市場観やや下落、国内政治情勢注目視…野村證券、2014年7月分の個人投資家動向発表

2014/07/19 20:00

野村ホールディングス(8604)のグループ会社野村證券の一部門「グローバル・リサーチ本部」は2014年7月11日付で、個人投資家の投資動向アンケート調査結果報告書「ノムラ個人投資家サーベイ」の最新版(2014年7月分を発表した)(【野村證券リリース一覧ページ】)。その内容によれば今後3か月後の株価見通しを調査対象母集団に問い合わせた「ノムラ個人市場観指数」は、先月から転じる形で、小幅ながらも下落し、44.6を示すこととなった。株価の先行きに関しては「小幅な上昇」を見込む意見が先月から続き上昇したが、その一方で「小幅な下落」見込みの意見が先月からもっとも上昇する形を示している。調査対象母集団は小規模な市場下落を予見している感はある。

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今調査は1000件を対象に(有効回答数が1000件に達した時点で締切)2014年7月1日から7月2日に行われたもので、男女比は80.9対19.1。年齢層は50代がもっとも多く34.6%、次いで60代以上が34.0%、40代が22.9%など。金融資産額は1000万円-3000万円の層がもっとも多く30.4%、500万円-1000万円が18.1%、100万円-300万円が12.4%と続いている。回答者の投資経験年数は10年から20年未満がもっとも多く33.3%を占めている。次いで20年以上が30.1%、5年から10年未満が25.3%となるなど、長期間投資に携わってきた人が多い(回答者にシニア層が多いので、ある意味当然)。

投資に対して重要視する点は、おおむね長期投資が最大値で46.6%と5割近くでもっとも多い。ついで配当や株主優待が26.3%と3割近く。短中期間の売買に伴う売却益より、配当収入や優待確保などの中長期的な安定感を求める投資方針が多勢(6割強)を占めている。

詳細はレポートで確認してほしいが、概要的には次の通り。

・投資指数は44.6ポイント。前回からは2.6ポイントの下落。前月の上昇から転じて落ち込む形となった。この時期、日経平均株価は400円近い上昇を示しており、さらなる上昇に期待がかかるも、市場過熱的な雰囲気を覚えた警戒感の方が強く出て、指数も弱腰の値を示したようだ。

・3か月後の日経平均株価の上昇を見込む比率は合計で72.3%。前月分の73.6%からは1.3%ポイントの低下。「1000円程度の上昇」を見込む意見がもっとも多い状況は先月から変わりないが、プラス1.5%ポイントの上昇に留まっている。他方「1000円程度の下落」回答比率はプラス2.6%と選択肢の中では最大の上昇幅を示しており、過熱感に対する反動下落の予見が集約された形に。

・市場に影響を与え得る要因としては「国際情勢」がトップにつき、先月からはプラス1.0ポイント上昇。為替にも小さからぬ影響を与えることに加え、昨今では相場変動を起こすような国内情勢があまり無いように見受けられるのも要因だろう。他方その「国内政治情勢」だが、前月比上昇幅は2.8%ポイントと最大の上昇。もっともこれでも「為替動向」よりは低く、「国内企業業績」とほぼ同程度に留まっている。

・魅力的な業種は「資本財・その他」「自動車」「医薬品」「通信」「素材」「金融」の順。「金融」は前回マイナス圏からプラスに転じる形となった。消費税率改定に伴う消費性向悪化で大きく下げた「消費」、そして「電気機器・精密機器」は、今回月は前回月と比べてDIがやや悪化している。また原油価格の上昇を受け、「運輸・公共」のDIがさらに減少している。

・ドル円相場に対する見通しは、やや円高と大幅な円安の二極で同意率が増加。読みにくい市場動向を反映した動き。

・通貨への投資魅力は「オーストラリアドル」が最上位。「アメリカドル」が続き「日本円」がその後に並ぶ。この3通貨が大きくDI値の上で先陣を切り、それ以外の通貨は低い値に留まっている。「ブラジルレアル」の大幅減少、「中国元」の壮絶なマイナス状態継続が目につく。

・もっとも注目を集めた金融商品は「国内株式」。次いで「預貯金」「国内投資信託」。この順位は先月から変わらず、DI値にもあまり変化は無し。「国内投資信託」でやや値が大きめに減った程度。「なし」の値は先月からほとんど変わらず、DI値も唯一大幅なマイナス。投資熱そのものは醒めていない。

気になる「保有したい、注目していきたい銘柄」、つまり調査対象母集団における個人投資家が購入したいと考えている銘柄は、今月も先月から継続してトヨタ自動車(7203)がトップに。同銘柄の株価が低迷した一時期をのぞけば鉄板的な存在で、第二位の銘柄から言葉通り(得票数が唯一3ケタ台)ケタ違いの人気を誇っている。

1位……トヨタ自動車(7203)
2位……武田薬品工業(4502)
3位……ソフトバンク(9984)
4位……三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)
5位……オリエンタルランド(4661)

第二位以降は回答数が微妙なため、容易に順位変動が起きうる。その分トヨタ自動車の鉄板ぶりが黄金の輝きを見せる感はある。また今件調査対象母集団が中堅者以上、概してシニア層で占められていることを思い返せば、その投資家層ではどのような企業が注目されているのかをうかがい知ることもでき、興味深いラインアップといえる。武田薬品工業以外の直接的な医薬関連銘柄が入っていないのは、やや意外ではあるが。

消費税率改定で影響を大きく受けそうな小売業では、欄外のイオンが最上位(第六位)。回復にはもうしばらく時間がかかりそうとの思惑のようだ。



株式市場に影響を与え得る要因の最上位が「国際情勢」で続いているが、その考え通り大きな市場変動要因足りうる国際情勢では、ウクライナ方面だけでなくイラク情勢、そしてアジア情勢も色々ときな臭い話が見聞きされる。また厳密には「国際情勢」か「為替動向」か仕切りが難しいが、アルゼンチン国債のデフォルトリスクに関する問題が風雲急を告げており、進展内容次第では市場を大きく動かす可能性が出てきた。今後も波乱に満ちた市場動向となりそうだ。

国内情勢では先日別記事でお伝えした通り、エルニーニョ現象の発生予想が秋にずれ込むのと共に、冷夏予想が打ち消され、消費面での減退懸念はほぼなくなった。一方電力需給やそれに伴うコスト上昇は続いており、企業の業績悪化の心配は積み増しされている。夏のボーナス支給時期以降、内需はどこまで活性化し、連鎖反応による景況感の回復が見られるのか。今まで以上に注意深く周辺状況を見ていきたいところだ。


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