夏物商材は堅調に売れるも、前年同月のたばこ値上げの駆け込み需要の反動に押される…2019年9月度のコンビニ売上高は既存店が1.1%のマイナス、2か月ぶり

2019/10/22 17:47

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2019-1022日本フランチャイズチェーン協会は2019年10月21日に、コンビニエンスストアの同年9月度分統計調査月報を、同協会公式サイト上で公開した。その内容によると協会加盟コンビニの同月度の売上高は既存店前年同月比でマイナス1.1%となり、2か月ぶりのマイナスを示すこととなった。今回月は全国的に平均気温が高く、夏物商材は堅調に動き、また中食需要も相変わらず好調だったものの、前年同月に発生したたばこの値上げ前の駆け込み需要の反動には勝てず、客単価が大きく下がり、売上はマイナスを示す形となった(【日本フランチャイズチェーン協会公式ページ】)。

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今調査の概要、調査対象企業などの詳細、分析記事のバックナンバーは、過去の記事をまとめたページ【コンビニエンスストア(日本フランチャイズチェーン協会発表)】上で解説済み。詳しくはそちらを参照のこと。

主要項目における前年同月比は次の通りとなる。

●店舗売上高:既存店は2か月ぶりのマイナス、全店は2か月ぶりのマイナス
全店ベース……−0.2%
既存店ベース…−1.1%

●店舗数(前年同月比)
+0.4%

●来店客数:既存店は7か月ぶりのプラス、全店は4か月ぶりのプラス
全店ベース……+1.4%
既存店ベース…+0.6%

●平均客単価:既存店は11か月ぶりのマイナス、全店は11か月ぶりのマイナス
全店ベース……−1.6%(642.6円)
既存店ベース…−1.6%(634.0円)

●商品構成別売上前年同月比(既存店ベース)
日配食品……+0.2%
加工食品……+2.2%
非食品………−6.2%
サービス……+6.3%
合計…………−1.1%

※既存店……1年以上営業中の店舗を指す(店舗増加による底上げでの数字上の誤差を防げる)

2019年9月は全国的に平均気温が高かったことを受け、冷やし麺などの調理麺、飲料・アイスクリームなどの夏物商材が好調に推移。また中食関連品は相変わらず堅調。一方で前年同月において発生したたばこ税増税に伴うたばこの大幅値上げの直前の駆け込み需要の反動が大きく、客単価は大幅減少。これを受け、客数がプラスだったにもかかわらず、売上はマイナスを示す形となった。今回月は10月からの消費税率引き上げに伴うたばこの値上げを受けての駆け込み需要が発生しているはずなのだが、その影響はほとんど数字には表れていない。

商品構成別の売上高(既存店ベース)の動向を確認すると、淹れたてコーヒーなどのカウンター商材の堅調ぶりで全体をけん引する日配食品はプラス0.2%、菓子類やソフトドリンク、冷凍食品、アイスクリームなどの加工食はプラス2.2%、たばこや雑誌などが含まれる非食品はマイナス6.2%となった。前年同月のたばこの反動がいかに大きいかが改めて確認できる。最近堅調さが続いているサービスは今回月ではプラス6.3%を示した。

ここ数年来懸念されていた雑誌の売上の減退、集客力の縮小は継続中で、歩みを止めるようには見えない。もっとも最近では下落ぶりは小休止、あるいは底打ちの状況にあるようで、報告書の言及に雑誌の売上が著しく落ちたなどの文言は今回月も含め、ここしばらくは見られなくなっている。あるいは雑誌の売上の影響力そのものが、コンビニにおいては考慮に値しないほどの値に留まっているのが現状かもしれない。

セブンカフェ&ドーナツ数年前まではコンビニの集客と客単価の主軸であった雑誌とたばこ。これらは時代の流れの中で、その勢いを確実に減じている。双方とも業界全体、商品そのものの特性や周辺環境の変化に伴う勢力の変化であり、今後復権の可能性も低い。

たばこと雑誌それぞれ単独の動向を知りたいところだが、日本フランチャイズチェーン協会の月次レポートではそれを推し量ることはできない。ただし年次ベースなら、紙巻たばこは大手コンビニが発表しているアニュアルレポート、雑誌ならば「出版物販売額の実態」を通して概況を推測することはできる(【コンビニの出版物販売額をグラフ化してみる】)。

たばこは機会あるたびに税負担の上乗せが論議され、実施されており、それに伴いたばこ自身の価格も引き上げられている。健康志向による忌避圧力も勢いを増すばかりとなり、今後も縮退する方向性に変化は無い。ただし加熱式たばこが現時点ではその減少分を補っている雰囲気があり、今後の動向の見通しはつきにくい。また今回月のように、駆け込み需要に伴い売上の大きな変動が生じるぐらいには、影響力は多分に残っている。

一方雑誌に関しては価値観の多様化や電子雑誌の進出、すき間時間の活用の仕方の変化を受け、やはり規模の縮小は避けられそうに無いが、コンビニにおける同じ出版物として今件月次報告書では取り上げられることはまず無かった書籍に関して、一部チェーン店で新しい動きが生じている。

セブン-イレブンの街の本屋さんプロジェクト詳しくは【コンビニの出版物販売額をグラフ化してみる(前編:各社編)(2016年)(最新)】で説明しているが、スリーエフで書籍を中心としたミニ書店化形態が売上・集客の点で成果が出たことから、今後さらにそのスタイルの拡大が明言されている。またローソンでも【ローソンの書籍棚設置店舗が4000店舗にまで拡大していた件】にある通り専用の書籍棚を設置する店舗が4000店を超えたと公式に発表され、それなりの成果を示していることが確認できる。

一時期は総撤退の気配すら見受けられたコンビニの雑誌群も、一部で戻し、再配置の気配もあり、コンビニ側も手探りの状態であることがうかがえる。駅の売店がコンビニ化(コンビニチェーンによる運営店舗の展開)するに伴い、鉄道利用者による雑誌へのアプローチの仕方も変化を遂げており、今後の動向に注目が集まっている。セブン-イレブンが継続的に「街の本屋さん」を自称し、ネット経由で書籍の調達をする受け皿を推進し続けているのも注目に値する。他方、【セブンとローソンが「成人向け雑誌」の取り扱いを中止するとの話について】にもある通り、大手コンビニが相次ぎ「成人向け雑誌」と自己定義する領域の雑誌の取り扱い中止を表明しており、今後この動きが雑誌の売上、さらには客数や他の商品の売上にどのような影響をおよぼすことになるのかが気がかりではある。

各種サービス(情報端末やカウンター経由)の提供や、カウンターで提供されるいれたてコーヒーをはじめとする新鮮味あふれる日配食品(昨今のセブン-イレブンやファミリーマート、ローソンにおけるドーナツもよい例)は順調に成長を続けているが、今なおあくなき探求は続けられている。昨今の報告書におけるコメントでも好調さに関する言及が常連化しているように、中食に関する需要はこの数年大きく増加しており、それが具体的な形で小売各方面に現れるようになっている。高齢化や少数世帯化による需要の増加、技術進歩などによる提供商品種類の多様化が相乗効果を示し、ポジティブな意味でのスパイラル現象を引き起こしている。時間や手間を簡略化し、より楽しい食生活を受給する対価としてコンビニやスーパーの食品を選択するという、新しいライフスタイルの浸透といえる。エンゲル係数の上昇は、この要因が大きい。

一方で昨今では24時間営業をはじめとしたコンビニのこれまでの基本方針・施策に疑問符が投げかけられるようになった。特に運用する従業員の労働負担の大きさや金銭的な負荷で問題視される事例が見受けられる。状況改善の施策の一例として挙げられている、営業時間の変化が生じれば、当然売上はその分減ることになる。またレジの自動化の話もあり、実証実験も積極的に進められている。売上には影響が生じるだろうか。日配食品の割引販売も試験導入が一部で始まっているが、どのような影響をおよぼすかは未知数。

他方、昨今の報告書のデータの限りでも、既存店の来店客数は頭打ちから漸減の気配もあるほどで、店舗数の増加と客単価の引上げで全店ベースでの成長を示す形となっており、店舗の飽和状態の感も否めない。ここ数か月は増加店舗分も加味した全店ベースでの来店客数でも前年同月比でマイナスを示すことが多い実情からは、来店客数の限りでは成長のピークを過ぎた雰囲気が感じられる。実際大手コンビニチェーン店では店舗数の縮小によるリストラクチャリングの発表が行われている。

イレギュラー的要素によって生じた軟調な環境の中でも、コンビニは堅調な売上を維持できる軸の模索を多方面で進めている。関連他業界を巻き込む形で、さらには生活様式の変化まで起こしながら、今後も多様な動きが見られそうだ。


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