2017年3月度外食産業売上プラス4.5%…7か月連続して前年比プラスを計上

2017/04/26 10:11

日本フードサービス協会は2017年4月25日付で、同協会の会員会社で構成される外食産業の市場動向調査における最新値となる、2017年3月度の調査結果を公開した。それによると同月の総合売り上げは前年同月比でプラス4.5%を計上した。2度目のプレミアムフライデーに関しては年度末と重なったこともあり、大きな影響は確認できない(【日本フードサービス協会:発表リリースページ】)。

スポンサードリンク


今調査はファストフードやファミレス、パブレストランや居酒屋、ディナーレストラン、喫茶店などを対象としている。対象数は事業者数が186、店舗数は3万3177店舗。今月は前月と比較すると事業社数は減少、店舗数も減少している。

全業態すべてを合わせた2017年3月度売り上げ状況は、前年同月比で104.5%となり、4.5%の増加を記録した。これは先月から継続する形で7か月連続の増加となる。前年同月と比べると日取り(休日や土曜日の日数)の上では休日・土曜日共に日数は変わらず、影響は与えていない。一方気象状況では東京・大阪共に雨天日数は前年より多く、平均気温も低いため、客足面では言葉通り足を引っ張る環境となった。にも関わらず今回月では客足が大きな伸びを示す形となっている。居酒屋が特に影響を受けているが日取りの関係で、終末の金曜日が前年は4日だったが今年は5日となり、1日多いことが大いにプラスに働いた可能性はある。

業態別に動向を見ると、ファストフードは全体では前月から続く形で16か月連続のプラス(プラス6.6%)。ハンバーガーチェーン店がメインの洋風だが、そのメイン企業となるマクドナルドは、2014年夏からの相次ぐトラブルをきっかけとした多様な問題点の露呈による低迷から復活の動きを見せ始めており、該当月では消費者参加型のプロモーションの展開や季節限定商品などで売上を大きく伸ばし、洋風全体のけん引すら果たす形となった。今回月では洋風は客単価がプラス0.4%、客数はプラス7.6%となり、売上高は8.0%のプラス。コメントには「各社まちまちであったが春のキャンペーンが好調なところが牽引」とある。

マクドナルド単体の2017年3月における営業成績はプラス16.5%(売上、既存店、前年同月比)と大規模な上げ幅を示しており、これがファストフード洋風全体へのプラスの影響を与えたものと考えられる(前年同月における前年同月比はプラス18.3%。反動の類は無い)。なお同業他社のモスバーガーではマイナス1.3%(同)を示している。

牛丼チェーン店を含む和風は、客数はプラス4.3%、客単価はプラス1.6%と成し、売上はプラス6.0%とプラスを計上。「店舗数の増加と定食メニューの好調」とリリースにあるが、これは牛丼チェーン店に関わる月次記事でも言及の通り、吉野家の「豚スタミナ丼・定食」や、松屋の「チキングリル定食」、さらにはすき家の「塩さば朝食」「キムチ牛丼」などが該当するものと考えられる。「その他」ではカレー関連店がテレビへの露出などで客数が増加し(プラス3.3%)、結果として売り上げもプラス4.6%を成した。

ファミリーレストラン部門は大よそ客単価は前年同月比でゼロから1%位までのプラスを計上し、客数も同じような伸び率。ただし焼肉では客数がプラス7.8%と大きく伸び、全体をけん引する形となった。「送迎会需要や若年層の需要を取り込み集客好調」とコメントにあり、かつては居酒屋が取り込んでいた需要を焼肉が確保しつつある現状がうかがえる。

パブ/居酒屋部門では上記の通り金曜日が前年同月と比べて1日多いことが幸いし、居酒屋の客数のマイナスぶりが最小限に留まり(マイナス0.8%)、売上も0.8%の減のみとなった。結果としてパブ/居酒屋部門全体ではプラス0.4%となり、25か月ぶりにプラスを計上した。

ディナーレストラン(高級レストランに代表されるリッチスタイルな専門飲食店)は客数は5.4%のプラス、客単価はマイナス0.1%で売上もプラス5.3%を示した。

今回月で2回目となるプレミアムフライデーの影響だが、具体的な数字となって表れるほどの影響は無かったようで、解説コメントには文言は一切確認が出来なかった。月末、さらには年度末と重なったこともあり、外食利用機会が高まるほどの時間の余裕を持つ人はさほどいなかったのだろう。

↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2017年3月分)
↑ 外食産業前年同月比・全店データ(2017年3月分)

気象環境はネガティブ。
されど金曜日が前年より
1日多いことはプラスに。
客数は全般的に堅調で
大区切りの部門では
全てがプラスに。
2014年4月の消費税率改定に伴う消費性向の減退影響も直接的にはあまり生じなかった外食産業だが(今件各種計上値は税抜比較で行っているため、消費税率引き上げに伴う「税込の」売上上昇は、業績動向には直接は影響を与えない)、2014年夏における天候の悪化、そして中国産鶏肉食材問題と2つのイレギュラー的なマイナス要素が足を引っ張り、むしろ状況は2014年夏以降は低迷感をぬぐえない状態が続いていた。特に後者は食材問題自身の影響に加え、それをきっかけとして業界の一部部門(ファストフード・洋食)における根本的な問題が露呈する形となった。大きな社会問題化した異物混入事件まで加わり、2014年夏以降大きなシェアを有するマクドナルドに相次いでいる状況に、ファストフード部門、さらには外食産業全体が多分に振り回されている感はあった。

2015年7月からは軟調化開始から1年が経過することもあり、該当事業の「前年同月比における」マイナス幅は縮小。そして昨今ではヒット作も相次ぎ、数字の上でも明らかに復調している。現在はかつて自他ともに認められていた「洋風、そしてファストフード全体のけん引役」の立場に戻りつつあるか、今後どこまで良い数字を見せ、さらには外食全体の機関車的役割を果たすのかが楽しみではある。

ファストフード内の和風のメインとなる牛丼チェーン店だが、吉野家を中心にこれまでの廉価店の店舗イメージから少しずつ、そして確実に、ワンステップ上の価格帯における商品展開を行う業務スタイルにシフトしている。客数の減退と客単価の上昇が連動して起きる状況が継続し、中期的戦略転換が数字となって表れている。ただし吉野家は単価と客数のバランス調整に難儀しており、他の主要チェーン店に後れを取る状況が続いている。

ファミレスは今回月は日取りの影響があるが、2016年以降はそれまでとは雰囲気がやや変化を見せつつある。中食に多分に客を奪われている感はあるが、もう少し状況を眺めたいところ。

居酒屋の不調続きは要注意ポイント。こちらは純粋にビジネススタイルそのものが時代の流れの中で歯車のずれを生じ、店舗数そのものも漸減してしまっている。個人客の取り込みが上手くいかないとの解説は、居酒屋の実情を如実に表している。さらに今後禁煙の動きが加速するに連れ、マイナス要素がまた一つ加わる可能性はある。「多様なメニューが少量で、安価で注文できる」との居酒屋独自のメニュー展開の上では、子供連れにもマッチしそうな感はあるが、その役割は焼き肉店やファミレスがすでに確保しているとの見方もあり(さらには回転寿司もその座を狙う動きを見せている)、実情は難しい。今回月は日取りに大いに助けられた形となったが、根本的な問題は何も解決していない。

現在は可処分所得の減少、中食へのシフト、お酒を飲む機会の変化など、居酒屋にはマイナスとなる環境の変化の真っただ中にある。複数人数が一緒に来店して会食をする点では、飲酒以外は類似点が多いファミリーレストラン部門が大よそ堅調なのも対象的(ただしファミレスも上記の通り2016年以降は成長が足踏み状態にある)。

吉呑みもっとも居酒屋の業態そのものが時代に取り残されたわけでは無い。牛丼チェーン店の吉野家が運用している「吉呑み」が堅調さを示し、適用店舗数を続々と増やしている。最近ではスマートフォンのアプリと連動する形でのボトルキープなる手法も導入し、さらに注力度を高めている。

牛丼業界の動きやディナーレストラン、ファミリーレストランの動きの良さを合わせ見ると、外食産業でも消費の二極化が進んでおり、中庸的なポジションの市場が縮小している感は否めない。また消費者の中食志向の拡大や高齢化により、客の一部が奪われている・遠のいている雰囲気も見受けられる。外食産業全体の動向を精査するうえで、店舗数動向もあわせ、今後も注視すべき重要ポイントに違いない。


■関連記事:
【定期更新記事:外食産業(日本フードサービス協会発表)】(今カテゴリの過去記事一覧)
【景気ウォッチャー調査最新結果】
【セブンのセルフ式コーヒー「セブンカフェ」が全店舗導入完了、今月末には累計2億杯突破へ】
【「日高屋」で飲む人が増えたのは何故だろう...「日高屋とちょい飲みと・外食産業よもやま話」後日談】

スポンサードリンク




▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2017 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー