熱中症による搬送者数は1週間で4106人、累計3万人突破・台風接近でやや減少(2014年8月4日-8月10日)

2014/08/12 15:14

総務省消防庁は2014年8月12日、同年8月4日から8月10日の一週間における熱中症搬送人数が4106人(速報値)であることを発表した。前週の人数5393人(速報値からの改定値)と比べると1000人強ほど減っている。また今年の熱中症による搬送人数は、消防庁が今年カウントを始めた5月19日以降における累計人数としては3万1135人となった。初診時に熱中症を起因とする死亡者は今回週では8名が確認され、3週間以上の入院加療が必要な重症判定を受けた人も110人に達している(【消防庁:熱中症情報ページ】)。

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↑ 熱中症による救急搬送状況(週単位・速報値・2014年・人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(週単位・速報値・2014年・人)

↑ 熱中症による救急搬送状況(該当週・日単位・速報値・2014年・人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(該当週・日単位・速報値・2014年・人)

↑ 熱中症による救急搬送状況(年齢区分)(2014年)
↑ 熱中症による救急搬送状況(年齢区分)(2014年)

今夏の電力事情と政府からの節電要請について精査した、春口の記事【「今年も数値目標なし」…2014年夏の節電要請内容正式発表】などで解説の通り、今年は当初エルニーニョ現象の発生により冷夏となる可能性が多分にあると予想されていた。しかしその後の気象庁の発表で、エルニーニョ現象の発生の可能性は引き続き高いものとされる一方、その発生時期は秋にずれ込むと修正され(【エルニーニョは発生する可能性はあるが秋にずれこみそう、そして冷夏は......】)、それに伴う形で今夏の平均気温長期予想は「8月西日本高め」「9月西日本低め」に変更されており(【今夏の平均気温長期予想が「8月西日本高め」「9月西日本低め」に......】)、電力需要の観点では以前予想より厳しい情勢となっている。

そして電力供給事情は昨年よりも一段と厳しいものとなることが確定しており、各方面で厳格な警戒体制が敷かれている。また電気代も発電バランスのよじれから高騰を続けており、これも熱中症リスクを高める一因として懸念されている。一部で「去年より節電の声が聞かれなくなったので、もう電力需給は安心、問題は皆無だ」との意見を見聞きするが、公開されている各種実数値を見ればそのような話は単なる誤解でしかないことが分かる(報道されないのは多分に「慣れ」が生じ、視聴率に貢献しにくくなったからに他ならない)。

この動きを受け気象庁でも、従来は6月1日を含む週から熱中症による搬送者の集計を行っていたが、今年はその一週間前となる5月19日から25日の週より集計を実施している。今回発表されたのは今年の分としては第12週目のものとなる。

今回計測週は前半では大いに全国的に晴れ渡り、各地で真夏日(最高気温が30度以上)、猛暑日最高気温が35度以上)が観測され、熱中症によるものと観られる搬送者も相次いだ。しかし週後半に入ると台風11号の接近、さらには上陸に伴い、天候は大きく荒れる形となり、屋外での行動が制限されると共に気温も低下。熱中症患者もその数を減らしている。今回週総計が前回週と比べて少なくなっているのは、主にこの週後半における天候の崩れによるものである。


↑ 熱中症のリスクは高齢者の方が高い。東京都でも死者の多くは高齢者。【直接リンクはこちら:今夏の23区内 熱中症で32人が死亡】

年齢区分別の搬送状況を見ると、7月下旬から少しずつ高齢者の割合が増加している。これは学校が夏期休業に入り、さらにお盆休みに突入して部活動も休みに入ることで、子供の熱中症リスクが減少することによるもの。今後9月に入るまで高齢者の搬送者率は増加を続けることが容易に予想される。

また高齢者は屋内外を問わず一人で行動する事例が多く(いわゆる「高齢独り身世帯」の事例も多々ある)、同じ体力上で問題がある子供と比べ、熱中症の発症が発見された際に、状況が悪化している場合が多い。熱中症による死亡者で高齢者の割合が高いのは、そのような理由によるものである。
↑ 東京都の最高気温と天候(2014年8月4日-8月10日)
↑ 東京都の最高気温と天候(2014年8月4日-8月10日)

↑ 大阪府の最高気温と天候(2014年8月4日-8月10日)
↑ 大阪府の最高気温と天候(2014年8月4日-8月10日)

↑ 熱中症による救急搬送状況(2014年8月4日-8月10日)(搬送人数上位都道府県、人)
↑ 熱中症による救急搬送状況(22014年8月4日-8月10日)(搬送人数上位都道府県、人)

関東甲信越では台風接近前の週前半に猛烈な暑さを記録しており、これが熱中症による搬送者数で関東地区の都道府県が相次ぎ上位を占める原因となった。


↑ 8月6日の猛暑を伝える報道映像。熱中症への注意喚起もなされている。【直接リンクはこちら:関東甲信などあすも厳しい暑さに 熱中症注意】

厚生労働省では5月27日付で、今夏期向けの熱中症対策の広報展開として、リーフレットを配布し、周知喚起を実施している(【今年も熱中症の季節到来、厚生労働省がリーフレット公開で注意喚起へ】)。

↑ 厚生労働省が公知したパンフレット「熱中症予防のために」(一部)
↑ 厚生労働省が公知したパンフレット「熱中症予防のために」(一部)

さらに内閣府も6月10日付で「熱中症予防の7か条」なるリリースを発信し、熱中症への備えを呼びかけている(【熱中症予防の7か条、内閣府政府広報室が熱中症に関する注意喚起】)。いずれも熱中症を発症しやすい、抵抗力の低い子供やシニア層、病症者への配慮を特に考慮した内容となっている。

自治体レベルでも各自に熱中症への取り組みを行っている。例えば東京都世田谷区では、昨年の熱中症搬送者の7割ほどが室内で発見された状況を重く見て、室内での熱中症対策として、区が一人暮らしや孤立の恐れがある高齢世帯を中心に「熱中症予防シート」なるものを配布する施策を実施している(【今年度の熱中症対策  熱中症予防シートの配布(世田谷区)】)。

↑ 世田谷区が配布している熱中症予防シート
↑ 世田谷区が配布している熱中症予防シート

シートには熱中症予防に関するさまざまな知識が書かれており、さらに中央部分には周辺温度が数字で表示される液晶温度計(20度から42度が確認できる)がついている(玩具で良く見かける、特定温度の場合にのみ色が出る仕組みの数字をずらりと並べてある)。温度の数字と表示される場所でリスクをすぐに判断できるようにとの配慮がなされており、目に留まる場所に貼り付け、温度計代わりに使うと共に、常に熱中症への備えを再確認できるという、素晴らしい発想の告知シートとして仕上げられている。

高齢者は体感温度反応が鈍く、周囲、そして自分自身の温度変化への対応も鈍くなるため、温度の変化にも気が付かない場合が多い。そのため、温度に関係なく自分がいつも目を留める場所(例えばテレビや時計のそば)に貼りつけることで、リスクを減らすことができる次第である。

ヤフーも2014年7月7日から、同社が提供しているウェブサービスの一つ「Yahoo!地図」で、熱中症指数値と呼ばれる熱中症リスクをアイコン「ねつぼうくん」でビジュアル化した上で、地図上に反映した「熱中症情報」の提供を開始している(【【期間限定】Yahoo!地図で見る「熱中症情報」はじめました!】)。9月30日までの期間限定での機能実装だが、興味深い話ではある。

↑ Yahoo!地図の「熱中症情報」
↑ Yahoo!地図の「熱中症情報」

7月1日からは「数値目標を伴わない節電要請(定着節電分の確実な実施)」期間が始まっている。すでに夏休みに突入し、児童が自宅にいる時間が増えることで、室内の冷房稼働時間について気を使う保護者も増えてくる。節電のための「適度な」利用は電力需給を考慮すれば欠かせない行動ではあるが、過度の節制で高温のために体力を消耗し、さらには体を壊してしまったのでは元も子もない。また屋外での遊びや諸活動に夢中になるあまり、熱中症対策を怠る可能性も多分にある。

屋外はもちろん屋内、さらには車内においても熱中症のリスクは十二分に存在する。そして自分自身は大丈夫だと自信を持っていても、身体そのものの実態が追いついていない場合もある。また、自分が耐えられる状況が他人にそのまま通用するとは限らない。

上記で触れた通り、高齢者層は温度の変化に鈍いため、状況が悪化するまで本人ですら気が付かない場合も少なくない。お盆休みの間は里帰りや観光地などに足を運ぶ機会も増えるが、つい解放感から油断して、熱中症を発症しかねない。あらためて注意喚起の各種パンフレットの内容や注意喚起の話を再確認し、基本的な要件を守り、くれぐれも油断をせずに応じてほしい。


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