携帯・スマホで2割超え、PC減るもタブレット型端末が補完…メディア接触時間推移(経年変化)(2016年)(最新)

2016/06/24 04:59

先日博報堂DYメディアパートナーズのメディア環境研究所が発表した、同所が定点観測的に行っている「メディア定点調査」の最新版「メディア定点調査2016」では、携帯電話(従来型携帯電話、スマートフォンの双方を含む。以下同)の利用時間の大幅な拡大、パソコン(PC)の利用時間の減退、タブレット型端末の意外な利用時間の長さなどが明らかにされた。今回はその経年変化を確認し、人々のメディア接触時間の変化とライフスタイルの変容を推し量ることにする(【発表リリース:メディア環境研究所「メディア定点調査2016」時系列分析】)。

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漸増する総接触時間


今調査の調査要項や注意事項(2014年から項目などの変更が行われている)は先行する記事【テレビは4割を切り、タブレット型端末と従来型携帯・スマホで3割近く……メディア接触時間推移(2016年)(最新)】で説明済み。詳しくはそちらを参考のこと。

過去の分も合わせて「メディア定点調査」における各主要メディア毎の、一日あたりの平均接触時間を時系列に並べてグラフ化したのが次の図。2008年までメディア接触時間総数は減少していたが、2009年以降大きく増加。そして2010年以降は事実上横ばい。ところが2014年にはグンと伸びる動きを見せた。これは新規に回答項目としてタブレット型端末が加わったことによるものと考えられる…が、単純にそれを引いてもまだ余りある増加を示していることから、加えてスマートフォンの急速な普及も大きく影響しているのだろう。

直近の2016年では前年から少しばかりの増加を示し、間もなく400分に手が届くポジションとなっている。

↑ メディア接触時間時系列推移(分、一日当たり平均)(東京)(-2016年)
↑ メディア接触時間時系列推移(分、一日当たり平均)(東京)(-2016年)

4大従来型メディア(テレビ・ラジオ・新聞・雑誌)では全媒体で微増。インターネットを使うメディアではPCがややその値を減らしたものの、携帯電話は大きな伸びを見せ、2014年から登場しているタブレット型端末も30分に迫る勢い。差し引きで総メディア接触時間はわずかながら増加する結果となった。

一方、このような動きがある中でも、単独項目ではテレビが最大利用時間の地位を維持していることに違いは無い。ただし「インターネットメディア」との仕切りでPC、タブレット型端末、携帯・スマホの時間を全部足すと176.6分となり、テレビ単独の153.0分を超えることになる。タブレット型端末の項目が加わったのも一因だが、この計算方法でテレビ時間を超えたのは、2014年から連続して3年目となる。

大きく伸びる携帯電話利用時間


それぞれのメディア接触時間の増減について、公開されている範囲で最古データの2006年時の値を基準値の100%と設定(ただしタブレット型端末は2014年からの登場なので、その年の値を基準値とする)。それぞれの変化の流れを見たのが次の図。この算出方法により、他のメディアの動きとは関係なく、個別でどれほど時間の伸縮が生じているのかが把握できる。

↑ メディア接触時間時系列推移(分、一日当たり平均で算出した値が元値)(-2016年)(個々媒体の2006年の値を100%とした時の推移)(タブレット型端末は2014年比)
↑ メディア接触時間時系列推移(分、一日当たり平均で算出した値が元値)(-2016年)(個々媒体の2006年の値を100%とした時の推移)(タブレット型端末は2014年比)

↑ メディア接触時間時系列推移(分、一日当たり平均で算出した値が元値)(-2016年)(個々媒体の2006年の値を100%とした時の推移)(タブレット型端末は2014年比)(のぞく携帯・スマホ)
↑ メディア接触時間時系列推移(分、一日当たり平均で算出した値が元値)(-2016年)(個々媒体の2006年の値を100%とした時の推移)(タブレット型端末は2014年比)(のぞく携帯・スマホ)

各媒体の動向が非常によく理解できる。例えば4マスはテレビですらも減少しているが、4マス内の他のメディア、ラジオや新聞などと比べれば健闘している。またインターネット接続により「魔法のツール」と化すデジタル系機器だが、パソコンは意外にも(!?)2011年がピークでそれ以降は漸減。一方、それとほぼタイミングを同じくして、携帯・スマホは伸び率を加速化ざせている。

また今年、2016年における昨年からの動きで注目点を挙げるとすれば、

・ネット接続で携帯電話の伸びとパソコンの縮小の動き継続

・携帯電話の伸びが再び加速化。タブレット型端末はさらに加速上昇

・新聞やラジオ、雑誌の時間短縮は小休止。

などが挙げられる。

テレビ離れは2010年以降の傾向として表れていたが、2014年以降はほぼ横ばいに推移している。これは多分に高齢層の増加によるところが大きい。またPCの減退は加速しており、このペースでは来年にも基準となる2006年よりも短い時間を計上することになるだろう。

シェアの変移から時代の流れを知る


次に示すのは絶対時間の変移では無く、メディア接触時間全体に示す、各メディアの時間のシェア推移。絶対時間の動向よりも明確に、人々のメディアへの触れあい方に変化が生じている、具体的には従来型メディアの利用ウェイトが減り、新メディアが増えていることが把握できる。

↑ メディア接触時間時系列推移(各年の全体時間に占める割合)(-2016年)
↑ メディア接触時間時系列推移(各年の全体時間に占める割合)(-2016年)

従来型4メディアが少しずつその足場を削られ、インターネットを用いた新世代メディアが、その削った足場を奪い取る形でグラフが生成されている。さらにその新メディアの中でも新陳代謝的に、PCから携帯・スマホ(や2014年から加わったタブレット型端末)へのシフトが起きているのが一目瞭然。このような動きは昨今のメディア絡みの話ではどこでも見かける流れであり、ある意味見慣れたビジュアルともいえる。例えば今年2月に展開した記事【30年近くに渡る広告費推移をグラフ化してみる(上)…4マス+ネット動向編(特定サービス産業動態統計調査)(2016年)(最新)】で生成したグラフを思い起こした人も多いのではないだろうか。

↑ 媒体別広告費(構成比推移、2001-2015年)(経済産業省・特定サービス産業動態統計調査より)
↑ 媒体別広告費(構成比推移、2001-2015年)(経済産業省・特定サービス産業動態統計調査より)

広告費構成比率は今件記事の視聴時間と比べると新媒体(インターネット関連機器)が少なめ。しかしこのグラフから「プロモーションメディア広告など」の部分を取り除くと、形状的に「メディア接続時間時系列推移」と似通っていることが分かる。メディアの接触時間と「媒体力」、そしてその「媒体力」への対価として支払われる「広告費」の動きには、浅からぬ関係があることを再認識させるグラフではある。



昨今では高齢層の増加を主な要因として、テレビ視聴時間の漸増が確認されていることから、今後シェアにおいてもテレビの復権の可能性はある。しかし仮にその動きが現実のものとなっても、ラジオ、新聞、雑誌の接触時間はさらに減り、結果としてデジタル系機器の接触時間の相対的・絶対的伸長といった傾向に変化を与えることにはつながらない。

それぞれのメディアの利用スタイルまで考慮すれば、単純な利用時間のみで比較をするのにはリスクがある。またインターネットを利用したメディアでも、新聞や雑誌の「コンテンツ」を視聴することはできるので、境界線が曖昧となりつつあるのも事実ではある。とはいえ、メディアそのものの利用との観点で考えれば、シフトの動きが継続することは間違いあるまい。


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