現状DIは水準値の50回復、先行きは燃料費・電気代高騰懸念で下落続く…2014年7月景気ウォッチャー調査は現状上昇・先行き下落

2014/08/08 16:00

内閣府は2014年8月8日付で、2014年7月時点となる景気動向の調査「景気ウォッチャー調査」の結果を発表した。その内容によれば現状判断DIは先月から続いて3か月連続で増加し、水準値50.0を超えて51.3となった。一方先行き判断DIは先月から続いて2か月連続で下落したものの、51.5となり、水準値の50はかろうじて上回る状態を維持している。結果として、現状上昇・先行き下落の傾向となり、前月と同じ方向性を持つこととなった。基調判断は先月と変わらず同じ文言「景気は、緩やかな回復基調が続いており、消費税率引上げに伴う駆込み需要の反動減の影響も薄れつつある」が用いられ、状況は先月同様であることがうかがえる(【平成26年7月調査(平成26年8月8日公表):景気ウォッチャー調査】)。

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現状指数は反動からの回復続く、先行き指数は燃料高騰が肝で凹む


調査要件や文中のDI値の意味は今調査の解説記事一覧や用語解説ページ【景気ウォッチャー調査(内閣府発表)】で解説している。必要な場合はそちらで確認のこと。

2014年7月分の調査結果はまとめると次の通りとなる。

・現状判断DIは前月比プラス3.6ポイントの51.3。
 →3か月連続の上昇。「やや悪くなっている」が大幅に減り、「やや良くなっている」が大きく増加している。
 →家計、企業共に4月の消費税率改定に伴う駆け込み需要とその反動の影響が7月同様に、幅広い分野で薄らぎ、上昇。雇用は求人の増加に一服感があり、低下。

・先行き判断DIは先月比で1.8ポイントマイナスの51.5。
 →消費税率改定前の駆け込み需要の反動減の影響が薄らいでいることへの期待感は継続しているが、燃料価格の上昇が懸念視され、全部門にマイナス影響を及ぼし、低下。

4月の消費税率引き上げの際に発生した、3月までの駆け込み需要の反動、そして税率上昇に伴う消費マインドの低下は5月頃から鎮静化の動きを示していたが、今回月ではほぼ収まった状態となったようで、現状DIは水準値の50を回復した。一方で先行きDIは先月までの「通常時における上限達成からの反動」ではなく、冷夏観測による失望からの脱却要素もあったものの、燃料高騰に対する懸念は強く、これが多部門で足を引っ張る形となった。

↑ 景気の現状判断DI(全体)推移
↑ 景気の現状判断DI(全体)推移

↑ 景気の先行き判断DI(全体)推移
↑ 景気の先行き判断DI(全体)推移

現状判断DIは雇用のみ下落


それでは次に、現状・先行きそれぞれの指数動向について、その状況を確認していく。まずは現状判断DI。

↑ 景気の現状判断DI(-2014年7月)
↑ 景気の現状判断DI(-2014年7月)

今回月は消費税率改定後4か月目の月。概況説明にもある通り、全体値では水準の50.0を超え、反動に伴う減退はほぼ無くなっている。水準値以下の項目は家計動向関連と小売、飲食のみ。また前月でマイナスとなったのは雇用関連のみで、わずか0.2ポイントの減少に留まっている。リリースコメントでは一服感とあるが、数字動向を見るにむしろ天井感の方が近い。

景気の先行き判断DIは幅広い項目でマイナス項目が示されているが、下げ幅は限定的。

↑ 景気の先行き判断DI(-2014年7月)
↑ 景気の先行き判断DI(-2014年7月)

最大の下げ幅を示したのは小売関連でマイナス3.2ポイント、次いで非製造業のマイナス3.1ポイント。後述するが小売関連の下げはボーナス機運で大きく値を上げた家電量販店の反動によるところが大きい。他方プラスを示したのは製造業のみ。こちらも後述となるが、燃料価格の高騰に対する懸念が、先月までの冷夏懸念同様に、大きな重しとしてのしかかっているようである。

冷夏は去ったが燃料価格の上昇が来襲


発表資料では現状・先行きそれぞれの景気判断を行うにあたって用いられた、その判断理由の詳細内容「景気判断理由の概況」も全国での統括的な内容、そして各地域ごとに細分化した上で公開している。その中から、世間一般で一番身近な項目となる「家計(現状・全国)」そして「家計(先行き・全国)」の事例を抽出し、その内容についてチェックを入れてみる。

■現状
・化粧品の売上が順調に回復している。4月は前年比70%、5月は80%、6月は90%であったが、店舗によってはほぼ前年並みに売上が戻っており、基礎化粧品などのよく使う商品の売上は完全に回復している。アクセサリーなどの装飾品関連も順調に回復し、消費税増税の影響はほぼなくなっている(百貨店)。
・3か月前に比べ稼働率において大きく前年同月実績を上回る見込みである。台風8号の影響はあったものの、高稼働率で推移している(観光型ホテル)。
・特に冷蔵庫、洗濯機などの生活必需品やテレビが前年並みに戻っている。エアコンはやや冷夏という状況もあり今月前半は当県ではやや不調であるが、東北全体からすると季節的な要因を除けば消費税増税の影響はほぼ無くなりつつある(家電量販店)。
・取引先の経営者と話をしても、前向きな発言が増えてきており、明るさがみられるようになってきている。なかには、店舗を拡張したいという希望も持つ経営者もみられるなど、今までにはなかったような傾向が出てきている(一般小売店)。
・販促やイベントを行なっても集客増にはつながらず、前年並みを維持している状況で、価格による集客も変化がない(スーパー)。
・ガソリン価格や電気料金の値上がり、消費税増税に伴う日用品の価格上昇に、実質賃金の上昇が追い付かない状況である。売上が大きく下がっているので、この先の景気低迷が心配である(一般小売店)。
・4月の消費税増税後、売上の減少もさほどみられず天候にも恵まれ順調に推移していた。しかし、今月は突然の雷雨や異常に高い気温で客足が鈍っている(商店街)

■先行き
・夏のセールは比較的好調だったことから、秋冬物の販売時期には顧客の購買意欲が更に向上すると考えられる(百貨店)。
・7月ボーナス商戦の状況を見ると、消費税増税前の買いだめの影響がなくなったと考える。8-10月に関しては若干プラスで推移する(家電量販店)。
・消費税増税後の閉塞感は緩和に向かっている。その一方で、様々な食品の価格高騰から、値上げ実施を余儀なくされている。売上への悪影響が懸念される(コンビニ)。
・販売量の落ち込みは年末まで続きそうだ(乗用車販売店)。
・梅雨明けが遅く、夏の期間が短かった影響が出ている。また、エルニーニョ現象の影響で、今冬の天候が予測しにくい(家電量販店)。

冷夏予想に対する心理的影響はほぼ無くなったものの、秋以降に予想されるエルニーニョ現象の影響への言及がちらほらと見受けられる。また今件項目部分だけでも複数項目確認できる通り、冒頭でも言及したが消費税率改定に伴う消費マインドの低下はほぼ無くなったようだ。ただし一部業態では今なお継続している模様。

一方で上記では抽出していないものの、特に企業動向関連で燃料費の高騰に伴う悲鳴が随所で確認できる。燃料費の価格上昇は輸送費のアップにつながり、それは流通される商品すべてに価格上昇のリスクをもたらすことになる。また燃料費だけでなく電気料金の値上がりへの懸念、不安も随所で見られ(キーワード抽出を行うと「燃料」で10か所、「電気」で8か所確認できる)、社会全体を動かすための血液に相当する、電気や燃料の価格上昇が、景気全体の足を少しずつ、しかし確実に引っ張っているようすがうかがえる。

燃料価格の高騰は原油価格によるもので、海外要因が大きい。一方電気料金は一部に海外からの輸入資源価格の上昇があるものの、多分に震災以降の発電様式のアンバランスな状態を起因としており、多分に国内問題によるものといえる。早期の改善が自らの手で行えうるのは後者といえよう。

コンビニの先行き不安が結構大きい…詳細精査


2014年4月分の公開値を基に、消費税率動向について細かい部門別に別途記事として精査をした【景気ウォッチャーの指標動向から消費税率改定後の景気行き先を推し量ってみる】の手法を用い、簡略的にではあるがしばらく継続的に現状・先行きDIの詳細動向を確認している。今回もその例にならい、7月分とその前月の6月分との差異、つまり一か月分の変化を詳しく見ていくことにする。まずは現状DIについて。

↑ 2014年6月から7月における現状DIの変動値
↑ 2014年6月から7月における現状DIの変動値

雇用関係は天井感もあり減退だがごく一部。それ以外は通信会社がマイナス値を示しているものの、それ以外はプラス。特に百貨店や家電量販店、レジャー施設関連など、夏のボーナスによる影響が大きく部門で数字の大幅な増加が確認できる。

他方スーパーやコンビニ、商店街・一般小売店などは小さめ。日用品における消費はまだ回復しきっていないということか。

↑ 2014年6月から7月における先行きDIの変動値
↑ 2014年6月から7月における先行きDIの変動値

↑ 2014年7月における先行きDI
↑ 2014年7月における先行きDI

現状DIとは転じて先行きDIはマイナス部門多い。特に家電量販店、商店街・一般小売店、コンビニ、スーパーの下げ方がきつい。コメント部分を良く調べると、消費税率引き上げの際の特需による反動では無く、来場客の燃料費高騰に伴う来場機運の低下、商品価格の原材料費や配送費上昇に伴う購入性向の低下が大きな要因となっている。上記に示している通り、配送コストの増加は運送業だけでなく、物流に関連するすべての部門にマイナスの影響を与えるため、幅広い部門の足を引っ張ったようである。



複数のコメントや数字動向から確認されている通り、4月の消費税率引き上げに伴う消費者の消費マインドの低下、3月までの買い溜めに伴う反動による影響は、ほぼ払しょくされている。一部スーパーなど日用品関連、自動車で継続しているとの観測もあるが、大きな動きにはつながっていない。

むしろ気になるのは燃料費や電気代といった、インフラに直結するコストの増加が、幅広い方向で(意識的に)マイナスを及ぼしていること。この影響が消費税率の引き上げによるものと錯覚、誤解されることで、マインド的な低下に拍車をかけている面もあるようだ。

燃料費の高騰は海外要因が大きいため、対策は打ちにくい(国内油田の開発というわけにもいくまい)。一方、電気料金周りは震災後の悪癖を引き継いだ現況が大きく影響しており、理性と知性をもってすれば必ず解決しえる問題ではある。

とはいえ、これらの問題はいずれも1か月で解決するような話でないのも事実。大きな情勢変化が無い限り、来月もまた、似たような動きを示すのだろう。


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