「国全体と比べるとうちのお財布事情はまだダメだ」56%のアメリカ人が実感中

2014/09/28 09:50

2007年のサブプライムローン問題の露呈に始まる金融危機、そしてリーマンショックで本格化した景気後退を底に、少しずつではあるがアメリカ経済は回復の動きを示していると評価されている。先日同国の調査機関であるPew Research Centerが発表した継続観察レポートの最新版【Views of Job Market Tick Up, No Rise in Economic Optimism】でも、亀のような歩みではあるが、国全体としての労働市場は復調、経済はほんのわずかずつ回復…少なくとも悪化はしていない…との評価がなされている。それでは国民一人一人の世帯におけるお財布事情には、どのような感触を抱いているのだろうか。

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調査対象母集団の内容や調査方法など詳細要目は、今調査に関する先行記事【職は探しやすくなったが経済復興は期待薄…アメリカ国民自身の経済見通し】を参考のこと。

その記事にある通り、現時点において労働市場は回復基調にあるとの評価がなされているが、経済状態はそのスピードと比べるとゆっくりとした復調のさなかにあるとしか見られていない。経済面ではまだ立ち遅れているとの認識が強いようだ。

↑ あなたが現在住んでいる場所で仕事を見つけるのは容易か、難しいか(米)(再録)
↑ あなたが現在住んでいる場所で仕事を見つけるのは容易か、難しいか(米)(再録)

↑ 米経済の回復具合について現状をどのように判断しているか(米、2014年8月)(再録)
↑ 米経済の回復具合について現状をどのように判断しているか(米、2014年8月)(再録)

経済周りの評価が遅れているように見受けられるが、この理由は多分に回答者自身のお財布事情が影響しているものと考えられる。それが分かるのが次の項目。これは復興しつつあると言われているアメリカの経済状態と比較し、世帯単位で増加しつつある支出に比べ、収入の増加度合いはどのような状況なのかを尋ねた結果。支出の増加以上に収入が増え、経済の動きに十分な好影響を確認できるのなら「より大きい」、同程度なら「同様」、回復状態に追いつかず、支出ばかりが増えているのなら「遅れている」との回答となる。

↑ 世帯の支出と比較した世帯収入の上昇具合(2014年8月、米)
↑ 世帯の支出と比較した世帯収入の上昇具合(2014年8月、米)

全体では56%が「遅れている」、つまり個人・世帯ベースでの景気回復感の実感は無い、むしろ支出ばかりが増えているということになる。上記にある経済回復具合への慎重意見も、その多くは回答者一人一人の経験則によるところであることが分かる。

もっとも今件調査項目の全体値における過去の公開データを見る限り、金融危機の勃発前後で「遅れている」回答は4割から5割でほぼ変わらず、多くの人たちは自らに経済的な恩恵がもたらされることはあまりないと考えてるようだ(ただしリーマンショック前後には5割後半から6割台に達しており、景気の最後退期にはそれなりに値が底上げされる)。

興味深いのは回答者(世帯)の属性で、各世帯の景況感に大きな違いがみられること。若年層、高学歴、高年収ほど「景気回復感を実感しているよ、収入がガッツリ増えて支出の増加分より大きいよ」との回答率が高くなる。学歴と年収は多分に連動する傾向があるので、後者二つはほぼ同意と見て良いだろう。また人種別でヒスパニック系がやや高めの値となっているのは、各属性ごとの楽観主義的度合いの違いが、お財布事情に関する感想にも影響を与えているのかもしれない。

一方で見方を変えると、そしてレポートでも言及されているが、年収7万5000ドル以上の人でないと、昨今の景況感の好転を実感できていないことになる。この状況についてレポートでは暗に経済的格差の広がりを懸念しているが、その指摘は大よそ正しいように思われる。

ちなみに国勢調査の結果によると、アメリカの平均的な世帯収入は2012年時点で5万1017ドル、それに対して景気後退期前の2007年では5万5627ドル。約8.3%の下落である。インフレ率などの考慮も必要だが、単純に金額面だけで考えても、多くの人が「家計単位でのお財布事情は厳しいままで復調には至っていない」と考えるのも道理が通るというものだ。


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