就活生の「ブラック企業」チェック、何を頼りにしてる?

2014/07/07 15:30

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企業の状態、様式を表す造語の一つとして「ブラック企業」がある。色の印象から理解できるように、事業内容に問題がある場合や就業者に過酷で理不尽な労働を強いる企業を意味する場合が多い。むろん就活生にとっては避けたい就業先に違いない。それでは就活生においては、どのような情報源を参考に、ブラック企業判定を下しているのだろうか。連合が2014年6月12日に発表した調査結果から、就活生あるいは直前まで就活生だった人たちにおける、ブラック企業精査のための情報源について確認をしていくことにする(【発表リリース:就職活動に関する調査】)。


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ブラック企業判断はネットの評判や先輩などからの口コミ


今調査は2014年4月28日から5月7日に渡り、20歳以上25歳以下の男女、かつ「就活生(就職活動経験ありの最終学年の大学生・院生)」「この4月から就職した社会人1年生」それぞれ500人、合わせて1000人に対してインターネット経由で実施されたもの。男女比は1対1。調査実施機関はネットエイジア。

先行記事【いわゆる「ブラック企業」ってどんなイメージだろうか】の通り、今調査対象母集団では「ブラック企業」のイメージとしては「労働時間が長く、しかもその超過労働に対する対価が(満足に)支払われない」、言い換えれば「タダ働きの事例が多い」のが上位を占めている。

↑ 「ブラック企業」とはどのような企業だとイメージしているか(複数回答、上位陣)(再録)
↑ 「ブラック企業」とはどのような企業だとイメージしているか(複数回答、上位陣)(再録)

出来ればそのような企業に就職したくないのは、誰もが普通に思う願望に他ならない。一方ブラック企業と呼ばれる企業の多くは、その実情を表に表すことは無い。就職してはじめてその実態が分かり、「しまった」と肩を落とす新入社員の逸話はよく見聞きする。それでは就活生にとってはまさに死活問題となる、ブラック企業を入社以前に精査するため、どのような情報源を参考にしているだろうか。複数回答で尋ねた結果が次のグラフ。

↑ 応募する企業がいわゆる「ブラック企業」でないかどうかを判断する場合、どのような情報源を参考にするか(複数回答)
↑ 応募する企業がいわゆる「ブラック企業」でないかどうかを判断する場合、どのような情報源を参考にするか(複数回答)

最上位の回答は「インターネットでの評判」で7割強。詳細区分は元々選択肢にないことから、ブログや掲示板に留まらず、チャットやソーシャルメディアまで含めた、ネット上で確認できる口コミ系の場での情報全般(就活情報サイトを除く)を指すと見て良い。「○×(企業名) 噂」「○× ブラック」で検索したことがある経験は、誰もが一度や二度ならずともあるはずだ。

一方で不特定多数では無く特定人物からの噂を聞く事例も多い。「先輩、知り合いの社会人からの噂」も50.8%と過半数を超えている。勤めている本人が自社を「ブラック企業である」として非推奨する事例もありえるし、逆にそのような状況にも関わらず「ブラックでは無い」と薦めてくる可能性もある。同業他社についても然りで、実はよほど客観的な立場で物事を語られる人で無いと、個人からの意見を鵜呑みにするのはリスクが高い。必然的に複数人数、しかも多方面の人からの意見で無いと、選択を誤ることになる。

気になるのは、この上位2項目をはじめ、世間一般の噂話や口コミ情報は大いに参考にされているが、公式情報の類はあまり重要視されていないこと。内容が内容なだけに、暴露されるのは望ましくないことから、公式情報としては出にくいのだろうという思惑もあり、実態としてもその通りの場合が多いがため、当然の結果となる。しかしそれは同時に、信ぴょう性の精査が十分に出来ない、煽動による情報が独り歩きした結果を信じ込んでしまうというリスクをも、就活生は背負うことになる。

ソー活利用者は噂に聞き耳


これをソー活(ソーシャルメディアを使った就職活動)をしているか・していないか別に区分して再整理したのが次のグラフ。

↑ 応募する企業がいわゆる「ブラック企業」でないかどうかを判断する場合、どのような情報源を参考にするか(複数回答)(ソー活をした・しない別)
↑ 応募する企業がいわゆる「ブラック企業」でないかどうかを判断する場合、どのような情報源を参考にするか(複数回答)(ソー活をした・しない別)

すべての項目で「ソー活した」人の方が高い値を示しており、ソー活した人はブラック企業に対してアンテナを張り巡らし、さまざまな情報を入手して回避・対策を講じようとしている様子が把握できる。一方で「先輩、知り合いの社会人からの噂」「就活仲間からの噂」の項目で特に大きな差異が出ており、不特定多数の噂よりもある程度相手を特定した上での情報に重点を置いていること、そして同時に相手を選ぶことでリスク軽減を模索しているものの、「噂」には違いなくやや危ない橋を渡りかねない状況にあることも予見させる。



「ブラック企業」そのものの判断に関する解釈記事でも触れたが、結局のところ特定企業がブラックか否かを判断するのは、多分に当人自身の物差しによる。法定外、常識の範囲外のものはともかく、人により企業がブラックか否かを判断する基準は変わってくる。その基準の指し合わせをせずに、単にブラックか否かのみで噂を見聞きし精査材料とするのは、大きな判断ミスのきっかけになりかねない。

元々噂ベースで話が広まることが多い事案なだけに、仕方がない面もあるが、ブラック企業か否かを判断する際には、十分にその内容を確認した上で行うようにすべきだろう。


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