建設業界の人手不足状況を長期的にグラフ化してみる

2014/04/29 14:00

先行する記事【建設業界の人手不足状況をグラフ化してみる(2014年3月時点)】で、国土交通省の定点観測的調査「建設労働需給調査」の値を基に、建設業界の人材不足状況を最新データ分について精査した。今回はその調査データを基に、中長期的な同業界の人材不足感の推移を確認する。ここ1、2年間の不足感の実情を、過去との比較で見ていくことになる(【発表リリース:建設労働需給調査結果(平成26年3月調査)について】)。

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建設業界の人材過不足率を長期的に見ていく


「建設労働需給調査」の調査概要、及び過不足率の算出方法は先行記事の「建設業界の人手不足状況をグラフ化してみる(2014年3月時点)」にある通り。まずはじめに時系列データを容易に取得可能な1993年分以降について、月次の全体的な過不足率の推移を確認する。これは中長期的な変移を見ることから、季節調整を行った上での値を採用する。また、いわゆる金融危機が発生した2007年以降に限ったグラフも併記する。

↑ 建設技能労働者過不足率推移(季節調整済み)(プラス:不足)(8職種合計)
↑ 建設技能労働者過不足率推移(季節調整済み)(プラス:不足)(8職種合計)

↑ 建設技能労働者過不足率推移(季節調整済み)(プラス:不足)(8職種合計)(2007年以降)
↑ 建設技能労働者過不足率推移(季節調整済み)(プラス:不足)(8職種合計)(2007年以降)

金融危機ぼっ発直前の2006年9月に一度不足感のピークを迎えるも、それ以降は不況化に伴い建設需要も低迷し、それに合わせて人材も過剰気味となる。リーマンショックを経て2009年10月には最低値のマイナス2.0%を示し、それ以降は徐々に回復の兆しを見せる。

直近では東日本大地震・震災の2011年3月が一つのトリガー。震災直後は混乱状態にあったものの、数か月後から復興需要に合わせる形で人材不足が顕著化し、過不足率は1%台を推移する。そして政情の変化(2012年冬)、東京オリンピック開催決定(2013年9月)、さらには消費税率改定に伴う個人向け住宅を中心とする駆け込み需要の発生(2013年後期に顕著化)など、建設市場の需要拡大と人材不足を後押しする事象が相次ぎ、それに伴い過不足率も上昇していく。

2014年3月の全体的な季節調整済みの過不足率はプラス3.3%。これは少なくともデータをすぐに取得できる1993年以降では最大の値を示していることになる。建設業界で深刻な人材不足が叫ばれるのも理解はできる。また、大勢としては「景況感の好転による不足感」「金融危機で過剰感」「震災をきっかけにした復興需要や政情変化などによる不足感」という昨今の流れが見て取れる。

業種別過不足率動向


やや余談になるが、震災直前の2010年12月以降における、8職種それぞれの過不足率動向をグラフ化しておく。


↑ 建設労働需給過不足率推移(季節調整済み、職種別、2010年12月-)
↑ 建設労働需給過不足率推移(季節調整済み、職種別、2010年12月-)

建設業界全体での動向とはまた別に、業種別でもそれぞれ異なる動きを示していることが分かる。例えば配管工は比較的不足感が大人しいが、それでも去年後半からはやや不足率が上昇していること、電工はこの数か月で突然大きな不足感に見舞われていること、型わく工やとび工は去年の春先から不足感が強まっていること(消費税率改定に伴う住宅需要の急増に伴うものだろう)、鉄筋工は震災を機に不足感が強まり、今現在に至るまで続いていることなどが把握できる。

一方で、全体値の推移からも分かる通り、どの職種でも不足感が蔓延していることに違いはない。「建設労働需給調査」の今後の予想項目を見る限り、この数か月がピークで、今後はむしろこの不足感は沈静化に向かうことが予想されるが、今しばらくは厳しい状態が続くことには変わりあるまい。今件は景気ウォッチャーにおける雇用関連のDI値動向と共に、今後も折を見てその動きを確認していくことにしよう。


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