市場観再び少々下落、国際情勢注目度高し…野村證券、2014年8月分の個人投資家動向発表

2014/08/15 15:00

野村ホールディングス(8604)のグループ会社野村證券の一部門である「グローバル・リサーチ本部」は2014年8月14日、個人投資家の投資動向アンケート調査における結果報告書「ノムラ個人投資家サーベイ」の最新版(2014年8月分)を公開・発表した(【野村證券リリース一覧ページ】)。その内容によれば今後3か月後の株価見通しを調査対象母集団に尋ねた結果で算出される「ノムラ個人市場観指数」は、先月から継続する形で小幅ながらも下落し、43.0を示すこととなった。株価の先行きに関しては「小幅な上昇」を見込む意見が先月から続きもっとも多いものの、わずかながら下落している。他の予想選択肢も大きな変化は無く、調査対象母集団における市場予想は先月からさほど変わっていない感はある。

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今調査は1000件を対象に(有効回答数が1000件に達した時点で締切)2014年8月4日から8月5日に行われたもので、男女比は81.9対18.1。年齢層は60歳以上がもっとも多く35.3%、次いで50代が29.7%、40代が26.5%など。過去の調査と比べてややシニア層に寄っている感はある。金融資産額は1000万円-3000万円の層がもっとも多く29.8%、500万円-1000万円が17.8%、5000万円以上が12.6%と続いている。回答者の投資経験年数は10年から20年未満がもっとも多く33.4%を占めている。次いで20年以上が29.0%、5年から10年未満が25.0%となるなど、長期間投資に携わってきた人が多い。

投資に対して重要視する点は、おおむね長期投資が最大値で45.7%と5割近くでもっとも多い。ついで配当や株主優待が25.1%と3割近く。短中期間の売買に伴う売却益より、配当収入や優待確保などの中長期的な安定感を求める投資方針が多勢(6割強)を占めている。

詳細はレポートで確認してほしいが、概要的には次の通り。

・投資指数は43.0ポイント。前回からは1.6ポイントの下落。前月の上昇から継続して落ち込む形となったが、下落幅は縮小している。この時期、日経平均株価は150円近い上昇を示していることから、さらなる上昇に期待がかかるも、天井感を覚えた警戒心の方が強く出て、指数もさらに下値を向いたようだ。

・3か月後の日経平均株価の上昇を見込む比率は合計で71.5%。前月分の72.3%からは0.8%ポイントの低下。こちらも投資指数同様に下落しているが、下げ幅はやはり縮小している。「1000円程度の上昇」を見込む意見がもっとも多い状況は先月から同様。そしてマイナス0.4%ポイントとわずかに低下し、弱腰感を覚えさせる。他の選択肢もほとんど動きが無く、停滞感の中のわずかな後退という雰囲気。

・市場に影響を与え得る要因としては「国際情勢」がトップにつき、先月からはプラス2.6ポイント上昇。東南アジア情勢、中東情勢、ウクライナ情勢など多方面でネガティブな情勢が継続しており、これが市場動向の足を引っ張るとの判断が多分に成されている。一方で「国内政治情勢」は3.4%ポイントと大幅な下落。

・魅力的な業種は「資本財・その他」「自動車」「素材」「医薬品」「通信」の順で、ここまでがDIではプラス。そして「電気機器・精密機器」「金融」「運輸・公共」「消費」はマイナス圏。「金融」が前回プラス圏からマイナス圏に転じたこと、消費税改定による落ち込みを先読みされた「消費」が再び下落を加速したことなどが気になる動き。

・ドル円相場に対する見通しは、やや円高が大きく増え、やや円安の観測が大きく減っている。小幅な円高ドル安を予想する向きが増えたようだ。

・通貨への投資魅力は「日本円」が最上位で「オーストラリアドル」、「アメリカドル」が続く。「カナダドル」が大きくそれらに後れを取るもDI値ではギリギリプラスで、それ以外はマイナス。「中国元」は相変わらず50以上の大幅なマイナス。

・もっとも注目を集めた金融商品は「国内株式」。次いで「預貯金」「国内投資信託」。この順位は先月から変化なし。DI値にもあまり変化は無く、投資性向に動きは無い。

気になる「保有したい、注目していきたい銘柄」、つまり調査対象母集団における個人投資家が購入したいと考えている銘柄は、鉄板銘柄ともいえるトヨタ自動車(7203)がトップに。この鉄板ぶりは同社株式が大いに低迷した一時期をのぞけばダイヤモンドのごとし。ただし今回は得票数を2ケタに落としており、少々変わった雰囲気を覚える。

1位……トヨタ自動車(7203)
2位……ソフトバンク(9984)
3位……オリエンタルランド(4661)
4位……武田薬品工業(4502)
5位……本田技研工業(7267)

第二位以降は回答数が微妙(20から30)なため、容易に順位変動が起きうる。今回は前回と比べると某銀行が落ち、本田技研工業が5位以内に入ることとなった。いずれも「誰もが知っている超一流企業」で、しかも日常生活に深く浸透している商品やサービスを提供している、手堅い銘柄ばかり(一部異論を有する向きもあるが)。株式投資が多分に人気投票と呼ばれるのも、納得は行く。



今回月においてもっとも市場に影響を与えそうな項目として挙げられた「国際情勢」だが、先月から状況は悪化の一途をたどっている。地政学的リスクとして株式市場の解説報道では片づけられることが多いが、その内情は色々と複雑で、多項目の要因が複雑に絡み合った結果が現状といえるだけに、一方面の状況のみで全体を把握することは困難である(それこそ2ケタ・3ケタ台の多次方程式のようなもの)。

他方「国内情勢」では多分に「国際情勢」の影響を受け、また税周りの問題や政治絡みの過去の失政の後遺症ともいえるインフラ問題なども合わせ、こちらも良い材料はあまり無い。マイナス方向の世相ばかりとなると人々の心境もネガティブなものとなり、各種行動も活性化が鈍り、市場の足も引っ張りうる。良い方向で市場をけん引してくれるサプライズが起きてほしいものではあるのだか。


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