本離れの実態、本も雑誌も漫画も電子書籍も読まない人が1/3強

2014/10/02 11:37

出版業界の低迷ぶりを受けて「本離れ」「読書離れ」との言葉をよく見聞きするようになった。電子書籍などデジタル媒体に読者がシフトしているから、読書で得られる情報を他のメディアで入手できるようになりつつあるから、そもそも論として趣味趣向の類が多様化しているからなど、理由を説明できる状況は多様に及んでいる。それでは実態として、紙媒体の本離れ、さらには電子書籍も含めたコンテンツとしての本離れはどのような現状なのだろうか。文化庁が2014年9月24日に発表した「国語に関する世論調査の結果」の該当項目における公開値を基に確認していくことにする(【発表リリース:国語に関する世論調査の結果について】)。

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今調査は2014年3月に16歳以上の男女に対し個別面接調査方式によって行われたもので、有効回答数は2028人。回答メディアはインターネットでないため、実勢とのメディアギャップによる回答率の差異は無い。

今件では電子書籍について書籍の電子化だけでなく雑誌や漫画なども含めたものとして扱い、その上で電子書籍を利用しているか否かを全員に対して尋ねている。電子書籍の利用者が紙媒体の本や漫画や雑誌を読んでいるか否かまでは尋ねていないが、別項目(詳しくは別機会で解説)の調査項目では、電子書籍購読者のうち約3%しか「電子書籍のみしか読まず、紙媒体は読んでいない」との回答者はいないので、実質的に「電子書籍利用者」は「紙媒体利用者」でもあると見なして良い。

↑ 電子書籍(雑誌や漫画も含む)を利用しているか(2013年度)
↑ 電子書籍(雑誌や漫画も含む)を利用しているか(2013年度)

電子書籍利用者は、漫画や雑誌も含めて17.2%。今件では有料・無料の別は尋ねていないことから、例えば有料電子書籍利用者ならばもっとも利用者は少なくなるはず。一方、電子書籍は読まないが紙媒体の本などは読む人は45.2%。見方を変えると6割強は紙媒体の本や雑誌、漫画を読んでいることになる。

興味深いのは灰色の部分、「紙の本・雑誌・漫画も電子書籍も読まない」属性の人。これが1/3をも超える35.9%に達している。一応報告書では前提として「ふだん」との文言が用いられているが、あらゆる媒体の本、漫画、雑誌も読まない人がこれだけ大勢いることになる。経年変化のデータが公開されていないのが残念だが、これだけ多くの人が本と無縁な状態にあるのは、少々驚き。

このデータについて、世代別構成比を見たのが次のグラフ。

↑ 電子書籍(雑誌や漫画も含む)の利用(2013年度)
↑ 電子書籍(雑誌や漫画も含む)の利用(2013年度)

電子書籍の利用者が若年層ほど高いのは納得がいく。視力の問題もあり、そもそも論として電子書籍を使える端末の普及率が若年層ほど高いからだ。また電子書籍化されている書籍などが、若年層向けのが多いのも一因。

他方、紙の本・雑誌・漫画「のみ」の動向は、意外にも世代別の差異はあまり無い。つまり元々読書をたしなむ層は若年層ほど多く、その一部が電子書籍も利用し、紙媒体のみの層はどの世代も同程度の比率となっている。読書をする人のうち電子書籍も読む人は、若年層ほど多い次第である。

また、「紙媒体も電子書籍も、本は雑誌も漫画もあわせ、一切目を通していない」人は歳を経るほど増えていく。10-20代でも2割前後居るのには驚きだが、60代を超えると4割強もの人がその条件に合致することになる。

今件はあくまでも本のみで新聞やテレビなどは含まれていない、また別項目で読書量が減っている理由にも「視力など健康上の理由」「テレビの方が魅力的」との意見が多いことも合わせて考えると、高齢層は視力などの身体的な理由を受け、新聞やテレビ、ラジオに傾注するようだ。

シニア層が従来型メディアの中でも、テレビやラジオ、新聞の利用性向が高い傾向にあることは他調査からも明らか。本離れがその一因にあるとする連動性も納得がいくというものだ。


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