「天地無用」3割近くは逆の意味で覚えてる

2014/09/26 14:45

文化庁は2014年9月24日、毎年調査を実施している「国語に関する世論調査」の結果に関し、2013年度分となる概要報告書を公開した。それによると慣用句などの言い方に関して、例示された6つの言い回しの中では「世間ずれ」「やぶさかでない」「まんじりともせず」の3つについて、本来とは異なる意味の方が多く用いられていることが分かった。また「天地無用」も3割近くは本来とは逆の意味に解釈されているとの結果が出ている(【発表リリース:国語に関する世論調査の結果について】)。

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今調査は2014年3月に16歳以上の男女に対し個別面接調査方式によって行われたもので、有効回答数は2028人。

「慣用句」とは言葉の通り、昔からの習慣的に使われていた言葉や言い回しの類を表す。ことわざと似ているが、ことわざが格言や教訓をも含んでいる文であるのに対し、慣用句は単語の組合せで作られたひとかたまりの言い回しで、教訓などは含まれておらず、それぞれの構成単語とは異なる意味を持つ。つまり比ゆ的な表現と説明することが出来る。

今回調査結果の報告書では、6つの慣用句などについて、本来の意味を知っているか否かの確認を行っている。回答者が正しいと思う選択肢を一つ選んでもらったものだが、「世間ずれ」「やぶさかでない」「まんじりともせず」の3つについては、本来とは異なる意味の方が多くの支持を得ている結果となった。なお本来の意味の選択肢には棒グラフ部分を赤く、説明項目文面を薄く青地で着色している。



↑ 慣用句などの使い方について(2013年度)
↑ 慣用句などの使い方について(2013年度)(本来の意味の選択肢には棒グラフ部分を赤く、説明項目文面を薄く青地で着色)

要は赤い棒が長いほど本来の意味で使われていることになるのだが、一番正答率が高い「天地無用」ですら6割足らずに留まっている。まったく逆の意味である「上下を気にしないでよい」と思っていた人は29.2%と3割近く。荷物の注意書きに「天地無用」と書かれており、誤解釈のまま対応すると、悲劇が起きかねない。

「煮詰まる」はよく使われる表現だが、本来の意味で使っている人は5割強、異なる意味合い「行き詰って結論が出ない状態」は4割に達している。また、本来の意味の方が回答率が高いものの、「分からない」との回答の方がさらに多い「他山の石」のような事例もある。

「世間ずれ」「やぶさかでない」「まんじりともせず」の3項目は本来の意味で無い方の使い方をしている人の方が多い。特に「世間ずれ」「まんじりともせず」は差異が20%ポイント前後もあり、むしろ本来とは違う意味の方が大いに使われている実態が明らかになっている。

今調査結果報告書では「他山の石」「世間ずれ」は2004年度、「煮詰まる」では2007年度の調査結果の結果が併記されている(本来の言い回しの選択肢を青地で着色している)。

↑ 慣用句などの使い方について(前回調査/2013年度)
↑ 慣用句などの使い方について(前回調査/2013年度)る(本来の言い回しの選択肢を青地で着色)

「他山の石」は選択肢以外の意味で考えていた人が大きく減り、選択肢双方の意味で使っている人が増えている一方、「分からない」とする意見も増加している。「世間ずれ」は本来の意味で用いる人が大きく減り、異なる意味合いの選択肢の人が増え、仕様度合いが逆転している。「煮詰まる」は大きな変化はないものの、本来の使われ方がやや減退した感はある。

意図的だと思われるが、報告書でも本来の意味合いの選択肢を「正しい表現、使い方」とは説明していない。あくまでも「本来の意味」で、それが唯一無比のものものでは無く、時代の流れと共にその表現が意味するものが変わっていく可能性を暗に示している。

「慣用句」であればこその表現だが、詳しくは機会を改めて解説するものの、これらの慣用句ではいわゆる「世代間ギャップ」も確認されている。若年層と高齢層で意見の対立がしばしば生じるのも、言葉そのものの意味のとらえ方の違いが、一つの原因かもしれない。


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