安倍外交をアジア・アメリカはおおむね評価、反発するは中韓のみ

2014/07/15 09:30

アメリカの大手調査機関Pew Researchは2014年7月14日、アメリカを中心とした諸国の外交戦略とその手法に関する周辺各国の反応などをまとめた報告書【Global Opposition to U.S. Surveillance and Drones, but Limited Harm to America’s Image】を発表した。同報告書では日本の外交戦略に関する周辺国の反応についても調査結果が報告されており、興味深い結果が確認できる。今回は同報告書の精査に先行する形で、この部分について内容の確認をしていくことにする。

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日本の外交施策はアジアで概ね評価、中韓のみ反発


今調査は総計44か国を対象として2014年3月から4月に渡り、電話による対話、あるいは対面方式で18歳以上の人に対し行われたもので、有効回答数は各国とも約1000人。電話での調査ではRDD方式が採用され、また多くの国における調査結果では国勢調査結果によるウェイトバックが行われている。

今回スポットライトを当てるのは、日本の安倍総理における外交政策に関する印象を聞いた項目。国際情勢と照らし合わせ、日本の外交施策が正しいように見えるか、信頼を寄せることが出来るか否かを、強い肯定・肯定・否定・強い否定の4段階、意見留保あるいは無回答の計5選択肢から選んでもらったもの。要は「今の日本の外交施策を支持できるか否か」という話。

今項目では44か国のうちアメリカ、バングラデシュ、中国、インド、インドネシア、日本、マレーシア、パキスタン、フィリピン、韓国、タイ、ベトナムの計12か国が回答対象国となっている。次のグラフはその回答結果。肯定派が多い順に並べ替えている。

↑ 日本の安倍総理について、国際情勢に鑑み正しい行動をしているとして信頼を寄せているか(2014年3-4月)
↑ 日本の安倍総理について、国際情勢に鑑み正しい行動をしているとして信頼を寄せているか(2014年3-4月)

まずは日本自身だが、強い肯定は9%、単なる肯定は49%で合わせて58%が肯定派。否定派は40%。強い肯定意見を示しているのはバングラデシュがもっとも多く26%で次いでベトナムの23%、マレーシア・フィリピン・タイの13%が続く。また肯定派が全体の過半数に達しているのはベトナム・日本・マレーシア・バングラデシュ・フィリピン・タイの6か国、賛成派が否定派を上回っているのは中国と韓国以外の10か国に及び、おおよそ日本の外交施策は(アメリカやアジア諸国から)支持を集めていると評することができる。

特異な動きについては報告書でもいくつか言及されている。まずマレーシアやベトナム、フィリピンなどでの高い支持率に関しては、特記のみで理由は特に記されていないが、南シナ海などで展開中の中国による領域侵犯問題などの強圧的外交戦略に対し、日本の対応に期待を寄せていることがうかがえる。

他方インドやパキスタンなどの西アジア諸国では、肯定派は少ないが否定派も少ない。日本の外交戦略に関してあまり興味がない、あるいは認識されておらず、無回答・回答留保が2/3近くを占めているのが特徴的。

一方、中国と韓国は特異な動きを示している。報告書では「両国は日本が今なお第二次大戦に関して十分な謝罪をしていないと認識していること、安倍総理が靖国神社に何度も足を運んでいることを毛嫌いしている」と説明した上で、このような否定派が多数の結果を導き出したと説明している。中国ではまだ賛成派が15%、回答留保派が14%いるが、韓国ではそれぞれ5%・2%しかいない。そして否定派はそれぞれ70%・94%に達しており、特に韓国において今の日本の外交施策が気に食わない、支持できないとの意見が強いことが分かる。

意見留保をのぞいて再計算をしてみる


パキスタンやインドのように過半数が無回答・回答留保というのも、日本に対する評価の一つであり、これはこれで理解もできる。例えば日本でアンガシュ・ネゴティバという小国に対する評価を尋ねたら、多くの人はどのような国かイメージできず、意見を留保するだろう(実際にはそのような国は実在しない)。

しかし一方で、明確な意見を持つ人において、どれほどの人が賛意を示しているのか、あるいは反発をしているのかも気になるところ。そこで統計データを基に、意見留保・無回答者を除外し、肯定派・否定派のみで全体を再調整し(つまり明確な意見を表明した人のみで)、その上で肯定派のみをカウントした結果が次のグラフ。

↑ 日本の安倍総理について、国際情勢に鑑み正しい行動をしているとして信頼を寄せているか(2014年3-4月)(無回答などを除いた意見表明派のうち、賛成派の割合)
↑ 日本の安倍総理について、国際情勢に鑑み正しい行動をしているとして信頼を寄せているか(2014年3-4月)(無回答などを除いた意見表明派のうち、賛成派の割合)

中韓以外でもっとも低い値を示しているのはインド、次いでアメリカ、日本。高い値を示しているのはベトナム、マレーシア、タイ、フィリピン。ベトナムの88%はやや抜きんでているが、概して6割から7割程度に収まっており、いずれにせよ過半数に届いていることになる。一方、中国と韓国は極めて低い値に留まっていて、反発心の強さがうかがえる。



報告書ではこの結果についてさらなる分析はしておらず、上記に挙げた事例以外の解説はしていない。また今報告書について一部報道で「アジアの評価分かれる」「外交施策への評価は二分されている」と、意見が真っ二つに分かれているかのような表現がなされている。

実際のところは本文にある通りで、好意的評価が大部分であり、反発姿勢を示しているのは、今件調査項目の対象国に限れば中国と韓国のみである。二分には違いないものの、実状はイメージとは随分と異なることを、念のため、改めて記しておきたい。


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