クリスマス商材が好調、中食需要も旺盛だが…2019年12月度のコンビニ売上高は既存店が0.3%のマイナス、3か月ぶり

2020/01/20 16:33

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2020-0120日本フランチャイズチェーン協会は2020年1月20日に、コンビニエンスストアの2019年12月度分統計調査月報を、同協会公式サイト上で公開した。その内容によると協会加盟コンビニの同月度の売上高は既存店前年同月比でマイナス0.3%となり、3か月ぶりのマイナスを示すこととなった。今回月はクリスマス商材などのデザートが好調に推移し、また中食需要も相変わらず好調だったことを受け、客単価はプラスとなったものの、客数が伸び悩み、売上はマイナスとなった(【日本フランチャイズチェーン協会公式ページ】)。

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今調査の概要、調査対象企業などの詳細、分析記事のバックナンバーは、過去の記事をまとめたページ【コンビニエンスストア(日本フランチャイズチェーン協会発表)】上で解説済み。詳しくはそちらを参照のこと。

主要項目における前年同月比は次の通りとなる。

●店舗売上高:既存店は3か月ぶりのマイナス、全店は3か月連続のプラス
全店ベース……+0.1%
既存店ベース…−0.3%

●店舗数(前年同月比)
−0.2%

●来店客数:既存店は3か月連続のマイナス、全店も3か月連続のマイナス
全店ベース……−0.6%
既存店ベース…−1.1%

●平均客単価:既存店は3か月連続のプラス、全店も3か月連続のプラス
全店ベース……+0.7%(655.4円)
既存店ベース…+0.7%(659.2円)

●商品構成別売上前年同月比(既存店ベース)
日配食品……+0.2%
加工食品……+1.4%
非食品………−1.3%
サービス……−5.2%
合計…………−0.3%

※既存店……1年以上営業中の店舗を指す(店舗増加による底上げでの数字上の誤差を防げる)
今回月はクリスマス商材のデザート類が好調な売れ行きを見せ、加工食品が+1.4%と堅調な動きを見せた。また、温かい調理麺や冷凍食品、サラダ類などの中食需要も旺盛で、これは日配食品を底上げ。他方、サービスや非食品は今一つの動きとなりマイナスを示し、結果として全体的な売上は既存店ベースでマイナスを示す形となった。報告書のコメントでは堅調ぶりを示す言及ばかりが成されてはいるが、プラスなのは全店売上高で、既存店ではマイナス。コンビニ業界全体の足踏み、後ずさり感は否めない。

店舗数が全店ベースにおいて前年同月比でマイナスを示したのは注目に値する。コンビニ店舗数にかかわる記事でも言及しているが、ここ数か月において大手コンビニの複数で店舗数の拡大が止まる傾向が確認されており、それがコンビニ業界全体の店舗数にも影響を示し始めた形となった。

ここ数年来懸念されていた雑誌の売上の減退、集客力の縮小は継続中で、歩みを止めるようには見えない。もっとも最近では下落ぶりは小休止、あるいは底打ちの状況にあるようで、報告書の言及に雑誌の売上が著しく落ちたなどの文言は今回月も含め、ここしばらくは見られなくなっている。あるいは雑誌の売上の影響力そのものが、コンビニにおいては考慮に値しないほどの値に留まっているのが現状かもしれない。

セブンカフェ&ドーナツ数年前まではコンビニの集客と客単価の主軸であった雑誌とたばこ。これらは時代の流れの中で、その勢いを確実に減じている。双方とも業界全体、商品そのものの特性や周辺環境の変化に伴う勢力の変化であり、今後復権の可能性も低い。

たばこと雑誌それぞれ単独の動向を知りたいところだが、日本フランチャイズチェーン協会の月次レポートではそれを推し量ることはできない。ただし年次ベースなら、紙巻たばこは大手コンビニが発表しているアニュアルレポート、雑誌ならば「出版物販売額の実態」を通して概況を推測することはできる(【コンビニの出版物販売額をグラフ化してみる】)。

たばこは機会あるたびに税負担の上乗せが論議され、実施されており、それに伴いたばこ自身の価格も引き上げられている。健康志向による忌避圧力も勢いを増すばかりとなり、今後も縮退する方向性に変化は無い。ただし加熱式たばこが現時点ではその減少分を補っている雰囲気があり、今後の動向の見通しはつきにくい。

一方雑誌に関しては価値観の多様化や電子雑誌の進出、すき間時間の活用の仕方の変化を受け、やはり規模の縮小は避けられそうに無いが、コンビニにおける同じ出版物として今件月次報告書では取り上げられることはまず無かった書籍に関して、一部チェーン店で新しい動きが生じている。

セブン-イレブンの街の本屋さんプロジェクト詳しくは【コンビニの出版物販売額をグラフ化してみる(前編:各社編)(2016年)(最新)】で説明しているが、スリーエフで書籍を中心としたミニ書店化形態が売上・集客の点で成果が出たことから、今後さらにそのスタイルの拡大が明言されている。またローソンでも【ローソンの書籍棚設置店舗が4000店舗にまで拡大していた件】にある通り専用の書籍棚を設置する店舗が4000店を超えたと公式に発表され、それなりの成果を示していることが確認できる。

一時期は総撤退の気配すら見受けられたコンビニの雑誌群も、一部で戻し、再配置の気配もあり、コンビニ側も手探りの状態であることがうかがえる。駅の売店がコンビニ化(コンビニチェーンによる運営店舗の展開)するに伴い、鉄道利用者による雑誌へのアプローチの仕方も変化を遂げており、今後の動向に注目が集まっている。セブン-イレブンが継続的に「街の本屋さん」を自称し、ネット経由で書籍の調達をする受け皿を推進し続けているのも注目に値する。

他方、【セブンとローソンが「成人向け雑誌」の取り扱いを中止するとの話について】にもある通り、大手コンビニが相次ぎ「成人向け雑誌」と自己定義する領域の雑誌の取り扱い中止を表明しており、今後この動きが雑誌の売上、さらには客数や他の商品の売上にどのような影響をおよぼすことになるのかが気がかりではある。恐らくはすでに少なからぬ直接、さらには集客力という観点での間接的なマイナスの影響が出ているはずだが。

各種サービス(情報端末やカウンター経由)の提供や、カウンターで提供されるいれたてコーヒーをはじめとする新鮮味あふれる日配食品(昨今のセブン-イレブンやファミリーマート、ローソンにおけるドーナツもよい例)は順調に成長を続けているが、今なおあくなき探求は続けられている。昨今の報告書におけるコメントでも好調さに関する言及が常連化しているように、中食に関する需要はこの数年大きく増加しており、それが具体的な形で小売各方面に現れるようになっている。高齢化や少数世帯化による需要の増加、技術進歩などによる提供商品種類の多様化が相乗効果を示し、ポジティブな意味でのスパイラル現象を引き起こしている。時間や手間を簡略化し、より楽しい食生活を受給する対価としてコンビニやスーパーの食品を選択するという、新しいライフスタイルの浸透といえる。エンゲル係数の上昇は、この要因が大きい。

一方で昨今では24時間営業をはじめとしたコンビニのこれまでの基本方針・施策に疑問符が投げかけられるようになった。特に運用する従業員の労働負担の大きさや金銭的な負荷で問題視される事例が見受けられる。状況改善の施策の一例として挙げられている、営業時間の変化が生じれば、当然売上はその分減ることになる。またレジの自動化の話もあり、実証実験も積極的に進められている。売上には影響が生じるだろうか。日配食品の割引販売も試験導入が一部で始まっているが、どのような影響をおよぼすかは未知数。

他方、昨今の報告書のデータの限りでも、既存店の来店客数は頭打ちから漸減の気配もあるほどで、店舗数の増加と客単価の引上げで全店ベースでの成長を示す形となっており、店舗の飽和状態の感も否めない。ここ数か月は増加店舗分も加味した全店ベースでの来店客数でも前年同月比でマイナスを示すことが多い実情からは、来店客数の限りでは成長のピークを過ぎた雰囲気が感じられる。実際大手コンビニチェーン店では店舗数の縮小によるリストラクチャリングの発表が行われており、今回月はそれが業界全体の数字に影響をおよぼすことになった次第である。

イレギュラー的要素によって生じた軟調な環境の中でも、コンビニは堅調な売上を維持できる軸の模索を多方面で進めている。関連他業界を巻き込む形で、さらには生活様式の変化まで起こしながら、今後も多様な動きが見られそうだ。


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