2019年8月度外食産業売上プラス3.4%…2か月ぶりに前年比プラス

2019/09/27 10:26

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2019-0927日本フードサービス協会は2019年9月25日付で、同協会の会員会社で構成される外食産業の市場動向調査における最新値となる、2019年8月度の調査結果を公開した。それによると同月の総合売上は前年同月比でプラス3.4%を示した。該当月は日取りの上では土日祝日合計が前年同月と比べて2日多く、前回月と比べて気温が上昇したこと、そしてメニュー改定などで客単価の上昇傾向も続いており、結果として売上はプラスとなった(【日本フードサービス協会:発表リリースページ】)。

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今調査はファストフードやファミレス、パブレストランや居酒屋、ディナーレストラン、喫茶店などを対象としている。対象数は事業者数が188、店舗数は3万5544店舗。今回月は前回月と比較すると事業社数は減少、店舗数は増加している。

全業態すべてを合わせた2019年8月度売上状況は、前年同月比で103.4%となり、3.4%の増加を記録した。これは前回月から転じる形で2か月ぶりの増加。前年同月と比べると日取り(休日や土曜日の日数)の上では休日は変わらないが土曜日は2日多く、売上にはプラスの影響。気象環境では雨天日は東京・大阪ともに多く、平均気温は東京で高く、大阪で低くなり、客足にはややマイナスの影響をおよぼした。

結果として客数は全体では前年同月比でプラス1.2%を示している。一方で客単価はプラス2.2%となり、結果として売上はプラスを示す形となった。

業態別に動向を見ると、ファストフードは全体では前回月から続く形で43か月連続のプラス(プラス5.1%)。ハンバーガーチェーン店がメインの洋風だが、そのメイン企業となるマクドナルドは、2014年夏からの相次ぐトラブルをきっかけとした多様な問題点の露呈による低迷から復活の動きを見せている。今回月では「引き続きお得なランチ商品や期間限定商品等の好調に加え、スパイスの効いたメニュー等で新規顧客を獲得」とあり、「ワイルド スパイシービーフ」「マイルド カレーチキン」やバリューランチが好評だったようだ。ここしばらくはバリューランチの好評さが言及され続けており、大変なヒット商品となっていることがうかがえる。

その洋風は客単価がプラス3.1%、客数はプラス1.3%となり、売上高は4.5%のプラス。なおマクドナルド単体の2019年8月における営業成績はプラス4.7%(売上、既存店、前年同月比)とプラスを示している。

牛丼チェーン店を含む和風は、客数はプラス1.7%、客単価はプラス4.5%と成し、売上はプラス6.3%。「子供を対象にした割引キャンペーンが夏休みのファミリー需要を捉え集客好調」とリリースにはあり、吉野家における7月20日-9月1日限定で実施された「夏休みお子様割」(12歳以下の子供が注文した牛丼並盛が半額の190円をはじめ、多メニューが190円引き)が功を奏したようだ。

ファミリーレストラン部門は客数ではマイナス1.0%、客単価はプラス2.9%、売上はプラス1.9%とプラス。洋風・和風合わせて「有利な曜日周りにもかかわらず、禁煙店舗の増加が客足に影響したところもあり、引き続き客数が振るわず」とあり、日取りの底上げにもかかわらず、禁煙化が足を引っ張る形となったようだ。「焼き肉」は「休日の集客が多い業態特性」とコメントされており、客数はプラス9.7%となり売上もプラス10.0%と大幅なプラスを示した。

パブ/居酒屋部門では、居酒屋の売上はマイナス1.9%、パブ・ビアホールの売上はプラス4.6%。部門全体では売上はマイナス0.4%を示した。居酒屋の不調はお盆以降の集客が振るわなかったと説明されている。

ディナーレストラン(高級レストランに代表されるリッチスタイルな専門飲食店)は客数は2.3%のプラス、客単価はプラス1.2%で売上はプラス3.5%を示した。お盆期間の集客が好調との説明がある。

今回月で30回目となるプレミアムフライデーの影響だが、解説コメントでは一切そのフレーズは確認できなかった。

↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2019年8月分)
↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2019年8月分)

日取りがよく
土日集客な業種で
大幅客数アップ。
ファミレスで
禁煙化による
悪影響を確認。
2014年4月の消費税率改定に伴う消費性向の減退影響も直接的にはあまり生じなかった外食産業だが(今件各種公開値は税抜比較で行っているため、消費税率引き上げに伴う「税込の」売上上昇は、公開される業績動向には直接は影響を与えない)、2014年夏における天候の悪化、そして中国産鶏肉食材問題と2つのイレギュラー的なマイナス要素が足を引っ張り、むしろ状況は2014年夏以降は低迷感をぬぐえない状態が続いていた。特に後者は食材問題自身の影響に加え、それをきっかけとして業界の一部部門(ファストフード・洋食)における根本的な問題が露呈する形となった。大きな社会問題化した異物混入事件まで加わり、2014年夏以降大きなシェアを有するマクドナルドに相次いでいる状況に、ファストフード部門、さらには外食産業全体が多分に振り回されている感はあった。

2015年7月からは軟調化開始から1年が経過することもあり、該当事業の「前年同月比における」マイナス幅は縮小。そして昨今ではヒット作も相次ぎ、数字の上でも明らかに復調している。現在はかつて自他ともに認められていた「洋風、そしてファストフード全体のけん引役」の立場に戻り、月次で毎月のように売上高の前年同月比1割前後のアップを示している。今後どこまで良好な数字を見せ、さらには外食全体の機関車的役割を果たすのか楽しみではある。

ファストフード内の和風のメインとなる牛丼チェーン店だが、吉野家を中心にこれまでの廉価店の店舗イメージから少しずつ、そして確実に、ワンステップ上の価格帯における商品展開を行う業務スタイルにシフトしている。客数の減退と客単価の上昇が連動して起きる状況が継続し、中期的戦略転換が数字となって表れている。

ファミレスは2016年以降は、雰囲気的にそれまでのような好調さとは異なる様相が見えつつある。中食に多分に客を奪われている感はあるが、もう少し状況を眺めたいところ。客数の伸び悩みが顕著ではある。さらに今回月のコメントで見られたように、禁煙化の促進も客足を引っ張っている感はある。しかし焼き肉だけは例外で、客数が伸び続けており、ファミレス部門におけるトレンドが変化しているのだろう。チェーンストアでも肉部門は堅調なことから、食生活の変化の波に乗っているようだ。

吉呑み現在は可処分所得の減少、中食へのシフト、お酒を飲む機会の変化など、居酒屋にはマイナスとなる環境の変化の真っただ中にある。もっとも居酒屋の業態そのものが時代に取り残されたわけでは無い。牛丼チェーン店の吉野家が運用している「吉呑み」が堅調さを示し、適用店舗数を続々と増やしている。最近ではスマートフォンのアプリと連動する形でのボトルキープなる手法も導入し、さらに注力度を高めている。

牛丼業界の動きやディナーレストランの動向を併せ見ると、外食産業でも消費の二極化が進んでおり、中庸的なポジションの市場が縮小している感は否めない。また消費者の中食志向の拡大や高齢化により、客の一部が奪われている・遠のいている雰囲気も見受けられる(特に持ち帰りができないファミリーレストラン)。吉野家やマクドナルドが夕食メニューに力を入れているのも、高齢化に併せた動きの可能性も否定できない。さらにこれらの動きは総じて、客単価の引き上げという戦略目標にもつながっているとの解釈もできる。客単価の引き上げはファミリーレストランにも生じており、こちらも結果としては売上維持、さらには売上増につながる成果を示している。

これらは外食産業全体の動向を精査する上で、店舗数動向もあわせ、今後も注視すべき重要ポイントに違いない。また、10月から施行される消費税率の引き上げで、今業界にはどのような影響があるのか、気になるところだ。節約志向の高まりは外食機会を減らす傾向につながりやすいだけに、具体的な数字となって表れる可能性は否定できない。


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