諸外国別に見るソーシャルメディアの実名・匿名の利用実態(2014年)

2014/09/05 08:30

ソーシャルメディアを使う際に大きな検討課題となる要素の一つが「実名・匿名問題」。規定が無いサービスもあれば、Facebookのように実質的に実名、または実名同様に用いられている通称を利用するのが前提で、匿名は使えないものもある。実名、匿名それぞれメリット・デメリットがあり、また個人のプライバシーに関する指針や思惑から、意見は多種多様に分かれるのが実情というところ。今回は総務省が2014年7月15日に公開した、【情報通信白書】の最新版(2014年版)から、日本、そして諸外国の状況を確認していくことにする。

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今回参照するのは白書のうち、総務省が2014年3月に実施した「ICTの進化がもたらす社会へのインパクトに関する調査研究」の結果を基にしたもの。この調査は男女・10年区切りの年齢で均等割り当て(10代は16歳以上、50歳以上はひとまとめ)で、各国とも1000人を対象としたインターネットアンケート形式で行われている。

SNS(ソーシャルメディア。チャット系アプリは今件では含む)の利用状況と、利用に際して実名を使うかそれとも匿名かを聞いた結果が次のグラフ。今件回答に含まれない部分は、そのサービスを使っていないことになる。なお横軸はすべての国で区切り具合を統一している。

↑ SNSの利用有無と匿名・実名利用の比率(日本)
↑ SNSの利用有無と匿名・実名利用の比率(日本)

Facebook、ツイッター、チャット系アプリそれぞれ利用率は約4割。やや低めに見えるかもしれないが、シニア層も回答していることを考えれば相応のもの。Facebookは実名利用派が多いが、ツイッターは逆に匿名を使う事例の方が多い。チャット系アプリは半々。掲示板やブログはほぼ匿名利用で、特に掲示板の匿名性の高さが、日本における「ネットのコミュニティは匿名利用」との通例を創り出したともいえる(正確、厳密にいえば「匿名性掲示板の流行が」である)。

他国の動向を見ると、色々な国ごとの特性が見えてくる。まずは西欧諸国3か国として、アメリカ、フランス、イギリスの様子を確認する。

↑ SNSの利用有無と匿名・実名利用の比率(アメリカ)
↑ SNSの利用有無と匿名・実名利用の比率(アメリカ)

↑ SNSの利用有無と匿名・実名利用の比率(フランス)
↑ SNSの利用有無と匿名・実名利用の比率(フランス)

↑ SNSの利用有無と匿名・実名利用の比率(イギリス)
↑ SNSの利用有無と匿名・実名利用の比率(イギリス)

Facebookの8割前後をはじめ、諸サービス共に米英共に利用状況は日本よりも上。ただしフランスでは米英、さらには日本と比べても低い値に留まっている。実名・匿名性だが、実名利用が推奨されるFacebookでは実名利用度は日本と同程度、欧米では日本より高い割合となっている。また推奨が無いツイッター、昔から使われている掲示板やブログでは、日本と比べて匿名利用度が低いのが目に留まる。やはり日本の匿名利用性向は高いように見える。

同調査では日本同様にアジアセクターとなるシンガポールや韓国ではどうだろうか。

↑ SNSの利用有無と匿名・実名利用の比率(シンガポール)
↑ SNSの利用有無と匿名・実名利用の比率(シンガポール)

↑ SNSの利用有無と匿名・実名利用の比率(韓国)
↑ SNSの利用有無と匿名・実名利用の比率(韓国)

両国ともデジタル技術の国家的な促進もあり、ソーシャルメディアと相性の良いスマートフォンの普及率が高いことで知られているが、それを反映して各サービスの利用率、特にFacebookとチャット系アプリの値が高い。一方で、Facebookの実名利用率の高さや、その他サービスの実名・匿名利用度合いは日本よりもむしろ欧米諸国のそれに近い。日本における匿名の利用性向の高さは、アジア共通……ではなく、日本独自の傾向と見て良さそうだ。



日本のインターネットコミュニティにおける匿名好きは、法的なプライバシー保護の不整備度合いや対応の遅れも一因(実名利用におけるリスクが高く、法的な歯止めが効きにくい)だが、むしろそれよりは本文で触れている通り、インターネットの普及発展過程において、匿名利用による掲示板が大いに用いられたことを起因とする。また、その「匿名による掲示板利用」が流行った理由を考えれば、たまたまそのタイプのスクリプトが多数配布され、また大手も使ったことに加え、社会文化性的にそのタイプが好かれたのも大きな要因だろう(当時からも記名性、登録制の掲示板スクリプトも多数が配布されている)。

なお今件データを基に、ツイッターの「利用者における」実名・匿名利用比率を算出すると次の通りとなる。

↑ ツイッター利用者における実名・匿名利用比率
↑ ツイッター利用者における実名・匿名利用比率

複数アカウントによる双方利用を足すと差異はやや縮まるが、それでもなお日本の匿名好きが改めて理解できるというものだ。


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