初めての転職、理由は何?
2010/10/30 06:00

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調査要項、及び「若年労働者」「常用労働者」などの用語の定義は先行する記事【社内若者や非正社員はどれくらい居るの? 若年労働者の割合などをグラフ化してみる】で解説している。
さて、以前に【30歳前半の働き人、三人に二人は転職経験あり】で、今調査母体では約半数が転職経験をしていることについて触れた。

↑ 性・年齢階級、初めて就職した会社に現在も勤務しているかどうか別若年労働者割合(調査時点で在学していない者のみ)(再録)
調査母体が「現在就労中」で、「はじめに勤めた会社から離職している」ならば、最低でも1度は転職を経験していなければならない。そこでその条件に該当する人に、最初に就職した会社を離職した理由を3つまでの複数回答で尋ねた結果が次のグラフ。もっとも多い回答は「仕事が自分に合わない」で、約1/4の人が同意を示していた。

↑ 転職者が「はじめて就職した会社」を離職した理由(複数回答3つまで)
例えば「雇用期間の満了・雇止め」のような就労条件上の、あるいは「結婚、子育ての為」のような性別上の特殊事情(最近は男性でもちらほら出てきたが、大勢の動きと言う意味で)、離職した例も見られる。しかし多くは「仕事と自分の性質などとのミスマッチ」がトップ。インターン制でお試しをしてみるなり、OB訪問など事前調査が足りなかったのか、あるいは勤めてみて初めて自分の特性を知り得たのか、果ては勤めている最中に配属先部署を変えられて(例えば開発で入社したのに開発部門が縮小して営業に回されるなど)合わなくなったのか、色々と事例は考えられる。このような場合多くは「会社に自分を合わせろ」「仕事を好きになる自分になるように、自分を変えていこう」とアドバイスされるものだが、それが出来ない人も少なくないようだ。
第二位から第四位は就労環境の問題。労働時間・賃金・人間関係などベクトルは多少ずれているが、要は「環境が悪くて耐えるのにも限界」というものだ。全部悪いと最悪だが、例えば「人間関係が良く、賃金もそれなりだが、一日残業4時間で休みは盆と正月休みのみ」という働き口だとしたら、やはり離職を考える人は少なくあるまい。
これをこれまでの各記事でスポットライトが当てられてきた属性、具体的には「最終卒業学校が中高と大学・大学院」と「正社員・それ以外」で区分し、それぞれの回答率順位を5位まで記載したのが次の表。全体の上位3位「仕事が自分に合わない」「労働時間・休日・休暇の条件が良くない」「賃金の条件が良くない」に濃い系統の赤塗りが集中しており、基本的にはどの属性でも離職理由に変わりはないことが分かる。

↑「 転職者が「はじめて就職した会社」を離職した理由(複数回答3つまで)」で、特定属性における回答率上位5位
それと同時に、各属性の事情も透けて見えてくる。例えば「高校卒業」「正社員以外」では「結婚、子育てのため」が5位にあり、主に女性就労者が多い事をうかがわせる。また「大学院卒」になると、院まで修学した自分のスキルを活かせない職場に失望し、「自分の技能・能力が活かせられなかった」との理由から職を離れる人が少なからずいることが確認できる。一方で「大学卒」では他の属性では見られない「ノルマや責任が重すぎた」が5位についており、大学生そのものの質の低下か、あるいは企業からの過度の期待が感じられる。

最終的には個々の判断にゆだねるしかないが、転職を頭に思い浮かべたら、今件のデータを「第三者的な視点で」見て、自分の考えが本当に独りよがりでないものなのかを考え直してみるべきだろう。そして信頼のおける知人に相談するのも悪くは無い。辞めることはいつでもできるが、一度辞めたら「やっぱり無しで」は出来ないのだから。
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