即入居可能な物件とそうでないものと……空家数増加の実態をグラフ化してみる(2014年)(最新)

2014/08/02 10:00

先日【住宅の空き家率は13.5%で過去最高に(2014年)(最新)】などで住宅・土地統計調査の速報集計結果を基に、日本の空家数実態を確認したが、その際に空き家数そのものの状況変化と共に、その内面の動向にも注意が必要であることについて触れた。今回はその内面部分を少しだけ掘り下げていく。一般に「空き家が増加している」「居住可能な物件が山ほど余り、それがますます増えていくのは問題だ」との意見が今回の調査結果を引き合いに出して語られているが、果たしてそのような一面のみの物の見方で正しいのだろうか(【発表ページ:平成25年住宅・土地統計調査】)。

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空き家数の急増=第三者がすぐに住める空き家の急増では無い


今調査の調査要項は先行記事「住宅の空き家率は13.5%で過去最高に」を参考のこと。その記事にもある通り、今回発表された「住宅・土地統計調査」によると、2013年時点の空家数は819万6000戸、総住宅に対する空き家率は13.5%という結果が出ている。

↑ 空き家数及び空き家率の推移(万戸)(再録)
↑ 空き家数及び空き家率の推移(万戸)(再録)

この空き家だが、実は次のような区分がなされていて、819万6000戸はこれらすべてを合わせた数になる。

・二次的住宅…
 「別荘」……週末、休暇時に使う住宅。普段は人は住んでいない。
 「その他」……普段住んでいる住宅とは別の、たまに寝泊まりしている人がいる住宅。仮の宿。残業などで使う一時的な宿泊の場。

・賃貸用の住宅……賃貸のための空き家。

・売却用の住宅……売却のための空き家。

・その他の住宅……上記以外の住宅。転勤・入院などで居住世帯が長期にわたって不在な住宅、建て替えなどのために取り壊すことになっている住宅※
  ※「住宅・土地統計調査」の説明ではこれのみだが、建て壊し・撤去費用が捻出できずに放置されている事例や、税金対策のために放置されている住宅も含まれる。

実質的に即入居が可能な、第三者がすぐに住めるとの観点での空き家は「賃貸用の住宅」「売却用の住宅」のみ。世間で騒がれている「空き家」のイメージはこれが強い、つまり「何故他人がすぐに住める住宅が820万戸もあるのに云々」というものだが、実態は大きく異なっている。これは先の記事でもグラフで解説した通りである。

↑ 空き家内訳(2013年)(再録)
↑ 空き家内訳(2013年)(再録)

今件について「空き家」を細分化し、その動きを見たのが次のグラフ。第三者が即居住可能か否かとの点に重点を置いているため、「賃貸用」と「売却用」を足して1つの項目とし、各項目の動向を見定めている(1973年以前は統計値自身の区分が大雑把で、今件グラフには適用できないため除外してある)。

↑ 空き家構成動向(万戸)
↑ 空き家構成動向(万戸)

↑ 即入居可能な観点での空き家率
↑ 即入居可能な観点での空き家率

意外にも第三者が即居住可能な空き家はほとんど増えておらず、全体に占める比率はむしろ低下。二次的住宅も数は横ばい。「その他」のみが大きく増加し、全体数を引き上げている。当然全体に占める比率は増加。

つまり直近における空き家率の増加、空家数の増大は、実質的には「第三者が即居住可能な空き家」の増加では無く、「その他区分の(第三者は居住できそうにない)空き家」の増加であることが分かる。

実際、経年変化における各調査年の、前回調査からの変化率を見ても、「その他」の住宅のみが大きく突出しているのが分かる。

↑ 空き家構成動向(変化率)
↑ 空き家構成動向(変化率)

なぜ住宅が放置されているのか


それではなぜ第三者が住めないような住宅が放置されているのか。普通に考えればだれも住めない・住まない住宅は固定資産税(+都市計画税)がかかるばかりで、何も収益が発生せず、持ち主にとっては単なる負債となるのみ。「金持ち父さん」ならぷんすかモード。

しかしこの「固定資産税」が大きな問題となる。単なる更地の場合に比べ、住宅がその上に建っていた場合、「住宅用地の特例措置」が認められ、大幅に「固定資産税」が軽減される(土地の面積・住宅の規模にもよるが(住宅建物にも課税標準額を基に固定資産税はかかる)、固定資産税は最大で1/6にまで軽減される)。さらに「現時点では」空き家でもこの特例が適用されるため、下手に空き家を解体して更地にすると、思いっきり固定資産税が跳ね上がるリスクが生じることになる。無論、解体時の費用もばかにならない。

↑ 「住宅用地の特例措置」の説明
↑ 「住宅用地の特例措置」の説明(【札幌市公式サイト:特例・減額措置】から)

一方で空き家の増加は景観上・都市計画上の問題だけでなく、防犯・防災の観点からもさまざまな問題を抱えることになる。今回の「住宅・土地統計調査」における「その他」項目の空き家住宅の急増は、その問題が顕著化していることを表す一つの指針といえる。

これに対し【「空き家」戸数 過去最多を更新(NHK、7月29日)】【政府「空き家」解体促す…対策法案提出へ(読売、4月7日)】で伝えられているように、税制の改正・特別措置法の設定(「空家等対策の推進に関する特別措置法案」)など(例えば「老朽化した建物を「特定空家等」と設定し、各種指導、さらには強制執行が実施できる」「住宅を撤去して更地にした場合、一定期間は固定資産税の軽減措置を設ける」など)の動きが見られる(※今法案は自民党の立案により自民・公明両党内で了承、みんなの党・日本維新の会も了承していたが、民主党の取りまとめが叶わず、6月22日閉幕した第186回通常国会での提出を断念、秋開催予定の臨時国会への法案提出・成立が予定されている)。

対応する法令が制定され、施行されることになれば、空き家問題も一部ではあるが、小さからぬ変化が生じることになるだろう。


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