熱中症による搬送者数は1週間で229人、気温低下で搬送者数減少続く(2014年9月15日-9月21日)

2014/09/24 13:00

総務省消防庁は2014年9月24日、同年9月15日から9月21日の一週間における熱中症搬送人数が229人(速報値)であることを発表した。前週の人数421人(速報値からの改定値)と比べると約半分に減少した。また今年の熱中症による搬送人数は、消防庁が今年カウントを始めた5月19日以降における累計人数としては4万1176人となった。初診時に熱中症を起因とする死亡者は今回週では1人、3週間以上の入院加療が必要な重症判定を受けた人も1人が確認されている(【消防庁:熱中症情報ページ】)。

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↑ 熱中症による救急搬送状況(週単位・速報値・2014年・人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(週単位・速報値・2014年・人)

↑ 熱中症による救急搬送状況(該当週・日単位・速報値・2014年・人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(該当週・日単位・速報値・2014年・人)

↑ 熱中症による救急搬送状況(年齢区分)(2014年)
↑ 熱中症による救急搬送状況(年齢区分)(2014年)

今夏の電力事情と政府からの節電要請に関して精査した、春口掲載の記事【「今年も数値目標なし」…2014年夏の節電要請内容正式発表】などで解説の通り、今年は当初エルニーニョ現象の発生により冷夏となる可能性が多分にあると予想されていた。しかしその後の気象庁の発表で、エルニーニョ現象の発生の可能性は引き続き高いものとされる一方、その発生時期は秋にずれ込むと修正され(【エルニーニョは発生する可能性はあるが秋にずれこみそう、そして冷夏は......】)、それに伴う形で今夏の平均気温長期予想は「8月西日本高め」「9月西日本低め」に変更されており(【今夏の平均気温長期予想が「8月西日本高め」「9月西日本低め」に......】)、電力需要の観点では以前予想より厳しい情勢が予想されることとなった。なおエルニーニョ現象の発生確率は、その後さらに下方修正され(8月11日付)、9月10日に更新の形で発表された最新情報においても、今秋から今冬における発生する・しない確率は同程度となっている。

一方でエルニーニョ現象による冷夏は避けられたものの【8月の天候(気象庁)】にもある通り、
2014年8月は台風や前線の影響で、冷夏以上の悪天候を迎えることとなり、特に西日本では日照時間の短さが問題視されている。降水量は西日本でかなり多く、17観測地点では史上最大を記録し、日照時間では東西日本で少なく、29観測地点で史上最短を記録したと報告されている。この天候悪化により小売各業界も夏物商品のセールスが落ち込み、小さからぬ打撃を受けた。

電力供給事情は上記の通り昨年よりも一段と厳しいものとなることが予想されたが、結果的には気象が冷夏同等の状況となり、電力消費も当初の予想を下回る日々が多く、緊迫度合いは想定よりは緩やかだったと評価できる状態に落ち着きつつある。もっとも電気代は発電様式のバランス上のよじれから高騰を続けており、これも熱中症リスクを高める一因となった。一部で「去年より節電の声が聞かれなくなったので、もう電力需給は安心、問題は皆無だ」との意見を見分するが、公開されている各種実数値を見ればそのような話は単なる誤解でしかないことが分かる。報道されないのは「情勢が安定化した」からでは無く、事態に慣れが生じ、「視聴率に貢献しにくくなった」からに他ならない。

これらの動きを受け気象庁でも、従来は6月1日を含む週から熱中症による搬送者の集計を行っていたが、今年はその一週間前となる5月19日から25日の週より集計を実施している。今回発表されたのは今年の分としては第18週目のものとなる。

今回計測週では、寒気の影響を受けて気温も穏やかな日々が続き、また後半に入ると台風16号の影響で天候が悪化。熱中症リスクに関しては低下する状況となった。もっとも沖縄県では例外的に暑い日が続いており、回答週は全日が真夏日(最高気温が30度以上)を記録、都道府県別では人口密集地帯の東京12人、大阪13人をはるかに超える37人という最大の搬送者数を記録している。

↑ 東京都の最高気温と天候(2014年9月15日-9月21日)
↑ 東京都の最高気温と天候(2014年9月15日-9月21日)

↑ 大阪府の最高気温と天候(2014年9月15日-9月21日)
↑ 大阪府の最高気温と天候(2014年9月15日-9月21日)

↑ 熱中症による救急搬送状況(2014年9月15日-9月21日)(搬送人数上位都道府県、人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(2014年9月15日-9月21日)(搬送人数上位都道府県、人)

特に沖縄では1か月予報で10月中旬位までは平年と比べて気温が高いとの予想(平年より高い確率が50%から60%)が出ており、一層の注意が求められる。

大阪府や東京のような大都市圏では各自治体で、高齢者の室内熱中症の発生リスクを少しでも軽減するため、冬期の「火の用心」のように、家庭用ごみ収集車を活用して熱中症の予防啓発放送を行う試みが行われている。例えば東大阪市では8月12日から9月30日まで実施されている(【家庭ごみ収集車で熱中症予防啓発放送】)。似たような活動は東京・杉並区でも去年から行われており、こちらも自治体の熱中症対策として注目に値する。

厚生労働省では5月27日付で、今夏期向けの熱中症対策の広報展開として、リーフレットを配布し、周知喚起を実施している(【今年も熱中症の季節到来、厚生労働省がリーフレット公開で注意喚起へ】)。

↑ 厚生労働省が公知したパンフレット「熱中症予防のために」(一部)
↑ 厚生労働省が公知したパンフレット「熱中症予防のために」(一部)

さらに内閣府も6月10日付で「熱中症予防の7か条」なるリリースを発信し、熱中症への備えを呼びかけている(【熱中症予防の7か条、内閣府政府広報室が熱中症に関する注意喚起】)。いずれも熱中症を発症しやすい、抵抗力の低い子供やシニア層、病症者への配慮を特に考慮した内容となっている。

自治体レベルでも各自に熱中症への取り組みを行っている。例えば東京都世田谷区では、昨年の熱中症搬送者の7割ほどが室内で発見された状況を重く見て、室内での熱中症対策として、区が一人暮らしや孤立の恐れがある高齢世帯を中心に「熱中症予防シート」なるものを配布する施策を実施している(【今年度の熱中症対策  熱中症予防シートの配布(世田谷区)】)。

↑ 世田谷区が配布している熱中症予防シート
↑ 世田谷区が配布している熱中症予防シート

シートには熱中症予防に関するさまざまな知識が書かれており、さらに中央部分には周辺温度が数字で表示される液晶温度計(20度から42度が確認できる)がついている(玩具で良く見かける、特定温度の場合にのみ色が出る仕組みの数字をずらりと並べてある)。温度の数字と表示される場所でリスクをすぐに判断できるようにとの配慮がなされており、目に留まる場所に貼り付け、温度計代わりに使うと共に、常に熱中症への備えを再確認できるという、素晴らしい発想の告知シートとして仕上げられている。

高齢者は体感温度反応が鈍く、周囲、そして自分自身の温度変化への対応も鈍くなるため、温度の変化にも気が付かない場合が多い。そのため、温度に関係なく自分がいつも目を留める場所(例えばテレビや時計のそば)に貼りつけることで、リスクを減らすことができる次第である。

ヤフーも2014年7月7日から、同社が提供しているウェブサービスの一つ「Yahoo!地図」で、熱中症指数値と呼ばれる熱中症リスクをアイコン「ねつぼうくん」でビジュアル化した上で、地図上に反映した「熱中症情報」の提供を開始している(【【期間限定】Yahoo!地図で見る「熱中症情報」はじめました!】)。9月30日までの期間限定での機能実装だが、興味深い話ではある。

↑ Yahoo!地図の「熱中症情報」
↑ Yahoo!地図の「熱中症情報」

9月30日までは「数値目標を伴わない節電要請(定着節電分の確実な実施)」期間が継続するが、学校ではすでに夏休みが終わり、二学期が始まっている。自宅内にいる機会が多かった夏休み期間と比べ、体育の授業や部活動、秋の運動会の訓練などで外に長時間、運動をしながら、しかも団体で行動する場面が多くなり、つい無理をしてしまう事案が毎年発生する。秋に向けて気温は低下しつつあるが、熱中症によるリスクは今後も十分存在する。

今回週も気温は押し並べて平年並みに推移し、熱中症による搬送者数も前週からさらに減少している。とはいえ沖縄県の事例にもある通り、今後も局地的に残暑などで暑さがぶり返すこともある。急激な温度の変化に心境的な備えや体調の上での対応が追い付かず、結果的に参ってしまい熱中症に倒れる事例が多数生じることもありえる。また温度はさほど高くなくとも、体調不良が大きく作用し、熱中症の症状を発症する可能性もある。

さらに高齢者層は温度の変化に鈍いため、状況が悪化するまで本人ですら気が付かない場合も少なくない。あらためて注意喚起の各種パンフレットの内容や注意喚起の話を再確認し、基本的な要件を守り、自身はもちろん周辺の他の人に対しても配慮を欠かさず、くれぐれも油断をせずに応じてほしい。


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