「妖怪ウォッチ」はなぜ子供達に受け入れられたのか(番外編)…関連グッズの需給問題と転売話

2014/08/10 10:40

妖怪ウォッチ DX妖怪ウォッチ先行する形で【「妖怪ウォッチ」はなぜ子供達に受け入れられたのか(上)…メディアミックス編】【(下)…子供目線での内容と「妖怪」編】において、「妖怪ウォッチ」の盛況ぶりの理由を色々な視点からの考察を行った。今記事ではそれらに連動する形の番外編として、昨今の関連グッズにおける品不足現象や、いわゆる転売問題について触れておくことにする。

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「妖怪ウォッチ」関連商品の人気の高まりと品薄感と


先日発売された「妖怪ウォッチ」の続編「妖怪ウォッチ2 元祖/本家」は今なお好調なセールスを示しているが、在庫状態はほどよい状況となり、コンビニでもすぐに手に入る風景がそこかしこで見受けられるようになった。

↑ 某大手コンビニでも在庫を知らせる貼り紙が。毎日それなりにさばけているようで、店内で積み上げられているソフトは日に日に減っている
↑ 某大手コンビニでも在庫を知らせる貼り紙が。毎日それなりにさばけているようで、店内で積み上げられているソフトは日に日に減っている

一方、関連商品、特に主人公たちが妖怪とのコミュニケーションツールとして用いる妖怪ウォッチと、そのオプションとなる妖怪メダルについては、作品そのものの人気の高まりと共に大いに子供達の注目を集め、それを求める子供自身や保護者が行列を成す様子が多所で見受けられ、報じられている。



↑ 8月6日付の秋葉原ヨドバシカメラにおける状況を伝える取材画像

このような需要の急増とそれに追いつかない供給という状況によって生じている需給ギャップに対し、一部から非難の声が高まっている。いわく「さっさと大量生産しろ」「転売屋がずる賢く儲けている」「品薄商法で犠牲が生じている」云々。

これらの批判を声高に掲げることへの理解は出来なくもない。自分が、あるいは子供が欲している商品が手軽に手に入らない。入手は可能だが転売屋(的な存在)によって定価よりも高値で買わざるを得なくなる。これだけ品不足なのは、生産を抑えて品薄感を演出させ、より一層需要を底上げしているに違いない。

その「非難」は正当なものなのか?


ただ、冷静に考えればこれらの指摘は大抵において、正論では無いことが分かる。手に入らないこと自体は生産が需要に追い付かないのだから仕方がない。需要を見誤ったと表現すればそれまでだが、そもそも論として「妖怪ウォッチ」そのものがここまでのヒットコンテンツになるとは、関係者自身が想定していなかった感はある(一応さまざまな布石は打っているが、それが思惑通りに進展するとは限らない。思惑通りにヒット作を構築できる方程式など存在するはずがない)。

また、物理的商品に関しては、在庫を貯めおくことは出来ても、一定期間に大量数を量産するのには限界がある。工場のラインを増設するなり他商品のラインを切り替えるなどの作業は一日二日では出来る話では無い。例えば現在は1日1万個の生産体制が確保できているが、今日10万個の需要があるので、明日10万個生産して市場に流すようにするというのは、物理的商品では不可能な話。そして商品の需給は、よほどマーケティングに長けた部門による精査でも、なかなか見極めにくい。ましてやブームになると、需要は加速化する。もちろん原材料の調達や運送ラインも同様。

さらに流行系アイテムは流行り廃りの予想がつきにくい特徴がある。一度に大量の商品を生産できる体制が整った直後にブームが過ぎ去り、需要が激減したら、そのラインの余力は無駄になる。切り替えでは無く工場の新設などなら目も当てられない。そしてそのラインから吐き出される商品も、多分に余剰在庫となる。

短期間に生産力を大量投入・追加増強、切り替えして商品を大量に作り需要に応じろ、との要求は、作り手からすれば無理難題で、かつリスクの高い話でしかない。そして今件ならば妖怪ウォッチやそのメダルを作っているバンダイは、かつて「たまごっち」で大量生産のタイミングの見極めに失敗し、過剰の在庫で大きな損失を受けた経験がある(損失どころか会社存亡の危機にまで追い込まれ、体制の抜本的改革と事業整理すら行われた。1990年代後半の話である)。

そして「品薄商法」。話題づくりのための「品薄商法」は確かに皆無では無いが、果たして「妖怪ウォッチ」ほどの商品が、それをする必要があるだろうか。第一「品薄商法」で得られる「需給ひっ迫感による需要の高騰」に対応できるだけの商品を抱えているわけでは無く、むしろ機会損失の方が影響は大きい。在庫を抱えた上で小出しにすることにより、初めて「品薄商法」は活きてくる。

これがデジタルデータのみの商品となれば、ある程度状況は変わってくる。かつて任天堂の「とびだせどうぶつの森」が大いに人気を博してパッケージ版の品薄・品切れ状態が続いた際にも、デジタル版は販売を続けることが出来たのが良い例。ダウンロード環境の整備管理さえしっかりしておけば、一度出来上がった商品の物理的な生産行程はほとんど必要が無く、単にデータをコピーしていけば良いだけの話となる。商品生産ラインが足りない、材料が確保できないので販売できません、という事態には陥らない。

転売屋の問題


最後に「転売屋」について。「転売屋」に対する批評ももっともだが、これも以前からの話であり、何も「妖怪ウォッチ」で初登場した話では無い。人気のあるアイテム、エンタメ系商品なら多かれ少なかれどのような状況でもあり得る話で、それこそ「品薄商法」の言葉を語り現状を批判する一部世代も経験していた「ガンプラ」(ガンダムのプラモデル)あたりからも存在し世間の話題に登っている(いわゆる「せどり」も似たようなものだ)。

「転売屋」の存在で商品需要が大きくかき乱されるのならともかく、それによってやりとりされるアイテムは全体流通量から比べればほんのわずかにすぎない(別途大量入手できるルートを「転売屋」が持っていれば話は別だが)。「転売屋」が呈する価格は得てして需給の関係で決まるのだから、そして該当商品が生産終了になるわけではないのだから、そのようなルートでの購入はせずに、正規ルートで手に入るようになるのをただ黙々と待てばよい。それだけの話(もっとも先の、映画における特典付き前売り券のような状況もある)。

「妖怪ウォッチ」の需要はまだまだ高いレベルにある。人気の高まりからどうしても、今すぐにでも対象商品が欲しいとの気持ちが高まるのも理解できる。しかし作り手側も魔法のように、すぐに望む数だけの商品を生産できるわけでは無い。こぶしを挙げるにしても、周囲の声に惑わされるのではなく、作り手側の事情・実情を理解した上で、判断を成して欲しいものである。


■一連の記事:
【「妖怪ウォッチ」はなぜ子供達に受け入れられたのか(番外編)…関連グッズの需給問題と転売話】
【「妖怪ウォッチ」はなぜ子供達に受け入れられたのか(下)…子供目線での内容と「妖怪」編 】
【「妖怪ウォッチ」はなぜ子供達に受け入れられたのか(上)…メディアミックス編】


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