総計39.5万台・前年同月比プラス5.2%、大型テレビが売れる(薄型テレビ出荷動向:2014年7月分)

2014/08/28 11:00

2014年8月27日付で電子情報技術産業協会(JEITA)は同協会公式サイト上において、【民生用電子機器国内出荷統計】の最新値となる、2014年7月分のデータを公開した。その公開値によれば2014年7月の薄型テレビの出荷台数は39.5万台となり、前年同月比ではプラス5.2%となった。小型テレビは売れ行きが落ちているが、中型以上のサイズでは堅調さが確認できる。

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純粋出荷数、前月・前年同月比の確認


データ取得元の詳細やデータ内容に関する諸注意、「出荷数」の定義は一連の記事の集約ページ【定期更新記事:薄型テレビなどの出荷動向(電子情報技術産業協会(JEITA))】に掲載している。必要ならばそちらを参照のこと。なお2013年11月分以降は諸般の事情で、一部の記事ではいわゆる「上書き更新」の形で記事展開を行っているので注意が必要となる(JEITA側では毎月データを更新発表している)。

最初にグラフ化・精査するのは純粋な出荷台数。直近2014年7月分の出荷台数、そして過去の公開値を基に当サイトで算出した前月比・前年同月比によるもの。テレビは季節(さらにいえば月)による売行きの変化が大きく、単純な前月比よりも前年同月比の方が、全体的な出荷すう勢を推し量りやすいため、前年同月比も合わせて掲載している。なお2014年4月分以降、出荷台数の区分について、基データでは大型(37型以上)が「37型から49型」「50型以上」の2区分に分割掲載されているが、今件記事では過去からの継続性を維持するため、「37型以上」の区分で算出するよう、当方側で各種再計算を行っている。

↑ 薄型テレビ・BD国内出荷実績(万台)(2014年7月分、JEITA発表)
↑ 薄型テレビ・BD国内出荷実績(万台)(2014年7月分、JEITA発表)

↑ 薄型テレビ・BD国内出荷実績(前月比・前年同月比)(2014年7月分、JEITA発表)
↑ 薄型テレビ・BD国内出荷実績(前月比・前年同月比)(2014年7月分、JEITA発表)

2014年7月における薄型テレビの日本国内出荷台数は39.5万台。「前月」の45.6万台と比べればずいぶんな数の減退が起きている。もっとも前年同月比で見れば5.2%のプラスであり、状況的にはポジティブなものであることが分かる。

サイズ別に動向を見ると、前月比では全サイズでマイナスだが、前年同月比で見ると小型がマイナス、中型と大型がプラスとなり、昨今の薄型テレビの需要トレンド「小型から大型へ」のシフトが顕著な形で表れているのが分かる。多分にボーナス商戦の結果によるものだろう。なお上記にある通り今記事では大型テレビを基データからひとまとめにした形で算出しているが、基の区分値を見ると「50型以上」の超大型サイズでは前年同月比で3割以上のプラスを示しており、特に高値の商品が売れたことが確認できる。

台数そのものと前年同月比の変化


【カラーテレビの買い替え年数をグラフ化してみる】で全般的な傾向値が出ている通り、テレビの買い替え間隔は大体8年から10年(直近の2014年では消費税率改定前の駆け込み需要が影響して6.3年とやや短め)。1年や2年のような短期間で「地デジ特需」の反動が収まるとは考えにくい。極端な話、7年から9年先の需要を先取りしてしまう事例もありえる。

次のグラフは薄型テレビの出荷台数、さらには台数の前年同月比の推移を算出したもの。「停波前特需、特に年末・年度末」「停波直前の駆け込み型特需」「停波後の年の年末に慌てて購入」の3期間で販売台数は上乗せされ、それ以降は軟調な動きで推移しているのが把握できる。さらに昨今のトレンド転換が確認しやすいよう、一部で対象期間を変えた(短くした)グラフを併記しておく。

↑ 薄型テレビ国内出荷実績(型別、万台)(-2014年7月)
↑ 薄型テレビ国内出荷実績(型別、万台)(-2014年7月)

↑ 薄型テレビ国内出荷実績(型別、前年同月比)(-2014年7月)
↑ 薄型テレビ国内出荷実績(型別、前年同月比)(-2014年7月)

↑ 薄型テレビ国内出荷実績(型別、前年同月比)(2012年1月-2014年7月)
↑ 薄型テレビ国内出荷実績(型別、前年同月比)(2012年1月-2014年7月)

グラフ中に吹き出しを用いた「アナログ波停止」(2011年7月)までは小型(青線)・中型(赤線)の方が値は高く、出荷台数が多い=良く売れていた。とりわけ停波による切り替えまで一年未満となった2010年末から、その傾向が強くなる。そしてアナログ波が終了し、デジタル波への移行が完全実行された2012年以降においては、これまでとは正反対に大型(緑線)が伸びはじめる。前年同月比ではいずれもマイナスだが、線の上下関係には明らかな違いが生じている。停波によりトレンドの転換が起きた形である。

この動きは、切り替え前は「テレビが視聴できなくなるのが困る。『テレビ視聴環境が無くなる』のを避けるため、まずは1台調達」、そして切り替え後は「末永く使うのを前提に、少々高くても大型のものを調達」といった形における消費者側の心理が反映され、売れ筋が変化したと判断できる。

同時に地デジ導入後に顕著化した薄型テレビの需要低迷によって、販売価格が大幅に下落。その結果、大型テレビの購入ハードルが下がったのも、大型テレビの実績堅調化の一因。上記で記した通りテレビの買替年数は8年から10年であり、サイズによる価格差もそれほど大きくはないのなら、大きなサイズで良好な環境を長期にわたり楽しみたいとする流れは、納得の行く推定ではある。

注目すべきは「前年同月比」のグラフの動向。地デジ切り替え後に需要が大幅に減った2011年夏以降、急降下の後、各項目ともマイナスが続いていた。これは直前の特需の反動が主要因(震災起因は無い。もし震災によるものなら、もう数か月前に始まっていたからだ)。しかしその下落から1年経過した2012年秋を過ぎても、状況は回復せずにマイナスが続いている。これは単なる「計算上の反動」だけでなく、1年を超える期間における需要減退が起きていることを意味する。「地デジ化特需」が先取りしたテレビの需要は、1年分だけでなく、数年分まで及んでいる。

一方で前年同月比のグラフにもある通り、2012年夏以降、マイナス幅は少しずつ小さくなっている。先取りした需要の先取り分が漸次消化され、従来の状況への回復過程にある。全サイズでプラス化を果たした2013年9月から再び一部で失速したものの、大型テレビはプラスを維持していた。

2013年末から2014年の春までは、2014年4月の消費税率改定を前に、税率が引き上げられて支払金額が増える前にテレビを前倒して購入してしまおうという「駆け込み需要」もプラスに作用し、各サイズとも出荷数は順調に伸びた。ところが2014年3月以降は一転して大きく出荷実績を減じている。一般顧客向けの販売市場では3月の時点で駆け込み需要は続いているが、出荷ではすでに4月以降を見据え、市場の需要減退に備えて大幅に出荷数が減らされた次第である。

4月に入り実際に税率が改定されると、出荷台数はますます減り、グラフも大きなマイナス局面に転じることとなった。しかし小型と大型は5月の時点ですでに盛り返しを見せ、中型も5月以降は下げ幅を縮小し、復調基調にある。ここ1、2か月は小型が失速、中型以降が盛り返しを見せるなど、消費税率改定以前の各サイズごとのパワーバランス的なポジションが復活しつつある。あるいは地デジ化、消費税率改定という大きなイベントを乗り越え、従来の販売動向に戻しつつある表れかもしれない。

月ごとの販売動向を経年で


最後に季節変動を考慮せず、特に月次の販売動向の確認ができる、別の切り口によるグラフを生成、精査を行う。このスタイルは当サイトでやはり毎月更新している定点・逐次更新上書き型の観測記事「たばこの販売実績」でも用いているもので、個々月の動向を経年で比較している。このように月単位の動きを重ねると、「毎年年度末と年末が季節上の特需時期となる」「その翌月は反動で販売台数が大きく落ち込む」のように、テレビ販売のパターンが読める。

↑ 薄型テレビ国内出荷実績(万台)(-2014年7月)
↑ 薄型テレビ国内出荷実績(万台)(-2014年7月)

月単位で確認しても地デジ化直前の2010年(青)-2011年(赤)をピークに、それ以降は減少が続いているのが、流れとして把握できる。その一方、2011年から2012年にかけての下げ方と比べれば、2012年から2013年への下げ幅はわずかなもので、下げ止まりの時期に突入しているのが分かる。そして2014年は現時点で7月分まで進んでいるが、上記の通り消費税率改定に振り回される形で、2月までは大幅上昇、3月までは下落の流れを示しているのが確認できる。もっとも5月ではほぼ前年同月分まで戻し、6月以降は超えた値を示している。

消費税率改定前の駆け込み需要による特需の反動だが、先の地デジ後の反動のように数年に渡る長期化は生じないと考えて良い。地デジ化で多数のブラウン管テレビは薄型テレビへの買い替えを果たしているし、それ以降もブラウン管テレビを所有し続け、消費税率改定の際に買い替えた層はさほど多く無く、いわゆる「需要の先取り」も少数・短期間分に限られると推定するのが妥当だからだ。消費税率改定による駆け込み需要は、あくまでも寿命間近、形式が古く、どの道数年内に買い替えが必要と思われるテレビに限られる。地デジ切り替えの時のような、多数のテレビが「買い替えないと視聴できなくなる」という半ば強制力のある買い替えでは無い。先月6月はワールドカップ特需の影響もあったが、今回の7月分ではそれもほぼ無くなったにも関わらず、全体値がプラスに戻しており、通常の状況に戻したといえる。

一方、今後もこのような状況が続き、「地デジと消費税特需の反動による低迷の終息宣言」を出せたとしても、それ以降において薄型テレビの販売が右肩上がりを続ける保証は無く、後押しできそうな好材料も無い。モバイル端末の普及による機動性の高い映像端末の需要拡大、若年層のテレビ離れなど、むしろ懸念材料ばかりが列をなしている。そしてテレビを支える最大要因となるテレビメディアそのものの品質は、お世辞にも進歩発展しているとは言い難い。他方、インターネットテレビを用いたインターネットへのアクセス需要は、意外にもシニア層を中心にそれなりのボリュームが確認されており、今後はこの方面での動向にも注視が求められる状況となっている。

今後も薄型テレビ市場そのものはもちろんだが、テレビを全体から俯瞰する観点でも、今後もテレビの出荷実績を追いかけていきたいところだ。また、インターネットテレビの出荷動向も、折に触れてデータを更新し、状況を確認していくことにしよう。


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