コミュニティサイトは過去最悪に…警察庁、子供のネットトラブル現状報告発表(2013年通期データ反映版)

2014/03/05 15:00

警察庁は2014年2月27日付で、2013年通期における「出会い系サイト」などに関連した事件の検挙状況をはじめ、各種インターネットと児童に絡んだ諸犯罪に関する現状の報告書「平成25年中の出会い系サイト及びコミュニティサイトに起因する事犯の現状と対策について」を発表した。それによれば2013年通期における「出会い系サイト」の事件検挙件数は726件となり前年比でマイナス122件、被害児童数はマイナス59人と、減少の傾向にあることが分かった。他方「コミュニティサイト」(以前は「出会い系サイト以外のサイト」と呼ばれていたもの。SNS、プロフィールサイトなど、ウェブサイト内で多人数とコミュニケーションがとれるウェブサイトのうち、出会い系サイトを除いたものの総称)では、検挙件数はプラス493件、被害児童数はプラス217人と、こちらは増加の動きを示している。警察庁ではここしばらく減少していた「コミュニティサイト」関連の値が悪化したことに関して「無料通話アプリのIDを交換する掲示板に起因する犯罪被害により」と特記をし、警告を発している(【警察庁:サイバー犯罪対策リリース・統計一覧ページ】)。

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減る出会い系、大きく上昇に転じるコミュニティサイト


子供のネット界隈での問題は【子供がネットトラブルを起こしそうな場所、親はちゃんと把握して……ない!?】【多種多様な問題点が浮き彫りに...シマンテック発・子供のインターネット利用実態】など、多数の事例で解説している通り、インターネットへアクセスできるデジタル機器が若年層に浸透していくにつれ、これまで想定できなかったような問題が発生し、深刻化している。それに伴い、運営各企業やセキュリティ関連会社をはじめ各方面で対策や啓蒙が行われている。

警察庁では今件のように半年おきに「出会い系サイト」など、インターネットを介して発生する子供の「リスク」事例を集計精査データ化し、公開している。その公開統計値が確認できる2005年以降の動向を見るに、「リスク」の発生場所がかつて社会問題化しスポットライトを浴びた「出会い系サイト」から、一般的な「コミュニティサイト」に移りつつあることを再認識させられる。

今報告書にまとめられている2013年通期分の値の限りでは、「コミュニティサイト」で生じる「リスク」が「出会い系サイト」以上であること、そしてこの数年では双方とも減少傾向にあったものの、2013年通期ではトレンドが転換して「コミュニティサイト」は大幅な増加(悪化)に転じてしまったことが分かる。

↑ 出会い系・コミュニティサイトに関連した被害児童数・検挙数推移(-2013年通期)
↑ 出会い系・コミュニティサイトに関連した被害児童数・検挙数推移(-2013年通期)

・各種規制の強化や啓蒙が実を結びで、「出会い系サイト」による児童の問題数は減少傾向にあった。2013年では2012年同期と比較して、状況は明らかに改善しつつある(青色系統)。

・コミュニティサイトの児童関連問題は増加の一途にあった。2010年で頭打ちとなり、2012年までは減少傾向を見せた。ところが2013年は児童数、検挙数共に増加(悪化)に転じてしまっている(赤系統色)

「出会い系サイト」は、2008年の「出会い系サイト規制法」の改正により事業者の届け出制が強化され、さらに各種フィルタリングが功を奏する形となり、現在に至っている。「コミュニティサイト」では「出会い系サイト」からの転向組も後押ししたこともあり、計測を始めた2008年以降増加を続けていた。しかし2011年から2012年には各種啓蒙・規制の厳格化に伴い、減少傾向を示していた。

ところが直近の2013年では冒頭でも言及したように、大幅な増加が確認されている(検挙数では38%、児童数では20%の増加)。これはスマートフォンをはじめとした各種モバイル機器の若年層における急速な普及率増加に伴い、ソーシャルメディアなどの利用者数自身が急増していること、そして「LINE」に代表される無料通話アプリの加速度的な普及で、そのIDを交換する掲示板をトリガーとした犯罪が「件数的に」多発したのが原因である(例え発生確率が同じでも、対象となる人数が増えれば、確率論的に「事故発生数」は増加してしまう)。グラフにある通り、2013年におけるコミュニティサイトの被害児童数・検挙件数は、共に過去最悪を記録してしまっている。

2010年あたりから「コミュニティサイト」関係者の間で続けられてた、各種継続対策は未だに続行中。しかし新興勢力ともいえる無料通話アプリの急速な利用者の増大と、それを用いた事象の急増が、各種対策による漸減分を吹き飛ばしてしまったのが実情といえる。

低年齢層が多いコミニティサイト関連事象


警察庁では【コミュニティサイトに起因する児童被害の事犯に係る調査分析について(平成25年上半期)(PDF)】を2013年11月14日に発表し、「コミュニティサイト」における児童被害の詳細な分析をしている。それによれば2013年上半期では被害件数は増加傾向にあり、半年前の報告書でも懸念された「2012年下期から(減少しつつある)状況に変化が生じた」が現実のものとなったことを確定した認識を示している。

また変化傾向としてスマートフォンの利用が増えていること、被疑者の行動が短期間化している一方、児童との接触目的が一義的である被疑者が9割を超えていること、被害児童のほとんどがフィルタリング未加入であること、そして規制強化に対して暗号めいた隠語(番号・数字の平仮名化、略語の利用、当て字、アドレスの分割・多数回の送信、文字列の写真貼り付けなど)の活用が積極的に行われていることなど、手口の巧妙さが継続しているとして、警戒を強めている。

コミュニティにおいて問題の発生を完全に防ぐことは難しい。また確率論的視点で見れば、対象人数が増えるほど問題事象「数」も増加する。だが「比率として低いから『多少の問題件数は仕方ない』と妥協する」わけにはいかないのが犯罪であり、その防止対策である。「コミュニティサイト」は元々普通のコミュニケーションを行うための場所なのに加え、昨今では端末利用者の低年齢化に伴い、「出会い系サイト」と比べて参加年齢層が幅広く、結果として児童被害者が「出会い系サイト」よりも低年齢なことも問題視されている。

↑ 出会い系・コミュニティサイトにおける児童(18歳未満)の被害者数(2013年通期)
↑ 出会い系・コミュニティサイトにおける児童(18歳未満)の被害者数(2013年通期)

15歳以下で区切れば「出会い系」が全体の38%なのに対し、「コミュニティサイト」では55%と過半数を占めている。また後者では11歳以下の児童が被害にあう事犯が発生していることも報告書では特記されている。

携帯電話キャリア、そして携帯電話上で運用される各種サービスを提供する業界としては、急速に若年層にも普及するスマートフォン向けのサービスにおいて、十分過ぎるほどの安全性を確保し、今回対象となった「事象」の発生確率を極力下げ、ゼロを目指す最大限の努力を継続する責務がある。

同時に保護者や教員など児童の周囲に居る人達もまた、啓蒙・周知を徹底しなければならない。そのためには自らも状況の正しい把握と学習が求められる。携帯電話(とりわけスマートフォン)やインターネットの利用が「当たり前」のとなった現在では、保護者による子供への啓蒙・周知責任は、日常生活を安全に過ごしていくには欠かせない一般常識「電話のかけかた」「横断歩道の渡り方」「信号の意味」「お買い物の仕方」と同レベルの重要性を持つことを心がけねばならない。



やや余談となるが、今回の発表資料では、これまでタイトルが「出会い系サイト等に起因する事犯の現状と対策について」であったのに対し、今半期から「出会い系サイト及びコミュニティサイトに起因する事犯の現状と対策について」となり、「コミュニティサイト」による事象が「その他」的な範ちゅうでないことを再認識させられる変更が行われている。抜本的な対策がなされない限りコミュニティサイト関連の事象は今後も増加を続け、資料タイトルが「コミュニティサイト等に起因する事犯の現状と対策について」になりかねない。関係方面は最大限の知恵を働かせ、努力を尽くすことを願いたい。


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