88%は「将来に備えて金融資産形成が必要」、一番人気はやっぱり預貯金

2014/08/23 10:00

金銭そのもの、あるいは容易に金銭に換金できるタイプの蓄財を概して金融資産と呼んでいる。価値を長期にわたって場所も取らずに保全できるため、将来歳を取り収入が少なくなっても生活を維持できるように、資産をあらかじめ蓄積しておこうとの考えは、道理にかなったものである。それではその「将来」の足音が聞こえ始める中堅層以降において、具体的にどのような金融資産形成が行われているだろうか。内閣府が2014年6月13日に公開した、高齢期に向けた「備え」に関する意識調査の結果から、その実態にチェックを入れていくことにする(【発表リリース:高齢期に向けた「備え」に関する意識調査】)。

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一番人気はやっぱり預貯金


今調査は2013年11月28日から12月31日に渡って、層化二段無作為抽出法で選ばれた全国の35歳から64歳の人に、郵送配布・郵送回収方式で行われたもの。有効回答数は2707人。

冒頭で触れた通り、将来、具体的には高齢期に備えて金融資産形成をすることは、将来の収入が現在と比べて減ることは容易に想像できるので、有意義な話に違いない。そこでどのような金融資産の形成が「自分にとって」適切か否か、複数回答で聞いた結果が次のグラフ。最大回答項目は「預貯金(定期・積立含む)」で84.0%となった。中堅層以降定年前の世代では、8割強の人が「将来に向けて預貯金をすべきである」と考えていることになる。

↑ 自分にとって高齢期に備えてどのような金融資産形成が適切かと思うか(複数回答)
↑ 自分にとって高齢期に備えてどのような金融資産形成が適切かと思うか(複数回答)

【日米家計資産推移】などで解説の通り、日本は他国と比べても金融資産においては安全・安定性を求める傾向が強く、リスクが他と比べて低めな預貯金に任期が集まっている。今件調査でも預貯金への人気は極めて強く、他の項目と比べてずば抜けた支持率を示している。

次いで多い回答は「貯蓄型保険(掛け捨て除く)」で39.5%。性質的には預貯金ほどではないが安定性の高い金融資産に違いなく。こちらもまた安全志向の様相がうかがえる。そしてようやくその次にリスク資産となる「有価証券」が入るが、回答率は14.2%と1/7程度に留まっている。

一方、資産形成は考えていない・分からないなど資産形成への積極姿勢を見せない人は合わせて12.2%。見方を変えれば87.8%は何らかの形で、高齢期に向けて金融資産形成をすべきであると考えていることになる。

男女、居住環境別に見ると……



これを男女別に仕切り直すと次の通りとなる。

↑ 自分にとって高齢期に備えてどのような金融資産形成が適切かと思うか(複数回答)(男女別)
↑ 自分にとって高齢期に備えてどのような金融資産形成が適切かと思うか(複数回答)(男女別)

各資産項目の順位に変動は無い。ただし男性はリスク性の高い、女性はより安全・安定性のある資産を強く求めていることが分かる。男女の資産運用に対する見方の違いが表れており、興味深い。特に「有価証券」では男女で2倍近い差が出ていることには注目しておきたい。

現在の居住形態別で仕切り直したのが次のグラフ。個々の状況が透けて見えて面白い。

↑ 自分にとって高齢期に備えてどのような金融資産形成が適切かと思うか(複数回答)(住居形態別、一部)
↑ 自分にとって高齢期に備えてどのような金融資産形成が適切かと思うか(複数回答)(住居形態別、一部)

「預貯金」がトップで「貯蓄型保険」がそれに続き、リスク系の金融商品は回答率が低いという構造は、どのタイプの住宅に住んでいても同じ。しかし個々の住宅に住む人たちにおける、金銭周りの余裕の違いが、いわば投資傾向の差となって表れている。

例えば持家を有している人や給与住宅に住んでいる、日々の家賃支払いにさほど気をかけなくても良い人は「預貯金」への回答率が高く、他の貯蓄型、リスク型金融商品でも高めの値を示している。また、一見すると持家に住んでいる人の方が余力があるように見えるが、ローン関連がまだ済んでいない人もいるようで、一番積極的な金融資産形成を頭に浮かべているのは、給与住宅居住者であることが分かる。

見方を変えれば賃貸住宅に住んでいる人は、家賃の支払いで首が回らないことが多く、将来に向けた資産形成にも難儀している事例が多々ある、ということだ。



将来に向けた資産形成は是非ともなすべきだが、リソースを割き過ぎて現在の生活が困窮してしまっては本末転倒。結果的に余力資産を金融資産の形成に回すことになるが、この余力をどれだけ構築できるのかが要となる。

住居形態別の差異で見て取れるように、固定費をどれだけ低い水準に抑えるかが、資産形成のためには有効な手立ての一つと見るべきだろう。


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