住んでいる住宅で大きく変わる「歳取ってからの近所付き合い」の考え方

2014/09/06 19:30

先日、内閣府が発表した高齢期に対する「備え」に関する調査の中で、中堅層以降が高齢期になった時にどのような近所付き合いを考えているかに関する調査項目の精査を行った。男性よりも女性の方が、大都市圏よりも中小都市、さらには町村といった地方に現在住んでいる人の方が、より密接で多彩な近所付き合いを考えているという、順当な結果だった。今調査項目について今回は、「現在住んでいる住宅種類別」の違いを見ていくことにする。住宅種類は近所付き合いのあり方にも、大きな影響を及ぼすことが予想されるが……(【発表リリース:高齢期に向けた「備え」に関する意識調査】)。

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今調査は2013年11月28日から12月31日にかけて、層化二段無作為抽出法で選ばれた全国の35歳から64歳の人に、郵送配布・郵送回収方式で行われたもの。有効回答数は2707人。そして同調査に関する先行記事【孤立か積極的にアプローチか…歳を経てからの近所付き合い、どう考えてる?】での解説の通り、調査対象母集団に対して、自分が高齢期に至った時に、近所の人たちとどの程度の付き合いを望んでいるかを複数回答で聞いた、全体としての回答は次の通り。

↑ 高齢期において自分は近所の方とどの程度の付き合いを望むか(複数回答)(再録)
↑ 高齢期において自分は近所の方とどの程度の付き合いを望むか(複数回答)(再録)

そして属性別としては冒頭の通り、男性よりは女性、現在居住地域が都市圏よりは地方圏の方が、積極的・広範囲に渡り付き合いを望むとの結果が出ている。

それでは「現在」住んでいる場所でどのような行動予定の差が出るのか、という点が今回スポットライトを当てる項目。給与住宅などの場合は高齢期に至り定年退職をすれば退室を余儀なくされるが、大抵の賃貸住宅は継続居住が前提で考えられているであろうし、よほどのことが無ければ現在の居住地域から離れた場所への引っ越しも望まない。ましてや持家に住んでいる人は歳を経たら自宅を出るとの想定もしにくい。

さらに近所付き合いは「現在の」スタイルを踏襲することがほとんどだと考えられる。高齢期になったら突然引きこもる、あるいは逆に積極的に付き合い始めると思っているという状況は想定しにくい。

結果として多くの回答者は、現在住んでいる居住場所に高齢期に至っても継続して住むことを前提として答え、さらに現在行っている近所付き合いの様式をそのまま継続し、回答にも反映するものと考えられる。

↑ 高齢期において自分は近所の方とどの程度の付き合いを望むか(複数回答)(居住形態別)(持家)
↑ 高齢期において自分は近所の方とどの程度の付き合いを望むか(複数回答)(居住形態別)(持家)

まず持家内における種類別だが、概して一戸建ては近郊から地方、集合住宅は都心部から近郊に建てられている場合が多い。そのことも合わせ、一戸建て=地方圏、集合住宅=都市圏的な組み合わせで考えると、大体道理が通る。特に「葬儀等の行事に参加」「物の贈与・授与」が特徴的。

他方、やや意外な動きが出ているのが「趣味を共にする」。大抵の項目では一戸建ての方が近所づきあいの項目では積極的だが、この項目では大きく、「お茶や食事を一緒に」でも多少ながら集合住宅の方が高い値を示している。

↑ 高齢期において自分は近所の方とどの程度の付き合いを望むか(複数回答)(居住形態別)(非持家)
↑ 高齢期において自分は近所の方とどの程度の付き合いを望むか(複数回答)(居住形態別)(非持家)

続いて賃貸など非持家。こちらも色々な特徴が見えてくる。同じ一戸建てでも持家では無く賃貸の場合、他の賃貸よりも、そして持家の一戸建てよりも近所付き合いは希薄となる。同じ集合賃貸住宅ではいくぶん民営の方が付き合いは積極的な状況を想定しているが、さほど大きな違いはない。

むしろ大きな違いが見えるのは給与住宅。他の非持家の種類よりも多くの項目で、高い値を示している。中でも「困った時に助け合う」「外でちょっと立ち話」「お茶や食事を一緒に」「趣味を共にする」などでとりわけ高い値が出ている。賃貸に限らず、持家よりも高い。

これは社宅にしても官公舎にしても、現在の居住環境において、家計を主に支える人を介して隣近所が密接な関係にあることから、居住住宅が強固なコミュニティ化していることが要因と考えられる。社宅の場合は特にその傾向が強くなる。そのスタイルが当たり前のものとして考えており、高齢期に至ってもそれを継続するということなのだろう。



社宅のように高齢期を迎えた場合にも退室する必要を有する居住形態もある。しかし概して現在の環境に合わせた、現時点での近所付き合いをそのまま高齢期の付き合いにスライドするものと考えれば、今件結果は大よそ納得のいくものとなる。

ちなみに「挨拶を交わす」のみという、極めてライトなお付き合いに留めたいとする意見は、概して持家ほど低く、賃貸ほど高い。そして賃貸住宅の一戸建てでは15%近くに達している。

↑ 高齢期において自分は近所の方とどの程度の付き合いを望むか(複数回答)(居住形態別)(「挨拶を交わす」のみ)
↑ 高齢期において自分は近所の方とどの程度の付き合いを望むか(複数回答)(居住形態別)(「挨拶を交わす」のみ)

持家の場合は高齢期に至る前の近所付き合いが、対人関係まで含めて、そのまま多分に継続される。それがこの「ライトな付き合いは低め」という結果に表れているのだろう(長年に渡り冷戦状態のままの隣近所との付き合いは辛いに違いない)。一方で賃貸住宅の一戸建ての高さは気になるところではある。


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