中食旺盛、生鮮食品なども売れるが客数激減…2020年5月度のコンビニ売上高は既存店が10.0%のマイナス、3か月連続

2020/06/22 15:18

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2020-0622日本フランチャイズチェーン協会は2020年6月22日に、コンビニエンスストアの2020年5月度分統計調査月報を、同協会公式サイト上で公開した。その内容によると協会加盟コンビニの同月度の売上高は既存店前年同月比でマイナス10.0%となり、3か月連続のマイナスを示すこととなった。今回月は冷凍食品や酒類のような保存性のある食品のまとめ買いだけでなく、生鮮食品や乳製品、調味料などの需要増加が生じたことで客単価は大きく上昇したものの、新型コロナウイルス感染症拡大による外出自粛や在宅勤務の拡大が来店機会に大きく影響したことから客数は大幅減となり、売上はマイナスとなった(【日本フランチャイズチェーン協会公式ページ】)。

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今調査の概要、調査対象企業などの詳細、分析記事のバックナンバーは、過去の記事をまとめたページ【コンビニエンスストア(日本フランチャイズチェーン協会発表)】上で解説済み。詳しくはそちらを参照のこと。

主要項目における前年同月比は次の通りとなる。

●店舗売上高:既存店は3か月連続のマイナス、全店も3か月連続のマイナス
全店ベース……−9.7%
既存店ベース…−10.0%

●店舗数(前年同月比)
+0.4%

●来店客数:既存店は3か月連続のマイナス、全店も3か月連続のマイナス
全店ベース……−19.8%
既存店ベース…−19.9%

●平均客単価:既存店は8か月連続のプラス、全店も8か月連続のプラス
全店ベース……+12.7%(696.4円)
既存店ベース…+12.4%(699.7円)

●商品構成別売上前年同月比(既存店ベース)
日配食品……−12.5%
加工食品……−9.5%
非食品………−5.8%
サービス……−18.7%
合計…………−10.0%

※既存店……1年以上営業中の店舗を指す(店舗増加による底上げでの数字上の誤差を防げる)

今回月は前回月に続く形で新型コロナウイルス感染症拡大に伴う外出自粛や在宅勤務の増加という外部環境を受け、客数が2割近い減少を示した。月次における既存店前年同月比での客数で2ケタ台%の減少幅は、協会発表の統計資料で取得可能な2005年以降では初めてとなった前回月に続き2か月連続の事態となる。

一方で冷凍食品やレトルト食品、さらには酒類のような保存性の高い食品のまとめ買い需要に加え、生鮮食品や乳製品、調味料などの需要増加が発生し、客単価は底上げされる形となった。

ここ数年来懸念されていた雑誌の売上の減退、集客力の縮小は継続中で、歩みを止めるようには見えない。もっとも最近では下落ぶりは小休止、あるいは底打ちの状況にあるようで、報告書の言及に雑誌の売上が著しく落ちたなどの文言は今回月も含め、ここしばらくは見られなくなっている。あるいは雑誌の売上の影響力そのものが、コンビニにおいては考慮に値しないほどの値に留まっているのが現状かもしれない。

セブンカフェ&ドーナツ数年前まではコンビニの集客と客単価の主軸であった雑誌とたばこ。これらは時代の流れの中で、その勢いを確実に減じている。双方とも業界全体、商品そのものの特性や周辺環境の変化に伴う勢力の変化であり、今後復権の可能性も低い。

たばこと雑誌それぞれ単独の動向を知りたいところだが、日本フランチャイズチェーン協会の月次レポートではそれを推し量ることはできない。ただし年次ベースなら、紙巻たばこは大手コンビニが発表しているアニュアルレポート、雑誌ならば「出版物販売額の実態」を通して概況を推測することはできる(【コンビニの出版物販売額をグラフ化してみる】)。

たばこは機会あるたびに税負担の上乗せが論議され、実施されており、それに伴いたばこ自身の価格も引き上げられている。健康志向による忌避圧力も勢いを増すばかりとなり、今後も縮退する方向性に変化は無い。ただし加熱式たばこが現時点ではその減少分を補っている雰囲気があり、今後の動向の見通しはつきにくい。

一方雑誌に関しては価値観の多様化や電子雑誌の進出、すき間時間の活用の仕方の変化を受け、やはり規模の縮小は避けられそうに無いが、コンビニにおける同じ出版物として今件月次報告書では取り上げられることはまず無かった書籍に関して、一部チェーン店で新しい動きが生じている。

セブン-イレブンの街の本屋さんプロジェクト詳しくは【コンビニの出版物販売額をグラフ化してみる(前編:各社編)(2016年)(最新)】で説明しているが、スリーエフで書籍を中心としたミニ書店化形態が売上・集客の点で成果が出たことから、今後さらにそのスタイルの拡大が明言されている。またローソンでも【ローソンの書籍棚設置店舗が4000店舗にまで拡大していた件】にある通り専用の書籍棚を設置する店舗が4000店を超えたと公式に発表され、それなりの成果を示していることが確認できる。

一時期は総撤退の気配すら見受けられたコンビニの雑誌群も、一部で戻し、再配置の気配もあり、コンビニ側も手探りの状態であることがうかがえる。駅の売店がコンビニ化(コンビニチェーンによる運営店舗の展開)するに伴い、鉄道利用者による雑誌へのアプローチの仕方も変化を遂げており、今後の動向に注目が集まっている。セブン-イレブンが継続的に「街の本屋さん」を自称し、ネット経由で書籍の調達をする受け皿を推進し続けているのも注目に値する。

他方、【セブンとローソンが「成人向け雑誌」の取り扱いを中止するとの話について】にもある通り、大手コンビニが相次ぎ「成人向け雑誌」と自己定義する領域の雑誌の取り扱い中止を表明しており、今後この動きが雑誌の売上、さらには客数や他の商品の売上にどのような影響をおよぼすことになるのかが気がかりではある。恐らくはすでに少なからぬ直接、さらには集客力という観点での間接的なマイナスの影響が出ているはずだが。

各種サービス(情報端末やカウンター経由)の提供や、カウンターで提供されるいれたてコーヒーをはじめとする新鮮味あふれる日配食品(昨今のセブン-イレブンやファミリーマート、ローソンにおけるドーナツもよい例)は順調に成長を続けているが、今なおあくなき探求は続けられている。昨今の報告書におけるコメントでも好調さに関する言及が常連化しているように、中食に関する需要はこの数年大きく増加しており、それが具体的な形で小売各方面に現れるようになっている。高齢化や少数世帯化による需要の増加、技術進歩などによる提供商品種類の多様化が相乗効果を示し、ポジティブな意味でのスパイラル現象を引き起こしている。時間や手間を簡略化し、より楽しい食生活を受給する対価としてコンビニやスーパーの食品を選択するという、新しいライフスタイルの浸透といえる。エンゲル係数の上昇は、この要因が大きい。

一方で昨今では24時間営業をはじめとしたコンビニのこれまでの基本方針・施策に疑問符が投げかけられるようになった。特に運用する従業員の労働負担の大きさや金銭的な負荷で問題視される事例が見受けられる。状況改善の施策の一例として挙げられている、営業時間の変化が生じれば、当然売上はその分減ることになる。またレジの自動化の話もあり、実証実験も積極的に進められている。売上には影響が生じるだろうか。日配食品の割引販売も試験導入が一部で始まっているが、どのような影響をおよぼすかは未知数。

他方、昨今の報告書のデータの限りでも、既存店の来店客数は頭打ちから漸減の気配もあるほどで、店舗数の増加と客単価の引上げで全店ベースでの成長を示す形となっており、店舗の飽和状態の感も否めない。ここ数か月は増加店舗分も加味した全店ベースでの来店客数でも前年同月比でマイナスを示すことが多い実情からは、来店客数の限りでは成長のピークを過ぎた雰囲気が感じられる。さらに店舗数そのものも漸減の動きとなっている(今回月は増加を示したが)。

今回月は前回月に続き新型コロナウイルス感染症の拡大による緊急事態宣言を受けた外出自粛や自宅勤務の増加の影響を受け、客数が取得可能な統計資料の限りでは過去最大の減少幅を示した(前回月の減少率をも超えている)。5月14日付で一部地域、5月25日には全国で解除されたにもかかわらず、である。次回月となる6月はいくぶんの客数の戻りが期待できるが、本格的な復調はまだ先の話となるかもしれない。また、客数の戻りとともに客単価がどのような動きを示すのかも気になるところだ。


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