テレビ堅調、その他3マス不調状態続く(経産省広告売上推移:2014年8月発表分)

2014/08/12 14:00

経済産業省は2014年8月8日付で、「特定サービス産業動態統計調査」に関する2014年6月分となる速報データ(暫定的に公開される値で、後程確定値で修正される場合が多々ある)を、同省公式サイトの該当ページで公開した。それによると2014年6月の日本の広告業全体における売上高は前年同月比でプラス4.4%となり、増加傾向にあることが分かった。今件記事シリーズで精査対象の業務種類5項目(新聞・雑誌・ラジオ・テレビ・インターネット)中では「新聞」がマイナス6.6%と、一番大きな下落率を示している。またその「新聞」を含め4マスでは「テレビ」以外の3項目までがマイナス値を記録した。この状況は先月から継続している。一方「インターネット」は前月における前年同月比からやや後退したものの、プラス領域のポジションは維持しており、堅調さを示している(【発表ページ:経済産業省・特定サービス産業動態統計調査】)。

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主要項目は新聞、雑誌、ラジオがマイナス、他はプラス


今件記事で精査しているデータの取得場所、速報値と確定値の違い、過去の記事の一覧など「特定サービス産業動態統計調査」に関連する解説は、それらの記事を集約したページ【定期更新記事:4大既存メディア広告とインターネット広告の推移(経済産業省発表・特定サービス産業動態統計調査から)】に記載している。必要な場合はそちらを参照のこと。

まずは主要5項目の動向についてグラフ化を行い、状況の確認をする。

↑ 4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年同月比(2014年5月-2014年6月)
↑ 4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年同月比(2014年5月-2014年6月)

今件データは前年同月比を示したもの。同時に前月分からの動きが確認しやすいよう、前回記事分となる2014年5月分のデータ(先月記事で用いた速報値の後に発表される、確定値に修正済みのため、前回記事とは異なる値が表記されている部門もある)と並列してグラフ化している。今回月ではプラス・マイナス領域のポジションは変わらず、記事タイトルにもある通り、4マスでは「テレビ」のみがプラスを示している。「雑誌」はややマイナス幅を縮小したものの、それ以外の部門はすべて前月から後退(つまり悪化)した形となっている。なお各主要部門の状況が前月から悪化していても「売上高合計」が前月から伸びているのは、今回取り上げている部門以外の項目が堅調だからに他ならない。

該当月、つまり2014年6月における大手広告代理店電通・博報堂の売上動向に関する記事【ネットの堅調さとテレビのどうにかプラス感、残りの3マス「がんばりましょう」(電通・博報堂売上:2014年6月分)】で個々の相当する項目の動きを確認すると、4マスでは「テレビ」のみがプラスでそれ以外はマイナス、「インターネット」が好調との結果が出ている。今件記事は日本の広告業界全体の動向を示したものだが、広告大手の電通・博報堂の動向とほぼ同じ動きを示しており、納得感を覚えさせる。

ちなみに4マス+ネット以外の一般広告(従来型広告)の動向は次の通りとなる。

↑ 屋外広告などの広告費・前年同月比(2014年6月)
↑ 屋外広告などの広告費・前年同月比(2014年6月)

前年同月比的には高安まちまちだが、プラスの項目のうち「SP・PR・催事企画」「その他」の金額は他の部門よりも大きく、これが全体を引き上げる形となっている。「折り込み・ダイレクトメール」は市場規模そのものは大きいが、広告市場のスタイルの変化に伴い軟調が続いている。一方で「交通広告」は交通機関の数には大きな変化はないが、展開される広告手法が多様化しており(トレインチャンネルが良い例)、それに伴い堅調さを示している。

インターネット広告は伸び続け、新聞が後ろに続く状態は継続


今回も該当月(2014年6月分)における、各区分の具体的売上高のグラフ化によって、状況の確認を行う。各項目の市場規模をざっとでは推し量ることができる。広告代理店業務を営む日本企業は、電通と博報堂が最大手だが、その2社がすべてでは無い。さらに各広告種類の区分は業界内で似たような文言が用いられているものの、その構成内容は業界内で完全統一されているわけではないので(法的な縛りは無い)、【定期更新記事:電通・博報堂売上動向(月次)(電通・博報堂)】と今件グラフとの額面上で、完全一致性は無い。

↑ 4大既存メディアとインターネット広告の広告費(2014年6月、億円)
↑ 4大既存メディアとインターネット広告の広告費(2014年6月、億円)

ここ数年の間に金額面におげる「インターネット広告」と「新聞」の間の関係が入れ替わり、「インターネット広告」は「新聞」を追い抜く形となった。最後に2014年1月分において「新聞」が額面で「インターネット広告」をイレギュラー的に抜いたのが確認されているが(【どちらが優勢か…新聞広告とインターネット広告の「金額」推移をグラフ化してみる(2013年)(最新)】も参考のこと)、それ以降はずっと「インターネット広告」の優位性が続いている。今回月では両者間には90億円近い差が出てしまっている。「雑誌」「ラジオ」が大きく伸びる、「テレビ」が大きく減少する状況は考えにくいので、ここしばらくは「インターネット広告」が有利なまま、「新聞」との追いかけっこ的な状況が続くのだろう。

ただし「インターネット広告」は次のグラフに示す通り、中期的には成長を続けているものの、単月での浮き沈みが大きい。タイミングによっては再び「新聞」との間の順位入れ替えが起きる可能性はゼロとはいえない。

↑ インターネット広告費推移(単位:億円)(2010年1月-2014年6月)
↑ インターネット広告費推移(単位:億円)(2010年1月-2014年6月)

次のグラフは今件記事で対象としている5項目、そして広告費総計(5項目以外の一般広告も含むことに注意。従来型広告が大きく動き、4マスとインターネットを合わせた動きとは異なる場合もある)について、公開されているデータを基にした中期的推移を示したもの。今調査で「インターネット広告」の金額が計上されはじめたのは2007年1月以降なので、それ以降に限定した流れを反映させている。

↑ 月次における4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年比推移(2014年6月分まで)
↑ 月次における4大既存メディアとインターネット広告の広告費前年比推移(2014年6月分まで)

「雑誌」(黄色)と「新聞」(ピンク)の折れ線がグラフ中では「0%」よりも下側に位置する場合が多い。これは金額そのものが少しずつ減っていることを意味する。少なくとも広告費の上では両メディアの低迷が、短期的なものでは無く、長期的なものであることが認識できる(そしていわゆる「メディア力」の低下は、広告費の減退として表れる)。奇しくも両媒体は紙媒体でという共通性を有しているが、デジタル系メディアの伸長を見るに、その影響を受けての動きであることは否定できまい。一部はウェブマガジンや大手新聞社のように、コンテンツそのものが紙からデジタルに移行し、それに合わせて広告もシフトした事例もあるだろう。

濃い藍色で記された「ラジオ」は、「新聞」や「雑誌」よりも低明度が大きい。具体的には「0%」より下の領域にばかり位置している。これは前年同月比でマイナスが続いている、言い換えれば売り上げが減少し続けていることになる。

一方気になる動きとしては、2012年後期以降の流れがある。それ以前と比較すると、「インターネット広告」の激動を中心に、激しい上下感がなくなり、ゆるやかな動きに収まっている。各メディアのパワーバランスの大調整が終わり、細かな調整期に入ったと見るべきだろう。マイナス領域にある部門にとっては、焦りが増すばかりの現状把握ではある。


■関連記事:
【新聞とネットの順位交代…今年一年の従来4マスとインターネットの広告売上動向を振り返ってみる(2013年)】
【20余年間の広告費推移をグラフ化してみる(上)…4マス+ネット動向編(特定サービス産業動態統計調査)(2014年)(最新)】
【20余年間の広告費推移をグラフ化してみる(下)…ネット以外動向概況編(特定サービス産業動態統計調査)(2014年)(最新)】
【前年比プラスの1.4%・総額5兆9762億円…過去20余年の媒体別広告費動向(2014年)(最新)】

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