは、暑い日がぶり返す可能性は多分にある。熱中症への警戒を怠りなく、水分補充や体調管理などには十分配慮してほしいものである。


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