「男は外働き・女は家庭」国で異なる若年層の賛否両論感

2014/06/14 10:00

生物学的な観点からの考察では、進化過程において雌が子供を育て雄がそれらを外敵から守り生活の糧(かて)を得るという、それぞれの性別上の特性に沿った生活様式が、「男は外働き」「女は家庭を守る」という社会的な様式の流れを形成したとされている。一方文明が育まれ社会秩序が成されるに連れ、その慣習にも変化が生じつつあることは事実である。それでは諸外国の若者たちは、この価値観について、いかなる感想を抱いているのだろうか。2014年6月に内閣府が発表した、日本や諸外国の若年層を対象にした意識調査【平成25年度 我が国と諸外国の若者の意識に関する調査】から、その実情を見ていくことにする。

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意外(!?)に多いアメリカの「男は外で働くべき」論者


調査要項に関しては同調査に関する先行記事の【日本の若者が抱えるネガティブシンキング、各国比較で上位独走!?】を参照のこと。

冒頭で触れている通り、社会の通念意識の一つとして「男は外働き」「女は家庭を守る」というものがある。この考え方に関して、賛成するか否か、それとも判断がつきにくく「わからない」とするか、3択で選んでもらった結果が次のグラフ。

↑ 男は外で働き、女は家庭を守るべき
↑ 男は外で働き、女は家庭を守るべき

意外に思う人も多いかもしれないが、女性の社会進出が著しい米英において、「賛成」意見が今回対象となった国の中ではもっとも多い。1/4強が賛意を示している。もっともそれらの国でも6割前後は反対しており、若年層全体としては「反対」の意見が大意に近いことが分かる。またドイツやフランス、スウェーデンなどでは8割前後、特にスウェーデンでは9割近くが反対の意見を表明しており、反発心が強い。

一方日本はといえば賛意は22.3%と米英に次いで多く、他方で反対意見はわずか38.7%。そして何よりも「分からない」とする意見が4割近くに達しており、他の国とは大いに異なる結果が出ている。他の社会通念的な問題に対する判断関連の項目でもいえることだが、日本の若年層はどちらか一方の立場を支持して意見することには消極的な姿勢を見せるようだ。

「おさなごの世話は母親」米英以外にドイツも賛意者多し


外働きと家庭の守護とはやや意味が異なるが、似たような話として、「子供が小さい時には子供の世話をするのは母親でなければならない」という意見がある。これに関する賛否を同じように尋ねた結果が次のグラフ。

↑ 子供が小さい時は、子供の世話をするのは母親でなければならない
↑ 子供が小さい時は、子供の世話をするのは母親でなければならない

「外働きと家庭の守護」問題同様、米英では賛意に高い値が出ている。さらにドイツが突出しているのが目に留まる。むしろ米英よりもわずかだが高値なのが興味深い。ドイツでは日本同様出生率の低さが問題視されており、その理由として社会的なシステムの上で「女性は就業か子育てかの二者択一を迫られる状況」「子供は昼前に下校するため、母親のフルタイム就業は事実上困難」「保育サービスが不足」などの事情がある。これが母親に育児へ専念してほしいとの考えにつながり、このような回答値を導き出す原因となったのかもしれない。

一方でドイツと似たような状況にある日本だが、登場国の中では賛意は低い部類に入る。フランスよりは高いが、スウェーデンよりは低い。そして何よりも明確な回答を示さずに態度留保的な「分からない」を選ぶ人が、「外働きと家庭の守護」問題と同じように諸外国中最大値を示している。明確な主張意識を持たないのか、持つまでの判断材料が不足しているのか。それとも共働き世帯が漸増する中で実際問題としては否定せざるを得ないものの、理想としては母親の育児が望ましいとの考えに挟まれ、ジレンマ状態に陥っているのか。今件回答だけでは判断がつきにくい。



現状としては若者の意見として、保守的ともいえる男女間の家庭観・育児感に関しては、「外働きは男、家庭の守護は女」「幼子の子育ては母親が望ましい」それぞれ、賛否を判断しかねる意見が日本では多いことが分かる。複雑化する社会問題にはあまり関与したくない、ぬるま湯的な状況を望む性質が現れたのだろうか。

仮に各国とも「分からない」を除いて賛否のみで再算出すると、日本は「外働きは男、家庭の守護は女」ではトップ、「幼子の子育ては母親が望ましい」は上から5番目、アメリカ・イギリス・ドイツ・韓国に次ぐ順位となる。こちらの順位もまた、ある面で日本の実情を表しているともいえよう。


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