新型コロナで客数減少だが前年同月との比較のため減少度合いは最小限…2021年3月度のコンビニ売上高は既存店が1.9%のプラス、13か月ぶり

2021/04/20 14:24

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2021-0420日本フランチャイズチェーン協会は2021年4月20日に、コンビニエンスストアの2021年3月度分統計調査月報を、同協会公式サイト上で公開した。その内容によると協会加盟コンビニの同月度の売上高は既存店前年同月比でプラス1.9%となり、13か月ぶりのプラスを示すこととなった。新型コロナウイルスの流行激化の影響に加え、一部地域に再発出された緊急事態宣言が継続中で、来店客数が大きく減少したものの、比較対象となる前年同月の2020年3月がすでに新型コロナウイルスの流行で大きく客数が減っていたためにそれとの比較となることから、前年同月比でのマイナス幅は最小限にとどまった。他方、生鮮食品、総菜、寿司、冷凍食品、デザート、酒類などの中食需要やマスク、玩具などが好調なことによる客単価の上昇で、売上はプラスとなった(【日本フランチャイズチェーン協会公式ページ】)。

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今調査の概要、調査対象企業などの詳細、分析記事のバックナンバーは、過去の記事をまとめたページ【コンビニエンスストア(日本フランチャイズチェーン協会発表)】上で解説済み。詳しくはそちらを参照のこと。

主要項目における前年同月比は次の通りとなる。

●店舗売上高:既存店は13か月ぶりのプラス、全店も13か月ぶりのプラス
全店ベース……+2.4%
既存店ベース…+1.9%

●店舗数(前年同月比)
+0.2%

●来店客数:既存店は13か月連続のマイナス、全店も13か月連続のマイナス
全店ベース……−2.9%
既存店ベース…−3.5%

●平均客単価(税別):既存店は18か月連続のプラス、全店も18か月連続のプラス
全店ベース……+5.5%(681.3円)
既存店ベース…+5.6%(684.2円)

●商品構成別売上前年同月比(既存店ベース)
日配食品……−0.4%
加工食品……−0.9%
非食品………+5.0%
サービス……+13.8%
合計…………+1.9%

※既存店……1年以上営業中の店舗を指す(店舗増加による底上げでの数字上の誤差を防げる)

今回月は前回月に続く形で新型コロナウイルス感染症流行拡大に伴う外出自粛や在宅勤務の増加、さらに一部地域で再発出された緊急事態宣言が月半ばまで継続したこともあり、客数は減少を示した。ただし比較対象となる2020年3月は、すでに新型コロナウイルス流行の影響で客数が大きく減っており(2020年3月における既存店・客数の前年同月比はマイナス8.2%)、それとの比較となるため減少幅は最小限にとどまる形となった。

販売動向としては生鮮食品、総菜、寿司、冷凍食品、デザート、酒類が好調で(麺類は記載なし)、客単価は底上げされた。またコメントにはマスクや玩具なども好調だったとの記載があるが、マスクは前年同月においては品不足でそもそも販売ができなかった状態からの反動によるもの、玩具は(推定だが)一部コンビニで販売された「鬼滅の刃」「呪術廻戦」グッズが影響したものと考えられる(そもそも好調な品目に玩具が登場するのは滅多にない話)。

商品構成別では日配食品と加工食品がわずかながらもマイナス、非食品とサービスがプラス。サービスが大きなプラスなのは、前年同月におけるイベントそのものの中止状況と比較した上での話だろう。ただし構成比は5.5%に過ぎず、売上高全体に与えた影響は大したものではない。今回月で客単価、さらには売上高を底上げしたのは非食品(構成比32.3%)の影響が大きいものと考えられる。ちなみに玩具は非食品に該当する。

ここ数年来懸念されていた雑誌の売上の減退、集客力の縮小は継続中で、歩みを止めるようには見えない。もっとも最近では下落ぶりは小休止、あるいは底打ちの状況にあるようで、報告書の言及に雑誌の売上が著しく落ちたなどの文言は今回月も含め、ここしばらくは見られなくなっている。あるいは雑誌の売上の影響力そのものが、コンビニにおいては考慮に値しないほどの値に留まっているのが現状かもしれない。どのみち新型コロナウイルスの流行で外出機会(他人との不用意な接触リスク)を控えるようにと諭されていることから、雑誌の見定めをするためだけにコンビニに足を運ぶ人も減っているだろう。

セブンカフェ&ドーナツ数年前まではコンビニの集客と客単価の主軸であった雑誌とたばこ。これらは時代の流れの中で、その勢いを確実に減じている。双方とも業界全体、商品そのものの特性や周辺環境の変化に伴う勢力の変化であり、今後復権の可能性も低い。

たばこと雑誌それぞれ単独の動向を知りたいところだが、日本フランチャイズチェーン協会の月次レポートではそれを推し量ることはできない。ただし年次ベースなら、紙巻たばこは大手コンビニが発表しているアニュアルレポート、雑誌ならば「出版物販売額の実態」を通して概況を推測することはできる(【コンビニの出版物販売額をグラフ化してみる】)。

たばこは機会があるたびに税負担の上乗せが論議され、実施されており、それに伴いたばこ自身の価格も引き上げられている。健康志向による忌避圧力も勢いを増すばかりとなり、今後も縮退する方向性に変化は無い。ただし加熱式たばこが現時点ではその減少分を補っており、今後の動向の見通しはつきにくい。

一方雑誌に関しては価値観の多様化や電子雑誌の進出、すき間時間の活用の仕方の変化を受け、やはり規模の縮小は避けられそうに無いが、コンビニにおける同じ出版物として今件月次報告書では取り上げられることはまず無かった書籍に関して、一部チェーン店で新しい動きが生じている。

セブン-イレブンの街の本屋さんプロジェクト詳しくは【コンビニの出版物販売額をグラフ化してみる(前編:各社編)(2016年)(最新)】で説明しているが、スリーエフで書籍を中心としたミニ書店化形態が売上・集客の点で成果が出たことから、今後さらにそのスタイルの拡大が明言されている。またローソンでも【ローソンの書籍棚設置店舗が4000店舗にまで拡大していた件】にある通り専用の書籍棚を設置する店舗が4000店を超えたと公式に発表され、それなりの成果を示していることが確認できる。

一時期は総撤退の気配すら見受けられたコンビニの雑誌群も、一部で戻し、再配置の気配もあり、コンビニ側も手探りの状態であることがうかがえる。駅の売店がコンビニ化(コンビニチェーンによる運営店舗の展開)するに伴い、鉄道利用者による雑誌へのアプローチの仕方も変化を遂げており、今後の動向に注目が集まっている。セブン-イレブンが継続的に「街の本屋さん」を自称し、ネット経由で書籍の調達をする受け皿を推進し続けているのも注目に値する。

他方、【セブンとローソンが「成人向け雑誌」の取り扱いを中止するとの話について】にもある通り、大手コンビニが相次ぎ「成人向け雑誌」と自己定義する領域の雑誌の取り扱い中止を表明しており、今後この動きが雑誌の売上、さらには客数や他の商品の売上にどのような影響をおよぼすことになるのかが気がかりではある。恐らくはすでに少なからぬ直接、さらには集客力という観点での間接的なマイナスの影響が出ているはずだが。

各種サービス(情報端末やカウンター経由)の提供や、カウンターで提供されるいれたてコーヒーをはじめとする新鮮味あふれる日配食品(昨今のセブン-イレブンやファミリーマート、ローソンにおけるドーナツもよい例)は順調に成長を続けているが、今なおあくなき探求は続けられている。昨今の報告書におけるコメントでも好調さに関する言及が常連化しているように、中食に関する需要はこの数年大きく増加しており、それが具体的な形で小売各方面に現れるようになっている。高齢化や少数世帯化による需要の増加、技術進歩などによる提供商品種類の多様化が相乗効果を示し、ポジティブな意味でのスパイラル現象を引き起こしている。時間や手間を簡略化し、より楽しい食生活を受給する対価としてコンビニやスーパーの食品を選択するという、新しいライフスタイルの浸透といえる。エンゲル係数の上昇は、この要因が大きい。

一方で昨今では24時間営業をはじめとしたコンビニのこれまでの基本方針・施策に疑問符が投げかけられるようになった。特に運用する従業員の労働負担の大きさや金銭的な負荷で問題視される事例が見受けられる。状況改善の施策の一例として挙げられている、営業時間の変化が生じれば、当然売上はその分減ることになる。またレジの自動化の話もあり、実証実験も積極的に進められている。売上には影響が生じるだろうか。日配食品の割引販売も試験導入が一部で始まっているが、どのような影響をおよぼすかは未知数。

今回月は前回月に続き新型コロナウイルス感染症の拡大による外出自粛や自宅勤務の増加、さらに一部地域で再発出され月半ばまで継続された緊急事態宣言の継続で客数が減る結果となった(前年同月となる2020年3月よりも減っているという事実は非常に重い話ではある)。その分客単価は増えて売上高はプラスとなったが、売れる商品にも偏りが生じており、販売スタイルも大きく変わり、明らかに新型コロナウイルス前とは異なる状況にある。新型コロナウイルスのワクチンなり治療薬が浸透して人々の生活が通常に戻るまでは(最短でも今夏ぐらいまではかかるだろう)、客数の低迷が続くのは間違いなく、これを機会に外出自粛はともかく在宅勤務の動きが進むと、いわゆる「新型コロナウイルス明け」となっても客数の戻りは鈍いものとなるかもしれない。


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