吉野屋の前年反動マイナス続く、松屋とすき家はプラスに…牛丼御三家売上:2014年06月分

2014/07/08 13:30

吉野家ホールディングスは2014年7月7日、同社の子会社牛丼チェーン店吉野家における2014年6月の売上高や客単価などの営業成績を公開した。それによれば既存店ベースでの売上高は、前年同月比でマイナス2.8%となった。牛丼御三家の主力牛丼企業のうち松屋フーズが運営する牛めし・カレー・定食店「松屋」の同年6月における売上前年同月比はプラス1.7%、ゼンショーが展開する郊外型ファミリー牛丼店「すき家」はプラス4.3%との値が発表されている(いずれも前年同月比・既存店ベース)(【吉野家月次発表ページ】)。

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前年同月比、さらには前々年同月比試算で各社現状を確認


↑ 牛丼御三家2014年6月営業成績(既存店)(前年同月比)
↑ 牛丼御三家2014年6月営業成績(既存店)(前年同月比)

牛丼御三家の「前年」同月比における、公開値による客数・客単価・売上高の動向は上記のグラフの通りとなる。

その上で、まずは吉野家の状況を確認していく。昨年同月(2013年6月分)の記事、データを基に営業成績を比較すると、一年前の客単価前年同月比はマイナス9.2%。今月はそこから転じて7.7%のプラスを示している。これは同社の主力商品である牛丼を2013年4月に値下げしたことで生じた下落(2013年6月)の反動によるもの。また一部報道では高単価メニューの「牛カルビ丼」の売れ行きが堅調で、こちらも客単価引上げに貢献している。ただし後述の通り前々年同月比を試算すると、実質的客単価はマイナスに落ちる。消費税率改定に合わせてこの4月から実施された牛丼価格の引き上げは、中期的に見ればさほど客単価には影響を与えていないようだ。

同期間中の吉野家では毎年恒例の鰻丼の発売が6月1日から始まり、期間がほとんどギリギリだか6月26日からは「ねぎ塩ロース豚丼」の発売も始まっている(【夏限定、吉野屋であのねぎ塩ロース豚丼が帰ってくるぞ】)。いずれも高単価商品のため、上記の「牛カルビ丼」同様直近の客単価を押し上げる一因となったのには違いない。

一方で新メニューとして期待されている、去年秋口以降の吉野家の奮戦のエネルギー源となった鍋メニューの夏版ともいえる、【吉野家の鍋膳陣営に「牛バラ野菜焼定食」が加わる可能性】でもお伝えした新メニューだが、現時点では全国展開の気配は無い。このまま一部地域での試験展開で幕を閉じるのか、これから発表がなされるのか、今後の展開に期待したい。

客数は大きく減じてマイナス9.8%。前月のマイナス15.2%よりは復調しているが、3社間ではもっともマイナス幅の振れ幅が大きい。これを受けて売上もマイナスに転じたわけだが、この下げ幅は現状の状況悪化と判断するよりは、前年同月の反動と考えた方が正しい。1年前の同月は牛丼の値下げで客数が大きく伸び、プラス22.0%を示していたからである。そこでこのイレギュラー的な動きを踏まえた上で状況を確認するため、2年前同月比を計算すると、吉野屋では客数がプラス、客単価はマイナス、売上高はプラスとなり、客単価の下げが懸念材料ではあるが、売上高への影響は最小限に留められていることが把握できる。

↑ 牛丼御三家2014年6月営業成績(既存店)(前々年同月比)
↑ 牛丼御三家2014年6月営業成績(既存店)(前々年同月比)

トマトカレー続いて松屋の情勢。同社は先月同様新作メニューを相次いで投入しており、例えば【松屋夏の定番「トマトカレー」今年も登場・最初から「夏野菜」もあるヨ】で紹介した毎夏恒例の定番となる「トマトカレー」、ご飯とのマッチングが絶妙な「タッタカルビ風鶏の甘辛味噌炒め定食」が登場している。具体的なセールス動向までは同社から発表は無いものの、ちまたの話を見聞きする限り、後者の新メニュー「タッタカルビの-」が堅調に推移して、これが客単価を底上げ。客数はマイナス0.5%とやや落ちたものの、売上高をプラスに引き上げることに成功した。

他方、吉野家の「牛バラ野菜焼定食」同様一部展開されたメニューとして注目されている「プレミアム牛めし」(【松屋で「プレミアム牛めし」なるものが試験運用中らしい】)だが、こちらもまだ全国展開の気配は無い。厨房のシステムなどを勘案すると全店舗での販売は難しいかもしれないが、一度は食してみたいと思う松屋ファンは少なくあるまい。

6月もリニューアル報告は続く最後にすき家。5月28日から高単価メニュー「うな丼」「うな牛」を期間限定で展開を開始し、さらにデザートの「ガリすき」(がりの丼ぶりではない)も展開し、新メニューの投入動向は他の2社同様堅調。また同社ならではの多彩なトッピングも客単価引上げに貢献している。

他方【すき家、鍋定食などによる人手不足を公認、環境改善のため6月をめどに7地域分社化を決定】などの通り、同社の就労問題とそれに連動する形での店舗リニューアルは継続中で、毎週のように公式サイト上ではリニューアルを果たした店舗の状況が報告されている。この店舗状況の変動の中で、休業中の店舗は計算に含まれておらず、これが売上高を底上げしたとも考えられる。実際、前々年同月比では売り上げはマイナス3.1%にまで落ち、休業店も含めた全店舗での前年同月比はマイナス4.4%を計上することになる(2014年4月以降3か月連続)。

↑ 牛丼御三家売上高推移(既存店)(前年同月比)(2006年1月-2014年6月)
↑ 牛丼御三家売上高推移(既存店)(前年同月比)(2006年1月-2014年6月)

小康状態、夏の攻勢待ち?


メインメニューで多くの客が購入する牛丼の価格変更(値下げ)が2013年4月に実施されており、吉野家はこの数か月の間は特に客数の点で反動による大きな前年同月比でのマイナス値を示している。また消費税率改定で1年後の同じタイミングで20円の値上げを行っており、これも客数のマイナス・客単価の引き上げに影響している。今回月も合わせ、客足が急速に引き、業績が急速に悪化したようにも見えるが、これは前々年同月比で算出すれば反動の範囲内で、むしろ客数ではプラスに落ち着いている。

↑ 牛丼御三家客数推移(既存店)(前年同月比)(2011年1月-2014年6月)
↑ 牛丼御三家客数推移(既存店)(前年同月比)(2011年1月-2014年6月)

むしろ前年はマイナス圏で低迷し、その反動が期待できるはずの松屋やすき家が失速し、マイナス圏に逆戻りしている状況の方が、懸念材料としては大きい。前々前同月比を試算すると、両社の客数は大きく減退しているからだ。

今回月は吉野家の前年同月比による反動で大きな売り上げ減があった他は、特に際立った動きは見受けられなかった。数年前までは売上・客単価に小さからぬ影響を示した鰻丼も、消費性向の変化でもあったのだろうか、明らかな形での「鰻丼効果」は生じていない。吉野屋の「鍋利用の「牛バラ野菜焼定食」や松屋の「プレミアム牛めし」のように、昨年の鍋膳効果のような大きな動きをもたらす可能性を秘めたメニューはうごめいているが、「今はまだ、その時ではない」的な状態を決め込んでいる。

間もなく学生諸子が夏休みに入るに連れて、客層も大きく様変わりする。また気温の上昇など周辺環境も変化し、食への需要もこれまでとは違いを見せてくる。御三家共に、業績けん引が期待できるビッグな夏の新メニューを投入するのであれば、そろそろのはず。

他方、リニューアルが進むすき家だが、新メニューの投入も再開され、新しい体制づくりは進みつつあるように見える。オペレーションは改善されたのか、客足を引き留め、新規客を誘い入れるだけの魅力を創生できるのか。その一端は営業成績に反映されるはずであり、工事で一連の休業中の店舗が無くなる今後の動向に注目したい。


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