2019年10月度外食産業売上マイナス2.4%…3か月ぶりの前年比マイナス

2019/11/26 10:12

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2019-1126日本フードサービス協会は2019年11月25日付で、同協会の会員会社で構成される外食産業の市場動向調査における最新値となる、2019年10月度の調査結果を公開した。それによると同月の総合売上は前年同月比でマイナス2.4%を示した。該当月は日取りの上では土日祝日合計が前年同月と比べて1日多かったものの、前年同月と比べて雨の日が多かったことに加え連休を台風が直撃したこと、そして消費税率引き上げによる駆け込み需要の反動が商業施設で発生したことなどで客足が減り、結果として売上はマイナスとなった(【日本フードサービス協会:発表リリースページ】)。

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今調査はファストフードやファミレス、パブレストランや居酒屋、ディナーレストラン、喫茶店などを対象としている。対象数は事業者数が187、店舗数は3万5005店舗。今回月は前回月と比較すると事業社数は減少、店舗数は減少している。

全業態すべてを合わせた2019年10月度売上状況は、前年同月比で97.6%となり、2.4%の減少を記録した。これは前回月から転じる形で3か月ぶりの減少。前年同月と比べると日取り(休日や土曜日の日数)の上では土曜日は変わらないが休日は1日多く、売上にはプラスの影響。気象環境では雨天日は東京・大阪ともに多く、平均気温は東京・大阪ともに少々高く、客足にはマイナス。さらに連休において台風19号が直撃する形となり、客足を大きく引っ張った。そして今回月は消費税率引き上げの月で、前回月の駆け込み需要の反動が商業施設に発生して客足が減少し、それに伴う外食需要も足を引っ張られ、客足が大きく減る形となった。

結果として客数は全体では前年同月比でマイナス5.4%を示している。一方で客単価はプラス3.2%となり、結果として売上はマイナスを示す形となった。

業態別に動向を見ると、ファストフードは全体では前回月から続く形で45か月連続のプラス(プラス0.6%)。ハンバーガーチェーン店がメインの洋風だが、そのメイン企業となるマクドナルドは、2014年夏からの相次ぐトラブルをきっかけとした多様な問題点の露呈による低迷から復活の動きを見せている。今回月では「期間限定商品の好評」とあり、三角チョコパイシリーズが評価されたようだ。

その洋風は客単価がプラス6.4%、客数はマイナス1.3%となり、売上高は5.0%のプラス。なおマクドナルド単体の2019年10月における営業成績はプラス4.3%(売上、既存店、前年同月比)とプラスを示している。

牛丼チェーン店を含む和風は、客数はマイナス0.2%、客単価はプラス2.4%と成し、売上はプラス2.2%。「季節商品の前倒しや定食メニューのキャンペーン頻度を増やすなどで客単価上昇」とリリースにはあり、鍋メニューの先行展開などが功を奏したようだ。

ファミリーレストラン部門は客数ではマイナス7.3%、客単価はプラス2.2%、売上はマイナス5.3%とマイナス。洋風・和風合わせて「フェア品などで好調なところもあったが、客足が伸びない最近の傾向は変わらず、さらに台風と消費増税の影響で客数が大幅に下がり」とあり、各種環境の底上げにもかかわらず客入りが今一つで、さらにイレギュラー要素が重なり売上が大きなマイナスを示してしまったようだ。「焼き肉」は「店舗増」とコメントされており、客数はプラス0.8%となり売上もプラス0.8%とプラスを示した。

パブ/居酒屋部門では、居酒屋の売上はマイナス8.6%、パブ・ビアホールの売上はプラス2.7%。部門全体では売上はマイナス6.5%を示した。居酒屋の不調は「店舗減とお盆以降の集客低調に加え、台風による休業が響き」と説明されている。

ディナーレストラン(高級レストランに代表されるリッチスタイルな専門飲食店)は客数は3.4%のマイナス、客単価はプラスマイナス0.0%で売上はマイナス3.4%を示した。「台風と消費増税の影響で月前半を中心に客足が振るわず」との説明がある。

今回月で32回目となるプレミアムフライデーの影響だが、解説コメントでは一切そのフレーズは確認できなかった。

↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2019年10月分)
↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2019年10月分)

台風が連休直撃。
消費税率引き上げで
さらに足が引っ張られる。
ファミレスは
客足が鈍いまま。
2014年4月の消費税率改定に伴う消費性向の減退影響も直接的にはあまり生じなかった外食産業だが(今件各種公開値は税抜比較で行っているため、消費税率引き上げに伴う「税込の」売上上昇は、公開される業績動向には直接は影響を与えない)、2014年夏における天候の悪化、そして中国産鶏肉食材問題と2つのイレギュラー的なマイナス要素が足を引っ張り、むしろ状況は2014年夏以降は低迷感をぬぐえない状態が続いていた。特に後者は食材問題自身の影響に加え、それをきっかけとして業界の一部部門(ファストフード・洋食)における根本的な問題が露呈する形となった。大きな社会問題化した異物混入事件まで加わり、2014年夏以降大きなシェアを有するマクドナルドに相次いでいる状況に、ファストフード部門、さらには外食産業全体が多分に振り回されている感はあった。

2015年7月からは軟調化開始から1年が経過することもあり、該当事業の「前年同月比における」マイナス幅は縮小。そして昨今ではヒット作も相次ぎ、数字の上でも明らかに復調している。現在はかつて自他ともに認められていた「洋風、そしてファストフード全体のけん引役」の立場に戻り、月次で毎月のように売上高の前年同月比1割前後のアップを示している。今後どこまで良好な数字を見せ、さらには外食全体の機関車的役割を果たすのか楽しみではある。

ファストフード内の和風のメインとなる牛丼チェーン店だが、吉野家を中心にこれまでの廉価店の店舗イメージから少しずつ、そして確実に、ワンステップ上の価格帯における商品展開を行う業務スタイルにシフトしている。客数の減退と客単価の上昇が連動して起きる状況が継続し、中期的戦略転換が数字となって表れている。

ファミレスは2016年以降は、雰囲気的にそれまでのような好調さとは異なる様相が見えつつある。中食に多分に客を奪われている感はあるが、もう少し状況を眺めたいところ。客数の伸び悩みが顕著ではある。報告書でも「客足が伸びない最近の傾向」との表記があるほど。しかし焼き肉だけは例外で、客数が伸び続けており、ファミレス部門におけるトレンドが変化しているのだろう。チェーンストアでも肉部門は堅調なことから、食生活の変化の波に乗っているようだ。

吉呑み現在は可処分所得の減少、中食へのシフト、お酒を飲む機会の変化など、居酒屋にはマイナスとなる環境の変化の真っただ中にある。もっとも居酒屋の業態そのものが時代に取り残されたわけでは無い。牛丼チェーン店の吉野家が運用している「吉呑み」が堅調さを示し、適用店舗数を続々と増やしている。最近ではスマートフォンのアプリと連動する形でのボトルキープなる手法も導入し、さらに注力度を高めている。

牛丼業界の動きやディナーレストランの動向を併せ見ると、外食産業でも消費の二極化が進んでおり、中庸的なポジションの市場が縮小している感は否めない。また消費者の中食志向の拡大や高齢化により、客の一部が奪われている・遠のいている雰囲気も見受けられる(特に持ち帰りができないファミリーレストラン)。吉野家やマクドナルドが夕食メニューに力を入れているのも、高齢化に併せた動きの可能性も否定できない。さらにこれらの動きは総じて、客単価の引き上げという戦略目標にもつながっているとの解釈もできる。客単価の引き上げはファミリーレストランにも生じており、こちらも結果としては売上維持、さらには売上増につながる成果を示している。

今回月は消費税率引き上げ直後で駆け込み需要の反動が生じており、さらに台風19号が大きな影響を与え、中には実被害で売上が物理的に落ちたケースもあるほど。消費税率の引き上げによる消費マインドの低下がどのような影響を見せるのか、年末商戦がどこまでそのネガティブな空気を払しょくするのか、大いに注目したいところではある。


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