先行きDI減退、その理由は…2014年6月景気ウォッチャー調査は現状上昇・先行き下落

2014/07/09 08:30

内閣府は2014年7月8日付で、2014年6月時点の景気動向の調査「景気ウォッチャー調査」の結果を発表した。その内容によると現状判断DIは先月から続いて2か月連続で増加したものの47.7に留まり、水準値50を下回る水準を維持することとなった。先行き判断DIは先月から転じて3か月ぶりに下落したが53.3となり、水準値の50を上回る状態を維持している。結果として、現状上昇・先行き下落の傾向を示している。基調判断は先月から変わり「景気は、緩やかな回復基調が続いており、消費税率引上げに伴う駆込み需要の反動減の影響も薄れつつある」とやや上向きな基調の表記がなされている(【平成26年6月調査(平成26年7月8日公表):景気ウォッチャー調査】)。

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現状指数も回復続く、先行き指数はやや凹む


調査要件や文中のDI値の意味は今調査の解説記事一覧【景気ウォッチャー調査(内閣府発表)】で解説している。そちらを一読されることをお勧めする。

2014年6月分の調査結果はまとめると次の通りとなる。

・現状判断DIは前月比プラス2.6ポイントの47.7。
 →2か月連続の上昇。「悪くなっている」が大幅に減り、「やや良くなっている」「良くなっている」「変わらない」が増加している。
 →家計、企業共に4月の消費税率改定に伴う駆け込み需要とその反動の影響が多部門で和らぎ、上昇。一方で雇用は一部で求人のポジティブな動きに一服感が見られたことで低下。

・先行き判断DIは先月比で0.5ポイントマイナスの53.3。
 →消費税率改定前の駆け込み需要の反動減の影響が薄らいでいくこと、夏のボーナス増加への期待による底上げにより、企業と雇用で増加したが、家計部門では一部回復テンポが緩やかになるのではとの見通しがあり、低下。

前回月の5月ですでに4月における消費税率改定後の反動下落からの回復基調が見られたが、その動きはなお続いている。ただし先行きDIは通常時における上昇の上限領域に達したこともあり、勢いが失速した。また詳しくは後述するが、冷夏観測に伴う不安要素が一部部門で値を押し下げ、それが全体値に小さからぬ影響を与えている。

↑ 景気の現状判断DI(全体)推移
↑ 景気の現状判断DI(全体)推移

↑ 景気の先行き判断DI(全体)推移
↑ 景気の先行き判断DI(全体)推移

現状判断DIは雇用のみ下落


それでは次に、現状・先行きそれぞれの指数動向を簡単ではあるがチェックする。まずは現状判断DI。

↑ 景気の現状判断DI(-2014年6月)
↑ 景気の現状判断DI(-2014年6月)

今回月は消費税率改定後3か月目の月。上記にもある通り、駆け込み需要の反動による減退基調もほぼ収まり、前月比の動きはおおよそプラスに転じている。ただし勢いはまだ強いとはいえない。一方で唯一堅実な動きを示していた雇用関連は、言葉通り頭打ち状態となり、やや下落。

景気の先行き判断DIはマイナス項目が多いものの、下げ幅は限定的。

↑ 景気の先行き判断DI(-2014年6月)
↑ 景気の先行き判断DI(-2014年6月)

最大の上げ幅は飲食関連でプラス1.8、一方最大の下げ幅は小売関連でマイナス1.1。いずれも1ポイント前後に収まっている。基準値を超えた項目は前月の8項目から9項目へと1項目増加。いわゆる小康状態にあると見た方がよさそうだ。

ボーナス期待とコスト負担増に冷夏への懸念


発表資料では現状・先行きそれぞれの景気判断を行うにあたり用いられた、その判断理由の詳細内容「景気判断理由の概況」も全国での統括的な内容、そして各地域ごとに細分化した上で公開している。その中から、世間一般で一番身近な「家計(現状・全国)」そして「家計(先行き・全国)」の事例を抽出し、チェックを入れてみる。

■現状
・4月時点では前年比で70-80%であった化粧品の売上が、5月には80-90%に戻り、この6月は更に10%ほど回復し、90-100%と前年並みに戻った店舗が出てきている。また、高額品のジュエリーなども回復しており、買い控えも徐々になくなってきている(百貨店)。
・5月までは消費税増税前の駆け込み需要の反動の影響が大きかったが、6月からは若干回復傾向にある。また、5月末の異例の猛暑や6月初めからの記録的な長雨の影響でエアコンの需要が増えてきている(家電量販店)。
・消費税増税の影響はほぼ無くなり、生活必需品も、酒や菓子などのし好品も、売行きが前年同月を上回る状況で推移している(スーパー)。
・4月の消費税増税の影響は徐々に薄らいできており、商談数も回復してきているが、ガソリンの高騰により車への出費を抑える傾向にあり、点検、整備、事故修理などの売上は伸びないのが現実である(乗用車販売店)。
・現在、住宅ローン金利などの諸条件が現在好条件であるため、客は動いているが、一方で慎重さもみられ、結論を出すのに時間がかかっている(住宅販売会社)。
・天候不順と消費税増税の余波があり、物が売れず、販売量は約2割減である(商店街)。
・6月は消費税増税の反動が落ち着くと想定していたが、前年を下回った。食品・大型専門店は堅調であるが、高額商品の受注が減少しており、また冷夏の影響で主力の衣料品が苦戦している(百貨店)。

■先行き
・この春からの給与の底上げなど、客からも少しずつ景気が良くなっているという話がある。全体的に消費税増税前の駆け込み需要の反動減は一服しており、夏のボーナス商戦に関しても売上は戻りつつある。落ち込みの底はもう脱しており、7-8月からは前年並みに戻るとみている(家電量販店)。
・消費税増税の影響はほぼ解消されたものと考えられる。店舗の企画力と伸び続けている外国人観光客の後押しで、現状を継続できるものと予測している(百貨店)。
・緩やかな回復が予想されるが、地方都市では夏期賞与の増額等の話題も少なく、可処分所得の増額は見込めないため、慎重な消費行動はしばらく継続する(百貨店)。
・消費税増税による販売の落ち込みは、夏のボーナス時期には前年並みに回復すると予想されているが、現在はその兆しはない。消費回復が9月以降になるようであれば、上期は厳しい状態になる(乗用車販売店)。
・サラリーマンは夏のボーナスがあるが、電気料金の値上げや消費税増税で、あまり良くならない(商店街)。

景況感の回復基調は多くの部門で見聞きされるが、同時に原材料費や燃料代の高騰への懸念もよく見受けられるようになった。夏のボーナスに期待する声はますます高まり、一方でその夏における冷夏への懸念による不安も複数確認できる。

また上記では挙げていないが雇用関連では堅調の声が多く、具体的に昨年比で倍する比率の学生が内定を確保していたり、企業の設備投資への意欲が前向きであることから、それに合わせる形での雇用増加、そして労働条件の改善の動きもみうけられる。雇用の改善は他の行動にもポジティブな影響を与えることが多いため、期待が持てる流れといえる。

冷夏懸念で一部部門での先行きが落ちる


4月分では特別企画として別途記事に書き起こした【景気ウォッチャーの指標動向から消費税率改定後の景気行き先を推し量ってみる】だが、前回月5月からはしばらく本編記事に追加する形で簡易版の展開を行っている。現況DI・先行きDIの中期的動向推移はすでに上記にグラフで記した通りだが、前月2014年5月から今回月の同年6月にかけての、両DI値の詳細区分における変動を記したのが次のグラフ。まずは現状DIについて。

↑ 2014年5月から6月における現状DIの変動値
↑ 2014年5月から6月における現状DIの変動値

雇用関連は上記解説の通り、一部で一服感が見られたために減少。またレジャー施設関連ではマイナスがやや大きく出ているが、コメントを検証する限り、同時期に開催中のサッカーのワールドカップが開催中で、そちらに来客を奪われたことが原因のようだ。

増加した項目では特に家電量販店と乗用車、スーパー周りが大きい。特に前者二つは駆け込み需要による影響が大きい部門であることから、その部門が戻りの動きを示している意義は大きい。全体のけん引力になるものと思われる。

↑ 2014年5月から6月における先行きDIの変動値
↑ 2014年5月から6月における先行きDIの変動値

やや下げ部門が多い感はあるが、絶対値を見ると、そして上記で言及しているように、多くにおいて通常時の天井圏に達しているため、もみあい的な動きの範囲内ともいえる。一方で大きめな下げ幅を示している部門のうち百貨店、スーパー、衣料品専門店(加えて、あるいは家電量販店も)において、コメントなどで冷夏への懸念が寄せられており、冷夏による消費減退の可能性を危惧した上での結果と考えられる。

ただし冷夏に関しては、現時点で今夏の平均気温長期予想について「8月西日本高め」「9月西日本低め」に変更されており(【今夏の平均気温長期予想が「8月西日本高め」「9月西日本低め」に......】)、電力需給の観点では以前より厳しい状況となったが、消費性向の上ではポジティブなものに変更されている。次回月の7月分はすでに予想云々ではなく実際の気温動向となるわけだが、これらの冷夏予想による下げ部門がいかなる反応を示すのか、注目したいところだ。

また7月はボーナス支給月でもあり、ここ数か月の間最大の期待要素の体現化が成される月でもある。材料出尽くし感への不安はあるが、期待を裏切らない実績が出れば、現況、さらには先行きDIも安定化することになるだろう。



消費税率改定後3か月目となった今回月だが、現状DIの回復ぶりはほぼ予想通り、先行きDIの失速はやや意外だが、冷夏という要素が思ったよりも大きな影響を与えた結果であり、驚愕するほどのものでは無い。

直上でも触れているが、7月はある意味天王山的な月でもある。毎年ボーナスによって大きく市場が動くが、今年は特に消費税率改定後、抑えられていた消費がどこまで跳ねるかに、企業側は大きな期待を寄せているからだ。消費者、そして企業におけるマインド回復のためにも、良い結果が出ることを望みたいところではある。


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