スマホなどで3割近く、ネット端末で半数超え…メディア接触時間推移(経年変化)(最新)

2020/07/24 05:06

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2020-0723先日博報堂DYメディアパートナーズのメディア環境研究所が発表した、同所が定点観測的に行っている「メディア定点調査」の最新版「メディア定点調査2020」では、さまざまなメディアの男女・年齢階層別の接触(利用)時間の実情が明らかにされた。今回はその経年変化を確認し、人々のメディア接触時間の変化とライフスタイルの変容を推し量ることにする(【「メディア定点調査」とは】)。

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漸増傾向の総接触時間


今調査の調査要項や注意事項(2014年から項目などの変更が行われている)は先行する記事【メディア接触時間推移(最新)】で説明済み。詳しくはそちらを参考のこと。

過去の分も合わせて「メディア定点調査」における各主要メディア毎の、一日あたりの平均接触時間を時系列に並べてグラフ化したのが次の図。2008年までメディア接触時間総数は減少していたが、2009年以降大きく増加。そして2010年以降は事実上横ばい。ところが2014年にはグンと伸びる動きを見せた。これは新規に回答項目としてタブレット型端末が加わったのが一因と考えられる。しかし単純にそれを引いてもまだ余りある増加を示していることから、加えてスマートフォンの急速な普及も大きく影響しているのだろう(項目中の「携帯電話」は従来型携帯電話とスマートフォンの合算)。

直近の2020年では前年から少しばかりの増加を示した。グラフ上の合算値は412分で同じだが、厳密には2019年は411.6分、2020年は411.7分となっている。

↑ メディア接触時間(1日あたり、週平均、分)
↑ メディア接触時間(1日あたり、週平均、分)

4大従来型メディア(テレビ・ラジオ・新聞・雑誌)は波があるもののどの媒体も押しなべて減少傾向にある。他方、インターネット接続が可能なデジタルメディアでは、パソコンが2011年までは増加傾向にあったもののそれ以降は減少に転じているが、それ以外はおおむね増加の流れにある(タブレット型端末もここ数年では減少傾向のような動きとも解釈できる)。色合いを前者は赤系統色、後者を緑系統色でまとめているが、グラフの色合いが左から右になるに連れて、少しずつ緑系統色の面積が増しているのが分かる。

一方、このような動きがある中でも、単独項目ではテレビが最大接触時間の地位を維持していることに違いはない。ただし「インターネットメディア」との区分でパソコン、タブレット型端末、携帯電話の時間を全部足すと2020年では212.5分となり、テレビ単独の144.2分を超えることになる。タブレット型端末の項目が加わったのも一因だが、この計算方法でテレビ時間を超えたのは、2014年から連続して7年目となる。

大きく伸びる携帯電話利用時間


それぞれのメディア接触時間の増減について、公開されている範囲で最古データの2006年時の値を基準値の100%と設定(ただしタブレット型端末は2014年からの登場なので、その年の値を基準値とする)。それぞれの変化の流れを見たのが次の図。この算出方法により、他のメディアの動きとは関係無く、個別でどれほど時間の伸縮が生じているのか把握できる。

↑ メディア接触時間(1日あたり、週平均、個々媒体の2006年時点の値を100%とした時の値(タブレット型端末は2014年が100%))
↑ メディア接触時間(1日あたり、週平均、個々媒体の2006年時点の値を100%とした時の値(タブレット型端末は2014年が100%))

↑ メディア接触時間(1日あたり、週平均、個々媒体の2006年時点の値を100%とした時の値(タブレット型端末は2014年が100%)、除く携帯電話)
↑ メディア接触時間(1日あたり、週平均、個々媒体の2006年時点の値を100%とした時の値(タブレット型端末は2014年が100%)、除く携帯電話)

各媒体の動向が非常によく理解できる。例えば4マスはテレビですらも減少しているが、4マス内の他のメディア、ラジオや新聞などと比べれば健闘している。またインターネット接続により「魔法のツール」と化すデジタル系機器だが、パソコンは意外にも(!?)2011年がピークでそれ以降は漸減傾向。一方、それとほぼタイミングを同じくして、携帯電話は伸び率を加速化ざせている。

テレビ離れは2010年以降の傾向として表れていたが、2014年以降はほぼ横ばいに推移していた。これは多分に高齢層の増加によるところが大きい。

シェアの変移から時代の流れを知る


次に示すのは絶対時間の変移ではなく、メディア接触時間全体に示す、各メディアの時間のシェア推移。絶対時間の動向よりも明確に、人々のメディアへの触れあい方に変化が生じている、具体的には従来型メディアのウェイトが減り、新メディアが増えていることが把握できる。

↑ メディア接触時間(各年の全接触時間に占める比率)
↑ メディア接触時間(各年の全接触時間に占める比率)

従来型4メディアが少しずつその足場を削られ、インターネットを用いた新世代メディアが、その削った足場を奪い取る形でグラフが作成されている。さらにその新メディアの中でも新陳代謝的に、パソコンから携帯電話(や2014年から加わったタブレット型端末)へのシフトが起きているのが一目瞭然。このような動きは昨今のメディア絡みの話ではどこでも見かける流れであり、ある意味見慣れたビジュアルともいえる。例えば今年2月に展開した記事【30年あまりにわたる広告費推移をグラフ化してみる(上)…4マス+ネット動向編(特定サービス産業動態統計調査)(最新)】でのグラフを思い起こした人も多いのではないだろうか。

↑ 媒体別広告費(経済産業省・特定サービス産業動態統計調査より、構成比)
↑ 媒体別広告費(経済産業省・特定サービス産業動態統計調査より、構成比)

広告費構成比率は今件記事の視聴時間と比べると新媒体(インターネット関連機器)が少なめ。しかしこのグラフから「プロモーションメディア広告など」の部分を取り除くと、形状的にメディア接触時間の推移と似通っていることが分かる。メディアの接触時間と「媒体力」、そしてその「媒体力」への対価として支払われる「広告費」の動きには、浅からぬ関係があることを再認識させるグラフではある。



昨今ではいくつかの調査結果において高齢層の増加を主な要因として、テレビ視聴時間の漸増が確認されていることから、今後シェアにおいてもテレビの復権の可能性はある。しかし仮にその動きが現実のものとなっても、ラジオ、新聞、雑誌の接触時間はさらに減り、結果としてデジタル系機器の接触時間の相対的・絶対的伸長といった傾向に変化を与えることにはつながらない。

それぞれのメディアの利用スタイルまで考慮すれば、単純な接触時間のみで比較をするのにはリスクがある。またインターネットを利用したメディアでも、新聞や雑誌の「コンテンツ」を視聴することはできるので、境界線が曖昧となりつつあるのも事実ではある。とはいえ、メディアそのものの利用との観点で考えれば、シフトの動きが継続することは間違いあるまい。


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