子供のネットトラブル、コミュニティサイト周りは悪化へ(2013年上半期データ反映版)

2013/09/13 10:29

警察庁は2013年9月12日付で、2013年上半期における「出会い系サイト」などに関連した事件の検挙状況をはじめ、各種インターネットと児童に絡んだ諸犯罪に関する現状の報告書「平成25年中上半期の出会い系サイト等に起因する事犯の現状と対策について」を発表した。それによれば2013年上半期における「出会い系サイト」の事件検挙件数は368件となり前年同期比でマイナス80件、被害児童数はマイナス51人と、減少の傾向にあることが分かった。他方「コミュニティサイト」(以前は「出会い系サイト以外のサイト」と呼ばれていたもの。SNS、プロフィールサイトなど、ウェブサイト内で多人数とコミュニケーションがとれるウェブサイトのうち、出会い系サイトを除いたものの総称)では、検挙件数はプラス260件、被害児童数はプラス89人と、こちらは増加の動きを示している。警察庁ではここしばらく減少していた「コミュニティサイト」関連の値が悪化したことについて「無料通話アプリのIDを交換する掲示板に起因する犯罪被害により」と特記をし、警告を発している(【警察庁:サイバー犯罪対策リリース・統計一覧ページ】)。

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減る出会い系、再び増加に転じたコミュニティサイト


子供のネット界隈での問題は【子供がネットトラブルを起こしそうな場所、親はちゃんと把握して……ない!?】【多種多様な問題点が浮き彫りに...シマンテック発・子供のインターネット利用実態】など、多数の事例で解説している通り、インターネットへアクセスできるデジタル機器が若年層に浸透していくにつれ、これまで想定できなかったような問題が発生し、深刻化している。それに伴い、セキュリティ関連会社をはじめ各方面で対策や啓蒙が行われている。

警察庁では今件のように半年おきに「出会い系サイト」など、インターネットを介して発生する子供の「リスク」事例をデータ化し、公開している。その統計値が確認できる2005年以降の動向を見るに、「リスク」の発生場所がかつて社会問題化しスポットライトを浴びた「出会い系サイト」から、一般的な「コミュニティサイト」に移りつつあることを再認識させられる。

今報告書では2013年の上半期分をまとめた値の限りでは、「コミュニティサイト」で生じる「リスク」が「出会い系サイト」以上であること、そしてこの数年では双方とも減少傾向にあったものの、直近半期では「コミュニティサイト」の分が増加(悪化)に転じてしまったことが分かる。


↑ 出会い系・出会い系以外のサイトに関連した被害児童数・検挙数推移(-2013年上半期)


↑ 出会い系・出会い系以外のサイトに関連した被害児童数・検挙数推移(2012年と2013年それぞれ上半期)

・各種規制の強化や啓蒙が実を結びで、「出会い系サイト」による児童の問題数は減少傾向にあった。2013年では2012年同期と比較して、状況は明らかに改善しつつある(青色系統)。

・コミュニティサイトの児童関連問題は増加の一途にあった。2010年で頭打ちとなり、2012年までは減少傾向を見せた。ところが2013年は児童数、検挙数共に増加(悪化)に転じてしまっている(赤系統色)

「出会い系サイト」は、2008年の「出会い系サイト規制法」の改正により事業者の届け出制が強化され、さらに各種フィルタリングが功を奏する形となり、現在に至っている。「コミュニティサイト」では「出会い系サイト」からの転向組も後押ししたこともあり、計測を始めた2008年以降増加を続けていた。しかし2011年から2012年には各種啓蒙・規制の厳格化に伴い、減少傾向を示していた。

ところが直近の2013年上半期では冒頭でも言及したように、大幅な増加が確認されている(検挙数では43%、児童数では17%の増加)。これはスマートフォンをはじめとした各種モバイル機器の若年層における急速な普及率増加に伴い、ソーシャルメディアなどの利用者数自身が急増していること、そして「LINE」に代表される無料通話アプリの加速度的な普及で、そのIDを交換する掲示板をトリガーとした犯罪が「件数的に」多発したのが原因である(例え発生確率が同じでも、対象となる人数が増えれば、確率論的に「事故発生数」は増加してしまう)。

2010年あたりから「コミュニティサイト」関係者の間で続けられてた、各種継続対策は未だに続行中。しかし新興勢力ともいえる無料通話アプリの急速な利用者の増大と、それを用いた事象の急増が、各種対策による漸減分を吹き飛ばしてしまったのが実情といえる。

低年齢層が多めなコミニティサイト関連事象


警察庁では【コミュニティサイトに起因する児童被害の事犯に係る調査分析について(平成24年下半期)(PDF)】を2013年5月13日に発表し、「コミュニティサイト」における児童被害の詳細な分析をしている。それによれば2012年全体では被害件数は減少しているものの、下半期に限ると上半期との比較で1割以上の増加を示しており、2012年下期から状況に変化が生じた可能性を示唆している。また規制強化に対し、暗号めいた隠語(番号・数字の平仮名化、略語の利用、当て字、アドレスの分割・多数回の送信、文字列の写真貼り付けなど)の活用率も増えており、手口が巧妙化していること、スマートフォンの利用率上昇に伴い手段も複雑化していることなどを挙げ、警戒を強めている。

コミュニティにおいて問題事情を完全に防ぐことは難しい。また確率論的視点で見れば、対象人数が増えるほど問題事象「数」も増加する。だが「比率として低いから『仕方ない』と妥協する」わけにはいかないのが犯罪であり、その防止対策である。「コミュニティサイト」は元々普通のコミュニケーションを行うための場所であることに加え、昨今では端末利用者の低年齢化に伴い、「出会い系サイト」と比べて参加年齢層が幅広く、結果として児童被害者が「出会い系サイト」よりも低年齢なことも問題視されている。


↑ 出会い系・コミュニティサイトにおける児童(18歳未満)の被害者数(2013年上半期)

15歳以下で区切れば「出会い系」が全体の43%なのに対し、「コミュニティサイト」では52%と過半数を占めている。また後者では11歳以下の児童が被害にあう事犯が発生していることも報告書では特記されている。

携帯電話キャリア、そして携帯電話上で運用される各種サービスを提供する業界としては、急速に若年層にも普及するスマートフォン向けのサービスにおいて、十分過ぎるほどの安全性を確保し、今回対象となった「事象」の発生確率を極力下げ、ゼロを目指す最大限の努力を継続する必要がある。

同時に保護者や教員など児童の周囲に居る人達もまた、啓蒙・周知を徹底しなければならない。そのためには自らも状況の正しい把握と学習が求められる。携帯電話(とりわけスマートフォン)やインターネットの利用が「当たり前」のとなった現在では、保護者による子供への啓蒙・周知責任は、日常生活を安全に過ごしていくには欠かせない一般常識「電話のかけかた」「横断歩道の渡り方」「信号の意味」「お買い物の仕方」と同レベルの重要性を持つことを心がけねばならない。


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【子供のネットトラブル、減少継続中(2012年通期データ反映版)】
【子供のネットトラブル、「コミュニティサイト」でも減少続く(2012年上半期データ反映版)】

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