年取った時の生活を支える収入源、何を想定してる?

2014/08/22 11:30

人は霞を食べて生きていけるわけではないので、老若男女を問わず何らかの収入を確保し、その金銭を基にさまざまな物品やサービスを得て、生活を営んでいく。ところが歳を経て高齢期に入ると多くはその最大の収入源となる勤め先を退職し、定期収入の窓口が閉ざされることになる。当然、家計の様式も大きな様変わりを余儀なくされる。それでは間もなく高齢期を迎える人、あるいはその足音が聞こえてくる世代においては、将来の高齢期到来に関して、どのような生計で自らの生活を立てていく試算をしているのだろうか。内閣府が2014年6月13日に発表した、高齢期に向けた「備え」に関する意識調査の結果から、その目論見について確認をしていくことにする(【発表リリース:高齢期に向けた「備え」に関する意識調査】)。

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三本柱は公的年金・取り崩し・給与収入


今調査は2013年11月28日から12月31日に渡って、層化二段無作為抽出法によって選ばれた全国の35歳から64歳の人に対し、郵送配布・郵送回収方式で行われたもの。有効回答数は2707人。若年層は調査対象母集団に含まれていないことに注意。

冒頭にある通り、自らが高齢期に達した際に、自世帯の生計をどのような収入で支えるつもりなのか、3つまでの選択肢を選んでもらう方式で行った調査結果が次のグラフ。現状を見極めた、多分に現実的な内容を答えてもらっていると考えて良い(例えば「宝くじを当ててそのお金で」的なものは無いものと見なす)。

↑ 自分の世帯の高齢期の生計を支える収入を何によって得たいと思うか(3つまで選択)
↑ 自分の世帯の高齢期の生計を支える収入を何によって得たいと思うか(3つまで選択)

最大回答率を示した項目は「公的年金」で82.8%。生涯支払・受取額の不公平感や制度そのものへの安定性など、多彩な方面で問題視されている公的年金だが、一方で多くの人はその支払いに確実性と期待を寄せていることが分かる。見方を変えると、17.2%は将来の高齢期において、公的年金を主収入とは想定していないことでもある。

次いで多いのは「貯蓄・退職金の取り崩し」で46.2%、ほぼ同率で「自分・配偶者の給与収入」で45.6%。選択できるのは3つまでという設定を考えると、多くの人はこの3本柱で高齢期の生計を立てる目論見であることが分かる。

「民間個人年金」「勤務先の企業年金」「自分や配偶者の事業収入」なども1割を超え、ある程度の人が主要収入として考えている様子がうかがえるが、いずれも多数派までには至らない。機会そのものが得られない、現時点においてそこまでの余力が無いなど、多くの人が利用できる収入源では無いのが、回答率が低い原因。

現状が如実に反映される将来設計


今件をいくつかの切り口で、属性別による動向を見ていくことにする。まずは男女・世代別。これを上位陣のみで仕切ると次の通りとなる。

↑ 自分の世帯の高齢期の生計を支える収入を何によって得たいと思うか(3つまで選択)(男女・世代別、上位陣)
↑ 自分の世帯の高齢期の生計を支える収入を何によって得たいと思うか(3つまで選択)(男女・世代別、上位陣)

「公的年金」の回答率は概して若年層ほど低く、高齢層ほど高い。これはもらえる・もらえないの期待度に加え、支給される金額の高低への期待度が大きく関与している。低額しか公的年金を受け取れないと想定しているのなら、それをメインにするのは困難という次第。それを裏付けるかのように、「自分・配偶者の給与収入」は、若年層ほど高い値を示している。

この構造は見方を変えれば、「公的年金の支払額が低下すればするほど、高齢者は歳を経ても就職口を見つける必要性が生じてくる」ことを意味する。昨今の若年層の失業・低賃金問題の一要因でもある高齢層の再就職が、公的年金の金銭的な問題と深い関係にあること、個々の単独問題では無く、多かれ少なかれ連鎖的なつながりを持つものであることを改めて認識させてくれる。

現在の世帯年収別で仕切ると、現在のお金周りの良し悪しが、将来設計にも大きな影響を与えていることが分かる。

↑ 自分の世帯の高齢期の生計を支える収入を何によって得たいと思うか(3つまで選択)(世帯年収別、上位陣)
↑ 自分の世帯の高齢期の生計を支える収入を何によって得たいと思うか(3つまで選択)(世帯年収別、上位陣)

公的年金への傾注度は年収による差異があまり見られない。一方で貯蓄・退職金の切り崩しは概して高年収ほど高い値を示しており、回答時点で年収が高い≒余力がある世帯ほど、取り崩し出来る資産にも大きな期待ができる現状が把握できる。

他方、低年収の場合は(高齢期における)自分・配偶者の給与収入に頼るところが大きく、「高年収層…貯蓄を切り崩して生活」「低年収層…高齢期も働いて生活の補助」という図式が見えてくる。改めてまとめると、ごく普通の話ではあるのだが、具体的に想定している人たちの意見を数字化すると、そのリアリティには色々と思わせるものがある。



今件はあくまでも35歳以上の人達を対象にした調査結果であり、それ未満の年齢層の意見は反映されていない。その世代ではまだ将来設計を具体的にイメージできない面も多いのだろうが、どのような自分の将来像を描いているのか。興味深い話には違いない。


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