2020年11月度外食産業売上マイナス7.8%…9か月連続の前年比マイナス

2020/12/25 15:52

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2020-1225日本フードサービス協会は2020年12月25日付で、同協会の会員会社で構成される外食産業の市場動向調査における最新値となる、2020年11月度の調査結果を公開した。それによると同月の総合売上は前年同月比でマイナス7.8%を示した。新型コロナウイルスの感染状況に関して再拡大の動きがあり、客足が再び遠のきを見せている。政府や自治体による行動自粛要請や営業時間短縮要請も足を引っ張る形となった(【日本フードサービス協会:発表リリースページ】)。

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今調査はファストフードやファミレス、パブレストランや居酒屋、ディナーレストラン、喫茶店などを対象としている。対象数は事業者数が215、店舗数は3万7634店舗。今回月は前回月と比較すると事業社数は減少、店舗数も減少している。

全業態すべてを合わせた2020年11月度売上状況は、前年同月比で92.2%となり、7.8%の減少を記録した。これは前回月から続く形で9か月連続の減少。前年同月と比べると日取り(休日や土曜日の日数)の上では休日は1日多く、土曜日は1日変わらず、売上にはプラスの影響。気象環境では雨天日は東京は少なく大阪は多く、平均気温は東京・大阪ともに高めのため、客足への影響判断はわずかにプラスと解釈できる。

他方、新型コロナウイルスの流行による外出自粛や多人数が集まる場所への忌避感は強い。感染者数の増加による第三波の認識がなされ、客数の大幅減が継続する状況となっている。また就業者の在宅勤務も継続されており、就業者相手の業態では苦戦が続いている。

結果として客数は全体では前年同月比でマイナス12.2%を示した。一方で客単価はプラス5.0%となり、結果として売上はマイナス7.8%に。前回月の売上高マイナス5.7%より悪化してしまっている。

業態別に詳しく動向を見ると、ファストフードは全体では前回月から続く形で2か月連続のプラス(プラス0.9%)。ハンバーガーチェーン店がメインの洋風だが、そのメイン企業となるマクドナルドは、2014年夏からの相次ぐトラブルをきっかけとした多様な問題点の露呈による低迷から復活の動きを見せている。今回月では「ドライブスルー、テイクアウト、デリバリーのサービスがさらに充実し、キャンペーンやメディア露出とあいまって」とあり、テイクアウトやデリバリーの選択肢を持つことへの奏功の影響が大きく、売上はプラス10.4%と大幅なプラスに。なおマクドナルド単体の2020年11月における営業成績はプラス9.6%(売上、既存店、前年同月比)と大幅なプラスを示している。

牛丼チェーン店を含む和風は、客数はマイナス7.8%、客単価はプラス3.9%と成し、売上はマイナス4.3%。麺類は客数マイナス15.9%、客単価はプラス2.9%と成し、売上はマイナス13.5%。和風は「テイクアウトもできる高単価の季節メニューが好調であったが、下旬には行動自粛要請等で客足が落ち」とあり、冬定番のすき鍋定食が健闘したものの、新型コロナウイルスの感染拡大で勢いが打ち消されてしまったようだ。持ち帰り米飯/回転寿司は売上がマイナス0.2%。

ファミリーレストラン部門は客数ではマイナス15.1%、客単価はプラス5.5%、売上はマイナス10.4%。全体として「コロナ新規感染者数の増加に伴い、週を追うごとに客足が落ちていき」とあり、客の入りの落ち込みが打撃となったようだ。焼き肉は「各種キャンペーン等により好調を維持した店が牽引し」との言及がある(売上はプラス9.4%)。

パブ/居酒屋部門では、居酒屋の売上はマイナス41.2%、パブ・ビアホールの売上はマイナス50.6%。部門全体では売上はマイナス42.8%を示した。「引き続きコロナによる打撃は他業態よりも大きく、行政からの行動自粛や営業時間短縮の要請が売上不振に拍車をかけ」と説明されており、新型コロナウイルスの流行と業界の体質との相性の悪さをはじめ、多様な影響を大きく受けていることがうかがえる。

ディナーレストラン(高級レストランに代表されるリッチスタイルな専門飲食店)は客数はマイナス26.9%、客単価はプラス2.5%で売上はマイナス26.6%を示した。「「コロナ第3波」の影響をもろに受け、特にビジネス街や繁華街の夜の時間帯の落ち込みは大きく」との説明がある。

今回月で45回目となるプレミアムフライデーの影響だが、解説コメントでは一切そのフレーズは確認できなかった。新型コロナウイルスの流行でそれどころではない、そもそも在宅勤務が増えているため実施する機会もないのが実情だろう。

↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2020年11月分)
↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2020年11月分)

↑ 外食産業売上高前年同月比(業態別)(2020年11月)
↑ 外食産業売上高前年同月比(業態別)(2020年11月)

新型コロナウイルスの
感染再拡大で
客足遠のく。
法人需要は大きく減退。
業態そのものの
体質故に大きな損失を
受けるケースも。
2014年4月の消費税率改定に伴う消費性向の減退影響も直接的にはあまり生じなかった外食産業だが(今件各種公開値は税抜比較で行っているため、消費税率引き上げに伴う「税込の」売上上昇は、公開される業績動向には直接は影響を与えない)、2014年夏における天候の悪化、そして中国産鶏肉食材問題と2つのイレギュラー的なマイナス要素が足を引っ張り、むしろ状況は2014年夏以降は低迷感をぬぐえない状態が続いていた。特に後者は食材問題自身の影響に加え、それをきっかけとして業界の一部部門(ファストフード・洋食)における根本的な問題が露呈する形となった。大きな社会問題化した異物混入事件まで加わり、2014年夏以降大きなシェアを有するマクドナルドに相次いでいる状況に、ファストフード部門、さらには外食産業全体が多分に振り回されている感はあった。

2015年7月からは軟調化開始から1年が経過することもあり、該当事業の「前年同月比における」マイナス幅は縮小。そして昨今ではヒット作も相次ぎ、数字の上でも明らかに復調している。現在はかつて自他ともに認められていた「洋風、そしてファストフード全体のけん引役」の立場に戻り、月次で毎月のように売上高の前年同月比1割前後のアップを示している。今後どこまで良好な数字を見せ、さらには外食全体の機関車的役割を果たすのか楽しみではある。

ファストフード内の和風のメインとなる牛丼チェーン店だが、吉野家を中心にこれまでの廉価店の店舗イメージから少しずつ、そして確実に、ワンステップ上の価格帯における商品展開を行う業務スタイルにシフトしている。客数の減退と客単価の上昇が連動して起きる状況が継続し、中期的戦略転換が数字となって表れている。

ファミレスは2016年以降は、雰囲気的にそれまでのような好調さとは異なる様相が見えつつある。中食に多分に客を奪われている感はあるが、もう少し状況を眺めたいところ。客数の伸び悩みが顕著ではある。報告書でも「客足が伸びない最近の傾向」との表記があるほど。しかし焼き肉だけは例外で、客数が伸び続けており、ファミレス部門におけるトレンドが変化しているのだろう。チェーンストアでも精肉部門は堅調なことから、食生活の変化の波に乗っているようだ。

吉呑み現在は可処分所得の減少、中食へのシフト、お酒を飲む機会の変化など、居酒屋にはマイナスとなる環境の変化の真っただ中にある。もっとも居酒屋の業態そのものが時代に取り残されたわけでは無い。牛丼チェーン店の吉野家が運用している「吉呑み」が堅調さを示し、適用店舗数を続々と増やしている。最近ではスマートフォンのアプリと連動する形でのボトルキープなる手法も導入し、さらに注力度を高めている。

牛丼業界の動きやディナーレストランの動向を併せ見ると、外食産業でも消費の二極化が進んでおり、中庸的なポジションの市場が縮小している感は否めない。また消費者の中食志向の拡大や高齢化により、客の一部が奪われている・遠のいている雰囲気も見受けられる(特に持ち帰りができないファミリーレストラン)。吉野家やマクドナルドが夕食メニューに力を入れているのも、高齢化に併せた動きの可能性も否定できない。さらにこれらの動きは総じて、客単価の引き上げという戦略目標にもつながっているとの解釈もできる。客単価の引き上げはファミリーレストランにも生じており、こちらも結果としては売上維持、さらには売上増につながる成果を示している。

テーブルにもソーシャルディスタンス新型コロナウイルスの影響だが、そもそも論として店舗が自主休業していれば客が来るはずもなく、営業しても時短や販売品の制限を行うところも多く、イートインは客同士の距離を取るために収容効率が悪化、さらに来店客数そのものが三密忌避気運で少ないことから、客数は激減する形となった。企業も従業員のリスク回避で集団での外食をひかえたり、リモートワークの浸透で出社する人が少ないため催しで外食を使う機会が無くなり、これも大きなマイナスの影響を与えている。疫病の影響である以上、仕方がないとはいえ、衝撃的な値には違いない。特にその店舗スタイルや就業者向けのビジネスの色合いが強いパブや居酒屋は大きな痛手が継続している。

次回月の12月では、新型コロナウイルスの感染者数再増加で第三波到来が確定するとともに、国や自治体から各種要請が出されるなどで、年末需要が吹き飛んでいるのが実情。一部業態を除けば恐らくは今回月以上に悪い値が出るだろう。


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