今は中国、今後はインド…海外展開している企業の思惑とは(2014年)

2014/08/29 11:30

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原材料や生産工程そのもの、途中加工品など多種多様なレベルで海外とのつながりを有している企業は少なくない。また自社商品の販売先として有望なことから、現地支社・法人を設ける企業も多い。それらの国内企業における展開先としては、どのような国が重要視され、今後有望と認識されているのだろうか。ICT(Information and Communication Technology、情報通信技術)関連企業に限った話ではあるが、総務省が2014年7月15日に公開した、最新版となる2014年度版の【情報通信白書】の公開情報から、その内情をチェックしていくことにする。


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次に示すのは総務省が今年の3月に実施した「ICT産業のグローバル戦略に係る成功要因及び今後の方向性に関する調査研究」の結果を基にした、現在もっとも重視している展開先の国(現状注視国)と、現在もっとも有望視している展開先の国(今後の注視国)。国内の情報通信関連企業を対象にしている。それによると現在日本のICT企業から最注力を受けている国は中国である一方、今後もっとも有望視されているのはインドという結果が出た。

↑ 現在最も重視している国(回答社数)
↑ 現在最も重視している国(回答社数)

↑ 現在最も有望視している国(回答社数)
↑ 現在最も有望視している国(回答社数)

現在注力を集めている国は中国とアメリカに集中しており、インド、タイ、ベトナムなどが続く。市場の大きさと環境整備状況などによるところが大きい。一方で「今後」となると中国を抜いてインドがトップに付き、中国の次にベトナム、ブラジル、ミャンマーなどが続く。白書でも指摘されているが、今後の展開先としては「これから」成長が期待できるアジア・アセアン諸国が注目を集めていることが分かる。

これらの国々に対する展開を模索する理由としては、「今後」の視点で見た結果で、その理由を把握することができる。

↑ 今後有望視する理由(一部)
↑ 今後有望視する理由(一部)

現在重視している国としても大きな注目を集めているアメリカや中国は市場規模への魅力、インドやブラジルはそれに加えて市場の成長率の高さがポイントとなっている。市場成長率の高さではむしろシンガポールやタイ、ミャンマー、ベトナムなども大きいが、市場規模との兼ね合わせも考えるとベトナム、インドネシア、ロシアなどが魅力的に映るだろうか。また人件費の安さとしてはミャンマーやベトナムなども熱い視線が注がれている。

一方、これらの国々への展開が促進されると、国内の活動規模が縮小され、雇用も減ってしまうのではないかとする懸念がある。しかし少なくともICT関連企業ではむしろ国内雇用は拡大するだろうとの見落としの方が大きい。

↑ 国際展開が進んだ場合の日本国内の雇用見通し
↑ 国際展開が進んだ場合の日本国内の雇用見通し

効率的な企業運営により業績の向上と規模の拡大が図られるなどが要因だろう。ただし端末分野ではマイナス値が大きい。これは「これは製造業を中心に低廉な人件費や、より消費地に近い場所での生産など拠点の最適化が進められることが背景にある」と白書の説明にある通りで、海外に移転展開する要素比率が大きいのが要因。見方を変えればICT企業以外の製造業などは、この端末分野同様、日本国内の雇用が縮小する可能性が高いことになる。

あくまでも今件はICT企業に限った話ではあるが、従来型の企業における展開傾向にも大いに当てはまることになる(無論企業の生産する商品やサービスの特性で差異は生じるが)。特に市場規模とその成長率、人件費の関係については、なるほど感を覚えるに違いない。


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