パイプラインとLNGと…天然ガス輸入量の動向をグラフ化してみる(2013年)

2013/08/19 07:00

国際石油資本BP社では毎年エネルギー関連のデータを集約した白書「Statistical Review of World Energy」を発行している。記事執筆時点では2013年7月12日付で発表された【Statistical Review of World Energy 2013】が最新のものだが、今回はこのデータを用い、各国における天然ガス(パイプライン経由、LNG経由)の輸入動向を見ていくことにする。

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パイプライン経由はドイツが一番、アメリカ二番


天然ガスの特性などは以前の記事【天然ガスの生産・貿易動向をグラフ化してみる(エネルギー白書2010版)】などで詳しく解説しているので、そちらを参考のこと。ちなみにLNGとはLiquefied Natural Gas、つまり液化天然ガスの略で、天然ガスを運びやすく・貯蔵しやすくするため、凝縮して液化させたものである。

天然ガスは環境負荷が小さいこと、埋蔵量が石油と比べて多いこと、そして【世界の天然ガス埋蔵量の急増(JOGMEC、2011年)(PDF)】のレポートにもあるように、技術の進歩によってこれまで「採掘困難、採算が取れない」とされてきた「非在来型ガス」(例えばシェールガス…泥岩の一種である頁岩(シェール)に含まれる天然ガス)の多くが採掘可能となり、「確認埋蔵量」(現在の技術で経済的に採掘できる量)が増加していることから、大いに注目を集めている。日本でも他国同様、天然ガスの重要度は年々増加している。

まずはパブライン経由による、天然ガスの輸入量の上位国を確認する。直近の2012年ではドイツが最大の輸入国となっている。

↑ パイプライン経由による天然ガス輸入量(2011年、億立方メートル))
↑ パイプライン経由による天然ガス輸入量(2011年、億立方メートル)

後述するがアメリカは天然ガスのほとんどをカナダからパイプライン経由で輸入している。地の利を最大限に活かした輸入である。一方ドイツはノルウェー・ロシア連邦・オランダの3か国でほぼ均等。このドイツをはじめ、ヨーロッパ諸国のうち何か国かは、ロシアからの天然ガス輸入のためのパイプライン絡みでしばしばニュースに登る機会があり、聞き覚えがある人もいるはず。ちなみにそのロシア自身も、カザフスタンなどのような、かつてのソビエト連邦下にあった周辺国から少なからぬガスの輸入を受けている。

この「パイプライン経由」の天然ガス輸入だが、近辺に天然ガスの輸出国を持つ国の場合、その国からの輸入が多くなる。次のグラフはパイプライン経由の輸入第1位・第2位の国における、輸入元の内情を見たもの。ドイツはオランダ・ノルウェー・ロシア連邦から分散する形で輸入を受けている一方で、アメリカはほぼカナダ一国に頼っている。


↑ パイプライン経由による天然ガス輸入量(2012年、億立方メートル、ドイツ、輸入元別)


↑ パイプライン経由による天然ガス輸入量(2012年、億立方メートル、アメリカ合衆国、輸入元別)

政治的な対立や政情不安定化に伴う供給途絶リスクを考えた場合、よほど安全で安定した相手でない限り、輸入元は分散した方が良い(「全部の卵を一つのかごに盛るな」の考え方)。その観点で考えると、ガス供給源としてアメリカはカナダを全般的に信頼し、ドイツは地の利を活かして複数個所からバランスよく供給を受けていることになる。

LNGは圧倒的に日本が多い


天然ガスを輸入する場合、ルートにもよるが、一般的にはパイプラインで輸入できるのならその方が安上がりで済む。しかし地理的問題などでそれがかなわない場合、LNGでの輸入となる。次のグラフはLNG化した天然ガスの輸入量で、日本が断トツのトップについている。


↑ LNGによる天然ガス輸入量(2011-2012年、億立方メートル)

次いで多いのは韓国、スペイン、インドの順。アメリカ合衆国はLNGでもそれなりの量の天然ガスを輸入している。なお日本で2012年に大幅な輸入量増加が発生しているのは、電力用需要の急増に伴うものである。

なお日本の天然ガス(LNG)輸入元だが、これだけ大量のガス(パイプライン経由のドイツ総量より多い)をまかなうため、多種多様な国からのものとなる。無論、リスク分散という観点に寄るところも大きい。


↑ LNGによる天然ガス輸入量(日本、2012年、億立方メートル)


↑ LNGによる天然ガス輸入量・輸入対象国別比率(日本、2012年、BP社資料掲載分のみで算出)

BP社の資料のうちガス輸出入関連のページでは、輸出した側の国が横軸に並んでいるが、その横軸の国すべてに数字が配されている(=その国から輸入している)のは日本のみ。パイプライン経由とLNGを足した、総合値としての輸入量でもトップを行く日本が、いかに天然ガスの調達に苦心をしているかがうかがえるデータではある。

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