テレビは4割を切り、タブレット型端末と従来型携帯・スマホで初めて3割超え……メディア接触時間推移(2017年)(最新)

2017/06/21 11:56

博報堂DYメディアパートナーズのメディア環境研究所は2017年6月20日付で、毎年初頭に調査を実施している「メディア定点調査」の最新版となる「メディア定点調査2017」の抜粋編を発表した。その内容によれば調査対象母集団においては、主要メディアを累計したメディア全体の接触時間は、若年層と高齢者(シニア層)が長く、中堅層は短めの傾向を示していることが分かった。また各メディアそれぞれに対する接触時間(視聴、購読など)は年齢階層毎に大きな違いがあり、「男性は40代まで、女性は30代までの若年層はパソコンやモバイル端末によるインターネット接続の時間の方が長い」「20代男性は全属性中最長のメディア接触時間を有しているが、その過半はパソコンやモバイル端末などによるインターネット接続」「男性は60代以上、女性は50代以上はテレビを3時間以上観ている」など、昨今のメディア事情を顕著に表す傾向が多数見受けられる結果が確認できる(【発表リリース:メディア環境研究所「メディア定点調査2017」時系列分析】)。

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格差が顕著な年齢階層別メディア接触時間


今調査は郵送調査方式で行われたもので、調査期間は2017年1月26日から2月10日。東京・大阪・愛知・高知の4地区を対象に RDD(Random Digit Dialing)方式で選ばれた15歳から69歳の男女に対し調査票が送付され、2496通が回収された。各値は2015年の住民基本台帳を基に年齢階層・男女でのウェイトバックが実施されている。また特記無き限り記事内のデータは基本的に東京地区のもの。

なお今件調査は毎年定点観測として実施されているが、時代・情勢の変化に伴い、2014年分からはいくつか定義・名称の変更、追加が行われている。パソコンや携帯電話(従来型とスマートフォン双方)経由のインターネット利用は、実質的にそれらの機器の利用がインターネットの利用と同義であり、またアプリケーションやソーシャルメディアの利用が(インターネットを用いているが)利用者における「インターネットを使っている」との認識が薄くなっていることを受け、単にそれぞれの機器の利用・接触との表記に改められている。

また利用機器に2014年からタブレット型端末が追加されている。2013年までは(ノート)パソコンと同一視され回答にくわえられていた可能性もあるが、2014年以降は機器として独立項目が設けられたため、以前と比べてメディア接触時間の合計が上乗せされている感が強い(メディア接触時間が有意で増加している)。

テレビ、ラジオ、新聞、雑誌から構成される従来型4マスディア、パソコン・携帯電話(従来型携帯電話に加えスマートフォン含む。特記無き限り以下同)、さらにはタブレット型端末の利用まで含めたメディアの接触時間の総計は、 2016年では378.0分/日(週平均)との結果が出ている。昨年2016年が393.9分/日だから、わずかながら減少していることになる。

また性別・年齢階層別では、20代男性がもっとも長く450.9分の値を示している。次いで長いのは60代男性で432.5分。

↑ 年齢階層・性別メディア接触時間(2017年)(一日あたり、分)
↑ 年齢階層・性別メディア接触時間(2017年)(一日あたり、分)

↑ 年齢階層・性別メディア接触時間(2017年)(前年比、一日あたり、分)
↑ 年齢階層・性別メディア接触時間(2017年)(前年比、一日あたり、分)

全般的には男女とも中堅層の時間が短めで、若年層・高齢層の時間が長めとなっている。ただし10代はいくぶん短めだが、これは就学時間中はメディアに触れる機会があまり無いことによるものだろう。

若年層の時間が長いのは、携帯電話・スマートフォン・タブレット型端末の接続時間が他の層と比べて長めなのが原因。男性はパソコンの利用時間も長く、これが女性と比べメディア接触時間の長さを後押ししている。

また前年2016年分と比べると、男性は中堅層が大きく下落、女性は若年層で特に下落が著しいものとなっている。男性は年齢階層別の差異が拡大し、女性は縮小した感はある。

これを各メディア毎の時間配分で区分すると、多様な特徴が確認できる。

↑ 年齢・性別メディア接触時間(一日あたり、分)(2017年)
↑ 年齢・性別メディア接触時間(一日あたり、分)(2017年)【拡大表示版はこちらをクリック】

・男女とも30代まで、タブレット型端末と携帯電話・スマートフォンの利用時間の合計が長時間(100分超)。ただし男女の時間を比較すると男性の方が押しなべて長い。

・パソコンの利用時間は概して男性の方が長い。仕事での活用場面が多いのが原因と考えられる。

・テレビ視聴時間は男性が30代、女性では10代がもっとも短い。男性は40代以降、女性は10代以降は大よそ年齢経過と共に増えていく。また同年齢階層なら視聴時間は、男性よりも女性の方が長い。

・ラジオは男性では30代から増加が始まるが、女性は50代に入ってから。余暇時間に加え、カーステレオでの利用が加算されているものと考えられる。

・男女とも歳を重ねるに連れて、従来型4マス(テレビ・ラジオ・新聞・雑誌)の利用割合が増え、新メディア(パソコン、タブレット型端末、携帯)の利用時間が減っていく。

・10代から20代まで男女とも、男性は30代に至るまで、テレビの視聴時間をタブレット型端末と携帯電話・スマートフォンの利用時間が上回っている。

・男性は10代-40代まで、女性は10-30代でテレビ視聴時間を、パソコン・タブレット・携帯電話による(インターネット)利用時間(緑系統の着色部分)が上回っている。

インターネットを用いるデバイスの利用時間が、特に若年層で長いこと、歳を経るに連れてテレビの利用時間が伸びることなど、メディア系の調査結果ではお馴染みの、そして実体験からも容易に想像可能な、年齢階層間におけるメディア接触様式のギャップが改めて認識できる結果となっている。

若年層とメディアとの関係、接触時間の変移


モバイル端末、具体的には携帯電話が従来型からスマートフォンに移行し、さらにタブレット型端末も本格的な普及を始めたことにより、インターネットの利用機器もパソコンから携帯電話やタブレット型端末へとシフトする気配を見せている。特にお気軽さを好む若年層においてその傾向が著しく、パソコン内のデスクトップからノートパソコンへのシフトの動き同様に、他のメディア関連調査でも確認できる動きが今件調査でも明確に表れている。

若年層のデジタルメディアへの傾注がますます大きなものとなる、長時間投入されるようになる傾向に変化は無い。しかし主役はパソコンから携帯電話(とりわけスマートフォン)へ移りつつある。全体のメディア接触時間の経年変化を、全体接触時間に占める割合でグラフ化してみると、状況変化が良くわかる。

↑ 20代男性におけるメディア接触時間(-2017年)(一日あたり、全体接触時間に占める割合)
↑ 20代男性におけるメディア接触時間(-2017年)(一日あたり、全体接触時間に占める割合)

↑ メディア接触時間(-2017年)(一日あたり、全体接触時間に占める割合)
↑ メディア接触時間(-2017年)(一日あたり、全体接触時間に占める割合)

2011年から数年間はラジオの視聴時間シェアが増加するイレギュラーな動きを見せたが、(2011年分は調査タイミング上、震災とは関係なし。2012-2013年は震災の影響の可能性がある)、全般的にテレビやラジオの接触時間比率は減少過程にある。またパソコン(によるインターネット)の利用時間も2011年をピークに減り、その分タブレット型端末や携帯電話の利用時間は増加し続けている。2014年は特に新設されたタブレット型端末が全体ではいきなり5%近いシェアを占め、さらに携帯電話・スマートフォンも2割近い時間を確保するなど、モバイル系の利用時間が大幅に増加しているのが分かる。20代男性ではその値動きはさらに顕著なものとなっている。

直近の2017年では、タブレット型端末と携帯電話・スマートフォンではじめて3割超の利用時間シェアを確保することとなった。パソコンも合わせれば5割に近づく値。パソコンは漸減傾向にあるが、それ以上にタブレット型端末や携帯電話が増加しており、早ければ来年にも過半数に達する勢いを見せている。

テレビに関して付け加えるとすれば、視聴時間は男女別では女性が、年齢階層別では高齢層が長い。これはそれぞれ別調査で【女性はテレビが大好き!? 若年層のテレビ視聴時間をグラフ化してみる】【新聞記事や特集7割・テレビ番組8割……シニア層の情報源、テレビや新聞が圧倒的】など複数の調査結果で同様の傾向が確認されており、それをさらに裏付ける結果ではある。

去年からの変化はどうだろうか


最新版となる2017年分の値を、昨年2016年分のものと比較すると次の通りとなる。

↑ メディア接触時間・性年齢別比較(2016年から2017年への変移、分)
↑ メディア接触時間・性年齢別比較(2016年から2017年への変移、分)

実のところ際立った傾向は見出しにくい。ややこじつけの感も否めないが、「テレビや男性のラジオ時間が減少」「男性の雑誌時間が減少」「男性のパソコン時間が減少」などの動きを見出せる。特にパソコンの利用時間の減退ぶりは他の複数の調査からも示唆されており、ある意味当然の結果ではある。

またラジオは20代以上の男性すべてで減少しているのが印象的。パソコンと合わせこの動きが、メディア接触時間の合計にも少なからず影響していることもあり、来年以降の動向に注目したいところだ。


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