産経以外の前半期比マイナス続く、日経は4%近い下げ率記録…新聞の発行部数などをグラフ化してみる(2013年後半期・半期分版)

2014/03/06 14:00

当サイトでは主に年単位で日本新聞協会発表の公式データを基にした、そして読売新聞社の広告ガイドページで半年単位で更新・公開されている日本ABC協会「新聞発行社レポート 半期」を基に、日本の新聞業界の動向を精査している。その後者について2014年3月3日付で、最新版となる2013年後半期の分のデータ掲載が確認できた。そこで今回はその最新データを基に、日本の主要新聞社の新聞における発行部数動向を確認していくことにする。

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読売健闘するも1000万部に届かず、産経復調続く


まずは主要全国紙、具体的には読売新聞・朝日新聞・毎日新聞・日本経済新聞(日経新聞)・産経新聞の計5紙における「販売部数」。これは【読売新聞広告ガイド】からリンクをたどり、【販売部数の公開ページ】に掲載されている、「日本ABC協会「新聞発行社レポート 半期」2013年7月-12月平均」で取得することができる。該当半年間におけるで平均値あること、朝刊「販売」部数のみで夕刊は含まれないことに留意する必要がある。

↑ 2013年後期における主要全国紙の朝刊販売数(万部)
↑ 2013年後期における主要全国紙の朝刊販売数(万部)

キリの良い値でもあることから、読売新聞はかつて「販売部数1000万部超」をセールスコピーとして用いていた。しかし2011年前半期でその大台を割り込み、以後さらに減少が続いている。今半期は減少幅が比較的おとなしめであることから、再度の大台目指して営業方面が奮闘しているものと思われるが、いまだにその目標は果たせていない。

読売新聞に続くのは朝日新聞、そこから部数を半分以下に減らして毎日新聞、日経新聞、そして産経新聞が続いている。各新聞社の順位はこの数年、少なくとも当サイトで各紙の部数動向の精査を始めて以来変化はない。各紙の部数をかんがみるに、毎日新聞と日経新聞間での順位変動が将来的に起きそうな雰囲気も見えるが、その日経新聞では大きな下落がここしばらく続いており、順位入れ替えの可能性はほぼ無きに等しい。

読売新聞が絶対部数の上で他紙と比べて優位な位置を維持しているのは、【「東洋経済の2010年 2/20号 特集:再生か破滅か……新聞・テレビ 断末魔」】によると「ホテルなどへの営業が功を奏している」のが大きな要因とのこと。

産経のみプラス、日経の大幅下落傾向は続く


続いて公開値を基に独自算出した値を用い、複数の比較グラフを生成し、状況のより詳しい精査を行うことにする。まずは前半期との差異を比率化したもの。単純計算で、半年の間の変動部数を確認できる。

↑ 2013年後期における主要全国紙の朝刊販売数変移(2013年前期との比較)
↑ 2013年後期における主要全国紙の朝刊販売数変移(2013年前期との比較)

今半期も前半期同様、「日経新聞の大幅下落」「産経新聞のプラス」という2大特徴が表れている。産経新聞は絶対部数では5紙中もっとも少ない部数だが、増減率では堅調さが継続中。また読売新聞は前半期同様マイナスだが、事実上プラスマイナスゼロに近い、誤差の範囲の部数下落に留まっており、他の3紙とはやや異なる気配を見せている。

日経新聞は前半期比でマイナス3.69%と、前半期におけるマイナス2.18%からさらに下げ幅が拡大している。これは部数換算では約10.6万部/半年の減少となる。主要全国紙の中では唯一の専門紙色の強い新聞なだけに、それがかえって仇となってしまっている可能性がある。あるいはその専門分野での評価が落ちた結果かもしれない。

詳細な部数算出、グラフ生成は省略するが、部数の増減を見ても日経新聞のマイナス約10.6万部が最大の減少、次いで朝日新聞のマイナス6.9万部が続く。5万部前後の増減ならば誤差的変動の可能性もあるが、それを超えるとさすがに「低迷」と判断せざるを得ない。2紙は単純計算で毎月1万部以上部数が減っている計算になる。

世帯普及率は全紙で低下


最後に世帯普及率の算出。これは全世帯に対して各新聞が届いている世帯の比率を表したもの。例えば読売新聞は17.45%とあるので、大体6世帯に1世帯は読売新聞を取っていることになる。

↑ 2013年後期における主要全国紙の世帯普及率(2013年前期との比較)
↑ 2013年後期における主要全国紙の世帯普及率(2013年前期との比較)

朝刊は世帯単位で定期購読されることが多く、また世帯構成員全体が目を通す可能性が高い。今件は単純な部数よりも新聞市場・業界のすう勢を推し量る指標として有意義な値である。これを見ても読売新聞の絶対的なポジションをはじめとした、各主要紙の現状がつかみ取れる。

今半期では、部数を増やした産経新聞はわずかに数字を上乗せし、それ以外は減らしている。グラフの形状の上では部数の下げ率が大きかった朝日新聞と日経新聞で、明らかに前半期から棒グラフの長さが凹んでいるのが分かる。

さらにいえば世帯普及率の動向は、漸増する世帯数にも影響を受ける。人口は漸減しているものの、一人暮らし世帯が増えるため、世帯数は増える。そして一人暮らしの世帯では新聞の購読率は落ちるので(読み手が一人しかおらずコストパフォーマンスが低くなる、世帯収入が二人以上世帯より低いので可処分所得が下がり、新聞購入の余裕が無くなる)、世帯普及率はマイナスのプレッシャーを受ける次第である。



ここしばらくの間、日経新聞の部数下落傾向が著しい。日経新聞と共通項を持つ経済系の専門雑誌も似たように顕著な下落傾向を示していることと併せ考えると、経済方面における紙媒体のビジネスモデルが、非常に厳しい状態に置かれていることが分かる。そしてその理由は、スピード感で太刀打ちできないインターネット媒体によるものと考えれば、納得はできる。

しかしながら経済系専門誌でも部数を積み増ししている雑誌が存在している以上、周辺環境の変化のみに部数下落の責を負わせるのは勝手が違う。環境の変化が起きても、そして上記で説明した通り可処分所得が減ったとしても、購読価値がある新聞との認識がなされれば、新聞は購入される。部数が減少しているのは、「買うに値しない」と判断されているからに他ならない。その理由を深く、真摯に考える必要がある。

インターネットの普及、スマートフォンやタブレットの浸透に伴い、情報の取得スタイルは大幅に変化し、メディアの価値観は変動を続けている。その荒波を乗り越え、新時代の担い手として支持を得続けることが出来るか否か。努力と検証、そして決断が求められている。その選択の正しさは、部数にも反映されることだろう。


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