各国エネルギー政策が見えてくる・世界主要国のエネルギー源をグラフ化してみる(2013年)

2013/08/13 16:16

世界各国のエネルギー政策、エネルギー事情を知るためには、多種多様な視点からその動向を眺める必要がある。その視点の一つが、エネルギーの源としてどのような一次エネルギー(石油や石炭など)を利用しているかについて。今回はイギリスに本拠地を構える国際石油資本BP社が毎年発行しているエネルギー白書「Statistical Review of World Energy」を元に、状況を推し量ることにした。

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一次エネルギー利用トップは中国


記事執筆時点最新の白書は【Statistical Review of World Energy 2013】。2013年7月12日付で発刊されている。ここから各自データを取得し、グラフを生成、状況精査を行う。

なお「一次エネルギー」とは自然界に存在するそのままの形を用い、エネルギー源に使われているものを指す。化石燃料(石油、石炭、天然ガスなど)、ウラン、そして水力、火力、さらには太陽熱・太陽光・地熱などの再生可能エネルギーが該当する。他方「二次エネルギー」も存在するが、これには電気やガソリンなど、一次エネルギーに手を加えて得られるエネルギーなどが対象となる。今回は「一次エネルギー」を対象にしているため、要は「国内外を問わず、どのような自然の恵みをどれだけ用い、エネルギーを取得しているか」を知ることができるグラフとなる。

まずは一次エネルギーの消費量の比較。最新のものは2012年分。昨年2011年分も併記し、1年間の変化も確認できるようにした。


↑ 主要国一次エネルギー消費量(石油換算・億トン)(2011-2012年)

2007年から始まる金融不況、2009年のリーマンショックを受け、2010年は先進諸国でエネルギー消費量が減退していたが、2011年以降はやや盛り返しを見せている。一方アメリカは値を減らしているが、これは多分にエネルギー消費構造そのものの変化の影響を伴っている。具体的には石油などの化石燃料の消費が減り、天然ガス(シェールガス)の消費が増えているのが確認できる。

他方中国は昨年からさらにエネルギー消費を増加。2012年では2011年よりもさらにアメリカとの差を広げている(2010年時点で米中関係はすでに逆転している)。

両国に続き、大きく下がってロシア、インド、日本が続く。これらの一次エネルギーは直接使われる他に、二次エネルギーの加工用としても用いられるため、人口増加以外に工業化などの要因でも大きく変動する。

世界全体では石油と石炭で約2/3を占める


続いて各国の一次エネルギー源分布。石油や天然ガスなどに区分し、どの一次エネルギーをどのくらいの割合で用いているかを示している。「再生可能」項目は太陽光や風力その他をすべてまとめたもの。「自然エネルギー」とも呼ばれる類の総計である。


↑ 主要国の一次エネルギー消費量(エネルギー供給元別)(2012年)

特徴的なところを挙げると次の通りとなる。

・中国は7割が石炭
・ロシアは5割強が天然ガス
・イギリスやイタリアも天然ガスが4割近くを占める
・フランスは原子力が4割近くと主要国中最大の割合
・インドは中国に次いで石炭使用率が高い
・イタリアは(2012年時点では)原子力がゼロ
・日本は2012年時点で原子力が1%のみ

まずイタリアだが、これは1987年に「脱原発政策」が国民投票で決定してから、原発ゼロを貫いていた。しかし度重なる電力不足と隣国フランスからの供給の不安定さが問題視され、2009年2月にはフランスの協力で2020年までの建設計画を発表され、方針転換を果たしていた。しかし最新の情勢としては昨今の動向を受け、調査などを含めた計画が凍結され、現在では原発ゼロは継続中。

フランスはエネルギー面でも独立独歩的な政策を現実のものとするため、そして電力の他国への販売を一大ビジネスとしているため、他国に関与されにくい原発を促進している。【原発大国フランスの雑誌調査で「原発を廃止の方向に」意見77%に】にもあるように、一時的に大きな方針転換が行われる可能性が出てきたが、現在ではその動きも沈静化している。

中国は7割が石炭を一次エネルギー源としている。石炭は安価で経済性に優れているものの、【原油高騰がもたらしたもの・北海道産の石炭が再注目を集める】でも言及しているように「適切」で比較的「高い技術力」による処理をしないと、二酸化炭素の排出量など環境面での負担も大きい。中国の二酸化炭素排出量がアメリカを超えて世界一となっているのも、石炭によるエネルギー確保がメインの構造が大きな要因と考えて問題無い。

日本の場合は石油への依存度が主要国の中でも一番高い。しかもそのほぼすべてを輸入に頼っている。エネルギー戦略上決して好ましい状況では無いのは言うまでもない。さらに2011年の震災を経て、エネルギー政策上多種多様なハードルが積み重なった関係で、昨今の情勢は多分に軋みが生じている。


↑ 日本の一次エネルギー消費量(石油換算・億トン)(2011-2012年)

それぞれの国共に、国内の事情を考慮した上で、その国々にもっとも適切で、他国の動向に振り回されることの無い、中長期的かつ正しい戦略を構築した上で、強力な政策が求められよう。

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