卒業後1年の間に正社員になれなかった人、最大の理由は「就活したけど不採用」

2010/10/27 06:00

厚生労働省が2010年9月2日に発表した、2009年時点での若年層(具体的には15-34歳)の雇用実態を調査した結果【「平成21年若年者雇用実態調査結果の概況」】は、各企業における若年層の雇用状況などを把握し、各種若年者雇用対策の資料として用いるためのものであり、現状の雇用情勢を把握する上で有意義な内容である。今回はその中から、「若年層で」「現在は働いている」「卒業してから1年間は正社員以外で就職、あるいは無職だった人」の、つまり記事タイトル通り「卒業後1年の間に正社員になれなかった人」における、正社員として就職しなかった・できなかった理由を抽出してグラフ化してみることにした。

スポンサードリンク


調査要項、及び「若年労働者」「常用労働者」などの用語の定義は先行する記事【社内若者や非正社員はどれくらい居るの? 若年労働者の割合などをグラフ化してみる】で解説している。

さて、以前の記事で説明したように、調査母体全体(現在労働者)としては正社員で入社が出来た人は71.2%。不明が0.7%。逆算すると28.1%は何らかの理由で卒業後1年間は「無職」あるいは「正社員以外の労働者として就職していた」計算になる。

↑ 最終学校卒業から1年間の状況、現在の就業形態別若年労働者割合(調査時点で在学していない者のみ)
↑ 最終学校卒業から1年間の状況、現在の就業形態別若年労働者割合(調査時点で在学していない者のみ)(再録)

そこでその28.1%の人に、正社員として就職しなかった理由を1つ挙げてもらったところ、もっとも多かったのは「就職活動をしたが採用されなかった」。ついで「在学中から正社員として仕事につく気が無かった」「自分の希望する企業で求人が無かった」が続いている。

↑ 正社員として就職しなかった理由別「最終学校卒業から1年間、正社員以外の労働者として就職した又は無業だった若年労働者」割合(調査時点で在学していない者のみ)
↑ 正社員として就職しなかった理由別「最終学校卒業から1年間、正社員以外の労働者として就職した又は無業だった若年労働者」割合(調査時点で在学していない者のみ)

「正社員として仕事につく気はない」とは、あきらめた・何か別の目的があって身動きしやすい非正社員や無職の道を選んだ・非正社員の方が自分のやろうとしている仕事に合っているからなど、さまざまな理由が考えられるため、一概に「やる気が無い」と断じることはできない。いずれにせよ、働き人としての立ち位置としては非正社員(や無職)よりはるかに上の正社員にならなかった理由は多種多様で、その割合の多い少ないが現状を表しているともいえる。

「就職活動はした」「しかし色々な事情で結局正社員にはならなかった」項目を合わせると22.4+14.9+5.7=43.0%。終身雇用制が形骸化しつつはあるが正社員として雇用された以上、長期間お勤めをすることになる企業へのアプローチなのだから慎重に選ぶのは当たり前の話。とはいえ、その結果として「正社員になれなかった・ならなかった人」の4割強が「就活に失敗した結果」というのは少々辛いデータといえる。

これを各階層別にみると、それぞれの属性別の事情が見えてくる。

↑ 性・最終卒業学校、正社員として就職しなかった理由別「最終学校卒業から1年間、正社員以外の労働者として就職した又は無業だった若年労働者」割合(調査時点で在学していない者のみ)
↑ 性・最終卒業学校、正社員として就職しなかった理由別「最終学校卒業から1年間、正社員以外の労働者として就職した又は無業だった若年労働者」割合(調査時点で在学していない者のみ)

男女の差異はほとんど無い。やや女性の方が「就職活動をしたけど採用されなかった」が多い程度。大きな違いが見られるのは最終学歴別の部分。大まかに箇条書きにすると、

・高学歴ほど「就職活動はしたが採用されなかった」割合が増える。
・大学以上は「自分の希望する企業で求人が無い」が減り、その分「資格・能力などを身につけるため勉強したかった」が増える。
・高学歴ほど「在学中から正社員として仕事につく気が無かった」が減る。
・「家庭の事情」「在学中から正社員として仕事につく気が無い」は中学や高校に多い。特に前者は中学で1/4ほどに達する。
・内定はもらったものの条件のミスマッチで正社員をあきらめるのは大学生が一番多い。

などが挙げられる。大学生以上になると企業へのニーズが高いレベルにあるからか、不採用・採用されたがパスの割合が多い。そしてさらなる高みを目指すための勉強時間を求め、あえて卒業しても正社員に就かない人も大勢いる(恐らくは資格取得の試験勉強だろう)。他方中学や高校あたりまでは、家庭の事情や求人が出なかった(多分に「企業そのもので」ではなく「自分の最終学歴の条件で」だったと思われる)など、周囲に振り回される部分が多いように見受けられる。



最近では就職難を反映した声……というよりは半ば一部評論家や報道のあおりを受けて、「卒業3年以内なら新卒者扱いにすべき」という意見が声高に叫ばれるようになった。卒業前後の就職活動に失敗した人にとっては「天から降りてきたロープ」のように感じられるかもしれないが、これは「就職先の受け入れ許容量は変わらない」「本当の新卒は同年齢以外に1年前・2年前の新卒者が『新卒枠』のライバルになる」をも意味する。逆に雇用市場全体から見れば事態を混乱・悪化させるような気がしてならない。

また、最終学歴別ではかなり差異はあるものの、全体では「正社員になれなかった・ならなかった人」の4割強が「就活に失敗した結果」という数字は決して小さいものではない。雇用情勢の改善には、雇用口の拡大(=企業の経営状態の改善、景気上昇)と共に、ミスマッチをいかに少なくしていくかを考える必要があるといえよう。

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2018 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー