アメリカのオバマ大統領の外交評価、それなりに高評価だが中東では激低

2014/08/11 14:30

経済や文化に留まらず国民感情にも多大な影響を与える(同時に国民感情にも多分に左右される)国の外交施策は、その歴史的背景や位置関係、そしてその国のトップに立つ人物の方針や思惑、ポリシーで大きく変化する。同一国家でもトップが差し変わると、その外交政策ががらりと変化することも珍しくない。今回はアメリカの大手調査機関Pew Researchが2014年7月14日に発表した、アメリカを中心とした諸国の外交戦略とその手法に関する周辺各国の反応などを調査した報告書【Global Opposition to U.S. Surveillance and Drones, but Limited Harm to America’s Image】から、アメリカのトップにあるバラク・オバマ大統領の外交施策について、諸外国の反応を確認していくことにする。

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自国民からの評価は6割近く、否定派は4割超


今調査は総計44か国を対象として2014年3月から4月に渡って、電話による対話、あるいは対面方式で18歳以上の人に対し行われたもの。有効回答数は各国とも約1000人。電話での調査ではRDD方式が採用され、また多くの国における調査結果では国勢調査結果によるウェイトバックが行われている。

次に示すグラフは調査各国の各国民の意見として、アメリカ合衆国のオバマ大統領による外交姿勢について、国際情勢の観点で正しい行動をしていると見て、評価できるか否かを確認したもの。「大いに評価」「評価」の賛成・肯定派、「評価しない」「全く評価しない」の反対・否定派、そして「分からない・無回答」の計5選択肢の中から選んでもらっている。要は今のアメリカの外交施策全般を支持するか否か、賛成か反対かという話である。

↑ アメリカのオバマ大統領について、国際情勢に鑑み正しい行動をしているとして評価するか(2014年春)
↑ アメリカのオバマ大統領について、国際情勢に鑑み正しい行動をしているとして評価するか(2014年春)

賛成派を青系統、反対派を赤系統で着色した。アメリカ国内におけるオバマ大統領の外交施策への賛成派は58%。反対派は41%。すでに二期目に入り、任期切れ(2016年)まで間近ということもあるが、賛成派は案外少ない。

ざっと見としての印象は、欧州地域、アジア地域、アフリカ地域での賛成派の多さ、中南米諸国での賛成・反対両派の競り合い、そして中東諸国での反対派の多さとまとめることができる。オバマ大統領に限らずだが、アメリカの中期的な外交施策とその結果生じている各地域での国民感情の状況が、大よそつかみ取れる。

個別動向で目立ったところを確認すると、周辺地域の動向とはイレギュラー的な形で反発が強く見えるのは、ロシア、ギリシャ、パキスタン。ロシアは米露二大大国として利害関係なども合わせ対立することが多いこともあり当然として(後述するが直近ではウクライナ問題での対立も要素として大きい)。ギリシャは隣国のトルコとの仲が歴史的な関係もあり悪く、そしてトルコはアメリカと密接な関係にあることから、当然反発心が強い(さらにいえば債務問題でアメリカも含めた欧米諸国からのプレッシャーへの反発もあり、同時に経済的アプローチが著しい中国との対比も要素としてあるのだろう)。パキスタンも事情としてはギリシャのそれに近く、国の成立の上での歴史的観点からインドと仲が悪く、中国とは友好関係にある。それが多分に影響している。

中東地域は概して赤系統が強く、「全く評価しない」の値が40%から50%が連続して出ているのが目に留まる。同地域でアメリカがどのように評価されているのかが分かる値の羅列ではある。

意見表明派のみで再計算をしてみる


中国に対する諸国の意見と比べればまだ少ないが、アメリカの外交施策に対する評価でも、意見留保の回答は少なからずみられる。そこでその回答をのぞき、何らかの明確な意見を持つ人のみで再計算を行い、賛成派の回答率を算出したのが次のグラフ。要は意見を持つ人における賛意派の割合である。

↑ アメリカのオバマ大統領について、国際情勢に鑑み正しい行動をしているとして評価するか(無回答などを除いた意見表明派のうち、賛成派の割合)(2014年春)
↑ アメリカのオバマ大統領について、国際情勢に鑑み正しい行動をしているとして評価するか(無回答などを除いた意見表明派のうち、賛成派の割合)(2014年春)

トップはフィリピン、そしてセネガル、韓国、ケニアが続く。西欧諸国ではフランスがトップでイタリア、イギリス、ドイツと続く。意外なのは中国がこの計算では6割近くを示して好意的であること。また中東地域諸国がグラフの下の方に集結しており、アメリカの外交施策に対する反発心の強さが改めて確認できる。またロシアの反発心も相当なものだが、これは多分にウクライナ問題に端を発しているものと推測できる。



以下余談。アメリカの大統領に限らずどの国のトップでも、概して任期が長くなればなるほど人気は落ちていく(洒落では無い)。特に任期後半では単に飽きられる、失敗面がクローズアップされる、さらには新しいトップとの入れ替えが予定されているため、実質的な権限が無いものとして対外的に扱われる場合も多く(「どのみちすぐに辞めるんだから、内々的に取り決め交わしたり交渉進めても……」という話)、外交評価面では特に不評を集めることが多くなる。

次のグラフはオバマ大統領の外交施策評価の経年データ。2016年に任期が切れるので、通常ならばあと2年はこのグラフは継続することになる。

↑ アメリカのオバマ大統領について、国際情勢に鑑み正しい行動をしているとして評価するか(評価派合計、経年)
↑ アメリカのオバマ大統領について、国際情勢に鑑み正しい行動をしているとして評価するか(評価派合計、経年)

概して低下する一方で、特にエジプトとロシアの下げ方は「失望した」レベルに達している。一方中国は2014年に大きく値を持ち直しているが、これは経済施策によるところが大きい。

もっともアメリカ国内外で、同国の経済的な影響力の低下と中国の発言力の強化が指摘されていることから(今レポートでも大きく領域を割いて説明されている)、この状況がさらに進み、それをアメリカ国内が認めないという事態になれば、外交施策も大きく変化し、それに伴い今件値も変わってくるものと思われる。もっとも現大統領のオバマ氏の任期中に、そのような動きがあるとは考えにくいのだが……。


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