2016年12月度外食産業売上プラス3.3%…4か月連続して前年比プラスを計上

2017/01/26 05:26

日本フードサービス協会は2017年1月25日付で、同協会の会員会社で構成される外食産業の市場動向調査における最新値となる、2016年12月度の調査結果を公開した。それによると同月の総合売り上げは前年同月比でプラス3.3%を計上した。日取りの上では休日が1日多く底上げ効果が生じたことに加え、ファストフードを中心にクリスマスや年末の外食需要が活性化、さらにファミレスも堅調さを見せ、全体の値を引き上げる形となった(【日本フードサービス協会:発表リリースページ】)。

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今調査はファストフードやファミレス、パブレストランや居酒屋、ディナーレストラン、喫茶店などを対象としている。対象数は事業者数が180、店舗数は3万2793店舗。今月は前月と比較すると事業社数は減少、店舗数も減少している。

全業態すべてを合わせた2016年12月度売り上げ状況は、前年同月比で103.3%となり、3.3%の増加を記録した。これは先月から継続する形で4か月連続の増加となる。前年同月と比べると日取り(休日や土曜日の日数)の上では休日こそ変わらないものの土曜日は1日多く、客数の点ではプラスの影響を与えている。気温は東京・大阪共に前年と比べてやや低めだったが、雨天日は東京で1日プラス、大阪では2日マイナスとなり、天候の上では客足・客単価の上で大きな変化を与えるとは考えにくい状況となっている。

業態別に動向を見ると、ファストフードは全体では前月から続く形で13か月連続のプラス(プラス5.2%)。ハンバーガーチェーン店がメインの洋風だが、そのメイン企業となるマクドナルドは、2014年夏からの相次ぐトラブルをきっかけとした多様な問題点の露呈による低迷から復活の動きを見せ始めており、該当月では人気商品のリニューアルとプラスα商品の展開、付属商品のスペシャル版の提供、多様なキャンペーンの実施などで売上を大きく伸ばし、洋風全体のけん引すら果たす形となった。今回月では洋風は客単価がプラス2.4%、客数はプラス5.9%となり、売上高は8.4%のプラス。

マクドナルド単体の2016年12月における営業成績はプラス17.0%(売上、既存店、前年同月比)と大規模な上げ幅を示しており、これがファストフード洋風全体へのプラスの影響を与えたものと考えられる(前年同月における前年同月比はプラス8.0%。反動の類は無い)。なお同業他社のモスバーガーではマイナス1.2%(同)を示している。

牛丼チェーン店を含む和風は、客数はプラス3.7%、客単価はプラス0.9%と成し、売上はプラス4.6%とプラスを計上。「鍋など季節メニュー、地域限定メニュー、定食の新メニュー等」とリリースにはあるが、これは牛丼チェーン店に関わる月次記事でも言及の通り、吉野家の鍋メニューの展開が該当する。また松屋やすき家の新メニューも含まれるのだろう。「その他」ではアイスクリーム関係店で価格改定とクリスマスケーキ販売の堅調で好調さを示したとあり、季節商品がよく動いたことが確認できる。

ファミリーレストラン部門は日取り効果が幸いし、店舗数はわずかに減ったものの、全体の売り上げはプラス1.7%。洋風ではクリスマス向けのチキンが堅調だったとあり、こちらも季節商品の好調さが業績をけん引したことが分かる。和風では年末需要の伸びはあったものの、店舗数の減少(マイナス1.5%)がわざわいし、マイナスに。焼肉は年末の家族需要が客数を大きく増やす形となり(プラス4.5%)、売り上げをプラス4.4%へと引き上げた。

パブ/居酒屋部門では特に居酒屋の減退ぶりが著しい。年末需要を取り込める業態のはずだが客数はマイナス4.0%。店舗数がマイナス3.1%なので、店舗の減少以上の客離れが生じている。「忘年会の宴会数は前年を越えたものの、個人客の数が伸びず」と説明にはあり、一人飲み需要が他業種にシフトしている実情が掌握できる。

ディナーレストラン(高級レストランに代表されるリッチスタイルな専門飲食店)は客数は5.1%のプラスと大きく健闘、客単価がいくぶん落ちたが売り上げはプラス4.6%を示した。

↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2016年12月分)
↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2016年12月分)

日取りが有利に働き
客数は全般的に増加傾向。
季節商品が大きく動き
業界全体をけん引する。
居酒屋はかき入れ時だが
個人客を逃し厳しい値に。
2014年4月の消費税率改定に伴う消費性向の減退影響も直接的にはあまり生じなかった外食産業だが(今件各種計上値は税抜比較で行っているため、消費税率引き上げに伴う「税込の」売上上昇は、業績動向には直接は影響を与えない)、2014年夏における天候の悪化、そして中国産鶏肉食材問題と2つのイレギュラー的なマイナス要素が足を引っ張り、むしろ状況は2014年夏以降は低迷感をぬぐえない状態が続いていた。特に後者は食材問題自身の影響に加え、それをきっかけとして業界の一部部門(ファストフード・洋食)における根本的な問題が露呈する形となった。大きな社会問題化した異物混入事件まで加わり、2014年夏以降大きなシェアを有するマクドナルドに相次いでいる状況に、ファストフード部門、さらには外食産業全体が多分に振り回されている感はあった。

2015年7月からは軟調化開始から1年が経過することもあり、該当事業の「前年同月比における」マイナス幅は縮小。そして昨今ではヒット作も相次ぎ、数字の上でも明らかに復調している。現在はかつて自他ともに認められていた「洋風、そしてファストフード全体のけん引役」の立場に戻りつつあるか、今後どこまで良い数字を見せ、さらには外食全体の機関車的役割を果たすのかが楽しみではある。

ファストフード内の和風のメインとなる牛丼チェーン店だが、吉野家を中心にこれまでの廉価店の店舗イメージから少しずつ、そして確実に、ワンステップ上の価格帯における商品展開を行う業務スタイルにシフトしている。客数の減退と客単価の上昇が連動して起きる状況が継続し、中期的戦略転換が数字となって表れている。他方、今回の鍋メニューの多様化は複数か月に渡り数字の上でプラスに働いたことが明らかとなり、今後「客の嗜好にマッチした多様化企画」の展開が、成功体験の反復化として成される可能性がある。

居酒屋の不調続きは要注意ポイント。こちらは純粋にビジネススタイルそのものが時代の流れの中で歯車のずれを生じ、店舗数そのものも漸減してしまっている。個人客の取り込みが上手くいかないとの解説は、居酒屋の実情を如実に表している。

現在は可処分所得の減少、中食へのシフト、お酒を飲む機会の変化など、居酒屋にはマイナスとなる環境の変化の真っただ中にある。複数人数が一緒に来店して会食をする点では、飲酒以外は類似点が多いファミリーレストラン部門が大よそ堅調なのも対象的(ただし今回月のように、外部要因に弱いのも事実)。店舗数の急速な減少は、状況の悪化を受け、淘汰が進んでいるように見える。

吉呑みもっとも居酒屋の業態そのものが時代に取り残されたわけでは無い。牛丼チェーン店の吉野家が運用している「吉呑み」が堅調さを示し、適用店舗数を続々と増やしている。最近ではスマートフォンのアプリと連動する形でのボトルキープなる手法も導入し、さらに注力度を高めている。

ちょっと一杯飲みに行くスタイルでは先駆者ともいえる中華料理店の日高屋が好評を博しているとの報告もなされ、その市場の実情が明らかにされている現状を見るに(運営会社のハイデイ日高の月次売上を確認すると、ここ数年は前年同月比でほとんどの月においてプラスを呈している。ちなみに今回該当月にあたる2016年12月は既存店で客数マイナス1.1%・客単価プラス1.3%、売上高プラス0.2%を計上している)、既存の居酒屋にも環境を直視した上で、何らかの変化が求められているように思える。

牛丼業界の動きやディナーレストラン、ファミリーレストランの動きの良さを合わせ見ると、外食産業でも消費の二極化が進んでおり、中庸的なポジションの市場が縮小している感は否めない。外食産業全体の動向を精査するうえで、店舗数動向もあわせ、今後も注視すべき重要ポイントに違いない。


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