2019年12月度外食産業売上プラス1.0%…2か月連続の前年比プラス

2020/01/27 14:45

このエントリーをはてなブックマークに追加
2020-0127日本フードサービス協会は2020年1月27日付で、同協会の会員会社で構成される外食産業の市場動向調査における最新値となる、2019年12月度の調査結果を公開した。それによると同月の総合売上は前年同月比でプラス1.0%を示した。該当月は日取りの上では土日祝日合計が前年同月と比べて2日少なく、消費税率引き上げによる影響や法人の忘年会の減少など多様な要因が足を引っ張ることになったが、ファストフード業態の堅調さが底上げする形となり、結果として売上はプラスとなった(【日本フードサービス協会:発表リリースページ】)。

スポンサードリンク


今調査はファストフードやファミレス、パブレストランや居酒屋、ディナーレストラン、喫茶店などを対象としている。対象数は事業者数が191、店舗数は3万5583店舗。今回月は前回月と比較すると事業社数は増加、店舗数も増加している。

全業態すべてを合わせた2019年12月度売上状況は、前年同月比で101.0%となり、1.0%の増加を記録した。これは前回月から継続する形で2か月連続の増加。前年同月と比べると日取り(休日や土曜日の日数)の上では休日土曜日ともに1日ずつ少なく、売上にはマイナスの影響。気象環境では雨天日は東京で多く大阪では少なく、平均気温は東京・大阪ともに少々高めのため、客足への影響判断は難しいところ。

他方マイナス要因としては就業環境改善の一環として忘年会の強制参加を止める動きから生じた忘年会そのものの減少、同じく就業環境改善から生じた大みそかなどの営業時間短縮、禁煙店舗の増加、さらには消費税率引き上げに伴う商業施設への客足の遠のきに連動する形で商業施設に併設されている外食店の客入りの不振など、多様な動きが挙げられる。

しかしながらファストフードが大いに健闘し、結果として客数は全体では前年同月比でプラス0.9%を示している。一方で客単価はプラス0.1%となり、結果として売上はプラスを示す形となった。

業態別に動向を見ると、ファストフードは全体では前回月から続く形で47か月連続のプラス(プラス3.5%)。ハンバーガーチェーン店がメインの洋風だが、そのメイン企業となるマクドナルドは、2014年夏からの相次ぐトラブルをきっかけとした多様な問題点の露呈による低迷から復活の動きを見せている。今回月では「期間限定商品やクリスマスシーズンのチキンが好調」とあり、グラコロシリーズやチキンマックナゲットの3割引きキャンペーンが評価されたようだ。

その洋風は客単価がプラスマイナス0.0%、客数はプラス3.3%となり、売上高は3.3%のプラス。なおマクドナルド単体の2019年12月における営業成績はプラス2.1%(売上、既存店、前年同月比)とプラスを示している。

牛丼チェーン店を含む和風は、客数はプラス1.4%、客単価はプラス4.0%と成し、売上はプラス5.4%。「引き続き季節商品や定食メニューの好調で客単価上昇」とリリースにはあり、鍋メニューや松屋の「ビーフシチュー定食」が功を奏したようだ(ビーフシチュー定食」は原料の供給が追い付かずに一時販売休止に追い込まれるほど)。

ファミリーレストラン部門は客数ではマイナス3.7%、客単価はプラス2.1%、売上はマイナス1.7%とマイナス。洋風・和風合わせて「禁煙店舗の拡大や営業時間短縮に加え、消費増税による節約志向なのか、全般的に客数が振るわず」とあり、マイナス要因がダイレクトに影響したようだ。もっとも同部門では日取りの影響が大きいため、休日土曜日合わせて2日少ない日取りによるところが大きいように思われるのだが。一方、前回月に続き禁煙化の進行が客足を引っ張る形となるとの言及があるのは興味深い。「焼き肉」は「お得なキャンペーンの奏功や、冬休みのファミリー需要が堅調」とコメントされており、客数はプラス3.6%となり売上もプラス4.3%と大きなプラスを示した。

パブ/居酒屋部門では、居酒屋の売上はマイナス5.2%、パブ・ビアホールの売上はマイナス2.7%。部門全体では売上はマイナス4.8%を示した。居酒屋の不調は「若者を中心に忘年会を敬遠する風潮があり、全体的に宴会需要が振るわず」と説明されている。

ディナーレストラン(高級レストランに代表されるリッチスタイルな専門飲食店)は客数はプラスマイナス0.0%、客単価はマイナス0.4%で売上はマイナス0.4%を示した。「法人の忘年会減少の影響を受け、特に月後半の集客が伸びなかったところもあり」との説明がある。

今回月で34回目となるプレミアムフライデーの影響だが、解説コメントでは一切そのフレーズは確認できなかった。

↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2019年12月分)
↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2019年12月分)

日取りの悪さや
消費税率引き上げなど
多様なマイナス要因があるも
全体としてはプラス。
日取りの影響が大きく出る
ファミレスはマイナスに。
禁煙化が足を引っ張るとの指摘。
2014年4月の消費税率改定に伴う消費性向の減退影響も直接的にはあまり生じなかった外食産業だが(今件各種公開値は税抜比較で行っているため、消費税率引き上げに伴う「税込の」売上上昇は、公開される業績動向には直接は影響を与えない)、2014年夏における天候の悪化、そして中国産鶏肉食材問題と2つのイレギュラー的なマイナス要素が足を引っ張り、むしろ状況は2014年夏以降は低迷感をぬぐえない状態が続いていた。特に後者は食材問題自身の影響に加え、それをきっかけとして業界の一部部門(ファストフード・洋食)における根本的な問題が露呈する形となった。大きな社会問題化した異物混入事件まで加わり、2014年夏以降大きなシェアを有するマクドナルドに相次いでいる状況に、ファストフード部門、さらには外食産業全体が多分に振り回されている感はあった。

2015年7月からは軟調化開始から1年が経過することもあり、該当事業の「前年同月比における」マイナス幅は縮小。そして昨今ではヒット作も相次ぎ、数字の上でも明らかに復調している。現在はかつて自他ともに認められていた「洋風、そしてファストフード全体のけん引役」の立場に戻り、月次で毎月のように売上高の前年同月比1割前後のアップを示している。今後どこまで良好な数字を見せ、さらには外食全体の機関車的役割を果たすのか楽しみではある。

ファストフード内の和風のメインとなる牛丼チェーン店だが、吉野家を中心にこれまでの廉価店の店舗イメージから少しずつ、そして確実に、ワンステップ上の価格帯における商品展開を行う業務スタイルにシフトしている。客数の減退と客単価の上昇が連動して起きる状況が継続し、中期的戦略転換が数字となって表れている。

ファミレスは2016年以降は、雰囲気的にそれまでのような好調さとは異なる様相が見えつつある。中食に多分に客を奪われている感はあるが、もう少し状況を眺めたいところ。客数の伸び悩みが顕著ではある。報告書でも「客足が伸びない最近の傾向」との表記があるほど。しかし焼き肉だけは例外で、客数が伸び続けており、ファミレス部門におけるトレンドが変化しているのだろう。チェーンストアでも精肉部門は堅調なことから、食生活の変化の波に乗っているようだ。

吉呑み現在は可処分所得の減少、中食へのシフト、お酒を飲む機会の変化など、居酒屋にはマイナスとなる環境の変化の真っただ中にある。もっとも居酒屋の業態そのものが時代に取り残されたわけでは無い。牛丼チェーン店の吉野家が運用している「吉呑み」が堅調さを示し、適用店舗数を続々と増やしている。最近ではスマートフォンのアプリと連動する形でのボトルキープなる手法も導入し、さらに注力度を高めている。

牛丼業界の動きやディナーレストランの動向を併せ見ると、外食産業でも消費の二極化が進んでおり、中庸的なポジションの市場が縮小している感は否めない。また消費者の中食志向の拡大や高齢化により、客の一部が奪われている・遠のいている雰囲気も見受けられる(特に持ち帰りができないファミリーレストラン)。吉野家やマクドナルドが夕食メニューに力を入れているのも、高齢化に併せた動きの可能性も否定できない。さらにこれらの動きは総じて、客単価の引き上げという戦略目標にもつながっているとの解釈もできる。客単価の引き上げはファミリーレストランにも生じており、こちらも結果としては売上維持、さらには売上増につながる成果を示している。

ここ数か月の報告書の言及や実データからは、社会の動きが大きく業績に影響を与えている気配が多々見受けられる。特に禁煙化による客足の遠のきという実情に、ファミレスはどのような対応を見せるのだろうか。


■関連記事:
【定期更新記事:外食産業(日本フードサービス協会発表)】(今カテゴリの過去記事一覧)
【景気ウォッチャー調査最新結果】
【セブンのセルフ式コーヒー「セブンカフェ」が全店舗導入完了、今月末には累計2億杯突破へ】
【「日高屋」で飲む人が増えたのは何故だろう...「日高屋とちょい飲みと・外食産業よもやま話」後日談】

スポンサードリンク


関連記事


このエントリーをはてなブックマークに追加
▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2020 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー|Twitter|FacebookPage|Mail|RSS