中堅層以上が抱く「高齢者」のイメージとは

2014/08/20 11:30

一般的には60代以上の人達を指す「高齢者」という言葉。そこからは単なる年齢の違いに加え、さまざまな連想を抱くことになる。それではその「高齢者」の領域に自身がもうすぐ達する人、あるいはそう遠くないうちに届く人達は、その言葉にどのようなイメージを持っているのだろうか。内閣府が2014年6月13日に発表した、高齢期に向けた「備え」に関する意識調査の結果から確認をしていくことにする(【発表リリース:高齢期に向けた「備え」に関する意識調査】)。

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「高齢者」のイメージは身体の衰え、経済的な不安


今調査は2013年11月28日から12月31日にかけて、層化二段無作為抽出法によって選ばれた全国の35歳から64歳の人に対し、郵送配布・郵送回収方式で行われたもので、有効回答数は2707人。

冒頭でも触れた通り「高齢者」という言葉は概して年齢を区切りに用いられるが、それと同時に歳を経た人のさまざまな特徴が連想されることになる。そこでいくつかの連想されうる選択肢を提示し、そのうち当てはまりそうな、回答者が持つイメージを3つまで挙げてもらった結果が次のグラフ。もっとも多くの人が「高齢者」に抱くイメージとは「身体が衰え、健康面での不安が大きい」で、実に74.8%と3/4近くの人が同意を示していた。

↑ 「高齢者」という言葉にどのようなイメージを持っているか(選択肢から3つまで)
↑ 「高齢者」という言葉にどのようなイメージを持っているか(選択肢から3つまで)

老化現象を止めて若返りを果たす科学技術が開発されて普及しない限り、歳の経過と共に身体の老化が生じるのは自然の摂理であり、誰にも止めることは出来ない。医療の進歩と共に病症による死亡が減少すると共に、老衰が死亡原因の上位に上がってくるのも、ごく自然の話ではある。「高齢者」という言葉に身体的な衰えのイメージが強く連動するのは、日本が高齢化社会に突入している証拠の一つともいえる。

もっとも第2位の「収入が少なく、経済的な不安が大きい」とする意見は、少々不思議さを覚える人も多いだろう。街中には裕福さを満喫するシニア層があふれ、年金問題や金融資産の保有状況など、高齢層の経済的な豊かさを覚えさせる情報も多く見聞きされる。今件は中堅層以降を調査対象としているものの、若年層に同じような質問をしたら、この項目の回答はもっと低い値を示したに違いない。

しかし実際には今件の結果のように、経済的な不安を覚える事例が多いのも事実。【年金生活をしているお年寄り世帯のお金のやりくりをグラフ化してみる】の通り、平均的な高齢者世帯では支給されている年金だけでは足りず、貯蓄を切り崩して生活しているのが実情ではある。

ようやく第3位以降に「経験や知識が豊富」「時間にしばられず、好きなことに取り組める」「仕事などの責任から解放されて、自由な生き方や考え方が出来る」などのポジティブな話が顔を見せる。とはいえツートップのマイナスなイメージ達の前には、やや薄れてしまう感は否めない。

孤独感と貧相感を回答者の立場から


続いていくつか特定の項目に関して、関連するであろう回答者の属性別に区分した上で、その回答傾向を見ていくことにする。まずは「周りの人との触れ合いが少なく、孤独である」の回答率。いわゆる「孤立老人」「ぼっち状態」的なイメージだが、概して歳を経るほど高い回答率を示している。

↑ 「高齢者」という言葉にどのようなイメージを持っているか(選択肢から3つまで)(「周りの人との触れ合いが少なく、孤独である」の回答率)
↑ 「高齢者」という言葉にどのようなイメージを持っているか(選択肢から3つまで)(「周りの人との触れ合いが少なく、孤独である」の回答率)

回答者自身が「高齢者」の領域に近づくほど、自分自身の経験や周辺環境の変化を受け、周辺との触れ合いが少なくなり、孤独に陥る可能性を自認し、結果としてイメージとしても刷り込まれるようになる。そのような流れで考えれば、道理は通る。

また、誤差の範囲ともいえなくもないが、特に50代以降においては男性よりも女性の方が、やや高い値を示している。以前【会話や近所付き合いから見る高齢者の「ぼっち」状態】で解説したように、実際の高齢者は男性よりも女性の方が社交性が高く、孤独感を覚える割合は低いのだが、そこには今件のような「孤独」への警戒心の高さが一因にあるのかもしれない。

次は「収入が少なく、経済的な不安が大きい」。これは回答者の現時点における世帯貯蓄総額別での仕切りで回答率を並べてみた。

↑ 「高齢者」という言葉にどのようなイメージを持っているか(選択肢から3つまで)(「収入が少なく、経済的な不安が大きい」の回答率、世帯の貯蓄総額別)
↑ 「高齢者」という言葉にどのようなイメージを持っているか(選択肢から3つまで)(「収入が少なく、経済的な不安が大きい」の回答率、世帯の貯蓄総額別)

ややイレギュラーな動きがあり凹凸を示しているが、概して低貯蓄者ほど「高齢者は経済的に不安定」とのイメージを強く持っている。回答者が多分に、近い将来「高齢者」自身になることを明確化していることを合わせて考えると、今件は自分自身の将来像を「高齢者」という言葉のイメージに重ねているようにも思える。



年齢的な積み重ねは誰にも避けられないため、何か不幸な事案が無い限りは、誰もが高齢者となる。つまり「高齢者」のイメージは、現在の延長線上にある自分自身の姿のイメージでもある。そこにたどり着くまでの道のりが短ければ短いほど、現在の自分自身と、自分が目にしている「高齢者」の姿とを重ねることになる。

老化現象は仕方がないとしても、それ以外のマイナス項目については、イメージそのものが成されないような、社会環境の改善を願いたいものだ。それであればこそ、将来を気にせず、不安がらずに、日々を精一杯、心境的にもポジティブに過ごすことが出来るのだから。


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