政府への要望、社会保障に景気対策(2013年)

2013/10/13 15:32

内閣府は2013年8月12日、「国民生活に関する世論調査」の結果を発表した。それによると、日本国民が今後政府に力を入れてほしい政策の最上位には「医療・年金などの社会保障の整備」がついた。ほぼ2/3の人が同意を示している。前回2012年6月時点での調査では「景気対策」がわずかな違いではあるが最上位についており、景気の先行き感・実態感が好転したことを受け、優先順位に変化が生じた状況がうかがえる(【発表リリース:国民生活に関する世論調査】)。

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今調査は2013年6月6日から6月23日にかけて、全国20歳以上の日本国籍を有する者の中から層化2段階無作為抽出法で1万人を選んだ上で、調査員による個別面接聴取法によって行われたもので、有効回答数は6075人。男女比は2813対3262、世代構成比は20代461人・30代761人・40代987人・50代1015人・60代1411人・70歳以上1440人。

調査時点において、今後日本国政府はどのようなことに力を入れるべきか、複数回答で尋ねたところ、最上位の回答率を示したのは「医療・年金などの社会保障の整備」だった。65.9%の人が望んでいる。

↑ 政府に対する要望(上位のみ)
↑ 政府に対する要望(上位のみ)

最上位の「医療・年金などの社会保障の整備」は前回調査と比べると0.2ポイントだが減少している。しかし前回第1位だった「景気対策」が大きく回答率を減じており(59.6%、6.9%ポイント減)、これにより相対的に順位がかさ上げされ、最上位に上がることとなった。冒頭でも触れたが、多分に誤差の範囲ともいえるものの、経済状況の改善が要望の優先順位を変えたように見える。一方、昨年のデータと比較すると全体に占める高齢者の回答者数・率が増加しており、これが全体値の算出の際に影響を与え、「医療・年金」と「景気対策」の順位を入れ替えた要因となっていることも否定できない。

他の動きとしては、震災周りの要望がやや減少を見せ(もちろん値そのものは大きめ)、経済周りで「物価対策」、周辺国関連で「防衛・安全保障」「外交・国際協力」が横ばい・上昇の動きを示している。絶対値の上では上位陣と比べて優先順位は低いものの、社会全体の動向を反映しているようであり、興味深い。

これを男女別に見たのが次のグラフ。

↑ 政府に対する要望(上位のみ)(男女別、2013年6月)
↑ 政府に対する要望(上位のみ)(男女別、2013年6月)

概して女性の方が要望率が高い。一部男性の方が高いものもあるが、「外交・国際協力」「防衛・安全保障」など、確かに男性の方が興味関心を引きそうな内容ではある。「少子化対策」でも男性の方が上なのは意外な動きだが。

一方女性が男性比で大きく伸びているのは「医療・年金等の社会保障の整備」「高齢社会対策」「雇用・労働問題への対応」「東日本大震災からの復興」であり、元々高い「景気対策」を除き、上位陣のすべてで強い要望(見方を変えれば現状への不満)を抱いているのが分かる。

これを世代別に見ると、各項目の世代別関心事項が透けて見える。

↑ 政府に対する要望(上位のみ)(世代別、2013年6月)
↑ 政府に対する要望(上位のみ)(世代別、2013年6月)

「景気対策」「雇用・労働問題への対応」は50代までに高い関心が寄せられているが、60代を超えると急速に低下する。一方で「医療・年金等の社会保障の整備」「高齢社会対策」は60代まで一方的な上昇をみせている。以前【失業対策が第一、少子化対策が次点…現在不十分で今後力を入れるべき社会福祉とは】でも触れたが、自分自身にとって何が一番望まれるのかを第一に考えてしまい、それがそのまま値に反映されているのが分かる(「我が身恋しや」である)。概して要望への関心が低い高齢層でも、「高齢社会対策」以外に「物価対策」においても他世代とさほど変わらない高い値を見せているのが好例といえる。

なお今件はそれぞれ独立した項目で「要望のある・無し」を尋ねているが、本来政策は多数項目が連動して行われる(べき)ものであることを書き記しておく。どれか一つの政策のみに焦点を絞って注力しても、他の項目が足を引っ張られることになり(リソースは有限)、結局マイナスの影響を受けた項目が注力した部分にも悪影響を及ぼし、全体的な環境も悪化してしまうからである。それぞれの項目の連鎖性・波及効果を考慮した上で、政策方針が決定され、具体的施策が打たれるべきだろう。


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