2021年12月度外食産業売上プラス9.5%…5か月ぶりの前年比プラス

2022/01/25 14:29

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2022-0125日本フードサービス協会は2022年1月25日付で、同協会の会員会社で構成される外食産業の市場動向調査における最新値となる、2021年12月度の調査結果を公開した。それによると同月の総合売上は前年同月比でプラス9.5%を示した。営業時間短縮要請や酒類提供の制限が無くなったことで復調の動きが生じているが、コロナ禍の影響が大きかった前年同月と比べてのプラスでしかなく、さらに夜の需要は厳しい状態が継続中ではある(【日本フードサービス協会:発表リリースページ】)。

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今調査はファストフードやファミレス、パブレストランや居酒屋、ディナーレストラン、喫茶店などを対象としている。対象数は事業者数が225、店舗数は3万6573店舗。今回月は前回月と比較すると事業社数は増加、店舗数は減少している。

全業態すべてを合わせた2021年12月度売上状況は、前年同月比で109.5%となり、9.5%の増加を記録した。これは前回月から転じる形で5か月ぶりの増加。前年同月と比べると日取り(休日や土曜日の日数)の上では休日も土曜日も変わらず、売上には影響無し。気象環境では雨天日は東京と大阪ともに多く、平均気温は東京と大阪ともに高めのため、客足への影響判断はプラスマイナスゼロと解釈できる。

新型コロナウイルスの流行による外出自粛や多人数が集まる場所への忌避感は強いものの、まん延防止等重点措置や緊急事態宣言が2021年9月末で解除されており、10月下旬には首都圏1都3県や大阪府での時短営業要請の解除も行われ、今回月の12月には各種制限が無くなったことから、客足が戻る状況となった。ただし夜間を中心にコロナ禍以前に戻ったとはいいがたい状況で、さらに店舗数の1割ほどの減少など業態そのものの構造が変化してしまっているとの指摘がある。

結果として客数は全体では前年同月比でプラス5.6%を示した。一方で客単価はプラス3.6%となり、結果として総合売上はプラス9.5%に。

業態別に詳しく動向を見ると、ファストフードは全体では前回月から継続する形で10か月連続のプラス(プラス3.6%)。ハンバーガーチェーン店がメインの洋風だが、そのメイン企業となるマクドナルドは、2014年夏からの相次ぐトラブルをきっかけとした多様な問題点の露呈による低迷から復活の動きを見せている。今回月では「海外からの食材調達に支障が生じたためメニュー提供の制限を余儀なくされたところもあったが、引き続きテイクアウト、デリバリー、ドライブスルーが堅調」とあり、フライドポテトの供給不足・一時停止問題が売上に影響を与えたことが指摘されている。しかし中食需要への対応が好調なのは継続しており、売上はプラス3.6%とプラスに。なお2年前同月比、つまり新型コロナウイルス流行前となる2019年12月との比較では、プラス9.4%を示している。

なおマクドナルド単体の2021年12月における営業成績はプラス2.4%(売上、既存店、前年同月比)とプラスを示している。客数はプラス0.6%、客単価はプラス1.9%と堅調な伸びを示している。フライドポテトの件は「12月は、ポテトの調達において、船便の経由地であるカナダ・バンクーバー港での大規模な水害と、コロナ禍による世界的な物流網への混乱の影響から、「マックフライポテト」の販売を24日から30日までSサイズのみの販売とさせていただきました」と詳細な説明がされている。

牛丼チェーン店を含む和風は、客数はプラス6.3%、客単価はプラス1.3%となり、売上はプラス7.7%。麺類は客数プラス3.9%、客単価はプラスマイナスゼロ%となり、売上はプラス3.9%。和風は「メディア露出や新商品の展開が奏功」とある。持ち帰り米飯/回転寿司は売上がプラス5.0%。「「回転寿司」業態において年末の帰省客が増加したことなどが寄与し」とあり、規制解除が間接的に貢献した形だ。

ファミリーレストラン部門は客数ではマイナス5.6%、客単価はプラス0.8%、売上はマイナス4.8%。規制は解除されたものの、特に夜間における客足の鈍さは継続しており、コロナ禍による環境下での営業に苦戦している実情がうかがえる。

パブ/居酒屋部門では、パブ・ビアホールの売上はプラス60.2%、居酒屋の売上はプラス38.0%。部門全体では売上はプラス44.3%を示した。「飲酒業態はコロナ下で営業制限が無くなった初めての年末となった。年末を中心に少人数の個人客の戻りが見られたこともあり」と説明されており、規制の解除で客足が戻り、回復の動きが生じていることがうかがえる。ただし「企業の忘年会などの予約がほぼない」「大幅に市場が縮小し、業態として大きな曲がり角に来ている」との説明もある。

ディナーレストラン(高級レストランに代表されるリッチスタイルな専門飲食店)は客数はプラス19.9%、客単価はプラス4.2%で売上はプラス24.8%を示した。「法人の利用は未だ低調が続くも、個人単位での利用は比較的底堅く推移」との説明がある。

今回月で58回目となるプレミアムフライデーの影響だが、解説コメントでは一切そのフレーズは確認できなかった。新型コロナウイルスの流行でそれどころではない、そもそも在宅勤務が増えているため実施する機会もないのが実情だろう。

↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2021年12月分)
↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2021年12月分)

↑ 外食産業売上前年同月比(業態別)(2021年12月)
↑ 外食産業売上前年同月比(業態別)(2021年12月)

↑ 外食産業売上2年前同月比(業態別)(2021年12月)
↑ 外食産業売上2年前同月比(業態別)(2021年12月)

各種規制解除で
規制解除で客足は
徐々に戻る。
しかしコロナ禍と
比べるとまだ厳しく
市場構造が変化したとの
指摘もある。
2014年4月の消費税率改定に伴う消費性向の減退影響も直接的にはあまり生じなかった外食産業だが(今件各種公開値は税抜比較で行っているため、消費税率引き上げに伴う「税込の」売上上昇は、公開される業績動向には直接は影響を与えない)、2014年夏における天候の悪化、そして中国産鶏肉食材問題と2つのイレギュラー的なマイナス要素が足を引っ張り、むしろ状況は2014年夏以降は低迷感をぬぐえない状態が続いていた。特に後者は食材問題自身の影響に加え、それをきっかけとして業界の一部部門(ファストフード・洋食)における根本的な問題が露呈する形となった。大きな社会問題化した異物混入事件まで加わり、2014年夏以降大きなシェアを有するマクドナルドに相次いでいる状況に、ファストフード部門、さらには外食産業全体が多分に振り回されている感はあった。

2015年7月からは軟調化開始から1年が経過することもあり、該当事業の「前年同月比における」マイナス幅は縮小。そして昨今ではヒット作も相次ぎ、数字の上でも明らかに復調している。現在はかつて自他ともに認められていた「洋風、そしてファストフード全体のけん引役」の立場に戻り、月次で毎月のように売上高の前年同月比1割前後のアップを示している。今後どこまで良好な数字を見せ、さらには外食全体の機関車的役割を果たすのか楽しみではある。

ファストフード内の和風のメインとなる牛丼チェーン店だが、吉野家を中心にこれまでの廉価店の店舗イメージから少しずつ、そして確実に、ワンステップ上の価格帯における商品展開を行う業務スタイルにシフトしている。客数の減退と客単価の上昇が連動して起きる状況が継続し、中期的戦略転換が数字となって表れている。

ファミレスは2016年以降は、雰囲気的にそれまでのような好調さとは異なる様相が見えつつある。中食に多分に客を奪われている感はあるが、もう少し状況を眺めたいところ。客数の伸び悩みが顕著ではある。報告書でも「客足が伸びない最近の傾向」との表記があるほど。しかし焼き肉だけは例外で、客数が伸び続けており、ファミレス部門におけるトレンドが変化しているのだろう。チェーンストアでも精肉部門は堅調なことから、食生活の変化の波に乗っているようだ。

吉呑み現在は可処分所得の減少、中食へのシフト、お酒を飲む機会の変化など、居酒屋にはマイナスとなる環境の変化の真っただ中にある。もっとも居酒屋の業態そのものが時代に取り残されたわけではない。牛丼チェーン店の吉野家が展開している「吉呑み」が堅調さを示し、適用店舗数を続々と増やしている。

牛丼業界の動きやディナーレストランの動向を併せ見ると、外食産業でも消費の二極化が進んでおり、中庸的なポジションの市場が縮小している感は否めない。また消費者の中食志向の拡大や高齢化により、客の一部が奪われている・遠のいている雰囲気も見受けられる(特に持ち帰りができないファミリーレストラン)。吉野家やマクドナルドが夕食メニューに力を入れているのも、高齢化に合わせた動きの可能性も否定できない。さらにこれらの動きは総じて、客単価の引き上げという戦略目標にもつながっているとの解釈もできる。客単価の引き上げはファミリーレストランにも生じており、こちらも結果としては売上維持、さらには売上増につながる成果を示している。

テーブルにもソーシャルディスタンス新型コロナウイルスの影響だが、そもそも論として店舗が自主休業していれば客が来るはずもなく、営業しても(場合によっては自治体からの要請に従う形で)時短や販売品の制限を行うところも多く、イートインは客同士の距離を取るために収容効率が悪化、さらに来店客数そのものが三密忌避気運で少ないことから、客数は激減する形となった。企業も従業員のリスク回避で集団での外食をひかえたり、リモートワークの浸透で出社する人が少ないため催しで外食を使う機会が無くなり、これも大きなマイナスの影響を与えている。疫病の影響である以上、仕方がないとはいえ、衝撃的な値には違いない。

特にその店舗スタイルや就業者向けのビジネスの色合いが強いパブや居酒屋は大きな痛手が継続している。前年同月比でこそプラスとなったが、コロナ禍前の2年前同月比では燦燦たる状況に違いない。

次回月の2022年1月分では、新型コロナウイルスの新規感染者数は増加に転じており、さらに多くの地域でまん延防止等重点措置が実施に移されていることから、外食産業にとっては厳しい状況に違いない。客数が再び大きく減少し、売上もマイナスとなる業態が多々出てくるだろう。


↑ 今件記事のダイジェストニュース動画。併せてご視聴いただければ幸いである



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