2016年10月度外食産業売上プラス5.3%…2か月連続して前年比プラスを計上

2016/11/25 16:47

日本フードサービス協会は2016年11月25日付で、同協会の会員会社で構成される外食産業の市場動向調査における最新値となる、2016年10月度の調査結果を公開した。それによると同月の総合売り上げは前年同月比でプラス5.3%を計上した。天候は比較的悪かったものの、前年同月と比べると休日が1日多く、主軸店が大きく奮闘し、外食産業全体をもけん引する形となった(【日本フードサービス協会:発表リリースページ】)。

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今調査はファストフードやファミレス、パブレストランや居酒屋、ディナーレストラン、喫茶店などを対象としている。対象数は事業者数が193、店舗数は3万3460店舗。今月は前月と比較すると事業社数は減少、店舗数は増加している。

全業態すべてを合わせた2016年10月度売り上げ状況は、前年同月比で105.3%となり、5.3%の増加を記録した。これは先月から継続する形で2か月連続の増加となる。前年同月と比べると日取り(休日や土曜日の日数)の上では土曜日こそ変わらないものの休日は1日多く、客数の点ではプラスの影響を与えている。また度重なる悪天候もあり東京では前年同月比で4日、大阪では6日も雨天日数が多く、客足を引っ張った。一方でハロウィン効果がファストフード店を中心に需要を底上げしている。

業態別に動向を見ると、ファストフードは全体では前月から続く形で11か月連続のプラス(プラス9.4%)。ハンバーガーチェーン店がメインの洋風だが、そのメイン企業となるマクドナルドは、2014年夏からの相次ぐトラブルをきっかけとした多様な問題点の露呈による低迷からようやく復活の動きを見せ始めており、該当月では過去商品の復刻キャンペーンが好調を示し、洋風全体のけん引すら果たす形となった。今回月では洋風は客単価がプラス7.4%、客数はプラス5.1%となり、売上高は実に12.9%と1割以上のプラス。

マクドナルド単体の2016年10月における営業成績はプラス23.4%(売上、既存店、前年同月比)と大規模な上げ幅を示しており、これがファストフード洋風全体へのプラスの影響を与えたものと考えられる(前年同月における前年同月比は-0.3%。反動の類はほとんど無い)。なお同業他社のモスバーガーではプラス0.5%(同)を示している。

牛丼チェーン店を含む和風は、客数はプラス14.5%、客単価はマイナス1.7%と成し、売上はプラス12.6%と大幅なプラスを計上。「携帯会社とのコラボキャンペーンが客数を押し上げ」とリリースにはあるが、これは牛丼チェーン店に関わる月次記事でも言及の通り、吉野家とソフトバンクの間で実施されたクーポンメールが該当する。麺類でも「携帯アプリでの販促や新商品が好調で」との言及が見られ、コラボレーション企画をはじめとした積極的な広報展開が売り上げにもプラスの影響を与えているようだ。

ファミリーレストラン部門は日取りで大きく客足がけん引され、客単価はトントンな状態となり、結果として売り上げはプラスに。好調な焼肉は値ごろ感のある商品展開の結果客数がプラス7.5%と大きく伸びたが、客単価はマイナス2.5%と下げたため、売り上げはプラス4.8%に留まった(それでもファミリーレストラン部門では最大の伸び率だが)。

パブ/居酒屋部門では特に居酒屋の減退ぶりが著しい。客数がマイナス8.4%と、全詳細区分で最大の下げ幅。報告書に「引き続き店舗削減」とあるが、店舗数はマイナス6.2%であることから、単純試算だが店舗数減少分以上に客足が遠のいているのがうかがえる。

ディナーレストラン(高級レストランに代表されるリッチスタイルな専門飲食店)は客数は6.4%のプラスと大きく健闘、客単価がいくぶん落ちたが売り上げはプラス5.7%を示した。

↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2016年10月分)
↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2016年10月分)

日取りが有利に働き
天候悪化のマイナスもあったが
客足は大よそ堅調。
ファストフード洋風の復活と
和風の客数大幅増は
それぞれ主軸店舗がけん引。
ファミレスも客単価は横ばいだが
客数が伸びて一様にプラス。
2014年4月の消費税率改定に伴う消費性向の減退影響も直接的にはあまり生じなかった外食産業だが(今件各種計上値は税抜比較で行っているため、消費税率引き上げに伴う「税込の」売上上昇は、業績動向には直接は影響を与えない)、2014年夏における天候の悪化、そして中国産鶏肉食材問題と2つのイレギュラー的なマイナス要素が足を引っ張り、むしろ状況は2014年夏以降は低迷感をぬぐえない状態が続いていた。特に後者は食材問題自身の影響に加え、それをきっかけとして業界の一部部門(ファストフード・洋食)における根本的な問題が露呈する形となった。大きな社会問題化した異物混入事件まで加わり、2014年夏以降大きなシェアを有するマクドナルドに相次いでいる状況に、ファストフード部門、さらには外食産業全体が多分に振り回されている感はあった。

2015年7月からは軟調化開始から1年が経過することもあり、該当事業の「前年同月比における」マイナス幅は縮小。昨今ではヒット作も相次ぎ、ようやく堅調さを取り戻しつつあるようだ。今後どこまでファストフードを、そして外食全体を良い意味で振り回すのか、楽しみではある。

ファストフード内の和風のメインとなる牛丼チェーン店だが、吉野家を中心にこれまでの廉価店の店舗イメージから少しずつ、そして確実に、ワンステップ上の価格帯における商品展開を行う業務スタイルにシフトしている。客数の減退と客単価の上昇が連動して起きる状況が継続し、中期的戦略転換が数字となって表れている。他方、今回月のスマホとのタイアップキャンペーンは特記事項となるほどに客数の大幅増と売上アップをもたらしたが、これが吉野家自身の利益増加につながるものであれば、成功経験として同じ、あるいは似たようなキャンペーンが定期的に行われる可能性もある。

居酒屋の不調続きは要注意ポイント。こちらは純粋にビジネススタイルそのものが時代の流れの中で歯車のずれを生じ、店舗数そのものも漸減してしまっている。

現在は可処分所得の減少、中食へのシフト、お酒を飲む機会の変化など、居酒屋にはマイナスとなる環境の変化の真っただ中にある。複数人数が一緒に来店して会食をする点では、飲酒以外は類似点が多いファミリーレストラン部門が大よそ堅調なのも対象的。店舗数の急速な減少は、状況の悪化を受け、淘汰が進んでいるように見える。

吉呑みもっとも居酒屋の業態そのものが時代に取り残されたわけでは無い。牛丼チェーン店の吉野家が運用している「吉呑み」が堅調さを示し、適用店舗数を続々と増やしている。最近ではスマートフォンのアプリと連動する形でのボトルキープなる手法も導入し、さらに注力度を高めている。

ちょっと一杯飲みに行くスタイルでは先駆者ともいえる中華料理店の日高屋が好評を博しているとの報告もなされ、その市場の実情が明らかにされている現状を見るに(運営会社のハイデイ日高の月次売上を確認すると、ここ数年は前年同月比でほとんどの月においてプラスを呈している。ちなみに今回該当月にあたる2016年10月は既存店で客数マイナス2.5%・客単価プラス1.1%、売上高マイナス1.4%を計上している。もっとも前年同月における前年同月比は既存店の売上高がプラス8.0%であることから、反動によるマイナス化と解釈してもよさそうだ)、既存の居酒屋にも環境を直視した上で、何らかの変化が求められているように思える。

牛丼業界の動きやディナーレストラン、ファミリーレストランの動きの良さを合わせ見ると、外食産業でも消費の二極化が進んでおり、中庸的なポジションの市場が縮小している感は否めない。外食産業全体の動向を精査するうえで、店舗数動向もあわせ、今後も注視すべき重要ポイントに違いない。


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