2018年10月度外食産業売上プラス1.7%…26か月連続して前年比プラスを計上

2018/11/27 10:08

2018-1025日本フードサービス協会は2018年11月26日付で、同協会の会員会社で構成される外食産業の市場動向調査における最新値となる、2018年10月度の調査結果を公開した。それによると同月の総合売上は前年同月比でプラス1.7%を計上した。該当月は日取りの上では不利だったが天候に恵まれたこと、前年同月が相次ぐ台風で客足が遠のいていたことからの反動を受け、客数はプラスとなり、客単価はややマイナスだったが売上はプラスを計上する形となった(【日本フードサービス協会:発表リリースページ】)。

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今調査はファストフードやファミレス、パブレストランや居酒屋、ディナーレストラン、喫茶店などを対象としている。対象数は事業者数が201、店舗数は3万6380店舗。今回月は前回月と比較すると事業社数は増加、店舗数は減少している。

全業態すべてを合わせた2018年10月度売上状況は、前年同月比で101.7%となり、1.7%の増加を記録した。これは前回月から継続する形で26か月連続の増加。前年同月と比べると日取り(休日や土曜日の日数)の上では休日は1日少なく土曜日は変わらないことから、売上にはマイナスの影響。一方気象環境では東京で8日・大阪では11日雨天日が少なく、平均気温は東京と大阪ともに高めとなり、客足の点ではプラスの影響をもたらすことに。

結果として客数は全体では前年同月比でプラス2.2%を計上している。一方で客単価はマイナス0.6%を計上しており、結果として売上はプラスを示す形となった。

業態別に動向を見ると、ファストフードは全体では前回月から続く形で33か月連続のプラス(プラス1.5%)。ハンバーガーチェーン店がメインの洋風だが、そのメイン企業となるマクドナルドは、2014年夏からの相次ぐトラブルをきっかけとした多様な問題点の露呈による低迷から復活の動きを見せている。今回月では「携帯会社とのコラボキャンペーンの効果で客数増加も、客単価が下がったことなどから、売上は前年並み」とあり、au主催の「三太郎の日」キャンペーンでマクドナルドの「ダブルチーズバーガー」をプレゼントする企画の結果が透けて見える形となっている。その洋風は客単価がマイナス5.4%、客数はプラス5.6%となり、売上高は0.1%のマイナス。なおマクドナルド単体の2018年10月における営業成績はプラス1.0%(売上、既存店、前年同月比)とプラスだがギリギリ感のある結果を示している。

牛丼チェーン店を含む和風は、客数はプラス2.4%、客単価はプラス1.7%と成し、売上はプラス4.1%。「他業態とコラボした割引キャンペーンなどで客数堅調」とリリースにはあり、ガストとの定期券コラボ企画が効果を発揮したようだ。

ファミリーレストラン部門は客数ではマイナス0.6%、客単価はプラス1.3%、売上はプラス0.7%とプラスを計上。洋風では「期間限定メニューなどの支持で客単価の上昇傾向は続いているものの、客数の減少も続いており」とコメントにあり、多分に客単価に支えられた感は否めない。「和風」も洋風と同様のコメントで、客数はマイナスを計上しており、客単価のプラスでかろうじて売上もプラスを示している。他方「焼き肉」は「売上増加だが、休日が少ない曜日回りの影響もあり、伸び幅は縮小」とコメントされており、他業種から比べれば贅沢なコメントが確認できる。

パブ/居酒屋部門では、居酒屋の売上はプラス4.1%。「安定した天候から前年より客数」と説明されており、久々の大幅プラスが天候の恩恵によるところが大きかったのが分かる。もっとも前年同月における前年同月比がマイナス5.5%だったことから、その反動によるところも大きいのだが。パブ・ビアホールも堅調で売上はプラス2.0%。部門全体では売上はプラス3.6%を示した。

ディナーレストラン(高級レストランに代表されるリッチスタイルな専門飲食店)は客数は2.0%のプラス、客単価はマイナス0.1%で売上はプラス1.9%を示した。

今回月で21回目となるプレミアムフライデーの影響だが、具体的な数字となって表れるほどの影響は無かったようで、解説コメントには文言は一切確認ができなかった。

↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2018年10月分)
↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2018年10月分)

日取りは不利だが
温暖な天候がプラス。
前年同月が
ダブル台風到来による
大きなマイナスで
その反動も。
2014年4月の消費税率改定に伴う消費性向の減退影響も直接的にはあまり生じなかった外食産業だが(今件各種計上値は税抜比較で行っているため、消費税率引き上げに伴う「税込の」売上上昇は、公開される業績動向には直接は影響を与えない)、2014年夏における天候の悪化、そして中国産鶏肉食材問題と2つのイレギュラー的なマイナス要素が足を引っ張り、むしろ状況は2014年夏以降は低迷感をぬぐえない状態が続いていた。特に後者は食材問題自身の影響に加え、それをきっかけとして業界の一部部門(ファストフード・洋食)における根本的な問題が露呈する形となった。大きな社会問題化した異物混入事件まで加わり、2014年夏以降大きなシェアを有するマクドナルドに相次いでいる状況に、ファストフード部門、さらには外食産業全体が多分に振り回されている感はあった。

2015年7月からは軟調化開始から1年が経過することもあり、該当事業の「前年同月比における」マイナス幅は縮小。そして昨今ではヒット作も相次ぎ、数字の上でも明らかに復調している。現在はかつて自他ともに認められていた「洋風、そしてファストフード全体のけん引役」の立場に戻り、月次で毎月のように売上高の前年同月比1割前後のアップを計上している。今後どこまで良好な数字を見せ、さらには外食全体の機関車的役割を果たすのかが楽しみではある。

ファストフード内の和風のメインとなる牛丼チェーン店だが、吉野家を中心にこれまでの廉価店の店舗イメージから少しずつ、そして確実に、ワンステップ上の価格帯における商品展開を行う業務スタイルにシフトしている。客数の減退と客単価の上昇が連動して起きる状況が継続し、中期的戦略転換が数字となって表れている。

ファミレスは2016年以降は、雰囲気的にそれまでのような好調さとは異なる様相が見えつつある。中食に多分に客を奪われている感はあるが、もう少し状況を眺めたいところ。客数の伸び悩みが顕著ではある(キャンペーンが当たれば大きな飛躍が生じるが)。しかし焼き肉だけは例外で、客数が伸び続けており、ファミレス部門におけるトレンドが変化しているのだろう。チェーンストアでも肉部門は堅調なことから、食生活の変化の波に乗っているようだ。

現在は可処分所得の減少、中食へのシフト、お酒を飲む機会の変化など、居酒屋にはマイナスとなる環境の変化の真っただ中にある。複数人数が一緒に来店して会食をする点では、飲酒以外は類似点が多いファミリーレストラン部門がおおよそ堅調なのも対象的。

吉呑みもっとも居酒屋の業態そのものが時代に取り残されたわけでは無い。牛丼チェーン店の吉野家が運用している「吉呑み」が堅調さを示し、適用店舗数を続々と増やしている。最近ではスマートフォンのアプリと連動する形でのボトルキープなる手法も導入し、さらに注力度を高めている。

牛丼業界の動きやディナーレストランの動向を併せ見ると、外食産業でも消費の二極化が進んでおり、中庸的なポジションの市場が縮小している感は否めない。また消費者の中食志向の拡大や高齢化により、客の一部が奪われている・遠のいている雰囲気も見受けられる。吉野家やマクドナルドが夕食メニューに力を入れているのも、高齢化に併せた動きの可能性も否定できない。さらにこれらの動きは総じて、客単価の引き上げという戦略目標にもつながっているとの解釈もできる。客単価の引き上げはファミリーレストランにも生じており、こちらも結果としては売上維持、さらには売上増につながる成果を示している。

これらは外食産業全体の動向を精査する上で、店舗数動向もあわせ、今後も注視すべき重要ポイントに違いない。


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