2017年2月度外食産業売上プラス1.8%…6か月連続して前年比プラスを計上

2017/03/28 05:16

日本フードサービス協会は2017年3月27日付で、同協会の会員会社で構成される外食産業の市場動向調査における最新値となる、2017年2月度の調査結果を公開した。それによると同月の総合売り上げは前年同月比でプラス1.8%を計上した。日取りの上では土曜が1日少なく、さらにうるう年の関係もあり日数そのものが1日少ないなど大いに足を引っ張る形となったが、ファストフードの健闘もあり、全体ではプラスを計上した。また初のプレミアムフライデーに関しては都心の居酒屋などの一部でプラスの効果があった程度で、全体としては動きを見せるほどのものではないとのコメントが寄せられている(【日本フードサービス協会:発表リリースページ】)。

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今調査はファストフードやファミレス、パブレストランや居酒屋、ディナーレストラン、喫茶店などを対象としている。対象数は事業者数が192、店舗数は3万3752店舗。今月は前月と比較すると事業社数は減少、店舗数も減少している。

全業態すべてを合わせた2017年2月度売り上げ状況は、前年同月比で101.8%となり、1.8%の増加を記録した。これは先月から継続する形で6か月連続の増加となる。前年同月と比べると日取り(休日や土曜日の日数)の上では休日は変わらないものの土曜日は1日少なく、さらに2月の総日数そのものもうるう年の関係で今年は前年と比べて1日少なく、客数の点ではマイナスの影響を与えている。気温は東京・大阪共に前年と比べてやや低めだったが、雨天日は東京で1日マイナス、大阪でも1日プラスとなり、客足の上ではややマイナス。結果として日取り・天候の上では客足・客単価の上で少なからぬマイナス影響がある状況となった。

業態別に動向を見ると、ファストフードは全体では前月から続く形で15か月連続のプラス(プラス4.6%)。ハンバーガーチェーン店がメインの洋風だが、そのメイン企業となるマクドナルドは、2014年夏からの相次ぐトラブルをきっかけとした多様な問題点の露呈による低迷から復活の動きを見せ始めており、該当月では消費者参加型のプロモーションの展開や季節限定商品などで売上を大きく伸ばし、洋風全体のけん引すら果たす形となった。今回月では洋風は客単価がプラス2.5%、客数はプラス4.7%となり、売上高は7.2%のプラス。

マクドナルド単体の2017年2月における営業成績はプラス17.9%(売上、既存店、前年同月比)と大規模な上げ幅を示しており、これがファストフード洋風全体へのプラスの影響を与えたものと考えられる(前年同月における前年同月比はプラス18.3%。反動の類は無い)。なお同業他社のモスバーガーではマイナス10.9%(同)を示している。

牛丼チェーン店を含む和風は、客数はマイナス0.7%、客単価はプラス2.1%と成し、売上はプラス1.4%とプラスを計上。「店舗数の増加と新メニューの投入による客単価上昇」とリリースにあるが、これは牛丼チェーン店に関わる月次記事でも言及の通り、吉野家の「牛カルビ生姜焼き丼・定食」や、松屋の「豚バラ生姜焼き定食」「豚肉とたっぷり冬野菜炒め」「親子丼」、さらにはすき家の「牛すき焼き丼」などが該当するものと考えられる。「その他」ではカレー関連店が期間限定商品などで客単価を底上げし(プラス2.6%)、結果として売り上げもプラス2.0%を成した。

ファミリーレストラン部門は大よそ客単価は前年同月比でプラマイゼロ、あるいは1%前後のプラスを計上しているが、客数が伸び悩み、売上も焼肉以外は軒並みマイナスを示している。説明には「営業日数減と土曜日が少ない曜日周りの影響で客数が減少」とあり、日取りの悪さが特に影響を与えたようだ。ただし焼肉は2月9日に「肉の日キャンペーン」を実施したことで集客に成功し、売上をプラス化している。

パブ/居酒屋部門では特に居酒屋の減退ぶり(売り上げはマイナス4.7%)が目に留まる。「都心部の一部ではプレミアムフライデーの集客に奏功した店もあった」の解説が見られるが、それでもなお客数はマイナス4.1%。ただし店舗数もマイナス4.8%を示しており、実質的に店舗数の減退による客数及び売り上げ減との解釈もできる。

ディナーレストラン(高級レストランに代表されるリッチスタイルな専門飲食店)は客数は2.4%のプラス、客単価はプラス0.5%で売上もプラス2.9%を示した。

↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2017年2月分)
↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2017年2月分)

日取りや気象環境は
かなりネガティブ。
ファストフードは
洋風が大いにけん引し
他の業種もおおむね好調。
ファミレスは日取りの
影響が大きく大よそマイナス。
居酒屋は
プレミアムフライデーの
後押しもあるがそれでも
マイナスから脱せず。
2014年4月の消費税率改定に伴う消費性向の減退影響も直接的にはあまり生じなかった外食産業だが(今件各種計上値は税抜比較で行っているため、消費税率引き上げに伴う「税込の」売上上昇は、業績動向には直接は影響を与えない)、2014年夏における天候の悪化、そして中国産鶏肉食材問題と2つのイレギュラー的なマイナス要素が足を引っ張り、むしろ状況は2014年夏以降は低迷感をぬぐえない状態が続いていた。特に後者は食材問題自身の影響に加え、それをきっかけとして業界の一部部門(ファストフード・洋食)における根本的な問題が露呈する形となった。大きな社会問題化した異物混入事件まで加わり、2014年夏以降大きなシェアを有するマクドナルドに相次いでいる状況に、ファストフード部門、さらには外食産業全体が多分に振り回されている感はあった。

2015年7月からは軟調化開始から1年が経過することもあり、該当事業の「前年同月比における」マイナス幅は縮小。そして昨今ではヒット作も相次ぎ、数字の上でも明らかに復調している。現在はかつて自他ともに認められていた「洋風、そしてファストフード全体のけん引役」の立場に戻りつつあるか、今後どこまで良い数字を見せ、さらには外食全体の機関車的役割を果たすのかが楽しみではある。

ファストフード内の和風のメインとなる牛丼チェーン店だが、吉野家を中心にこれまでの廉価店の店舗イメージから少しずつ、そして確実に、ワンステップ上の価格帯における商品展開を行う業務スタイルにシフトしている。客数の減退と客単価の上昇が連動して起きる状況が継続し、中期的戦略転換が数字となって表れている。ただし吉野家は単価と客数のバランス調整に難儀しており、他の主要チェーン店に後れを取る状況が続いている。

ファミレスは今回月は日取りの影響があるが、2016年以降はそれまでとは雰囲気がやや変化を見せつつある。中食に多分に客を奪われている感はあるが、もう少し状況を眺めたいところ。

居酒屋の不調続きは要注意ポイント。こちらは純粋にビジネススタイルそのものが時代の流れの中で歯車のずれを生じ、店舗数そのものも漸減してしまっている。個人客の取り込みが上手くいかないとの解説は、居酒屋の実情を如実に表している。さらに今後禁煙の動きが加速するに連れ、マイナス要素がまた一つ加わる可能性はある。「多様なメニューが少量で、安価で注文できる」との居酒屋独自のメニュー展開の上では、子供連れにもマッチしそうな感はあるが、その役割は焼き肉店やファミレスがすでに確保しているとの見方もあり(さらには回転寿司もその座を狙う動きを見せている)、実情は難しい。

現在は可処分所得の減少、中食へのシフト、お酒を飲む機会の変化など、居酒屋にはマイナスとなる環境の変化の真っただ中にある。複数人数が一緒に来店して会食をする点では、飲酒以外は類似点が多いファミリーレストラン部門が大よそ堅調なのも対象的(ただしファミレスも上記の通り2016年以降は成長が足踏み状態にある)。

吉呑みもっとも居酒屋の業態そのものが時代に取り残されたわけでは無い。牛丼チェーン店の吉野家が運用している「吉呑み」が堅調さを示し、適用店舗数を続々と増やしている。最近ではスマートフォンのアプリと連動する形でのボトルキープなる手法も導入し、さらに注力度を高めている。

牛丼業界の動きやディナーレストラン、ファミリーレストランの動きの良さを合わせ見ると、外食産業でも消費の二極化が進んでおり、中庸的なポジションの市場が縮小している感は否めない。また消費者の中食志向の拡大や高齢化により、客の一部が奪われている・遠のいている雰囲気も見受けられる。外食産業全体の動向を精査するうえで、店舗数動向もあわせ、今後も注視すべき重要ポイントに違いない。


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