サラリーマンの消費税負担心情とその対応策を探る(2014年)

2014/07/04 11:30

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2014年4月からの消費税率改定に伴い、同一商品本体価格でも商品やサービスの購入時における支払金額は、約2.9%引き上げられることになった(本体価格に5%プラスから8%プラスに底上げ)。当然消費者の一員でもあるサラリーマンのふところ事情も、厳しさを増すことになる。この実態感について、サラリーマンの小遣い事情を中心に活動様式を定点観測的に調査している、新生銀行の「サラリーマンのお小遣い調査」の最新版報告書をもとに確認していくことにする(【発表リリース:サラリーマンのお小遣いは2年ぶりに上昇−「2014年サラリーマンのお小遣い調査」結果について】)。


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消費税増税負担を実感は3/4


今調査の調査要件などは先行する解説記事【2014年のサラリーマンこづかい事情】にあるので、そちらを確認のこと。今記事では追加調査要件として女性社員に関しても取り上げているが、女性の調査数は男性会社員のほぼ半分(536人)に留まっている。しかし世代別の均等割り当てなど他調査方法は男性社員と同じであり、年齢配分比率などにおいて差異はほとんど無い。調査結果の上で男性会社員との間に調査様式におけるぶれは生じていないと考えて良い。

さて、消費税率改定に関して、負担を覚える人は会社員においても多い。サラリーマンでは73.0%、女性会社員では81.7%と8割を超える結果が出ている。

↑ 消費税増税負担を感じているか(2014年、会社員)
↑ 消費税増税負担を感じているか(2014年、会社員)

男性会社員では概して若年層、つまり小遣い額が少額の世代ほど負担を覚える人は多く、また男女間では女性の方が多い。女性が多いのは、一つに小遣い額そのものが女性の方が低い事、そしてもう一つは女性は男性と比べて一般的に金銭感覚に優れていることを起因とするものだろう。

もっとも今件は、調査日が税率改定から1か月も経過していない4月23日から25日にかけて実施したのも影響が大きい。来年の同調査で今件項目が調査されるかは不明だが、もし行われて、かつ結果が公開された場合、その変移がいかなるものか、確認したいところではある。

税率アップの対策は?


それでは消費税率改定に伴い、何らかの対策をとっている人はどれほどいるだろうか。

↑ 消費税増税の負担に対して何らかの対策を取っている(2014年、会社員)
↑ 消費税増税の負担に対して何らかの対策を取っている(2014年、会社員)

男性全体では6割、女性会社員では7割強。やはり税負担増を感じている比率が高い属性ほど、対策を講じている人の割合も多くなる。大体税負担額を覚える比率の1割減というところか。

その「対策」の具体的内容を聞いた結果が次のグラフ。多数の選択肢を掲げて複数回答で答えてもらったが、どの属性でも上位陣は同じという結果が出た。支出増への対策は概して汎用的なようだ。

↑ 消費税増税の負担への具体的対応策(対応策を取る人限定)(上位3位、2014年)
↑ 消費税増税の負担への具体的対応策(対応策を取る人限定)(上位3位、2014年)

どの属性でもトップ項目は「小遣い額の節約」。しかしそれに続く項目が男性では若年層は「収入アップ(副収入などで)」「預貯金取り崩し」なのに対し、中堅層以降は「預貯金取り崩し」が先に来て、その次に「収入アップ」が続いている。預貯金そのものに余裕がなければ取り崩しそのものが出来ないことを考えれば、若年層は「無い袖は振れないから取り崩しはできない。だから収入をアップするのが優先」との考えに落ち着くのも理解はできる。

女性は世代全体での合算結果のみなので、男性全体と同様に「収入アップ(副収入などで)」「預貯金取り崩し」がほぼ横並びとなっているが、男性よりも10%ポイント以上「小遣い額の節約」の回答率が高いのが興味深い。節約志向は女性の方が上であることは、今記事の上部でも触れたばかりだか、その性向が具体的対応策でも表れている。



やや余談的な話となるが、消費税率改定への対応策を取っている人の割合について、男性会社員の年収別動向も公開されている。

↑ 消費税増税の負担に対して何らかの対策を取っている(2014年、会社員、男性、年収別)
↑ 消費税増税の負担に対して何らかの対策を取っている(2014年、会社員、男性、年収別)

一部でイレギュラーな動きを示しているが、概して低年収ほど対策を講じる割合が高い。年収が高ければ小遣い額も上乗せされることは容易に想像できるし、それであれば余裕を持って使い道を考えられるので、今回の税率改定程度では対策を打つまでも無いとの考えが支配的になるということだろうか。

とはいえ、年収1500万円以上でも半数近い人は対策を講じている。これもまた事実として、受け止める必要があることはいうまでもない。


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