穀物や乳製品は下がり気味、食肉の上昇がやや気になる(2014年7月分世界食糧指数動向)

2014/08/13 15:00

日常生活、健康の維持には欠かせない食品は国内産だけでまかなえるはずもなく、多種多様な食材を海外から輸入していることは、すでにご承知の通り。国内で口に出来る食品もそのほとんどが何らかの形で海外に依存しており、海外のさまざまな動向に伴い変動する市場次第で、価格にも小さからぬ影響が生じることになる。そのような国際的な食料品の価格変動について、概略的にではあるが確認できるのが、国連食糧農業機関(FAO、Food and Agriculture Organization)が公式サイト上で調査結果を毎月公開している【世界食料価格指数(FFPI:FAO Food Price Index)】。今回は2014年8月7日に発表された現時点で最新版の値となる、2014年7月分を中心に、当サイトで独自に複数の指標を算出。その値を基にグラフを生成し、食糧価格の世界規模における推移を見ていくことにする。

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乳製品、穀物、油脂は下落気味、砂糖は横ばい、食肉が上昇中


今記事中にあるデータの取得元や各種用語に係わる解説は、一連の記事をまとめ、さらにバックナンバーを収録したページ【世界の食料価格の推移(FAO発表)】で行っている。必要な場合はそちらで確認のこと。

まずは最新の値、つまり2014年7月分を含めた取得可能なデータを基に、1990年以降の各種値の推移を折れ線グラフにする。前世紀終盤以降の中長期的な食料価格の変移を大まかに、大局的な視点で確認できる。

↑ 各食料価格指数推移(FAO)(1990年-2014年7月)
↑ 各食料価格指数推移(FAO)(1990年-2014年7月)

砂糖は価格変動性が高い食料品であり、その内部的な実情はともかく、大きく価格が変化することは多くの人が見聞きしている(店頭で並ぶキロ単位の袋詰めの砂糖価格はそのような変動はあまり無い)。その実情をこのグラフから知ることが出来る。他の食品項目は大よそ2005年位まではさほど大きな動きを示していないが、砂糖だけが大きく動いており、別物の動向のように見える。

一方2005年終盤以降になると、砂糖だけでなく他の食品も少しずつ価格が変化、しかも上昇方向に動き始める。その後直近の数年に渡る(ある意味現在も続いている)金融危機の引き金となる「サブプライムローンショック」(2007年夏以降)が起きると共に、大きく上向きの流れを見せる。

これらの動きは、主に株式市場の暴落を原因とする。要は投資市場の資金が暴落した株式市場から逃げ、その行く先に商品先物市場が目を付けられたということ。そして市場規模は商品先物市場の方が小さいため、過剰な資金流入と共に全体の価格が底上げされ、それは実商品価格の上昇をも招くこととなる。

その後は「リーマンショック」(2008年9月以降)を起因とする市場の騒乱を経て大きく乱高下を成したあと、現在の高値安定状態に移行している。現在は各食品項目とも200から250位の領域で小幅な値動きに終始しているのが分かる。ほんの10年ほど前の水準であった100前後と比べ、約2倍から2.5倍の領域である。

次に示すグラフは、上記グラフの横軸における対象期間を短縮し、記述スタートを2007年1月にしたもの。2007年といえば7月・8月から、「サブプライム・ローン」問題がぼっ発(露呈)し、市場は大変動の動きを示す。昨今の食料価格に大きな影響を与えた金融危機直前からの食料価格の動向を、より詳しく知ることができるグラフとなっている。

↑ 各食料価格指数推移(FAO)(2007年-2014年7月)
↑ 各食料価格指数推移(FAO)(2007年-2014年7月)

興味深いのは上記でも言及している通り、「サブプライム・ローン」問題のぼっ発以前から、食料品価格はやや高値に動き始めていたこと。一般に同問題が知られる前から食料市場は「知っていた」のか、それとも人口増加に伴う消費増加による、中期的な食糧需給の変化が市場に反映されていたのかもしれない。

期間軸を短くしても、砂糖価格の変動が激しい事に違いない。一方で例えば今回の記事タイトルで「やや気になる」とした食肉価格が他の食品と比べて確実に、じわじわと上昇一本やりで、しかもこの数か月は上げ幅を増していることが確認できる。

前月比と前年同月比の動き


最新、そして直近1年ほどの値動きを確認するために、各指標の時系列データを抽出し、「前年同月比」と「前月比」を独自に算出。その数字の変移が分かりやすいように棒グラフ化したのが次の図。それぞれの項目ごとに、前年同月比は青、前月比は赤で記している。

↑ 食料価格指数前年同月比/前月比(2014年7月)
↑ 食料価格指数前年同月比/前月比(2014年7月)

総合指数は前月比でマイナス2.1%、前年同月比はマイナス1.7%。いずれもわずかながらマイナスで、全体的には食料価格はこの一年間内では安定志向にあることが分かる。

個別項目を見ると乳製品、穀物、油脂は下がり気味。特に穀物の下げ方が著しい。一方で砂糖は前年同月比で大きく下げているが、前月比ではほぼ横ばい。昨年から下げ基調を見せていたが、ここしばらくは横ばいに移行しているようだ。そして食肉は前年同月比でも前月比でも上昇、特に前年同月比での上げ方が大きい。指数そのものは他の食品と比べればまだ低い方だが、この上昇ぶりはやや目に留まる。

食肉の上昇ぶりが多分に気になるのでFAOのリリースで詳細動向を確認したところ、今回の上昇の原因としては、オーストラリアの輸出肉量減少に伴う価格上昇と、アジア、中でも中国における需要増加が原因とせ詰めてされている。中でも豚肉は6月に付けた最高値からはやや値を落としたものの、鶏肉や羊肉は上昇を続けているという。食品群は多分にアジア地域の需要量によって値を上げることが多いが、今回もその例に違わなかったようだ。

農林水産省の最新レポートで現状を確認


今記事で毎月連動性のある、付随的資料として精査している【農林水産省の海外食料需給レポート】の最新版、7月31日に更新された2014年7月分をざっとではあるが確認する。最新レポートによると、国際的な穀物需給に関して、米で生産量が増加するものの、小麦、とうもろこし、大麦で減少。史上最高を示した前年度は下回る見込みだという(24.458億トン)。他方、消費量は小麦・大麦で減少するものの、とうもろこし・米では増加し、史上最高値を示した前年度を上回り、史上最高の量となる見込み(24.332億トン)。そして期末在庫量見込みは生産量が消費量をほんのわずかだが上回ることから、上昇する傾向を示している(5億1750万トン、生産量比で21.3%(期末在庫量÷消費予想値で計算))。

生産量に関して減少が予想される小麦、とうもろこし、大麦について詳しい状況を確認すると、小麦はカナダやアメリカなどにおける収穫面積の減少や単収の低下、とうもろこしはウクライナでの単収低下やブラジル・インドでの減少、大麦はEU、トルコ、カナダなどで収穫面積の減少や単収の低下で減少するとのこと。

昨今の地政学リスクにおいて食料供給面でもっとも影響を与え得るウクライナ地方だが、資料の上では今のところ大きな動きは指摘されていない。ただ、例えばウクライナは世界の小麦輸出量の6%、とうもろこしの14%など大きなシェアを持つため、その動向の成り行きには注目をせざるを得ない。一方気象状況においては、先月から続きアメリカ本土での低温・乾燥に伴う、小麦の生育の不作が懸念視されている。

日本国内に限れば(世界全体の生産量には関係はほとんどないものの、日本国内の価格動向には大きく影響を及ぼす)、燃料費の高騰が農家に大きな影を差している。食料需給は燃料動向にも小さからぬ影響を受けるとの点で、合わせて注視をしたいところではある。


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