ソフトハード合わせて国内市場規模は3330億円、プラスダウンロードが259億円…CESA、2019年分の国内外家庭用ゲーム産業状況発表(最新)
2020/07/28 10:17


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国内外市場規模としてのハード・ソフト別金額動向
CESAゲーム白書内では各種詳細なデータが記述されているが、誰もが閲覧できるリリース上では、ごく一部のみの値が明らかにされている。また2014年発表分(2013年分データ)からは2013年発表分(2012年分データ)までのように出荷額と市場推計規模では無く、市場規模のみを掲載、さらに調査手法、設定、定義などを大幅に変更したため、2013年分以降のデータとそれ以前との単純比較はできなくなっている。2012年分までの累計データは【国内5000億円割れ・額面上で縮小続く市場…2012年の家庭用ゲーム総出荷額は1兆2334億円】を参考のこと。今回発表された2019年分は、新様式としての7年目の計測値となる。
まずはソフト・ハード別の市場規模。全体に占める比率も算出できるので、そちらもグラフ化を行う。なおこれらのグラフ上の値は、すべてリリースからの数字を基に再計算をしているため、末尾1ケタの値がリリース上のと異なる場合があることに留意してほしい。また、日本国内のソフトにはパッケージソフト1657億円に、ダウンロードゲームソフトウェア市場259億円を加算してある。

↑ 家庭用ゲーム市場規模(国内外合計、ソフト・ハード別、億円)

↑ 家庭用ゲーム市場規模比率(国内外合計、ソフト・ハード別)
2013年では大きく影響しそうな据置型ハードとしてはプレイステーション4が2013年11月15日から海外で、Wii Uが2012年11月から12月にかけて世界各国で発売されているものの、ハードによる市場規模は約4割に留まっている。他方2014年では日本で2014年2月22日からプレイステーション4が、2013年11月22日からは日本を除く世界各国でXbox Oneが、日本では2014年9月4日から発売されている。また携帯型ハードとしては、2014年には10月に日本で、11月にはオーストラリアで相次ぎNewニンテンドー3DS(LL)が登場しており、これが大きな底上げの材料となっている。
2016年では2015年に続き据置型では(当時の)現行世代機のWii U、プレイステーション4ともに新世代機への展開は無く、ソフト・ハード双方とも前年から下げ幅は大きなものとなった。2017年ではWii Uの後継機にあたるNintendo Switchが3月に発売され、大いに市場は盛り上がり、ハードの市場規模は前年比で拡大。ソフトの売上の減少ぶりも最小限に留まった。結果、ハード対ソフトの市場規模比率は半々近くにまでハード側が伸びる形となった。
直近の2019年では特段大きな新ハードの発売機会はなく(Nintendo Switchの廉価版モデルとなるNintendo Switch Liteが発売された程度)、ハードの販売額は減少。ソフトも額を落とし、全体額は前年から減少する結果となった。ソフト・ハード比率も前年から大きな変化は無い。
国内外別の市場動向
続いてソフト・ハードを合わせた国内外別の動向。こちらも全体に占める比率も当方で独自に算出し、ともにグラフ化を行い精査対象とする。

↑ 家庭用ゲーム市場規模(ソフト・ハード合計、国内外別、億円)

↑ 家庭用ゲーム市場規模比率(ソフト・ハード合計、国内外別)
海外の市場規模の大きさが改めて浮き彫りとなる結果が出ている。2019年は2018年と比べ国内の市場規模は縮小、国外市場規模も縮小し、全市場に占める日本の市場比率は10.8%から11.9%と、1.1%ポイントの拡大を示す形になった。
日本の家庭用ゲーム市場の縮退が一目でわかるのが、今回の各種公開値をひとまとめにしたもの。同一基準で比較できる値が今回の2019年分も含めて7年分の経過のみだが、日本の市場規模の動向も併せて一目瞭然。

↑ 家庭用ゲーム市場規模(国内外別・種類別、億円)
日本ではハード・ソフトともに規模縮小を続けている。2017年ではハードが飛躍的に増加したが、これは多分にNintendo Switchによるもの。Nintendo Switchが日本国内のゲーム市場にどれほどの勢いをつけたのか、その実情が分かる。そのNintendo Switchの火は海外でも同様で、ハードが大きく飛躍している。
直近の2019年では国内ではNintendo Switchの勢いも落ち着き、国内外ともにソフト・ハード双方とも前年比でマイナスを示す形となった。
同プレスリリースでもさり気なくスマートデバイス(スマートフォンおよびタブレット型端末)のゲームアプリ市場規模の推計値が出ているが、それによると日本国内だけで2019年では1兆3431億円。2018年は1兆3126億円だったことから、ほぼ横ばい。この額は日本国内の家庭用ゲームにおけるソフト・ハード、さらにはソフトのダウンロードを合わせた市場規模(3589億円)の約3.7倍に相当する。
有力タイトルも多数発売されている。2019年に限っても、ミリオンセラーは2タイトル登場しており(100万本以上の出荷。同日発売で別バージョンのものは複数で1タイトルと換算)、決して勢いが減じているようには見えないのだが、総売上が落ちている現状からは、二極化と全体の縮小が同時に起きている感はある。
家庭用ゲーム機ならではの面白さ、楽しいひととき、話題を提供する機会はまだまだ多分にあり、スマートフォンやタブレット型端末にゲーム領域のすべてを家庭用ゲーム機が奪われるとは考えにくい。家庭用ゲーム機ならでは、家庭用ゲーム機だからこそできることも多い。
家庭用ゲーム機が市場、需要の動向を見極め、今後いかなる進歩を遂げ、形を変えていくのか。そのかじ取りの仕方により、今後の規模の縮小・拡大の動き方も変わってくるのだろう。
一方で「ポケモンGO」の展開のように、家庭用ゲーム機メーカーも積極的にスマートフォンなどへのソフト提供へのかじ取りを見せる動きもある。少なくとも今後数年において、家庭用ゲーム機業界は、これまでとは異なる変化を見せるに違いない。それはデジタル系のエンタメそのものの変化とも表現できよう。
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