ずりずり下がる平均価格…テレビとノートパソコンの平均単価(2014年)

2014/08/28 15:30

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「耐久消費財」とは数週間や数か月ではなく、数年、少なくとも1年以上継続的に使われる消費財のことを指す。例えば冷蔵庫、電子レンジ、洗濯器などの家電商品が良い例。その多くは技術進歩と需要の拡大に伴う量産効果で価格は下がる傾向にあるが、中でも耐久消費財の代表としてよく取り上げられるテレビやパソコンの価格の下落ぶりは著しい。今回は総務省が2014年7月15日に公開した、最新版となる2014年度版の【情報通信白書】の公開情報を基に、パソコンと液晶テレビの価格推移について確認をしていくことにする。


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「情報通信白書」ではIT機器の代表としてノートパソコンと液晶テレビを例示し、大量生産による量産効果、さらには海外企業との競争激化に伴い、日本国内での製品価格の平均単価が顕著に下落していると言及している。次に示すのは生産ベースでのノートパソコン、出荷ベースでの液晶テレビの平均単価だか、取り上げている期間ではもっとも古い領域の2004年から漸次下落していく様子がうかがえる。

↑ テレビとノートパソコンの平均単価推移(万円/台)
↑ テレビとノートパソコンの平均単価推移(万円/台)

パソコンがデスクトップではなくノートパソコンにスポットライトが当てられているのは、需要の主流がデスクトップからノートパソコンに移行しつつあることに加え、デスクトップパソコンは自社ブランドのカスタマイズタイプなパソコンが多数存在するため、相場の平均値が出しにくいことに由来する。そのノートパソコンはほぼ同じ割合で平均価格を下げている。

一方液晶テレビは2009年から2011年にかけて大きな下げ幅を示している。これは【地デジの切り替え「2011年7月から」知っている人は95.6%! けれども……】【地デジ導入前後のテレビ本体購入性向】などで解説の通り、2011年7月5日に実施された地上テレビ放送のアナログへの切り替えに伴い、テレビ受信器の特需が発生し、それに合わせて競争も激化したからに他ならない。地デジ切り替えが終わり需要が減退すると、少なくとも出荷ベースでは価格はほぼ横ばいとなる(これは同時に、家電店などでの液晶テレビが引き続き値下げ方向にあるのは、小売店ベースでの値引きが加速化していることをも意味する)。

冒頭で触れた通り耐久消費財の類は、なかなか買い替える場面が無い。平均額とはいえ具体的金額を提示されても、いまいちイメージが沸きにくいかもしれない。そこで2004年の値を基準値の1.00とし、各年の価格を相対値として算出し、その動きを見たのが次のグラフ。グラフの形状そのものは当然一つ目と同じになるが、どれほど値が落ちたのかは把握しやすい。例えばノートパソコンなら2013年時点では2004年時点と比べて大よそ4割ほど平均価格が落ちていることになる。

↑ テレビとノートパソコンの平均単価推移(1台あたり・2004年の値を1.00とした場合の相対値)
↑ テレビとノートパソコンの平均単価推移(1台あたり・2004年の値を1.00とした場合の相対値)

上記で挙げた経年による価格の減退、テレビにおける地デジ化による特殊事情の他、2008年から2009年にかけてのやや大きな下げ方が確認できる。いずれも白書では具体的説明は無いが、2009年の下落についてはリーマンショックによる大規模な不景気化による需要の減退で、生産や出荷ベースでも大きく値を下げねばならなくなったことによるものだろう。また一方で、2012年以降はパソコンもテレビも価格をほぼ横ばいに維持しているのは興味深い話ではある。

白書ではこの価格の値下がりについて、ハード製品などに起こりやすい「コモディティ化」とよばれる現象の一端であると説明している。具体的には

当該製品が成熟市場になるにつれメーカー間での技術や機能が均質化し、商品差別化が困難になることで最終的に価格勝負となり、当該商品における利益確保が困難になってくる現象

とのこと。とてもよく分かりやすく、理解できる話であると共に、テレビもパソコンも一般の立場からは理解のし難い、良くわからない、そして大抵においては必要のない機能を次から次へと付加させる理由も、何となく分かりそうではある。発想を変えれば価格の引下げによる廉価版もまた、「価格」という一機能における商品差別化ともいえる。

見方を変えればパソコンもテレビも、その「良くわからない、必要のない」では無く、斬新で必要度が高い機能の提案や実装が求められている時期に来ているのだろう。


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