圧倒的軟調感…少女・女性向けコミック誌部数動向(2019年1-3月)

2019/06/09 05:15

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2019-0608加速度的に展開される技術革新、中でもインターネットとスマートフォンをはじめとしたコミュニケーションツールの普及に伴い、紙媒体は立ち位置の変化を余儀なくされている。すき間時間を埋めるために使われていた雑誌は大きな影響を受けた媒体の一つで、市場・業界は大変動のさなかにある。その変化は先行解説した少年・男性向け雑誌ばかりでなく、少女・女性向けのにも及んでいる。そこで今回は社団法人日本雑誌協会が2019年6月4日付で発表した「印刷証明付き部数」の最新値(2019年1-3月分)を用い、「少女・女性向けコミック系の雑誌」の現状を簡単にではあるが確認していく。

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トップは少女向けはちゃお独走継続、女性向けはBE・LOVEがトップ


データの取得場所に関する説明、「印刷証明付き部数」など各種用語の解説、さらには「印刷証明付き部数」を基にした定期更新記事のバックナンバーは、一連の記事まとめページ【定期更新記事:雑誌印刷証明付部数動向(日本雑誌協会)】に掲載している。必要な場合はそちらを参照のこと。

まずは少女向けコミック誌の現状。内容の限りではターゲットとなる読者層は比較的年齢が若い年齢階層、未成年でも高校生ぐらいまでが対象。

↑ 印刷証明付き部数(少女向けコミック誌、万部)(2018年10-12月期と2019年1-3月期)
↑ 印刷証明付き部数(少女向けコミック誌、万部)(2018年10-12月期と2019年1-3月期)

少女向けコミック誌ではトップは「ちゃお」。第2位の「りぼん」に2.6倍ほどの差をつけており、少年向けコミック誌の「週刊少年ジャンプ」的な群を抜く部数の多さ。この圧倒的差異をつけた状況は、現在データが取得可能な2008年4-6月期の値以降継続している。以前話題に上ったATM型貯金箱をはじめ、魅力的な付録の数々も、同誌をトップの座に位置し続けさせている大きな要因となっているようだ。


↑ ちゃお2016年1月号付録・超金運UP ATM型貯金箱。

第2位は「りぼん」、第3位は「別冊マーガレット」。そしてその後に「花とゆめ」「LaLa」「なかよし」「Sho-Comi」が続いている。

「別冊花とゆめ」は【別冊花とゆめが休刊】にもある通り、2018年5月26日発売の7月号で休刊を発表、当然印刷証明付き部数も公開されていないが、非公開化は2018年1-3月期からだった。

↑ 印刷証明付き部数(別冊花とゆめ、部)
↑ 印刷証明付き部数(別冊花とゆめ、部)

「別冊花とゆめ」の部数は2016年4-6月期に「ガラスの仮面」50巻収録予定のエピソードの一部を小冊子に付けた号でやや部数を底上げして以降、特に2017年に入ってから失速状態にあった。このままでは同誌で話題の「ガラスの仮面」の連載再開の前に、プラットフォームの立ち位置そのものが危なくなる可能性も否定できない…との言い回しがテンプレート化していたのだが、それがまさに体現化してしまった。「ガラスの仮面」はどの雑誌で連載を再開することになるのだろうか(休刊から1年以上が経過した記事執筆時点においても未発表)。なお【「ガラスの仮面」公式サイト】では関連グッズの宣伝が大展開状態だが、単行本はいまだに49巻までのままであり、また掲載誌に関する情報も無い。

続いて女性向けコミック誌。想定読者層は「少女向け」と比べてやや高めの年齢層。内容的には実質的に大人向けが多く、子供にはあまりお勧めできない(いわゆるR指定は無いが、その判断を下されてもおかしく無い雑誌、連載も多い)。発行部数は少女向けコミックと比べて少なく、横軸の部数区切りの数字も小さめ。

↑ 印刷証明付き部数(女性向けコミック誌、万部)(2018年10-12月期と2019年1-3月期)
↑ 印刷証明付き部数(女性向けコミック誌、万部)(2018年10-12月期と2019年1-3月期)

トップの「BE・LOVE」(主に30代から40代向けレディースコミック誌)がトップ、「プチコミック」「Kiss」が続く。「FEEL YOUNG」を除けば各誌でそれぞれ類似順位他誌と一定の差異があり、並べるときれいな傾斜ができている。ただし部数そのものは数万部の単位のため、ヒット作が生まれることで雑誌が大盛況となれば順位が大きく変動する可能性はある。

プラスは皆無…四半期変移から見た直近動向


次に前期と直近期との部数比較を行う。雑誌は季節で販売動向に影響を受けやすいため、精密さにはやや欠けるが、大まかに雑誌推移を知ることはできる。

まずは少女向けコミック誌。

↑ 印刷証明付き部数変化率(少女向けコミック誌、前期比)(2019年1-3月期)
↑ 印刷証明付き部数変化率(少女向けコミック誌、前期比)(2019年1-3月期)

プラス圏は皆無、プラスマイナスゼロは「ちゃお」のみ、それ以外は全誌がマイナス。誤差領域(上下幅5.0%以内)でのマイナスが5誌、それを超えた下げ幅は7誌。前期比で1割以上の下げも2誌確認できる。特に「ザ・マーガレット」のマイナス21.2%は際立つ下げ方で、後述する前年同期比でも大きく下げており、今後の動向が心配ではある。現時点では何の動きも無いのだが。

↑ 印刷証明付き部数(ザ・マーガレット、部)
↑ 印刷証明付き部数(ザ・マーガレット、部)

続いて女性向けコミック。

↑ 印刷証明付き部数変化率(女性向けコミック誌、前期比)(2019年1-3月期)
↑ 印刷証明付き部数変化率(女性向けコミック誌、前期比)(2019年1-3月期)

全誌がマイナスで誤差領域以上の下げ幅を示したのは2誌「デザート」と「office YOU」。

「フラワーズ」は2018年5月発売の7月号から「ポーの一族」の新シリーズ「ポーの一族 ユニコーン」が始まったものの、2018年7月発売の9月号でいったんお休みとなり、2019年3月28日発売の2019年5月号から再開した。表紙を飾る形でコピーにも「待望の連載再開!」とあり、プッシュフルスロットルである。

↑ 印刷証明付き部数(フラワーズ、部)
↑ 印刷証明付き部数(フラワーズ、部)

しかしながら部数は3万1667部と、半ば固定化していた下限の3万3300部すら下回る値。記録のある限りでは最少部数を示してしまった。「ポーの一族 ユニコーン」が掲載されたのは期間中に発行された3誌のうち1誌のみで、3誌分を平均化したものが公開されていることを考えると、「ポーの一族 ユニコーン」の掲載以前となる2019年3月号と4月号は3万部ぐらいにまで部数が抑えられていた可能性もある。次期において「ポーの一族 ユニコーン」の掲載でどこまで部数の引上げができるだろうか。掲載号は好評価の意見が相次いでいるだけに、期待は十分以上にできるのだが。

プラス1誌のみ、誤差領域超えの下落多数…前年同期比


続いて「前年同期比」による動向。年ベースの変移となることから大雑把な状況把握となるが、季節による変移を考慮しなくて済むので、より確かな精査が可能となる。

↑ 印刷証明付き部数変化率(少女向けコミック誌、前年同期比)(2019年1-3月期)
↑ 印刷証明付き部数変化率(少女向けコミック誌、前年同期比)(2019年1-3月期)

プラスは皆無。プラスマイナスゼロも無く、全誌マイナス、誤差領域を超えた下げ幅は12誌におよぶ。2割以上の下げ幅を示したのは「ザ・マーガレット」「ベツコミ」「Cheese!」「Sho-comi」の4誌。特に「ザ・マーガレット」はここしばらくの間、部数を大きく減らす傾向の中にあり、よい状況とは言い難い。

続いて女性向けコミック。

↑ 印刷証明付き部数変化率(女性向けコミック誌、前年同期比)(2019年1-3月期)
↑ 印刷証明付き部数変化率(女性向けコミック誌、前年同期比)(2019年1-3月期)

少女向けコミック同様に全誌がマイナス。誤差領域を超えた下げ幅は8誌、2割以上の下げ幅は「FEEL YOUNG」。同誌はすでに1万部を割り込んだ状態で、後が無いようにも見える。

↑ 印刷証明付き部数(FEEL YOUNG、部)
↑ 印刷証明付き部数(FEEL YOUNG、部)

起死回生の手立て、例えば状況を打開するヒット作の登場があればよいのだが。



かつてあちこちに見受けられた「おそ松さん」特需だが、今期では残り香すら覚えること無く、各雑誌の部数動向は通常運転に戻っている。「進撃の巨人」や「おそ松さん」のような盛り上がりを複数タイトルで意図的に起こせるようになれば、それこそ全盛期の週刊少年ジャンプのような活性化も不可能では無い。最近ならば「ポーの一族」の新連載が好例。そのためには幅広い層へ訴えかける、購入動機をかきたてる作品との連動、あるいは発掘、さらには創生が欠かせまい。

他方、他ジャンルの記事でも言及しているが、多くの雑誌で電子化が行われており、電子版に読者の一部を奪われ、結果として紙媒体としての印刷部数が減少している可能性は否定できない。特に今期では多くの雑誌が大きな部数の減少を示しており、電子版に読者がシフトしたという推測以外の原因が見つからない。あるいは単に、需要に合わせた部数の削減なのか。

しかしながら他の雑誌同様、電子版の部数は非公開のため、その推測の検証ができないのは残念ではある。


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