GoToキャンペーンの効果や中食需要、衛生用品が好調だが客数が大幅減…2020年10月度のコンビニ売上高は既存店が4.3%のマイナス、8か月連続

2020/11/20 16:32

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2020-1120日本フランチャイズチェーン協会は2020年11月20日に、コンビニエンスストアの2020年10月度分統計調査月報を、同協会公式サイト上で公開した。その内容によると協会加盟コンビニの同月度の売上高は既存店前年同月比でマイナス4.3%となり、8か月連続のマイナスを示すこととなった。今回月は前回月のたばこ税引き上げ前の駆け込み需要の反動でたばこのセールスが軟調だったことや、新型コロナウイルスの流行による在宅勤務や外出自粛を受けて来店客数が大幅に減少したが、生鮮食品、総菜、冷凍食品、スイーツ、酒類などの中食需要、そしてマスクなどの衛生用品などが好調なことで客単価は前年同月を上回った。結果として売上はマイナスとなった(【日本フランチャイズチェーン協会公式ページ】)。

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今調査の概要、調査対象企業などの詳細、分析記事のバックナンバーは、過去の記事をまとめたページ【コンビニエンスストア(日本フランチャイズチェーン協会発表)】上で解説済み。詳しくはそちらを参照のこと。

主要項目における前年同月比は次の通りとなる。

●店舗売上高:既存店は8か月連続のマイナス、全店も8か月連続のマイナス
全店ベース……−2.8%
既存店ベース…−4.3%

●店舗数(前年同月比)
+0.4%

●来店客数:既存店は8か月連続のマイナス、全店も8か月連続のマイナス
全店ベース……−9.5%
既存店ベース…−10.5%

●平均客単価(税別):既存店は13か月連続のプラス、全店も13か月連続のプラス
全店ベース……+7.3%(668.2円)
既存店ベース…+6.9%(671.1円)

●商品構成別売上前年同月比(既存店ベース)
日配食品……−6.2%
加工食品……−7.4%
非食品………−6.5%
サービス……+40.1%
合計…………−4.3%

※既存店……1年以上営業中の店舗を指す(店舗増加による底上げでの数字上の誤差を防げる)

今回月は前回月に続く形で新型コロナウイルス感染症拡大に伴う外出自粛や在宅勤務の増加との外部環境を受け、さらにたばこ税率引き上げに伴う値上げが実施されたことから(たばこは効果の高い客誘引アイテム)、客数が1割強の減少を示した。

販売動向としては生鮮食品、冷凍食品、酒類、デザート、総菜に加え、マスクなどの衛生用品も好調で(たばこのセールスは軟調だったにもかかわらず)、客単価は底上げされた。他方、サービスはけた違いのプラスを示しているが、これはコンビニで取得できるGoToイートの食事券によるところが大きい。

ここ数年来懸念されていた雑誌の売上の減退、集客力の縮小は継続中で、歩みを止めるようには見えない。もっとも最近では下落ぶりは小休止、あるいは底打ちの状況にあるようで、報告書の言及に雑誌の売上が著しく落ちたなどの文言は今回月も含め、ここしばらくは見られなくなっている。あるいは雑誌の売上の影響力そのものが、コンビニにおいては考慮に値しないほどの値に留まっているのが現状かもしれない。

セブンカフェ&ドーナツ数年前まではコンビニの集客と客単価の主軸であった雑誌とたばこ。これらは時代の流れの中で、その勢いを確実に減じている。双方とも業界全体、商品そのものの特性や周辺環境の変化に伴う勢力の変化であり、今後復権の可能性も低い。

たばこと雑誌それぞれ単独の動向を知りたいところだが、日本フランチャイズチェーン協会の月次レポートではそれを推し量ることはできない。ただし年次ベースなら、紙巻たばこは大手コンビニが発表しているアニュアルレポート、雑誌ならば「出版物販売額の実態」を通して概況を推測することはできる(【コンビニの出版物販売額をグラフ化してみる】)。今回月はたばこ値上げの直後の月だったことから駆け込み需要の特需の反動が発生したため、たばこについては特別にコメントでの言及があったまでの話。恐らく次回月以降は再び言及は無くなるだろう。

たばこは機会があるたびに税負担の上乗せが論議され、実施されており、それに伴いたばこ自身の価格も引き上げられている。健康志向による忌避圧力も勢いを増すばかりとなり、今後も縮退する方向性に変化は無い。ただし加熱式たばこが現時点ではその減少分を補っている雰囲気があり、今後の動向の見通しはつきにくい。

一方雑誌に関しては価値観の多様化や電子雑誌の進出、すき間時間の活用の仕方の変化を受け、やはり規模の縮小は避けられそうに無いが、コンビニにおける同じ出版物として今件月次報告書では取り上げられることはまず無かった書籍に関して、一部チェーン店で新しい動きが生じている。

セブン-イレブンの街の本屋さんプロジェクト詳しくは【コンビニの出版物販売額をグラフ化してみる(前編:各社編)(2016年)(最新)】で説明しているが、スリーエフで書籍を中心としたミニ書店化形態が売上・集客の点で成果が出たことから、今後さらにそのスタイルの拡大が明言されている。またローソンでも【ローソンの書籍棚設置店舗が4000店舗にまで拡大していた件】にある通り専用の書籍棚を設置する店舗が4000店を超えたと公式に発表され、それなりの成果を示していることが確認できる。

一時期は総撤退の気配すら見受けられたコンビニの雑誌群も、一部で戻し、再配置の気配もあり、コンビニ側も手探りの状態であることがうかがえる。駅の売店がコンビニ化(コンビニチェーンによる運営店舗の展開)するに伴い、鉄道利用者による雑誌へのアプローチの仕方も変化を遂げており、今後の動向に注目が集まっている。セブン-イレブンが継続的に「街の本屋さん」を自称し、ネット経由で書籍の調達をする受け皿を推進し続けているのも注目に値する。

他方、【セブンとローソンが「成人向け雑誌」の取り扱いを中止するとの話について】にもある通り、大手コンビニが相次ぎ「成人向け雑誌」と自己定義する領域の雑誌の取り扱い中止を表明しており、今後この動きが雑誌の売上、さらには客数や他の商品の売上にどのような影響をおよぼすことになるのかが気がかりではある。恐らくはすでに少なからぬ直接、さらには集客力という観点での間接的なマイナスの影響が出ているはずだが。

各種サービス(情報端末やカウンター経由)の提供や、カウンターで提供されるいれたてコーヒーをはじめとする新鮮味あふれる日配食品(昨今のセブン-イレブンやファミリーマート、ローソンにおけるドーナツもよい例)は順調に成長を続けているが、今なおあくなき探求は続けられている。昨今の報告書におけるコメントでも好調さに関する言及が常連化しているように、中食に関する需要はこの数年大きく増加しており、それが具体的な形で小売各方面に現れるようになっている。高齢化や少数世帯化による需要の増加、技術進歩などによる提供商品種類の多様化が相乗効果を示し、ポジティブな意味でのスパイラル現象を引き起こしている。時間や手間を簡略化し、より楽しい食生活を受給する対価としてコンビニやスーパーの食品を選択するという、新しいライフスタイルの浸透といえる。エンゲル係数の上昇は、この要因が大きい。

一方で昨今では24時間営業をはじめとしたコンビニのこれまでの基本方針・施策に疑問符が投げかけられるようになった。特に運用する従業員の労働負担の大きさや金銭的な負荷で問題視される事例が見受けられる。状況改善の施策の一例として挙げられている、営業時間の変化が生じれば、当然売上はその分減ることになる。またレジの自動化の話もあり、実証実験も積極的に進められている。売上には影響が生じるだろうか。日配食品の割引販売も試験導入が一部で始まっているが、どのような影響をおよぼすかは未知数。

今回月は前回月に続き新型コロナウイルス感染症の拡大による外出自粛や自宅勤務の増加の影響を受け、客数が大幅に減る結果となった。その分客単価は増えているが、売れる商品にも偏りが生じており、販売スタイルも大きく変わり、明らかに新型コロナウイルス前の動向とは異なる状況にある。新型コロナウイルスのワクチンなり治療薬が開発されるまでは客数の低迷が続くのは間違いなく(恐らくは前年同月比で1割前後の減少)、これを機会に外出自粛はともかく在宅勤務の動きが進むと、新型コロナウイルス明けとなっても客数の戻りは鈍いものとなるかもしれない。もっとも1年が経過すれば前年同月比ではマイナスぶりは見られなくなるだろうが。


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