2018年4月度外食産業売上プラス1.8%…20か月連続して前年比プラスを計上

2018/05/25 15:32

2018-0525日本フードサービス協会は2018年5月25日付で、同協会の会員会社で構成される外食産業の市場動向調査における最新値となる、2018年4月度の調査結果を公開した。それによると同月の総合売り上げは前年同月比でプラス1.8%を計上した。該当月は花見需要のピークが前回月に前倒しされたことで集客にマイナスの影響が生じたが、価格改定や高単価商品の好調さを受けて客単価は上昇しており、客数の軟調さをカバーする形となり、売上はプラスとなった(【日本フードサービス協会:発表リリースページ】)。

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今調査はファストフードやファミレス、パブレストランや居酒屋、ディナーレストラン、喫茶店などを対象としている。対象数は事業者数が207、店舗数は3万6843店舗。今回月は前回月と比較すると事業社数は増加、店舗数も増加している。

全業態すべてを合わせた2018年4月度売り上げ状況は、前年同月比で101.8%となり、1.8%の増加を記録した。これは前回月から継続する形で20か月連続の増加となる。前年同月と比べると日取り(休日や土曜日の日数)の上では休日は変わらず土曜日も変わらず、売上には影響は無し。一方気象環境では東京・大阪ともに雨天日は少なく、平均気温は高めとなり、客足の点ではプラスの影響をもたらすこととなった。しかしながら今年は前回月の天候のよさから花見需要が前倒しされており、結果として客数は減少する形となった。

業態別に動向を見ると、ファストフードは全体では前回月から続く形で28か月連続のプラス(プラス2.1%)。ハンバーガーチェーン店がメインの洋風だが、そのメイン企業となるマクドナルドは、2014年夏からの相次ぐトラブルをきっかけとした多様な問題点の露呈による低迷から復活の動きを見せ始めており、今回月では「定番商品をアレンジした新商品が牽引」が好調で客数・客単価上昇とあり、朝マックのベーコンエッグマックサンドや、ビックマックのベーコン入り版、ソフトクリームの「ワッフルコーン」などが業績をけん引したようだ。その洋風は客単価がプラス1.1%、客数はプラス2.3%となり、売上高は3.4%のプラス。

マクドナルド単体の2018年4月における営業成績はプラス7.4%(売上、既存店、前年同月比)とプラスを示しており、これがファストフード洋風全体へのプラスの影響を与えたものと考えられる。

牛丼チェーン店を含む和風は、客数はプラス0.5%、客単価はプラス3.6%と成し、売上はプラス4.1%。「原料高による価格改定等で客単価の上昇が続いており」とリリースにはあり、すき家や松屋の値上げがプラスに影響したようだ。

ファミリーレストラン部門は客数がやや鈍いが客単価がけん引して売上はプラス。洋風では「引き続き店舗限定の特別メニューや高付加価値メニューが好評で客単価が上昇」とあり、価格引き上げの中で客数を減らさずに売り上げ増を果たしているようだ。「和風」はお花見需要が前回月に前倒しされたのが響いて客数が減り、売上もマイナス。「中華」はキャンペーンによる売り上げアップが数字となって表れている。また「焼肉」は「根強い肉ブームに加え、メディア露出による集客効果など」との説明で、客単価はマイナス0.1%となったが客数がプラス5.8%と大幅アップ、結果として売上もプラス5.7%を計上した。

パブ/居酒屋部門では居酒屋の店舗数の減少が影響してか客数が減り、これが売り上げの足を引っ張る形となり、売上はマイナス4.3%。パブ・ビアホールは客単価が落ちて売上はプラス0.1%。結果として部門全体ではマイナス3.3%を示した。

ディナーレストラン(高級レストランに代表されるリッチスタイルな専門飲食店)は客数は3.7%のプラス、客単価はプラス0.3%で売上はプラス4.0%を示した。

今回月で15回目となるプレミアムフライデーの影響だが、具体的な数字となって表れるほどの影響は無かったようで、解説コメントには文言は一切確認ができなかった。

↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2018年4月分)
↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2018年4月分)

天候はよかったが
行楽需要は前倒しで
前月に吸収され
逆に客数は減少。
高単価商品が
好評を博し
客数減をカバーする。
2014年4月の消費税率改定に伴う消費性向の減退影響も直接的にはあまり生じなかった外食産業だが(今件各種計上値は税抜比較で行っているため、消費税率引き上げに伴う「税込の」売上上昇は、公開される業績動向には直接は影響を与えない)、2014年夏における天候の悪化、そして中国産鶏肉食材問題と2つのイレギュラー的なマイナス要素が足を引っ張り、むしろ状況は2014年夏以降は低迷感をぬぐえない状態が続いていた。特に後者は食材問題自身の影響に加え、それをきっかけとして業界の一部部門(ファストフード・洋食)における根本的な問題が露呈する形となった。大きな社会問題化した異物混入事件まで加わり、2014年夏以降大きなシェアを有するマクドナルドに相次いでいる状況に、ファストフード部門、さらには外食産業全体が多分に振り回されている感はあった。

2015年7月からは軟調化開始から1年が経過することもあり、該当事業の「前年同月比における」マイナス幅は縮小。そして昨今ではヒット作も相次ぎ、数字の上でも明らかに復調している。現在はかつて自他ともに認められていた「洋風、そしてファストフード全体のけん引役」の立場に戻り、月次で毎月のように売上高の前年同月比1割超のアップを計上している。今後どこまで良好な数字を見せ、さらには外食全体の機関車的役割を果たすのかが楽しみではある。

ファストフード内の和風のメインとなる牛丼チェーン店だが、吉野家を中心にこれまでの廉価店の店舗イメージから少しずつ、そして確実に、ワンステップ上の価格帯における商品展開を行う業務スタイルにシフトしている。客数の減退と客単価の上昇が連動して起きる状況が継続し、中期的戦略転換が数字となって表れている。ただし吉野家は単価と客数のバランス調整に難儀しており、他の主要チェーン店に後れを取る状況が続いている。

ファミレスは2016年以降は、雰囲気的にそれまでのような好調さとは異なる様相が見えつつある。中食に多分に客を奪われている感はあるが、もう少し状況を眺めたいところ。客数の伸び悩みが顕著ではある。しかし焼き肉だけは例外で、客数が伸び続けており、ファミレス部門におけるトレンドが変化しているのだろう。チェーンストアでも肉部門は堅調なことから、食生活の変化の波に乗っているのだろう。何しろ今回月では報告書に「肉ブーム」なるフレーズまで登場したぐらいである。

居酒屋の不調続きは要注意ポイント。こちらは純粋にビジネススタイルそのものが時代の流れの中で歯車のずれを生じ、店舗数そのものも漸減してしまっている。さらに今後禁煙の動きが加速するに連れ、マイナス要素がまた一つ加わる可能性はある。「多様なメニューが少量で、安価で注文できる」との居酒屋独自のメニュー展開の上では、子供連れにもマッチしそうな感はあるが、その役割は焼き肉店やファミレスがすでに確保しているとの見方もあり、さらには回転寿司もその座を狙う動きを見せていることから、実情は難しい。

現在は可処分所得の減少、中食へのシフト、お酒を飲む機会の変化など、居酒屋にはマイナスとなる環境の変化の真っただ中にある。複数人数が一緒に来店して会食をする点では、飲酒以外は類似点が多いファミリーレストラン部門が大よそ堅調なのも対象的。

吉呑みもっとも居酒屋の業態そのものが時代に取り残されたわけでは無い。牛丼チェーン店の吉野家が運用している「吉呑み」が堅調さを示し、適用店舗数を続々と増やしている。最近ではスマートフォンのアプリと連動する形でのボトルキープなる手法も導入し、さらに注力度を高めている。

牛丼業界の動きやディナーレストランの動向を併せ見ると、外食産業でも消費の二極化が進んでおり、中庸的なポジションの市場が縮小している感は否めない。また消費者の中食志向の拡大や高齢化により、客の一部が奪われている・遠のいている雰囲気も見受けられる。吉野家やマクドナルドが夕食メニューに力を入れているのも、高齢化に併せた動きの可能性も否定できない。さらにこれらの動きは総じて、客単価の引き上げという戦略目標にもつながっているとの解釈もできる。

これらは外食産業全体の動向を精査するうえで、店舗数動向もあわせ、今後も注視すべき重要ポイントに違いない。


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