「サイレントお祈り」に担当官の高圧的な態度、いい加減な受け応え…就活での悩み・不快な思い、その実態を探る

2014/07/11 14:30

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就職活動は求職者が求人企業にアプローチを行うため、一般的には企業が立場的に上、就活者が下になる。いわゆる「就職させてもらう」という考え方だ。無論これは一義的なもので、企業側がそれを前提に横柄な態度を取ることは倫理的に許されるものでは無く、就活生から敬遠されるきっかけにもなりかねない。しかしながら今なお多くの就活生から、就職活動の中で不快な体験をした、採用担当から酷い扱いを受けたとの声を多数聞くことが出来る。今回は連合が2014年6月12日に発表した調査結果から、就活生あるいは直前まで就活生だった人たちが経験した、就職活動での不快な経験の実態を確認していくことにする(【発表リリース:就職活動に関する調査】)。


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一番多い不快体験は「採用担当の態度」


今調査は2014年4月28日から5月7日に渡り、20歳以上25歳以下の男女、かつ「就活生(就職活動経験ありの最終学年の大学生・院生)」「この4月から就職した社会人1年生」それぞれ500人、合わせて1000人に対してインターネット経由で実施されたもの。男女比は1対1。調査実施機関はネットエイジア。

今調査対象母集団に対し就職活動の際に、不快な思いをした経験のあるなし、ある場合はその具体的な事案について聞いた結果が次のグラフ。65.0%は該当するものの中では、何らかの体験をしている実態が明らかになった。

↑ 就職活動で不快な思いをした経験(複数回答)
↑ 就職活動で不快な思いをした経験(複数回答)

最上位は「採用担当の態度」で33.2%。アルバイトをした経験の有る人はその際の採用試験で体験している可能性は高いが、多分に就活生にとっては「はじめての」、そして「人生を左右することになる」「目上の人との」面接になる。その場において、理由はさておき(詳しくは後述)不快な思いをさせられる態度を取られたのでは、色々とうっ積するものが生じても仕方がない。また理不尽さを覚えることだろう。

次いで多いのは「不採用の際に連絡が来ない」で31.0%。リリースでは不採用の際の通知のお決まりの文言「今後の御健闘をお祈りしております」になぞらえ、その通知すら来ない不採用の状況を「サイレントお祈り」と表現しているが、そのような企業側の対応に不快感を覚える就活生は多い。

また企業そのものや関連事業会社における不誠実な態度、理不尽な対応にも多くの人が憤りを感じている。他方、明言したのなら話は別だが、「学歴による水面下での振るい分け」「性別による扱いの違い」など、就活生側の判断によるもので、あるいは勘違いかもしれないという事例もある。

なお、今件項目で「当てはまるものは無い」は35.0%だが、これは「不快な思いをしたことが無い」を意味しない。該当事例に当てはまらないが、不快な経験あり、とする人が少なからずいることを考慮した方が良い。

採用担当者のここがムカつく


「不快な思い」で最多回答事例となった「採用担当者の態度」だが、具体的にはどのような態度が気にさわったのだろうか。

↑ 採用担当者のどのような態度で不快な思いをしたか(複数回答、該当者限定)
↑ 採用担当者のどのような態度で不快な思いをしたか(複数回答、該当者限定)

最上位が「高圧的な態度」、次いで「やる気のない態度」「いい加減な受け応え」と、二極するような対応が圧倒的上位を占めている。片やハラスメント的な対応、片や軽視されているとしか思えない対応。これらは就活生から「不快な対応」として認識されていることになる。強圧的な対応としては「セクハラをされていると感じた」位で、残りは採用担当者のやる気の無さを覚えさせる対応が上位を占めているのが主な傾向だろうか。

中には就活生側の勘違い、受け取り方の違いにより、不快な対応に見えてしまっただけのものもあるかもしれない。例えば「面接時間が予定より大幅超過」は果たして不快対象となるのか、疑問に思えるところがある。とはいえ、就活生がこれだけの要項で、不快さを覚えている実態は、覚えておくべきだろう。



採用担当者とのやりとり、特に就活生が不快さを覚える対応に関する話では、必ず出てくるのが「今後の社会人生活においてはこの程度は当たり前の話。その苦難を乗り越えて対応できるか否かの試験も兼ねている」という説明。

それは一理あるかもしれないが、だからと言って自分の有利な立ち位置を利用し、その場で起こってよい態度としてはいけない態度の区別ぐらいは、その「社会人」である採用担当者なら出来るはず。ところが実態としては、そうとは言い切れない事例も少なくない。

昔と異なり今は学生間の情報伝達のスピードも領域もはるかに高レベルなものとなっている。担当者の勇み足、理不尽な姿勢が、企業全体に及ぼす「影響」のリスクを、もう少しだけ考えることを望みたい。

そしてもう一つ。採用試験に現れた就活生が、その企業に就職するにせよしないにせよ、その人は消費者の一人に他ならない。採用担当者の対応次第で、ロイヤリティの高い消費者を得ることもあれば、大いに反発心を持つ、企業にとっては嬉しくないポジションを有する消費者を生み出してしまうこともある。採用試験の場は就活生にとって大切な場であるが、同時に企業そのものにとっても数少ない消費者との直接の対話の場であることを、決して忘れてはならない。


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