「ソー活」しなかった人は約7割、理由はプライベートと就活との切り離し

2014/07/03 11:30

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インターネットを用いた情報収集・発信ツールとして多くの人に用いられるようになったソーシャルメディアだが、通常の利用はオープンなものとなるため、自分の行動が第三者にも筒抜けになることが前提なのはいうまでもない。情報収集ツールとして非常に有益である一方、色々と羽目を外し、それが企業側に露呈してしまい、就職活動において色々とマイナスの結果が出てしまったとの話も複数見聞きする。今回はソーシャルメディアを用いた就職活動、いわゆる「ソー活」について、連合が2014年6月12日に発表した調査結果からその実態を見ていくことにする(【発表リリース:就職活動に関する調査】)。


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ソー活は公式アカウントのフォロー、就活仲間とのつながり


今調査は2014年4月28日から5月7日にかけて、20歳以上25歳以下の男女で「就活生(就職活動経験ありの最終学年の大学生・院生)」「この4月から就職した社会人1年生」それぞれ500人、合わせて1000人に対してインターネット経由で実施されたもの。男女比は1対1。調査実施機関はネットエイジア。

まずはいわゆる「ソー活」をしたか否かについて。した場合は具体的にどのようなことをしたのかを聞いた結果が次のグラフ。「ソー活をした人」でもっとも多い行動は「企業の公式アカウントのフォロー」で11.8%という結果となった。

↑ どのようなソー活をしたか(複数回答)
↑ どのようなソー活をしたか(複数回答)

企業の公式アカウントはツイッターにしてもFacebookにしてもLINEにしても、広報担当的な役割を持ち、さまざまな公式情報を発信することになる。それらの情報を追いかけることで、該当企業の最新情報を逐次収集できることになり、より深い理解を得られる。いわばその企業の広報誌を購読したようなものだ。

次いで多いのは「就活仲間とのつながり」で10.8%。元からの自分の知人で同期にある人と情報のやり取りをする、あるいは同一業種、さらには同一企業の就職希望者との情報交換は、大いに役立つに違いない。また類似の活用法として「就活情報発信アカウントをフォロー」も該当するが、こちらも8.3%と高めの値。

情報収集活動以外に、ソーシャルメディアのマイナス的な効用を打ち消すための行動をする人も多い。「企業側に見られたくない投稿の削除」「ホンネを書くアカウントを特定されないように」などが上位に見受けられる。冒頭でも触れたが、ソーシャルメディア上での発言や、その発言から確認できる行動内容の露呈により、就職活動の上でマイナスの効果が生じてしまった事例があるため、理解は出来る(とはいえ概してそのような行動をする、その行動を書込みする時点で問題なのだが)。

他方、これらの「ソー活」自身をしていない人は68.5%と7割近くに達する。プラスになるようなアクションを特にする必要性を覚えず、また隠さねばならないようなこともとりわけしていない、そこまで気になることはない、との考えの人が、世間一般では大勢を占めているようだ。

ソー活しない理由、「就活」と「プライベート」は別物


それではなぜ「ソー活」をしないのか。していないと回答した68.5%の人に聞いた結果が次のグラフ。

↑ ソー活をしなかった理由(しない人限定、複数回答)
↑ ソー活をしなかった理由(しない人限定、複数回答)

最上位の回答は「自分のプライベートは知られたくない」で36.5%。ソーシャルメディアは多分に自分自身のプライベートをある程度露呈した上で使用しているもの。企業との結びつきを得ることは、自分が情報収集を出来るのと同時に、企業側にも自分の情報を知られる可能性が多分に生じることを意味する(自分から結びつきを求めなくとも、公開情報である以上、企業側に情報を取得される可能性はある)。たとえ就活にマイナスとなるような情報を発信していなくても、就活及びその後の就業と、プライベートは別物として、仕切りを設けたいという意図は大いに理解できる。例えば現在就業している人が、突然上司からソーシャルメディア上で「プライベートのアカウントからの」フォローを強要されたら、どのような心境を抱くだろうか。「SNS(ソーシャルメディア)はプライベートとして区別したい」「内定後・入社後も監視されそう」も似たような意味の意見として見ても良いだろう。

次いで多い回答は「内定には結びつきそうにない」で26.4%。「就活情報サイトだけで十分」などもほぼ同じ意見で、ソーシャルメディアから発せられる情報は、既存の他ルートからの情報以上のものではないとの判断。

これを男女別に仕切り直したのが次のグラフだが、概して女性の方が挙げる理由数が多く、中でもプライベートについて大きな懸念を有していることが分かる。

↑ ソー活をしなかった理由(しない人限定、複数回答)(男女別)
↑ ソー活をしなかった理由(しない人限定、複数回答)(男女別)

男性がプライベートに無頓着というわけでは無く、女性がより慎重・真剣であるというだけの話だが、中でも「自分のプライベートは知られたくない」「SNSはプライベートとして区別したい」「内定後・入社後も監視されそう」の3点で女性が大きく値を伸ばしているのは、女性がソーシャルメディアの上でのプライバシーを重要視していることの表れともいえる。他方「ソーシャルメディア上でボロが出るのが怖い」の項目はわずかながら男性の方が上の結果が出ており、いわゆる「お痛」的な行動は男性の方が自覚している割合が多いのかも、との推定が出来、興味深い。



情報収集の観点ではソーシャルメディアは有効な手段の一つに違いないが、使い方を誤るととんだしっぺ返しを受けかねない。しかしそれはソーシャルメディアに限らず、他のメディア、例えばブログやウェブサイトなどでも変わらない(広義ではそれらもソーシャルメディアではあるが)。基本的にネット上で発信した情報は不特定多数に認知される可能性があること、その不特定多数には就職活動の相手となる企業も含まれうることを、改めて認識した上で、ソー活をする・しないの判断を下すべきだろう。


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