「アリ」「キリギリス」どちらを選ぶ? 全体では3対6だが…(2013年)

2013/10/13 16:22

内閣府は2013年8月12日、「国民生活に関する世論調査」の結果を発表した。それによると、今後の生活において「将来に備える」「毎日の生活を充実させて楽しむ」どちらに力を入れたいかを尋ねたところ、全体では「備え派」が約3割、「楽しむ派」が6割という結果が出た。男女別で見てもほぼ同率の結果が出ているものの、世代別では40代までは「備え派」が優勢、50代で「楽しむ派」が逆転し、それ以降は「楽しむ派」が急速に増える傾向を示している(【発表リリース:国民生活に関する世論調査】)。

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調査要件などは先行記事【政府への要望、社会保障に景気対策】を参考のこと。

今後の生活におけるスタンスとして、「将来に備える」「毎日の生活を充実させて楽しむ」どちらに力を入れたいか、例えるならば「アリとキリギリス」のどちらを選ぶかについて聞いたところ、全体では「将来に備える」が31.1%、「毎日の生活を充実させて楽しむ」が60.8%となり、2倍近くの差をつけて「楽しむ派」の回答が多い結果となった。

↑ 将来に備えるか、毎日の生活を充実させて楽しむか(2013年)
↑ 将来に備えるか、毎日の生活を充実させて楽しむか(2013年)

男女別ではほとんど差異が無いことから、「備え」か「楽しむ」かでは男女の違いは無いと判断できる。それでも強いて言えばやや女性の方が「楽しむ」派が多いといえる。

一方世代別で見ると、大きな違いが見えてくる。

↑ 将来に備えるか、毎日の生活を充実させて楽しむか(世代別)(2013年)
↑ 将来に備えるか、毎日の生活を充実させて楽しむか(世代別)(2013年)

40代まではほぼ同じ傾向で、「備え派」5割強・「楽しむ派」4割となり、「備え派」が優勢。そして50代で両者が一挙に逆転し、あとは「備え派」が加速度的に減っていく。余年や手持ちの財力を考えれば当然の結果といえよう。見方を変えれば40代までは、主に金銭面で首が回らない状態であることが推測できる。

今調査結果は国勢調査などの結果を元にしたウェイトバックは行われていないが、調査対象数・回収率共に高齢層ほど多めとなっており、現在の人口構造に近い値を示している(回答率が若年層ほど低いため、余計に「高齢者の意見が大いに反映される」という現状が反映されている)。しかし一方で、最初のグラフの全体値だけを見て「世間一般は皆、将来への備えよりも、日々の生活を楽しむことに重点を置いている」と認識すると、少々誤解を招くことになる。

そこで過去の調査結果からの経年データについて、世代別に精査したものを次に挙げておく。これは「楽しむ派」から「備え派」を引いたもので、いわば「楽しむ派」度を示す値。プラスならば「楽しむ派」が多く、マイナスならば「備え派」が多い。

↑ 将来に備えるか、毎日の生活を充実させて楽しむか(世代別、調査回推移、「楽しむ」−「備える」の値)
↑ 将来に備えるか、毎日の生活を充実させて楽しむか(世代別、調査回推移、「楽しむ」−「備える」の値)

50代がほぼ全体平均周辺を行き来し、20代から40代は低迷、60代以降は高止まりを見せている。全般的には直近の結果とさほど違いは無いものの、近年になるに連れて「高齢者はより『楽しむ派』に」「若年層はより『備える派』に」移行しているのが分かる。

特に景気後退感が著しさを見せた2007年以降、若年層の懐事情が厳しくなってきた、というよりは将来に備えて一層と慎重な姿勢(「ありときりぎりす」における「あり」的行動)を見せるようになったと判断した方が道理が通る。

概して昨今の「若者の●×離れ」の造語に代表される、主に団塊世代前後が用いる「若年層はお金を使わない」は、今件の値が裏付けしているとも考えられる。可処分所得の減少に加えて「日々を楽しむために消費するよりも、将来に備える傾向が強まったため」、上の世代からは「お金を使わなくなった」と見られるのではないだろうか。


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